ETFと投資信託の違いは?おすすめはどっち?投資のプロがケース別の選び方を解説
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「ETF(上場投資信託)と一般の投資信託の違いは?選ぶならどっち?」と悩んでいる方も多いでしょう。
ETFと投資信託は、それぞれ異なる仕組みを持っており、投資方法やリターンの特性にも違いがあります。
ETFは株式市場に上場されており、市場価格でリアルタイムに取引できるのが特徴です。一方、投資信託は基準価額で取引され、証券会社を介して購入します。
また、両者にはそれぞれメリットとデメリットが存在するため、自分に最適な商品を選ぶことが重要です。
本記事ではETFと投資信託、どちらを選ぶべきか悩んでいる人に向けて、ETFと投資信託の違いを比較し、選び方のポイントをファイナンシャルアドバイザーが詳しく解説します。
※本記事では2023年までのNISA制度を「旧NISA」または「旧制度」、2024年から始まる新しいNISAを「新NISA」または「新制度」と表記しています
※旧制度で新規買付ができるのは2023年末までです。2024年以降は非課税保有期間が終了するまで、資産を非課税で保有することができます
(参考:新しいNISA : 金融庁)
- ETFとは上場投資信託のことであり、株式と同様にリアルタイムで売買が可能
- ETFと投資信託の違いは「投資信託は1日1回基準価額が算出される」「ETFはリアルタイムで市場価格が変動する」
- ETFのメリット・デメリットは「リアルタイムで取引が可能。一方で分配金が自動的に再投資されない」
- 投資信託のメリット・デメリットは「手軽に積立投資ができる。一方でETFと株のようにリアルタイムで取引ができない」
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ETF(上場投資信託)とは
東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託のこと
「Exchange Traded Funds」の頭文字からETFと呼ばれており、文字通り取引所(Exchange)で、取引される(Traded)投資信託(Fund)のことです。
一般的な投資信託との大きな違いは、ETFは株式と同様にリアルタイムでの売買ができる点です。
本来、投資信託は1日に1回決められた値段(基準価額)で取引されています。そのため、売買注文を出した時にいくらで取引されるのかわからず、価格を指定することもできません。
ETFの場合は自分の希望する価格やタイミングで売買することができます。
(参考:ETFの仕組み - 投資信託協会)
ETFと投資信託、株式の違いは?特徴を徹底比較!
「ETF」「投資信託」「株式」の違いをあまり理解できていない人も多いでしょう。
主な違いは以下の図になります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①上場/非上場
株式と同様にETFは上場していますが、投資信託は非上場です。
上場するとは、証券取引所を通じて取引できるかどうかということです。取引所を通じて行う取引では、取引方法や取引値段を自分で選ぶことできます。
②取引可能時間③取引価格④取引場所
株式とETFは証券取引所の取引時間内であれば取引ができます。取引時間は平日の午前は9時から11時30分まで、午後は12時30分から15時までと定められています。
また、取引所に売買注文を取り次げるのは「証券会社のみ」です。そのため、株式やETFは証券会社で取引ができます。
一方、投資信託は証券会社のほかに「銀行」でも取り扱いがあります。
株式やETFは、刻一刻と変化する市場価格で取引されますが、投資信託の場合は「1日1回」算出される基準価額で取引されます。
そのため、売買後でないといくらで買えたか分からず、意図していなかった価格で取引が成立する可能性があります。
⑤取引方法
ETFの取引方法は、株式と同様に指値注文と成行注文が選べます。
売買価格を指定して注文を出すこと
売買価格を指定しないで注文を出すこと
成行注文で売買が成立した場合の値段は、成立した売買の相手によって決まるため、いくらで取引が成立するかはわかりません。
一方、投資信託はETFと違い、いくらで売買できるかがわからない仕組みになっています。注文申込締切時間を締め切った後に、投資信託の売買価格(基準価額)が公表されます。
⑥分配金/配当
株式は、会社の利益を株主に還元する目的で配当金が支払われます。
一方のETFや投資信託では、運用会社の方針や運用状況によって分配金を出すことがあります。
分配金には、運用から得られた利益から還元される「普通分配金」と、投資家の元本を払い出す「特別分配金(元本払戻金)」があります。
ETFでは特別分配金がないため、分配金をすべて純粋な利益として受け取ることができます。
しかし、投資信託の分配金では特別分配金を出すことがあるため、運用して得られた利益でも、自分の投資した元本が払い戻されている可能性があります。
⑦取引時の手数料
株式やETFは、売買委託手数料として証券会社に払う手数料があり、手数料は証券会社によって異なります。
また、投資信託では買付手数料(販売手数料)として販売会社に払う手数料があります。
ただし、投資信託ではどこで取引しても販売手数料がかからない「ノーロード」という商品もなかにはあります。
⑧信託報酬
投資信託を管理・運用してもらうための間接的な費用のこと
ETFの場合、投資信託に比べて信託報酬が安く設定されていることが多いです。
販売会社への手数料やそのファンドにかかる事務費用が安価であることから、信託報酬が安くなっています。
(参考:ETFの特色 | ETF(上場投資信託)|日興アセットマネジメント)
⑨売却・解約時の手数料
株式やETFは、売買委託手数料として証券会社に払う手数料があります。手数料は証券会社によって異なります。
投資信託は、種類によっては信託財産留保額として実質的に売却時にかかる手数料があります。
ETFとインデックスファンドの違い
主に、ETFは株価指数などに代表される指標への連動を目指した運用(パッシブ運用)となっています。
代表的な株式指数には、TOPIX、日経平均株価、S&P500などが挙げられます。一方、インデックスファンドも同じパッシブ運用となっています。
そのため、ETFとインデックスファンドの運用内容にほとんど違いはありません。大きな違いは、上場しているか否かで取引方法が異なる点です。
ETFと投資信託のメリットとデメリットを比較
自分に合う運用商品を見つけるためにも、ETFと投資信託のメリット・デメリットをきちんと理解しておきましょう。
ETFのメリット・デメリット
ETFとは「東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託」のことです。
まず、ETFのメリット・デメリットを見てみましょう。
メリット①投資コストが比較的低い
ETFは、投資信託に比べて投資コストが低いです。
ETFを売買する際のコスト(売買手数料)は証券会社によって異なります。
ただし、運用中のコスト(信託報酬)はどの金融機関でも同じで、本来信託報酬自体が投資信託に比べて低いというメリットがあります。
メリット②リアルタイムで取引が可能
ETFは上場しているため、リアルタイムで取引ができます。株式市場は刻一刻と変わるため、株価指数が取引時間の前半で大きく上昇して、後半で下落することもあります。
その際、ETFであれば大きく上昇しているタイミングで売却することができるメリットがあります。
メリット③「指値注文」や「信用取引」が可能
ETFでは、値段を指定して取引できる「指値注文」ができます。指値注文とは「◯◯円になったら買いたい」「◯◯円になったら売りたい」という注文方法です。
そのため、リアルタイムで相場を見張っていなくても、自動的に指定した値段で取引が行われます。また、株式と同じようにETFで「信用取引」もできます。
信用取引とは、現金や保有株式を担保にして、担保金額にレバレッジ(※)をかけることができる取引方法です。
信用取引を活用すると、株価が上昇する時と下落する時の両面で利益を狙うことができます。
ただし、レバレッジをかけることでハイリスクハイリターンになる点に注意が必要です。
※自己資金に対して借り入れを行い、その資金を活用することで、より大きなリターンを狙う方法
(参考:メリットとリスク - 投資信託協会)
(参考:国内株式|SBI証券)
デメリット①自動積立ができないケースが多い
一般的にETFは投資信託と同じように自動積立買付ができないケースが多いです。証券会社によってケースが異なるため、Webサイトなどで確認しましょう。
毎月コツコツ買付する際は、手動で買付注文を出す手間がかかる点がデメリットです。
デメリット②分配金が自動的に再投資されない
ETFで支払われた分配金は、自動的に再投資されません。
分配金を使う予定がない場合、再投資した方が将来の運用効果は大きくなります。そのため、分配金が現金として溜まっていくと、複利の効果を得られない点がデメリットです。
デメリット③市場が混乱している時に売却しにくいケースがある
ETFはリアルタイムで取引されるため、株式市場が混乱している時に売却しにくい可能性があります。
ETFの価格は、ETFを買いたい人と売りたい人のバランスによって変化します。
例えば、1000円で売りたいと思っている人が1000円で買いたいと思っている人よりも多い場合は、買い手が不足しています。
そのため、売りたい人は早く売るか、価格を下げて売らなければなりません。
市場が混乱して売りたい人が多くなった場合は、値段はどんどん安くなり、希望していた値段で売れないリスクや全く買い手がつかずに売れ残るリスクがあります。
投資信託のメリット・デメリット
次に、投資信託の主なメリット・デメリットを解説します。
メリット①銀行、証券会社での購入が可能
投資信託は銀行や証券会社で取り扱いがあります。
銀行や証券会社で手続きなどを対面で行う場合は、窓口で運用相談することもできます。
ただし、取り扱いの商品は金融機関によって異なります。同じ銘柄でも金融機関によって買付の手数料が異なる点にも注意が必要です。
メリット②手軽に積立投資ができる
ほとんどの金融機関で投資信託での積立投資を行うことができます。
投資信託は買付の際に「金額指定」ができるため、金融機関によっては買付金額を100円や1000円からなど少額で設定できます。
そのため、投資初心者でも少額から手軽に始められるでしょう。
メリット③複利効果を得られる
投資信託は運用成果に応じて分配金が支払われた場合でも、自動的に再投資する仕組みに設定できます。
そのため、常に元本と利益に対して運用が続いていく「複利効果」を得られます。
複利効果は年数が長いほど大きくなります。長期運用を手軽に始めたい場合は投資信託が適しているでしょう。
デメリット①投資コストがETFよりも比較的高い
投資信託はETFに比べると投資コストがかかります。
売買時の手数料は金融機関によるものの、運用中にかかる信託報酬(運用管理費用)は比較的高いといえるでしょう。
信託報酬とは、投資信託の運用資産から毎日少しずつ引かれる手数料です。
信託報酬が高いとその分将来期待できるリターンが小さくなる要因になります。
デメリット②株のような取引ができない
投資信託は株式のようにリアルタイムで取引ができません。また、指定した値段で投資信託を売買することができないため、価格は売買後でないとわかりません。
投資信託の価格は「基準価額」と呼ばれ、1日に1つの価格として算出・公表されます。
そのため、値段を指定してタイムリーに売買したい人には、適していないでしょう。
ETFと投資信託、どちらがおすすめ?【ケース別】
ETFと投資信託は特徴が異なり、それぞれメリット・デメリットがあります。
「自分はどっちで運用するべき?」と悩んでいる人に向けて、ケース別に選び方を解説します。
ETFがおすすめな人
ETFは自分のタイミングで売買したい人に向いています。
また、投資信託よりも低いコストで分散投資ができるため、まとまった投資をする際のコストは低くなります。
そのため、少しでもコストを抑えたい人にも向いているでしょう。
さらに、投資中級者や上級者であれば、ETFの売買価格を考えながら指値注文をしたり、信用取引に活用できるでしょう。
相場の値動きや注文方法、仕組みをよく理解した人であれば、ETFがおすすめです。
投資信託がおすすめな人
投資信託は長期間コツコツ積立投資をしたい人に向いています。
投資信託は、少額から自分の決めた金額分で積立投資が可能です。
積立設定方法も一度の手続きで済むため、証券会社の取引に馴染みがない人でも手軽に始めることができます。
将来のための貯蓄を目的に、まず投資を始めてみたい人であれば、投資信託が適しているでしょう。
NISA制度で運用する場合
旧NISAを活用する場合は、一般NISAかつみたてNISAによって適した金融商品が異なります。
つみたてNISAで投資できる金融商品は金融庁の定めている基準を満たす必要があります。
基準を満たしているETFは数少なく、ほとんどの商品が投資信託です。
また、旧制度にある一般NISAでは数多くのETFや投資信託に投資ができます。
非課税金額は120万円で非課税期間は5年と、短期で大きく投資したい場合はコストの低いETFが良いでしょう。
このように、運用期間や投資金額、投資方法(一括か積立)などを考慮すると、どちらが自分に合っているかわかるかもしれません。
さらに、2024年から旧NISAは新NISA(新しいNISA)になり、非課税保有期間や投資可能期間の制限が緩和されます。
投資できる商品に一部変更はありますが、現行制度よりも一層柔軟な運用が可能となります。
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ETFと投資信託を使い分けるのがおすすめ
ETFはタイムリーな売買に、投資信託は積立投資に向いています。投資初心者は、投資信託の方が手軽に運用を始めることができるでしょう。
ただし、ETFと投資信託、どちらかが必ず優れているということではありません。それぞれの特徴やメリットを活かして目的別に活用するのも一案です。
また、旧制度を活用する場合は一般NISAかつみたてNISA(※)によっても選択肢が絞られます。
もしどちらが自分に合っているか悩んだ場合は、投資のプロに相談してみても良いかもしれません。
※2024年から始まる新NISA(新しいNISA)では、一般NISAが「成長投資枠」、つみたてNISAが「つみたて投資枠」に仕組みが変更になります
ETFと投資信託の銘柄の選び方
ETFと投資信託、銘柄選びのポイントを投資のプロであるファイナンシャルアドバイザーがわかりやすく解説します。
選ぶ前に:投資の目的と目標額を決める
ETFや投資信託の銘柄を選ぶ前に、まずは「投資の目的」を決めましょう。
投資をする主な目的には、人生の三大資金と呼ばれる教育・住宅・老後資金が挙げられます。一方で特に使い道のない余剰資金の運用などに充てる人もいるでしょう。
投資の目的を決めたら次に「いつまでにどれくらい増やしたいか」という目標時期と目標金額を決めましょう。
目標金額が決まれば、目標が達成できる商品が自ずと見えてくるでしょう。
①投資対象の過去の運用実績を確認
ETFや投資信託は過去の運用実績を販売会社のHPなどから確認することができます。
商品を選ぶうえで、過去の実績を確認することはとても重要です。この時、長期の運用実績を参考にするようにしましょう。
短期の運用実績では、相場の影響を受けたり、一部の組入銘柄が大きく影響している場合があります。
どのETFや投資信託が良いのか見極めるためには、複数の商品を過去の実績で比較するのがおすすめです。
②手数料などの投資コストを確認
手数料など投資を行ううえで実際にかかるコストを確認しましょう。
投資信託では、購入時に購入時手数料、売却時には信託財産留保額を負担する場合があります。
同じ投資信託を買う場合でも、証券会社や銀行など金融機関によって手数料率が異なります。
また、ETFの場合も同様に、取引する証券会社によって購入時と換金時にかかる売買手数料が異なります。
ただし、投資信託とETFどちらにも共通する信託報酬(運用管理費用)は、ETFの方が比較的低いです。
③投資対象の特徴やリスク・リターンを確認
ETFと投資信託の詳しい内容は、パンフレットや目論見書で確認することができます。販売会社のHPでは、「月次レポート」と呼ばれる毎月の運用報告書も公開されています。
投資対象のリスクとリターンは、過去の実績から確認するのがわかりやすいです。
日々の値動きの大きさや、経済不況時は最大どれくらい下落したか、希望する運用年数でどれくらい上昇したかなどを見てみましょう。
④純資産残高を確認
ETFや投資信託が保有している資産の時価評価額のこと
ファンドの運用資金でもあるため、その推移を確認することはファンドの人気度を図るひとつの指標でもあります。
純資産残高は、運用会社のHPや月次報告書で確認できます。
一般的に市況の状況や資金の流入・流出などによって変動します。運用成績が良く、投資家の支持を得ているファンドは、純資産残高が安定して増える傾向にあります。
⑤流動性と乖離率を確認(ETFの場合)
ETFの場合、流動性と乖離率にも注目しましょう。
リアルタイムで売買しやすくするためには、取引が多く行われているETFを選ぶことがポイントです。
ETFは同じような種類のものが多く存在しますが、その中でも売買高や売買代金が多いものを選ぶのも一案です。
また、ETFは指数に連動するパッシブ運用が主であるものの、投資先を組入れるタイミングや運用管理費用などによって指数との乖離が生まれることがあります。
そのため、指数とETFの価格の乖離が少ないものを選ぶことがポイントです。
まとめ:ETFと投資信託を上手く使い分けよう
ETFとは、取引所に上場する投資信託のことを指します。
ETFは株式と同じように値段がリアルタイムで変化し、タイムリーに売買できます。運用中のコストは投資信託と比較して低い点がメリットです。
また、投資信託は売買値段をあらかじめ指定することはできませんが、積立投資設定ができます。一度設定すると投資初心者でも自動的に積立投資ができます。
どちらを活用するかは運用目的や運用期間、運用手法にもよります。
投資初心者の方や自分で投資信託を選ぶのが不安な方は、投資のプロに相談してみてはいかがでしょうか。
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監修者
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆者
西森 遥
- ファイナンシャルアドバイザー
都留文科大学卒。大和証券株式会社にて、主にリテール営業に従事。株式、投資信託の販売など、資産運用コンサルティング業務に携わる。現在は個人向け資産運用会社にて、運用に関するコンサルティング業務を行っている。顧客に寄り添う営業をモットーとし、特に若い世代へ資産運用の必要性を伝えるべく、日々精力的に活動中。外務員一種保有。