iDeCoとふるさと納税は併用できる?節税効果と上限の注意点を徹底解説
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「iDeCoもふるさと納税も「税金が戻る」と聞くけれど、同時に使うと損をするのでは」そんな不安を持つ人も多いのではないでしょうか。実際には、iDeCoとふるさと納税は併用可能です。ただし、iDeCoで所得控除を受けると課税所得が減るため、ふるさと納税の上限額が下がることがあります。
本記事では、2つの制度の違いと仕組み、上限の考え方、併用時の確定申告の注意点をわかりやすく整理しました。さらに、年収別シミュレーションと賢い併用のコツを、専門家の視点で解説します。
- iDeCoとふるさと納税の仕組みの違い
- 併用した場合の控除上限額への影響とシミュレーション
- 節税効果を最大化するための優先順位と確定申告の注意点
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iDeCoとふるさと納税は併用可能
iDeCoとふるさと納税は、どちらも税金の控除が受けられる制度ですが、同時に利用することができます。
iDeCoは「所得控除」によって課税所得を減らし、ふるさと納税は「税額控除」によって納める税金を直接減らす仕組みです。控除の種類が異なるため、重複せず両方のメリットを受けられるのが特徴です。
iDeCoとふるさと納税の仕組みと控除の違い
iDeCoは掛金が全額「所得控除」となり課税所得を減らす制度、ふるさと納税は寄附金が主に「税額控除」として算出された税金から直接差し引かれる制度です。
2つの制度は、税金を軽減するという目的は共通していますが、そのアプローチが根本的に異なります。iDeCoは将来の資産形成を目的としながら税負担を軽くする一方、ふるさと納税は地域貢献をしながら現在の税負担を軽減し、返礼品を受け取れる点が特徴です。 
この仕組みの違いを理解することが、両制度を賢く併用するための第一歩となります。
iDeCoで控除されるのは「掛金」→課税所得を減らす仕組み
iDeCo(個人型確定拠出年金)の最大の税制メリットは、毎月の掛金が全額「所得控除」の対象になる点です。具体的には「小規模企業共済等掛金控除」という区分に該当します。
所得控除とは、税金を計算する元となる「課税所得」から一定の金額を差し引くことができる仕組みです。課税所得が低くなることで、その金額に税率を掛けて算出される所得税と翌年の住民税の両方が軽減されます。
例えば、年収500万円の会社員がiDeCoに毎月2万円(年間24万円)を拠出した場合、課税所得が24万円減少します。所得税率が10%、住民税率が10%と仮定すると、年間で約4.8万円の税負担が軽くなる計算です。
ふるさと納税で控除されるのは「寄附金」→税額から直接控除
ふるさと納税は、応援したい自治体への寄附を通じて税金の控除を受けられる制度です。自己負担額の2000円を除いた寄附金額が、所得税と住民税から控除されます。
控除の仕組みはiDeCoとは異なり、主に2段階で構成されています。
- 所得税からの控除(所得控除):寄附金額から2000円を引いた額が所得控除の対象となり、確定申告後に還付という形で戻ってきます
- 住民税からの控除(税額控除):こちらが控除の大部分を占めます。算出された住民税額から、控除額が直接差し引かれる「税額控除」という仕組みです
iDeCoが税金を計算する「前」の所得を減らすのに対し、ふるさと納税は計算された税金を「後」から直接減らす、という違いを理解しておきましょう。
iDeCoを利用すると、ふるさと納税の上限額は減る?
iDeCoを利用すると課税所得が減少するため、その課税所得を基に計算されるふるさと納税の控除上限額は下がります。 
これは一見デメリットに思えるかもしれませんが、iDeCoによる節税効果が前提にあるため、トータルで見れば損をするわけではありません。
重要なのは、iDeCoの掛金額を考慮した上で、正確なふるさと納税の上限額を把握し、その範囲内で寄附を行うことです。 
具体的な影響額は年収や家族構成によって異なるため、シミュレーションで確認することが不可欠です。
iDeCoの掛金分だけ課税所得が減るため、上限額は下がる
ふるさと納税の控除上限額は、個人の所得税や住民税の額、つまり「課税所得」を基に算出されます。一方、iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となり、「課税所得」を直接減少させる効果があります。
この仕組みにより、iDeCoに加入して掛金を拠出すると、ふるさと納税の上限額を計算する際の基礎となる課税所得がその分だけ低くなります。結果として、算出されるふるさと納税の控除上限額も、iDeCoに加入していない場合と比較して下がることになります。
iDeCoとふるさと納税を併用する際はこの影響をあらかじめ理解し、正しい上限額を把握した上で寄附計画を立てることが大切です。
年収・家族構成別の併用シミュレーション
iDeCoの利用がふるさと納税の上限額にどの程度影響を与えるかは、年収や家族構成によって異なります。ここでは、具体的なモデルケースを用いて、その影響額をシミュレーションしてみましょう。
【例】年収600万円・会社員の場合(iDeCoなし/あり比較)
独身または共働きで扶養家族がいない会社員の方を例に見てみましょう。社会保険料控除などを考慮した上での、ふるさと納税の上限額の目安は以下のようになります。
iDeCoに加入し、会社員(企業年金なし)の上限額である年間27.6万円を拠出すると、ふるさと納税の上限額は約8000円減少します。
しかし、iDeCoによる節税額(所得税・住民税率20%と仮定)は約5.5万円に上るため、トータルでは併用した方が圧倒的にお得であることがわかります。
【例】年収800万円・共働きの場合
同様に、共働きで扶養家族がいない年収800万円の会社員のケースを見てみましょう。
このケースでは、iDeCoに加入することでふるさと納税の上限額が約9000円減少します。一方で、iDeCoによる節税額(所得税・住民税率30%と仮定)は約8.2万円となり、こちらも併用によるメリットが大きいことが確認できます。
年収が高くなるほど、iDeCoの節税効果はより大きくなる傾向があります。
節税効果を最大化するには?どちらを優先すべきか
iDeCoとふるさと納税のどちらを優先すべきかは、目的とライフプランによって異なります。
短期的に効果を感じたいならふるさと納税、長期的に資産形成と節税を両立させたいならiDeCoが有利です。
いずれも正しく活用すれば節税効果は高く、資金に余裕があれば両方をバランスよく利用するのが理想的です。
短期的な効果を得たいならふるさと納税が有利
早く「お得」を実感したい人には、ふるさと納税がおすすめです。寄附をすれば翌年の税金が軽減されるうえ、お米や日用品などの返礼品を受け取ることで、生活費の節約にもつながります。
iDeCoのように60歳まで引き出せない制約もなく、仕組みもシンプルです。
長期的な節税と老後資産形成ならiDeCoが有利
将来に備えながら節税したい人には、iDeCoが最も効果的です。iDeCoには、ふるさと納税にはない3つの税制優遇があります。
- 掛金の全額が所得控除(所得税・住民税が減る)
- 運用益が非課税(約20%の税金がかからない)
- 受取時も控除あり(退職金・年金として受け取る際に軽減)
60歳まで引き出せない制約はありますが、裏を返せば老後資金を確実に貯められる仕組みです。
長期的に見ると、節税効果と資産形成の両面で大きなメリットがあります。
iDeCoの活用を迷っているあなたへ
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確定申告・ワンストップ特例の注意点
iDeCoとふるさと納税を併用する場合は、確定申告の手続きに注意が必要です。特に会社員の場合は、普段年末調整だけで完結しているため、確定申告が必要になるケースが多くなります。
iDeCoに加入している場合
会社員がiDeCoの掛金を個人で払っている場合は、国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」をもとに、年末調整または確定申告で控除を申告します。
医療費控除など他の申告を行う場合や、年末調整で申告を忘れた場合は、確定申告で手続きを行う必要があります。
確定申告をすれば、払い過ぎた税金が還付されます。
確定申告をする必要がある人は、ふるさと納税のワンストップ特例は使えない
ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」は、確定申告をしない給与所得者が使える簡便な制度です。しかし、iDeCoや医療費控除などで確定申告が必要な人は利用できません。
そのため、iDeCoとふるさと納税を併用している人は、確定申告で両方の控除をまとめて申告します。
万が一、ワンストップ特例を申請していても、確定申告を行うとそちらが優先され、特例は無効になる点にも注意しましょう。
確定申告での記入箇所(所得控除欄・寄附金控除欄)
確定申告でiDeCoとふるさと納税の控除を申請する場合、確定申告書の所定の欄に正しく金額を記入する必要があります。
- iDeCoの控除(小規模企業共済等掛金控除)
- 第一表:「所得から差し引かれる金額」の「(16)小規模企業共済等掛金控除」欄に、年間の掛金総額を記入します。
- 第二表:「小規模企業共済等掛金控除」欄に、支払った掛金の総額を記入します。
- ふるさと納税の控除(寄附金控除)
- 第一表: 「所得から差し引かれる金額」の「㉗寄附金控除」欄に、計算した控除額(寄附金合計額 - 2000円)を記入します。
- 第二表:「寄附金控除に関する事項」欄に寄附先の名称と寄附金額を、「住民税に関する事項」欄の「都道府県、市区町村への寄附」に寄附金の総額を記入します。
e-Tax(電子申告)を利用すると、画面の案内に従って入力するだけで自動的に計算・転記されるため、手書きよりも簡単で間違いが少なくおすすめです。
共働き世帯は「誰が申告するか」で控除額が変わることも
共働き世帯でiDeCoとふるさと納税を併用する場合は、「誰の名義で利用するか」によって節税効果が大きく変わります。
iDeCoの所得控除は、所得税率が高い人ほど節税額が大きくなる仕組みです。そのため、一般的には収入が高い方がiDeCoに加入すると、世帯全体での節税メリットを高めやすくなります。
ふるさと納税の控除上限額も収入に比例して決まります。夫婦それぞれが自分の収入に合わせた上限額の範囲内で寄附を行うことで、控除枠を有効に活用できます。
どちらか一方に集中させず、夫婦それぞれの控除枠をバランスよく使うことが節税のポイントです。
共働き世帯でiDeCoとふるさと納税を活用する方法
共働き世帯は、夫婦それぞれが納税者であるため、節税効果を高めるチャンスが多いのが特徴です。収入や働き方に合わせて制度を分けて活用することで、片働き世帯よりも大きな恩恵を受けられます。
特に、
- iDeCoとふるさと納税の控除を夫婦で分散する
- 専業配偶者の場合の名義・手続きに注意する
といった点をおさえることが大切です。
夫婦で控除を分散すると節税効果が上がる
共働き世帯の強みは、夫婦それぞれがiDeCoとふるさと納税の控除を利用できることです。
例えば、夫が高額なiDeCo掛金を拠出すると、課税所得が減ってふるさと納税の上限額が下がることがあります。
この場合、妻もiDeCoに加入し掛金を分けることで、夫の上限額を維持しながら、世帯全体で節税効果を高めることが可能です。
夫婦で掛金や寄附額を分散することで、それぞれの控除枠を最大限に活用できるため、より効率的な節税が実現します。
まとめ
iDeCoとふるさと納税は、賢く活用することで家計にメリットがある国の制度です。
- 併用は可能で、トータルでお得: iDeCoとふるさと納税は仕組みが異なるため、併用することで両方の税制優遇を受けられます
- ふるさと納税の上限額は下がる:iDeCoの掛金は課税所得を減らすため、ふるさと納税の上限額は下がります。必ずシミュレーターで確認しましょう
- 目的で優先順位を決める:短期的なメリットならふるさと納税、長期的な資産形成ならiDeCoが有利です。ご自身のライフプランに合わせてバランスを考えることが重要です
- 年末調整とワンストップ制度の併用:年末調整とワンストップ制度を併用すれば、確定申告は不要です
これらのポイントを押さえ、ご自身の年収や家族構成に合った最適な組み合わせを見つけることが、節税効果を最大化する鍵となります。
まずはシミュレーションから始めて、賢い資産形成への第一歩を踏み出しましょう。
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※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください
- 監修
- 内山 智絵
- 公認会計士/税理士/AFP
 - 大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人の地方事務所にて約10年間勤務し、上場企業を中心とした法定監査などの業務に携わる。出産・育児を機に監査法人を退職した後、2021年春に個人会計事務所を開業。地域の中小企業や個人事業主の身近な相談役として、法人・個人問わず税務・会計サポートを提供している。2025年夏に株式会社SheBlissを設立。自身の経験や女性起業特有の課題を踏まえ、女性が「やりたい」を形にして続けていけるように、専門性の高いサポートとコミュニティを提供している。 
- 執筆
- マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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