50代から始める・見直す資産運用!3つのポートフォリオ例と基本戦略をプロが徹底解説
「50代の資産運用のポートフォリオはどう組めば良い?」「50代の資産運用はどう考えれば良い?」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
50代は定年までの期間である程度まとまったお金を有効活用できます。そのため、手元にあるお金を長持ちさせることを目的に資産運用を行うのがおすすめです。
一方、50代は20代〜40代と比べて働きながら運用できる期間が限られているため、リスクに備えながら分散投資を行うことが大切です。
本記事では「50代の資産運用における適切なポートフォリオを知りたい」と考えている人に向けて、50代の資産運用の基本戦略、ポートフォリオ例についてプロが詳しく解説します。
- 50代の資産運用のポイントは「暴落リスクの対策」「積立投資と一括投資の組み合わせ」「長期運用を続けるための備え」
- 50代でポートフォリオを組む際は「資産運用の目的・目標額」「リスク許容度」などをきちんと決める
- 50代はリスク許容度が変化しやすい年代のため、リスク管理を意識したポートフォリオの見直しが大切
50代で考えたい資産運用の基本戦略
50代は働ける期間が限られるため、資産を守りながら運用することが重要です。
そのため、以下のポイントを意識して資産運用を行いましょう。
暴落リスクに備えることを心がける
50代は定年までの時間が約10年と限られているため、資産運用では慎重なリスク管理が求められます。
特に、株式などの値動きが大きいリスク資産に偏った運用は危険です。2000年代以降、約10年に一度の頻度で世界の株式市場は大幅な暴落を経験しており、リスク資産に集中すると資産が大きく目減りする可能性があります。
そのため、株式だけでなく、債券や貯蓄型保険などの低リスク資産を組み入れ、分散投資を行うことが重要です。リスクを抑えながら安定した資産形成を目指しましょう。
積立投資と一括投資を組み合わせる
投資には「積立投資」と「一括投資」の2つの方法があります。それぞれの特徴を理解し、バランスよく活用しましょう。
積立投資とは毎月一定額(例:毎月20日に2万円)を購入する方法で、ドル・コスト平均法と呼ばれます。価格が高い時は少なく、低い時は多く購入できるため、平均購入価格が平準化され一括投資よりも値動きが小さくなり、リスクを抑えやすい特徴があります。
一方で一括投資とは一度にまとまった資金を投資する方法で、価格が安い時に投資できれば大きなリターンが得られるメリットがありますが、価格が高い時に投資すると損失リスクが高まる点に注意が必要です。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、資産状況に応じた投資方法を選びましょう。
一括投資では低リスク商品を選択する
一括投資は値動きが大きくなる傾向があるため、リスクを抑えた運用が大切です。
特に、株式のような価格変動の大きい商品ではなく、債券など比較的リスクの低い商品を選ぶことで、安定した運用が可能になります。
一括投資ではまとまった資金を投入するため、低リスク商品でも十分な運用効果を期待できる点がメリットです。
長期運用ができるように万一に備える
資産運用は長期で続けることでリスクが軽減され、安定したリターンを期待できます。そのため、運用を継続できる環境を整えておくことが大切です。
例えば、病気や怪我などの万一の事態によって貯蓄を取り崩したり、投資を中断せざるを得ないリスクがあります。
こうした状況を防ぐために、万一に備えた資金や保険を準備し、運用資産を崩さずに対応できる体制を整えておくことが重要です。
50代におすすめの資産運用
50代におすすめの資産運用について積立投資と一括投資、それぞれ詳しく解説します。
積立投資
積立投資ではドル・コスト平均法が使えるため、株式などリターンが期待できるものを検討すると良いでしょう。
長期・積立投資を推奨する国の制度を上手く活用することをおすすめします。
NISA
NISAを活用すると、通常投資で得た利益や配当にかかる約20%の税金が非課税になります。
2024年から始まった新NISA(新しいNISA)では、非課税保有期間が無期限となり、年間の投資可能上限額は最大360万円、生涯投資可能上限額は1800万円まで拡大されました。
NISAの主な投資対象は投資信託であり、積立投資を検討する場合はNISAの活用をおすすめします。
NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、つみたて投資枠の商品は金融庁が長期・積立・分散投資に適したものとして選定しています。
特に投資初心者の場合は、つみたて投資枠で積立投資から始めるのが良いでしょう。
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一括投資
一括投資は、値動きのリスクが高いため低リスク商品で運用を検討しましょう。低リスク商品の代表的な金融商品として債券と貯蓄型の保険があります。
それぞれの特徴を確認しましょう。
債券
債券とは、国や企業などが投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券のことです。
投資家は債券を購入することで、発行体(国・地方自治体・企業)にお金を貸し、その対価として定期的に利子を受け取ります。
満期を迎えると額面金額が返還されるため、比較的安定した収益が期待できる低リスク商品とされています。
ただし、発行体が倒産すると元本や利子が減少、または受け取れなくなるリスクがあるため、購入前に発行体の信用力を確認することが大切です。
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貯蓄型の保険
貯蓄機能と保障機能を兼ね備えた保険のこと
解約時や満期時に、払込金額に応じてまとまった資金を受け取ることができるため、老後資金などの長期的な資産形成に活用できます。
また、解約返戻金や満期金の金額は契約時にある程度把握できるため、資産計画が立てやすく、低リスク商品に分類されます。
ただし、加入から10年以内の短期間で解約すると、払込金額を下回ることがほとんどである点に注意が必要です。
ポートフォリオの組み方・見直し方のポイント
ポートフォリオとは分散投資を目的とした金融商品の組み合わせのことです。ポートフォリオを組むことで効果的な分散投資を行うことができ、リスクを抑えた運用が期待できます。
ポートフォリオを組む時、見直す時は以下の①~⑤のポイントをおさえましょう。
①資産運用の目的と目標額
資産運用を成功させるためには、目的と目標額を明確にすることが大切です。目的と目標金額が決まることでどの金融商品をどれくらい保有すべきかが明確になり、運用状況に応じて資産配分を見直す際の基準にもなります。
ポートフォリオを組む際や運用途中の調整においても、目的と目標額がしっかり定まっていることで、適切な判断がしやすくなるため、資産運用を始める前にしっかり決めておきましょう。
②リスク許容度
リスク許容度は、ライフステージや年齢によって変化します。
特に50代は定年が近づき、老後資金の確保が重要になる時期のため、リスクの高い資産に偏らないよう配慮することが必要です。
また、資産バランスを考えて運用を始めたとしても、市場の変動によって資産配分が変わることがあるため、定期的に見直しを行うことが大切です。
③投資期間
投資できる期間によって、適切なポートフォリオの組み方は異なります。
投資期間は、資産運用の目的を決めることで把握でき、期間が短い場合はリスク許容度も低くなります。
また、ライフステージや目標達成度、市場環境の変化に合わせて、高リスク資産から低リスク資産へと見直しを行うことも重要です。
④分散投資
50代の資産運用は老後が近づいているため、できるだけリスクを減らし安定的な運用を心がけることがポイントです。
分散投資によって複数の資産に分散して投資をすることによって、リスクを分散する効果があります。
株式だけではなく、債券や貯蓄型保険などの低リスク商品を組み合わせることで、安定的な運用が望めるため複数の資産の組み合わせを検討しましょう。
⑤健康リスク
50代は、がん、心疾患、脳血管疾患といった三大疾病をはじめ、生活習慣病が身近に感じる年代です。
例えば、がんは治る病気といわれるようになりましたが、国立がん研究センターの「患者体験調査報告書令和5年度調査(速報版)」によると、診断時に収入のある仕事をしていた人の中で、がん治療のために休職・休業した人は53.4%、退職・廃業した人は19.4%にのぼるデータがあります。
また、厚生労働省の資料によると、三大疾病の平均入院期間(総数)はがんで14.4日、心疾患(高血圧症を除く)は18.3日、脳血管疾患は68.9日となっており、脳血管疾患は2ヶ月超入院していることがわかります。
このように、病気によって経済的負担が増えることが懸念されます。貯蓄だけでは不安な人は、がん保険や医療保険、就業不能保険なども検討しましょう。
貯蓄型の保険の中でも、三大疾病になったら以後の保険料は免除といったものや保険金が入るものがあるため、機能性が高い貯蓄型の保険も関心がある人は確認しましょう。
(参考:患者体験調査報告書令和5年度調査(速報版)|国立がん研究センター)
(参考:退院患者の平均在院日数等|厚生労働省)
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50代向けのポートフォリオ例【ケース別】
50代向けのポートフォリオについて、ケース別に詳しく見ていきましょう。
まとまったお金を有効活用したい共働き夫婦の場合
- 教育資金を除いた預金を低リスク商品で運用したいとのご意向と、積立投資が芳しくない時のリスクヘッジもふまえて債券と貯蓄型保険をご提案
- 月10万円の積立投資は継続→運用期間を15年とし、5%で計算すると約2600万円
預金1000万円を70代で使用する資金の準備として、外貨建ての貯蓄型保険(米ドル)に、20年後約2100万円(購入時の為替156円として、6万4000ドルが20年後13万6710ドルに)(※)
上記の内容で将来の資産は約6100万円の想定
※為替変動、税金等は考慮せず
老後資金をしっかり準備したいシングルマザーの場合
- 養老保険は60歳時点で400万円の見込み
- 企業DC(起用型確定拠出年金)では現在約550万円、今後想定年利4%で約440万円、将来約1000万円を想定
- 個人年金保険(米ドル)は金利で運用成果が出る変額タイプを選択。金利の最低保証があり、安心して積立ができる資産を持ちたいとのご意向があったため、75歳時点で約1400万円(※)、75歳から10年間年金で受け取ることが可能
- ハイリターンが狙える資産に投資をしつつ、病気になった際は保険金として受け取れる仕組みを作るため三大疾病給付変額保険を選択。全世界株式で想定年利6%で運用、70歳時点で約500万円の見込み
上記の内容で60歳~75歳時点の資産は約3300万円の想定
※為替変動、税金等は考慮せず
※契約時と同じ基準積立利率が続いた場合
病気のリスクに備えつつ老後資金を準備したい独身男性の場合
- 八大疾病になっても積立投資が継続できるように、変額保険(八大疾病払込免除付)をご提案→毎月3万円を積立投資、想定利回り6%で運用した場合、70歳時点で約700万円の見込み
- まとまったお金を低リスク資産に投資をしたいとのご意向と運用効率を考えて外貨建ての貯蓄型保険(米ドル)をご提案→外貨建ての貯蓄型保険(米ドル)に300万円、70歳時点で約600万円の見込み(※)
上記の内容で70歳時点で合計約1300万円の見込み
※為替変動、税金等は考慮せず
50代のポートフォリオの見直し事例
50代はリスク許容度が変化する年代です。
現在の運用状況を考慮しながら、リスク管理を意識したポートフォリオの見直しを行うことが大切です。
市場環境やライフステージの変化に応じて、適切な資産配分へ調整できるよう、具体的なポートフォリオの見直し事例を参考にしながら、自身の運用を振り返りましょう。
例:リスクを抑える場合
目標の達成度合いが良好な場合やライフステージが上がることでリスクを抑えたい人は、株式の比率を下げて、債券などの安定的な資産の比率を高めましょう。
また、債券は日米で比較すると米国債券の利回りが高い傾向が続いているため、為替リスクはありますが投資期間が長く確保できるのであれば、外国債券の比率を高めても良いでしょう。
例:積極的な運用に変更する場合
目標の達成度合いが遅れている場合やリスク許容度が高くなった場合で、積極的な運用に変更したい場合は、債券などの安定的な資産の比率を低くし、株式の資産を高めると良いでしょう。
50代の資産運用に悩んだ時はマネイロに相談
50代で資産運用に悩んだら、マネイロに相談するのがおすすめです。
マネイロはお金の診断・相談サービスを提供しており、金融機関から独立しているIFA(ファイナンシャルアドバイザー)がお客様の投資のお悩みに対して、中立的な立場でアドバイスを行っています。
また、投資金額に関係なく初回の相談から専任の担当者がつくため、初心者から投資経験者まで幅広い方におすすめです。
マネイロの担当者は、投資と保険の両方の資格を持ち、高度なトレーニングを受けているため、初心者にはわかりやすく、経験者には専門的なアドバイスを提供できます。
さらに、相談は何回でも無料で受けられ、ほとんどがオンライン対応のため、忙しい50代の方でも気軽に相談できる環境が整っています。
まとめ
50代は老後が間近に迫り、具体的な不安を感じ始めるライフステージです。60代以降は、現役時代のような安定した収入を得るのが難しくなる一方で、老後の生活は長期化しています。
そのため、老後資金を自助努力で準備することが重要になります。
適切な資産運用のためには、リスク分散を考慮し、自分に合った金融商品をバランスよく組み入れたポートフォリオを構築することが大切です。長期的な視点を持ち、計画的に資産運用を行いましょう。
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執筆・監修
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。