定期預金はデメリットしかない?資産運用のプロがメリットと注意点をわかりやすく解説
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「定期預金を始めてもデメリットしかない?」「低金利の銀行にお金を預けても無駄?」と思っている人も少なくはないでしょう。
定期預金とはあらかじめ決めた期間の間、銀行などの金融機関にお金を預けることです。
原則、中途解約をしなければお金を引き出すことはできません。そのため、貯金が苦手な人におすすめの資産運用といえるでしょう。
一方、現在の金利下において銀行にお金を預けても、効率的にお金を増やすことは難しい状況です。
本記事では「定期預金をしてもデメリットしかない?本当にメリットはない?」と悩んでいる人に向けて、定期預金の特徴、メリットやデメリットについて、資産運用のプロがわかりやすく解説します。
- 定期預金とは決まった期間にお金を預ける金融商品のこと
- 定期預金のメリットは「元本保証」であること
- 現在の金利状況下では定期預金でお金を運用するメリットはほとんどない
- 定期預金を少しでも活かす方法は「分散投資型商品と組み合わせる」などがある
定期預金とは
決まった期間(1ヶ月〜最長10年)にお金を預ける金融商品のこと
金利については、一般的にお金を預ける期間が長ければ高くなる傾向にあります。
1000万円未満等の定期商品は一般的に「スーパー定期」という名前で案内されることが多く、それ以上のものは大口の定期商品と呼ばれることが多いです。
また、金利は大口になるほど高い傾向があります。
定期預金には、満期日に定期が解約され、元本と利息が普通預金に入金される「自動解約」と、満期後に同一の期間で継続される「自動継続」があります。
銀行によって金利の上乗せキャンペーンを実施している場合もあります。
(参考:定期預金 | 一般社団法人 全国銀行協会)
普通預金・定期預金・積立預金・積立式定期預金の違い
預金は主に普通預金・定期預金・積立預金・積立式定期預金があります。
それぞれの違いは以下のとおりです。
お金を預ける目的に応じて預金の種類を選ぶと良いでしょう。
例えば、普通預金はATMや窓口を問わず、自由にお金を出し入れができるため、一般的には生活用口座として利用します。
一方、定期預金は将来の教育費や住宅購入資金など、資金使途が決まっている場合に活用します。
まとまった資金を預けることに特化した定期預金には、積立の方法として「積立預金」や「積立式定期預金」があります。
(参考:目的に応じて使い分けたい7つの銀行預金 | B.貯蓄する | 一般社団法人 全国銀行協会)
定期預金にほぼメリットがない理由とデメリット
「定期預金にお金を預けてもほとんどメリットはないのでは?」と思う人もいるのではないでしょうか。
ここでは定期預金のメリット、デメリットについて資産運用のプロが詳しく解説していきます。
定期預金の一般的なメリット
まずは定期預金の主なメリットについて見てみましょう。
メリット①一般的に普通預金より金利がやや高い
定期預金の金利については、一般的に同一金融機関内であれば、普通預金よりも高く設定されています。
低金利の今の時代、大きな利息の差にはなりませんが、少しでも利息を増やしたい場合は定期を検討するのも一案でしょう。
また、定期預金の期間は1ヶ月・2ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・1年~10年など、期間を自由に選択できます。
教育資金や住宅購入資金の頭金、リフォーム代金など、まとまった資金を使う時期に合わせて、定期預金を組んでおくと資金の目的が明確になります。
メリット②元本割れリスクがなく、一定額まで保証される(預金保険制度)
定期預金については、いつ解約しても元本を下回ることはありません。解約された場合、元本と利息を受け取ることができます。
また、金融機関が破綻してしまった場合、ペイオフ(預金保険制度)の対象となります。
預金保険制度とは、万が一金融機関が破綻した場合、預金者の預金を保護する制度となります。
保証される金額は一つの銀行に対して、普通預金と定期預金等を合算した1000万円と利息まで保証されます。
メリット③目的に合わせて期間を選べる
定期預金の場合、目的に合わせてお金を預ける期間を選ぶことができます。
車や自宅の購入資金・リフォーム代金・子どもの教育資金など、必要な時期に合わせて定期の期間を設定すると良いでしょう。
「使える時期に使えるお金がある」という安心感を持てるのが定期預金のメリットです。
定期預金はおすすめしない?3つのデメリット
定期預金には主に3つのデメリットがあります。それぞれ詳しく見てみましょう。
デメリット①投資性のある商品に比べてお金が増えにくい
定期預金は投資性のある商品(株式や投資信託等)と比べると、運用効率は高くありません。
金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書による「老後2000万円問題」が話題となりましたが、定期の利率では効率的にお金を増やして老後に備えることは難しいでしょう。
例えば、1000万円を0.002%の1年定期に預けたとしても、1年後の利息は200円にしかなりません。
「72の法則(※)」を活用すると、定期預金に預けた1000万円を2000万円にするには、36000年(=72÷0.002)もかかります。
現在の低金利の状況下では、効率的にお金を増やす方法として定期預金は不向きといえます。
※「72÷金利≒お金が2倍になる期間」として計算できる法則のこと
②中途解約をしないとお金を引き出せない
定期には「満期自動解約型」と「満期自動継続型」があります。満期自動解約型であれば、満期日に定期預金の元本と利息が自動的に普通預金に入金されます。
一方、途中解約をしたい場合は解約手続きが必要になります。解約手続きについては、ATM・インターネットバンキング・窓口などで手続きが可能です。
ただし、解約手続き方法によって、必要な書類や上限金額が定められているため、取引している銀行へ事前に確認すると良いでしょう。
③インフレのリスクがある
物価の上昇によりお金の価値が下がること
今まで100円で購入できたものが、120円出さないと同じものを購入することができないというイメージです。最近では小麦価格の高騰により、カップ麺や袋麺が5〜12%の値上げといった話があります。
一方で定期の0.002〜0.3%では、物価の上昇率には対抗できていないことがわかります。
現在の定期預金にほぼメリットがない理由
定期預金は元本保証というメリットはありますが、現状の低金利の状況下では使途のない資金を定期預金で運用するメリットは少ないかもしれません。
日銀の郵便局金利を参考にすると、1990年9月17日〜1991年7月6日までの1年定期の金利は6.08%でした。
「72の法則」を参考に計算をすると、約12年で資産が倍となる金利です。
高い金利であれば定期預金を迷わずに活用した方が良いですが、現在の金利は0.002%程度です。
安全だからといって定期預金にお金を預けていても、なかなかお金を増やすことはできないでしょう。
(参考:長・短期プライムレート(主要行)の推移 1989年~2000年 : 日本銀行 Bank of Japan)
ほぼメリットがない定期預金を少しでも活かす方法
定期預金の場合、現在の低金利下では効率よくお金を増やすことは難しいです。
一方、お金を預けてもほとんどメリットがない定期預金を少しでも活かす方法をご紹介していきます。
①少しでも金利の高い金融機関で始める
定期預金にお金を預ける際、ネット銀行を視野に入れるのも良いでしょう。
ネット銀行の一部では0.2〜0.3%の定期預金金利となっており、メガバンクよりも10倍以上の金利が適用されています。
ペイオフの観点からも銀行を分散し、安定運用目的で金利の高い金融機関を検討してみるのも一案でしょう。
②金融機関のキャンペーンを活用する
定期のキャンペーンには期間限定の金利上乗せキャンペーンや、退職金に対して金利上乗せでのキャンペーンもあります。
2022年6月にとある銀行では4月20日〜7月20日までの期間限定で、5年定期が0.35%のキャンペーンを実施していました。
また、信用組合であれば組合員を対象に0.5〜0.6%といった定期預金もあります。
自分に合った金融機関のキャンペーンを活用しましょう。
③分散投資型商品と組み合わせる
投資信託など、投資性のある運用商品と円定期を組み合わせることで、定期預金の低金利をカバーすることが可能です。
例えば、定期預金は3ヶ月と投資信託等(50%以上)、定期預金(50%まで)の組み合わせといった商品などがあります。
また、定期預金コースには退職金特別プランとして、さらに金利が◯%アップといった商品も多くあります。
定期も通常金利よりも高く設定されているため、お金をより効率的に増やすことが可能です。
金融機関により最低金額や適用の金利が変わるため、運用商品と同時に申し込みができる定期預金なども比較すると良いでしょう。
定期預金が合う人
定期預金が合う人の特徴を見てみましょう。
お金が手元にあると使ってしまう人
定期はすぐに引き出すことができないというメリットがありますが、お金をきちんと目的別に管理していきたい人には、有効的かもしれません。
生活資金は普通預金、余剰資金は定期預金として目的別に口座を管理することで、余剰資金に手をつけずにしっかり貯めることができます。
将来のためにまとまったお金を用意したい人
定期預金のメリットは、「必要な時期に必要な金額を、元本割れせずに確保できること」です。
将来の住宅購入や車の購入、子どもの教育資金など、お金が必要になるタイミングで預けたお金を使うことができます。
よって、お金を貯める目的、将来お金を使うタイミングが決まっている人は定期預金を活用してお金を用意しておくと良いでしょう。
定期預金をする銀行を選ぶ時のポイント
定期預金を始める際、お金を預ける銀行をどうやって選んだら良いか悩む人もいるのではないでしょうか。
銀行を選ぶ際の4つのポイントについてご紹介します。
(参考:定期預金 | 一般社団法人 全国銀行協会)
1.預金金利の高さと金利の種類(変動金利・固定金利)
定期預金を始める銀行を選ぶ際の一番のポイントは金利です。
銀行によって金利や適用期間は違います。金利上乗せなどのキャンペーン期間もあるため、定期預金の内容と合わせてチェックしましょう。
また、金利には「変動金利」と「固定金利」があり、どちらか選択する必要があります。
固定金利とは、はじめに預け入れた金利が満期まで適用される金利です。
一方、変動金利とは、6ヶ月毎など決まった期間毎に適用金利が変更されます。
今後金利上昇が見込まれる場合には「変動金利」、金利が下がりそうな場合には「固定金利」を選択すると良いでしょう。
2.預入期間のタイプ
定期預金の預入期間にはさまざまなタイプがあります。
預入期間は1ヶ月・3ヶ月・1年・10年などがあり、自由に選択することができます。
将来必要な時期に満期がくるように設定するのがポイントです。
預入期間が長い定期を組んだ場合、途中解約時は利息額が調整されるため注意が必要です。
途中解約による利息額の調整を避けたい場合は3年定期ではなく、1年定期を3回継続するといった短期間の定期でしっかりと満期を迎えながら預金していくのがおすすめです。
3.利息(単利・複利)
定期の利息には「単利」と「複利」があります。
単利とは元金に対して利息がつくものです。
例えば、100万円に対して3%単利の場合、1年目・2年目・3年目のいずれも利息は同額の3万円(税引前)になります。つまり、お金を預ける期間が長くなっても、受け取る利息額は変わりません。
一方、複利とは元金と利息を合算した金額に利息がつく仕組みとなります。
同様に100万円に対して3%複利の場合、1年目の利息は3万円ですが、2年目は元金100万円と利息3万円を合算した103万円に対して3%の利息の3.09万円(税引前)となります。
3年目は「元金100万円+3万円+3.09万円」に対しての3%となるため、3.18万円が利息額となります。
複利は利息額が増えていく仕組みのため、単利よりも効率よくお金を増やすことができます。
4.通貨の種類(円建・外貨建)
定期には円建ての「円定期」以外に外貨建ての「外貨定期」もあります。
外貨定期は円定期と比べて日本円を金利水準の外貨に換えてお金を預けるため、金利が高くなります。
外貨預金には米ドルやカナダドル、豪ドル、中国元、南アフリカランドやブラジルレアルといったさまざまな通貨での運用方法があります。
金利は通貨や期間によって変わり、一般的に先進国通貨の金利は新興国通貨の金利よりも低く設定されます。
現在の超低金利といわれる円預金よりも高く金利設定されているため、運用の一つとして検討しても良いかもしれません。
ただし、外貨で運用した場合は為替手数料が別途発生します。
さらに、為替の影響により元本割れの可能性もあるため、外貨での預入と円に戻すタイミングを図ることが必要です。
定期預金よりも効率よくお金を増やせる資産運用3選
最後に、まとまったお金を預けるという視点で、定期預金よりも効率よくお金を増やせる資産運用をご紹介します。
債券
債券とは、国や地方公共団体、企業などが投資家からお金を借りるために発行する有価証券です。
一般的に国が発行する債券を「国債」、企業が発行する債券を「社債」といいます。
債券には最終的に借りたお金を返す返済日が決まっており、その決められた利率で貸している期間、投資家は利息を受け取ることができます。
定期預金の金利と比較すると、一般的には債券の方が金利は高くなります。
外貨建ての生命保険
外貨建て保険とは、円の代わりに米ドルや豪ドルなどでお金を運用していく保険のことをいいます。保険金や解約金も原則外貨で受け取る形になります。
円安になれば支払った保険料よりも受け取るお金は増え、円高であれば元本割れの可能性があります。
金利によって損益分岐を下げることが可能です。よって、長期運用であれば円定期よりもお金を効率的に増やすことが可能です。
さらに、外貨建て保険は生命保険になるため、運用で得た利益については一時所得扱いで申告となり、相続時には「500万円×法定相続人の数=非課税限度額」として控除されます。
投資信託
投資信託とは、投資家からお金を集めて大きな資金にし、ファンドマネージャーと呼ばれる運用の専門家が、株式や債券などに投資していく仕組みの金融商品です。
個別の株式に投資する場合と違って、投資信託はあらゆる株式や債券に投資されるため、投資信託を運用するだけで分散投資が可能です。
ただし、プロが運用しているからといって、元本保証ではないため注意しましょう。
老後資金の準備を目指すなどの20年超の長期投資が可能であれば、定期預金よりもお金を効率よく増やせる可能性があります。
まとめ:目的と目標を決めて、自分に合う資産運用を始めよう
定期預金とは将来使い道が決まっているお金に対して、安定的に準備することができる金融商品のことです。
定期預金はいつ解約しても元本割れしないというメリットがありますが、現在低金利の状況であり、銀行にお金を預けていても効率よくお金を増やすには物足りないでしょう。
定期預金以外にも、お金を増やせる方法はさまざまあります。自分に合う資産運用を始めたい方は、まずはプロに相談してみてはいかがでしょうか。
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執筆・監修
柴又 順平
- ファイナンシャルアドバイザー
専修大学・経営学部を卒業後、株式会社三井住友銀行に入社。おもに富裕層向けに、約17年間資産運用コンサルティング業務に従事。投信、保険、債券、住宅ローン、遺言信託、資産承継など、幅広い金融商品の取り扱いが可能で深い知識を有している。キャリアの途中からは管理職として部下の育成にも関わる。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社。現在は、金融IT企業で個人向け資産運用のコンサルティング業務を行う。AFP(Affiliated Financial Planner)、一種外務員資格(証券外務員一種)、プライマリーPB(プライベートバンカー)資格を保有