長期金利が27年ぶりの大幅上昇。その背景と国債価格への影響、今後の見通しは?
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2026年1月19日から20日にかけて、日本の債券市場に激震が走りました。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時2.38%台まで急騰し、1999年2月以来、約27年ぶりの高水準を記録しました。
一方、同26日頃には利回りが 約2.21%台 まで低下する場面もあり、長期金利の変動幅が大きくなっています。
なぜ今、これほど金利が大きく変動しているのでしょうか? その背景にある政治的要因と、私たちの生活への影響、そして今後の懸念点について解説します。
- 2026年1月に長期金利が急上昇した背景
- 金利上昇と債券価格下落の関係性
- 長期金利上昇による生活への影響
長期金利が急上昇した背景
今回の金利急上昇の主因は、日銀の金融政策変更ではなく、目前に迫った衆議院選挙(2月8日投開票)を巡る「政治・財政リスクの高まり」です。
衆院選での「消費減税」合戦
選挙戦において、与野党ともに物価高対策の目玉として「消費税減税(主に飲食料品の税率引き下げ・ゼロ化)」や給付金などの大型財政出動を掲げる可能性が高まっています。
特に、財政規律を重視すると思われていた政権与党からも積極財政を示唆する発言が相次いだことが、市場にとってはサプライズとなりました。
財政悪化懸念と国債需給の悪化
消費税の減税は大幅な税収減につながり、給付金は歳出の増大につながります。これらの政策に対し、恒久的な財源が明確でない場合、市場では「国債の増発による穴埋め」が強く意識されます。
市場参加者は「国債が大量に発行される=需給が悪化し、価格が下がる」と判断し、リスク回避のために国債を売却する動きを強めました。
この流れが、国債価格の下落、ひいては長期金利の急騰につながったと考えられます。
債券価格の下落
今回の金利上昇を直接的に引き起こした要因が国債価格の下落です。「将来、財政が悪化するかもしれない国の国債は持ち続けたくない」という心理から売りが膨らみ、債券価格が下落した結果、金利が上昇しました。
一般的に、債券価格と金利は「シーソーの関係」に例えられます。債券価格が下がると金利は上がり、債券価格が上がると金利が下がります。
債券価格が下がると金利が上がる仕組み
何らかの理由でみんなが「国債を手放したい」と思うと、安くしなければ売れなくなります。例えば、元本100円の国債が98円、97円と値下がりしても、満期には決まった額(100円)が戻ってきます。
つまり、安く買えるほど、投資額に対する利息収入の割合(利回り)は高くなるため、価格下落=利回り上昇(=金利上昇)という関係が生じます。
金利が上がることで債券価格が下がるケース
また、中央銀行の利上げ(金融引き締め)局面など、政策金利(短期金利)が上昇し、その影響で長期金利が上がるケースもあります。
この場合、新発債(新たに発行される債券)の利回りが高くなることから、市場で主に流通する既発債(すでに発行されている債券)の利回りの魅力が相対的に薄れることになります。
結果として売り圧力が強まり、債券価格の下落に繋がります。
再び長期金利が下落した理由は?
急騰した長期金利がその後低下した背景として、1月下旬に日米両政府が為替市場で「レートチェック」に動いたとの観測が広がったことが挙げられます。
これにより円高が進行し、株式市場が下落したことで、国債の買い戻し(債券価格上昇=利回り低下)が進みました。
消費減税による財政懸念が後退
また、消費減税については当初、国内外の投資家から「時限措置ではなく恒久減税になるのではないか」という懸念が広がっており、これも長期金利上昇の大きな要因であったと考えられます。
しかしその後、高市首相は
- 消費減税は2年間限定
- 対象は飲食料品(軽減税率対象品目)に限定
- 国債を発行せずに財源を確保する
と説明しました。
この発言により市場の警戒感が後退し、長期金利は再び低下に転じています。
長期金利上昇による生活への影響は?
とはいえ、長期金利の上昇懸念は完全に払拭されたわけではありません。仮に長期金利が上昇した場合に、家計へどのような影響が及ぶのかを理解しておく必要があります。
住宅ローン負担の増加(固定金利)
影響を受けやすいのが、これから住宅を購入する人や借り換えを検討している人です。
- 固定金利型:長期金利(10年国債利回り)に連動するため、今後の適用金利が引き上げられる可能性があります。
- 変動金利型:すぐに影響は出ませんが、長期金利の上昇が続けば、将来的に政策金利引き上げ圧力が高まります。
預金金利の上昇
一方で、預金者にはプラスの面もあります。国債利回りの上昇に伴い、銀行の定期預金金利なども引き上げられる傾向にあります。
長年続いた「預けても増えない時代」からの転換が、より現実味を帯びてきたといえるでしょう。
今後、日本版トラスショック「サナエショック」は起こるか?
今回の混乱を通して市場がもっとも警戒しているのは、2022年に英国で起きた「トラスショック」の再来です。財源の裏付けのない大型減税が、国債・通貨・株価の同時下落を招きました。
現在の日本でも、積極財政と減税観測が重なる状況から、一部では「サナエショック(日本版トラスショック)」への警戒感が高まっています。
「財源」が今後の大きな焦点に
選挙戦を通じて、各党が財源についてどこまで具体的に説明できるかが最大の焦点です。もし無責任な財政拡張が続けば、外国人投資家による国債売りが加速する可能性があります。
日本の国債は海外保有比率が約12%と、英国(当時20~30%)ほど高くはありません。ただし、決して楽観視できる状況ではなく、財政運営への信認が今後の鍵となります。
まとめ
2026年初頭の金利急騰は、景気回復に伴う「良い金利上昇」ではなく、財政不安を背景とした「悪い金利上昇」の色合いが強い動きでした。
- 要因:選挙を意識した減税・財政出動への警戒感
- 影響:住宅ローン固定金利の上昇、株安、債券安
- 今後:選挙後の財政運営が市場の信認を得られるかが焦点
足元の生活においては、住宅ローンの選択や資産運用について、より慎重な判断が求められる局面に入ったといえるでしょう。今後の金利動向も引き続き注視していきましょう。
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監修
篠田 尚子
- アナリスト
慶応義塾大学法学部卒業。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。国内銀行にて個人向け資産運用相談業務を経験した後、2006年ロイター・ジャパン(現LSEG)入社。傘下の投信評価機関リッパーにて、投資信託業界の分析レポート執筆や評価分析業務に従事。2013年、楽天証券経済研究所に入所。2025年5月、株式会社モニクルに参画。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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