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【社労士監修】児童手当とは?いつからいくらもらえる?条件・手続きをわかりやすく解説

【社労士監修】児童手当とは?いつからいくらもらえる?条件・手続きをわかりやすく解説

著者: 太田 彩子監修: 山口 雄大 (社会保険労務士)2022/02/22 (最終更新:2022/04/07)
  • #制度

児童手当とは中学生までの児童を養っている人に支給される手当のことです。条件を満たし、市区町村に申請をすれば受給が可能です。

児童手当の申請を検討している人に向けて、制度の概要や要件、申請方法、知っておくべき注意点などをわかりやすく解説していきます。

児童手当とは

<出典:児童手当制度の概要: 子ども・子育て本部 - 内閣府 

児童手当とは子どもを養育する父母等に手当が支給される施策で、「家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資すること」を目的として支給されます。

児童手当法に基づき昭和47年に創設されて以降、所得制限の有無や金額などが何度も改定されてきました。

(参考:児童手当制度の概要|厚生労働省
(参考:児童手当: 子ども・子育て本部 - 内閣府

児童手当の使い道

児童手当は現金給付なので、使い道に決まりはありません。

児童手当等の使途に関する意識調査」(平成30~31 年)と「平成24年児童手当の使途等に係る調査」を比べてみると、

・子どもの将来のための貯蓄・保険料:57.9%(平成 30~31 年)/21.8%(平成24年)
・子どもの教育費等:27.5%/44.2%
・子どもの生活費:22.0%/33.8%
・子どものためとは限定しない貯蓄・保険料:8.6%/4.0%
・子どものおこづかいや遊興費:6.7%/10.6%
・大人のおこづかいや遊興費:1.1%/1.8%
・その他:0.3%/2.2%
・使い道をまだ決めていない、わからない10.7%/8.3%

となりました。

「子どもの教育費等」が減り「将来のための貯蓄・保険料」が半数以上になったのは大きな変化ですね。

児童手当と子ども手当との違い

子ども手当」という名称で覚えている人もいると思いますが、こちらは児童手当になる前の制度です。

子どもを育てる人に支給するという概要は同じで、支給対象となる児童の年齢や支給額が変更になりました。

また、子ども手当の時は今と違い、所得制限が特にありませんでした。

児童手当の受給対象者と支給対象となる児童

項目

対象

対象

受給対象者

対象

対象となる児童と同居し、養育する人

支給対象となる児童

対象

原則として、国内に住む、中学3年生までの児童

児童手当を受給するには、いくつかの条件があります。
港区を参考に各条件を見ていきましょう。

※各市区町村によって条件が異なる場合があるため、制度を利用する際はお住まいの市区町村に確認しましょう。

(参考:児童手当制度のご案内: 子ども・子育て本部 - 内閣府
(参考:港区ホームページ/児童手当

受給対象者

児童手当を受給できるのは、対象となる児童と同居し、養育する人です。

父母共に同居して監護・養育している場合、主たる生計維持者が対象となるので、夫婦のうち所得の高い方と覚えておきましょう。

支給対象となる児童

原則として、国内に住む、中学3年生までの児童が対象です。
15歳の誕生日ではなく、15歳に達する日以後の最初の3月31日まで受給できます。

受給・支給対象に関する注意点

児童手当の受給条件には、例外や注意点もあります。
港区やかすみがうら市を参考に各条件を見ていきましょう。

※各市区町村によって条件が異なる場合があるため、制度を利用する際はお住まいの市区町村に確認しましょう。

(参考:児童手当制度のご案内: 子ども・子育て本部 - 内閣府
(参考:港区ホームページ/児童手当
(参考:児童手当に関するよくある質問 かすみがうら市公式ホームページ

■公務員の場合

公務員(警察共済組合・国家公務員共済組合・地方公務員共済組合等に加入している人)の場合は、市区町村からの振込ではなく給与に上乗せという形で振り込まれます。

つまり、申請先は勤務先ということになります。

もし、受給途中で公務員になったり退職した場合は、市区町村と勤務先へ手続きが必要となるので注意しましょう。

■児童福祉施設等に子どもが入所、里親に委託している場合

子どもが児童福祉施設等に入所している場合、主たる養育者は施設の設置者等になります。

また、里親に委託しているなら里親が養育者になります。

この場合、施設の設置者等や里親が申請することで、児童手当を受給できます。


■子どもが海外に居住している場合

児童手当は日本国内に居住している場合に支給されるため、海外に居住している場合は原則対象外です。

ただし、留学のため一時的に海外に住んでいる場合は、一定の要件を満たせば対象になることもあります。



■父母が海外に住んでいる場合

支給対象は日本国内に住んでいる人なので、海外に居住している父母には支給されません。

この場合、日本国内で児童を養育している人(祖父母等)を指定することで、指定された人が受給することができます。



■外国籍の場合

請求者が外国籍の場合でも、次の要件を満たせば支給対象となります。

・対象市区町村の住民基本台帳に登録されている
・対象となる子どもの住所が日本にある

(参考:児童手当に関するよくある質問 かすみがうら市公式ホームページ



■離婚協議中の場合

離婚協議中のため両親が別居している場合は、生計維持者に関わらず「児童と同居している方」が優先されます。
実際に離婚が成立して養育者が変更になる場合は、申請が必要です。


■未成年後見人が児童を養育している場合

児童を養育する未成年後見人がいて同居している場合、父母ではなく、その未成年後見人が児童手当の受給対象になります。受給要件は父母等と同様です。

児童手当の支給額と支給時期

それでは児童手当の金額や支給される時期などを見ていきましょう。

支給額

児童の年齢

児童手当の額(一人あたり月額)

児童手当の額(一人あたり月額)

3歳未満

児童手当の額(一人あたり月額)

一律15000円

3歳以上 小学校修了前

児童手当の額(一人あたり月額)

10000円 (第3子以降は15000円)

中学生

児童手当の額(一人あたり月額)

一律10000円

3歳未満は一律1万5000円ですが、その後は子どもの数で変わります。

第3子※以降の子どもがいる場合、金額は1万円から1万5000円へとアップします。その後中学生になると、一律1万円となります。

※高校卒業まで(18歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の養育している児童のうち、3番目


Q.全部でいくらもらえるの?

例えば、3月生まれの場合、子どもの誕生から中学卒業までの児童手当総額は、1人あたり198万円※になります。

※子どもの誕生月によって、3歳〜小学校修了前までの月数が異なりますので、その分総額にも差が生じます。

(内訳)
・0~3歳未満:1万5000円×36ヶ月(3年)=54万円
・3歳~小学校修了前:1万円×108ヶ月(9年)=108万円
・中学校入学~中学校卒業:1万円×36ヶ月(3年)=36万円

第3子以降の場合、同様に計算すると252万円になります。

(内訳)
・0~3歳未満:1万5000円×36ヶ月(3年)=54万円
・3歳~小学校修了前:1万5000円×108ヶ月(9年)=162万円
・中学校入学~中学校卒業:1万円×36ヶ月(3年)=36万円

もし全額貯金できれば、養育費の足しにできますね。


Q.所得制限限度額と特例給付金ってどんな内容?

所得制限限度額

Q2.児童手当には所得制限が設けられているとのことですが、具体的な基準はどのような内容ですか? を加工して作成>

児童手当を受給するには、一定の所得制限があります。
上記の図のとおり、扶養親族等の数によって目安となる年収が変わります。

例えば、配偶者と子ども2人を扶養する場合、年収960万円を超えると所得制限に引っ掛かるということです。

もし限度額を超える所得がある場合は、特例給付として子ども1人につき月額5000円が支給されます。

ただし、令和4年6月に施行される法改正により、令和4年10月支給分から、所得の額が一定の額以上(扶養親族等が3人以上の場合は年収1,200万円等となる基準額を規定予定)の者への特例給付は廃止されることになります。

詳しくはお住まいの市区町村(公務員の場合は勤務先)にご確認ください。

(参考:児童手当Q&A: 子ども・子育て本部 - 内閣府

支給時期

児童手当は、原則として毎年6月・10月・2月に前月分までをまとめて支給されます。

例えば10月の支給日には、6月~9月の4ヶ月分が振り込まれるということです。

子育て家族のためのマネー相談会をチェック

児童手当の申請方法

申請の流れは下記になります。

①必要書類を準備
②出生や転入から15日以内に認定請求書と必要書類を提出

では具体的な申請方法を確認していきましょう。

①必要書類を準備

まずは必要となる書類を準備しましょう。

・認定請求書(窓口で交付)
・本人確認書類
・会社員は健康保険被保険者証の写しなど
・口座番号のわかるもの
・1月1日時点で今の住所地に住民票がない場合、前年中の児童手当用所得証明書

このほか、市区町村や申請者によっては追加で必要になる書類もあります。

例えば港区の場合、個人番号確認書類として個人番号カード、通知カード、個人番号が記載された住民票の写しのいずれかの書類が必要です。

申請者と児童が別居している場合、監護事実の同意書が必要になるケースもあります。

申請の前に市区町村のホームページを確認するか、問い合わせしておくと良いでしょう。

(参考:児童手当制度のご案内: 子ども・子育て本部 - 内閣府
(参考:港区ホームページ/児童手当

②出生や転入から15日以内に認定請求書と必要書類を提出

児童手当は、出生日や転入日(異動日)の翌日から15日以内に申請を行う必要があります。

里帰り出産など離れた土地で出産する場合も、申請期限に変更はありませんので、期限内に現住所の市区町村へ申請することを忘れないようにしましょう。

申請後に市区町村の認定を受ければ、原則として申請した月の翌月分から手当が支給されます。

ただし、異動日が月末に近い場合、申請日が翌月になっても異動日の翌日から15日以内であれば、申請月分から支給される「15日特例」というルールがあります。

いずれの場合も、もし手続きが15日を過ぎてしまうとその月分の手当が受けられません。

日にちを遡って申請することもできないため、出生届や転入届と同時に手続きを済ませるようにしましょう。

■公務員の場合

公務員の場合は、市区町村ではなく勤務先から給与に上乗せして支給されます。

・公務員になった時
・退職等により、公務員でなくなった時
・勤務先の官署が変更になった時

上記の場合には、その翌日から15日以内に勤務先へ申請します。

保険証が間に合わない場合は、加入年金証明書等で代用できることが多いです。

勤務先や市区町村に必ず確認しましょう。

児童手当を引き続き受給するための現況届は原則提出不要に

児童手当を申請するときは、支給対象となる条件や所得制限があることがわかりました。その後も継続して受給するためには、毎年現況届を提出しなければなりませんでした。

もし現況届の提出がない場合は、児童手当が支給されず、遡って請求することもできません。

しかし、令和4年6月から現況届の届出義務は原則廃止になります。

受給者の負担軽減と、提出忘れにより不支給のリスクがなくなることは嬉しいことですね。

なお、全員が必ず省略できるものではありませんので、注意が必要です。

住民基本台帳上の住所地以外で受給しているDV避難者や無戸籍児童、施設等受給者等の受給者については、従来通り現況届の提出が必要になります。

さらに、各自治体の判断により、継続して現況届の提出を求めることも可能とする予定となっています。

現況届が必要かどうかは事前に市区町村に確認しましょう。

(参考:Q5.児童手当が認定された後は、どのような手続きが必要になりますか?
(参考:児童手当・特例給付 現況届について | 枚方市ホームページ

子育て家族のためのマネー相談会をチェック

別途手続きが必要なケース

そのほか、下記のように別途手続きが必要になるケースもあります。

・受給者や支給対象になる児童の名前が変わった時
・市区町村内で転居した時
・受給者を残して、支給対象になる児童が転出した時
・振込先の口座を変更したい時
・受給者が公務員になった時
・受給者が単身赴任する時(転入先の市区町村で申請しなおす)
・両親が離婚する時
など

役所で変更手続きするものでも、自動的に児童手当の手続きまで終わるわけではありません。

必ず児童手当の手続きを同時に済ませるよう覚えておきましょう。

(参考:児童手当のご案内(中学卒業までのお子さんを養育されている方のための制度です) | 安堵町役場

まとめ

児童手当の支給条件や手続き内容について見ていきました。

手当がもらえるありがたい制度ですが、手続きが必要になる点には注意しましょう。

申請が遅れてしまうと、遡って支給されないため、支給対象になる時や登録内容を変更する時などは、早めに準備を行い、必ず申請期限までに提出するようにしましょう。

児童手当以外にも、国や自治体の助成制度はたくさんあります。

申請をしないともらえない手当が多くあるため、しっかりアンテナを張って情報収集しましょう。


(監修協力/unite株式会社


※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます。
※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください。

監修
山口 雄大
  • 山口 雄大
  • 社会保険労務士

1989年生まれ、東京都出身。2012年明治大学法学部卒業。2018年社会保険労務士試験合格後、2019年汐留社会保険労務士法人 に入所。各種労働社会保険法令に基づく手続きや給与計算に加え、労働問題の対応やコンサルティングを行う。数多くの労務管理経験をもとに、働き方改革に対応した労務管理やITツール活用にも積極的に取り組んでいる。

著者
太田 彩子
  • 太田 彩子
  • 記者/編集者

京都教育大学卒業。地方自治体にて公務員として「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事。その後、保険代理店にて金融商品の紹介ページ作成に参加。キャリアを生かし、社会保障制度や公的保険、民間保険でバランスよく備える方法を発信。自身も「遠距離結婚」「ハイリスク出産」「小1の壁」で退職した経験から、現在はキャリアとマネープランの両立を目指す女性に向け、LIMO編集部 で金融の情報を広く発信する。

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