学資保険とは?メリット・デメリットや必要かどうかの判断ポイントをわかりやすく解説
学資保険とは子どもの教育資金を計画的に準備できる保険ですが、本当に教育資金準備としてベストな方法なのか、と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
本記事では学資保険とはどんな保険なのか、その仕組みとメリット・デメリット、学資保険が必要かどうかの判断ポイントについて、専門家がわかりやすく解説します。
学資保険とは
※幼稚園~高校までの学習費総額は1年間の学習費総額(平成30年度子供の学習費調査|表1学校種別の学習費総額|文部科学省)に各年数をかけて算出
学資保険は、進学に必要な資金を貯めることができる保険です。
保険契約に沿って、決められた保険料を毎月、毎年、あるいは一括などで支払うことにより、多くの場合、子どもが進学する時期に満期保険金や祝い金を受け取ることができます。
文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」によると、幼稚園〜高校まで公立校に進学した場合にかかる15年間の学習費総額は544万円※、私立校の場合は1830万円※となっています。
大学の学費は学部により約500万円〜1000万円超、受験のための塾代などを含めるとさらに上乗せの資金が必要となります。
このように、高額な教育資金を一度に準備するのは難しいため、保険商品を活用して教育資金を準備することができるのが学資保険の役割です。
※平成30年度における幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間の学習費総額
(関連記事:教育資金いくら貯めるべき?実は貯蓄・投資で賢く増やせる!具体的な方法をプロが指南)
学資保険は「貯蓄型」と「保障型」がある
学資保険には貯蓄型と保障型の2種類があります。
貯蓄型の学資保険は、学資を貯めることに重点を置いた保険商品です。
一般的に、既払込保険料よりも将来受け取る祝い金や満期金の方が多くなるため、教育資金を少しでも増やしたい人に向いている商品です。
一方、保障型の学資保険は、商品にもよりますが医療特約などが付加できる保険です。特約部分の保険料は掛け捨ての場合が多く、受取額よりも既払込保険料の方が高くなるのが一般的です。
貯蓄型と保障型の違いは保障を付加するかどうかという点です。
保障型を検討する場合、既に加入している他の保障と重なる可能性もあるので、保障の見直しをすることも必要です。
加入条件
保険会社が販売する学資保険は教育資金を貯めるための保険です。
保険商品の加入にはいくつかの条件があることを確認しておきましょう。
保険商品は商品ごとに加入できる年齢が決められているほか、保険会社の定めた告知事項について契約時に健康状態を告知する義務があります。
特に学資保険は親が契約者、子が被保険者になるため、両方の加入可能年齢が定められています。
子ども、親ともに年齢が若く、かつ健康であるほうが希望に沿った学資保険に加入できる可能性が高くなります。
学資保険の加入を検討している人は、この点を覚えておくと良いでしょう。
Q.親や子どもに持病や病気があっても加入はできる?
一般的に、学資保険の加入時は子(被保険者)と親(契約者)の健康状態の告知が必要になります。告知内容によっては、学資保険に加入できない場合もあります。
特に、子どもに関しては、出生時の身長・体重・在胎週数などを告知する場合もあるため、これらが引受可否に影響する可能性もあります。
商品によっては告知が簡易であったり、不要な場合もあります。告知に不安がある場合などは、保険会社や保険代理店、IFAなどに相談するのも一案です。
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Q.親や子どもが海外にいる場合でも加入はできる?
ほとんどの場合、海外在住者が学資保険に加入するのは難しいでしょう。
親や子どもが海外にいる場合でも、保険加入が絶対に不可能というわけではありませんが、基本的に貯蓄性のある保険商品ほど、海外在住者の加入は難しくなる側面があります。
保険会社により規定は異なりますが、取扱が可能な保険会社であっても、以下のような条件を設けています。
・契約時に日本で健康診査を行う
・契約の際に親と子ども両方との面談を行う
・日本に住民票がある
・保険料の継続的な引き落としが可能な銀行口座がある
・保険証券の受け取りまで日本にいる
など
海外に永住予定の場合は日本の学資保険に加入するのは厳しいと考えた方が良いでしょう。
Q.加入はいつからいつまでできる?いつから入るのがベスト?
学資保険は、一般的に「こどもが0歳~6歳(小学校入学前)まで」であれば加入することができます。
一部では7歳以降も契約できる学資保険もありますが、6歳までに加入する一般的な学資保険に比べると選択肢が少なくなってしまいます。
また、例えば300万円の満期金を15年の支払期間で契約するのと、10年の支払期間で契約するのとでは後者の方が月の保険料は高額になってしまいます。
加入時の子どもの年齢が小さいほど好条件の契約内容になりますから、学資保険はなるべく早く加入すると良いでしょう。
ちなみに、保険会社によっては出生前加入ができる学資保険もあります。
出生前加入は妊娠6ヶ月目から加入できる方法で、出産後に慣れない育児に追われる前に、学資保険の加入を済ませておきたい人におすすめです。
Q.保険料の平均はどのくらい?
ソニー生命の公表する「子どもの養育資金に関する調査2021」によると、子どもの進学費用への備えとして1ヶ月あたり平均1万4189円が支出されているようです。
過去の調査では2019年が平均1万7474円、2020年が平均1万5776円となっており、進学費用に充てる予算が2年連続で減少していることがわかります。
親の懐事情が厳しい中でも、子ども手当で受け取れる金額は自動的に貯めておきたいという家庭も多く、学資保険の保険料は1万円〜1.5万円程度が相場となっているようです。
こども保険との違い
被保険者を子にした、学資目的の保険は概ね「こども保険」か「学資保険」に分類されます。
こども保険も学資保険も、教育資金を積み立てるという点についてはほとんど違いはなく、現在は学資保険という名前で販売されているのが主流となっています。
こども保険という名称で販売される商品は、教育資金の準備に加え、契約者の死亡時に養育年金が受け取れる商品です。
養育年金とは、契約者(親)に万が一のことがあれば、子どもが一定年齢になるまで、年金形式の給付金を毎年受け取れる年金のことです。
学資保険のメリット
学資保険には下記のようなメリットがあります。
・契約者に万が一のことがあれば保険料の支払いが免除される
・生命保険料控除を受けることができる
計画的かつ自動的に教育資金の準備ができる
学資保険に加入すると保険料を支払うことにより、大学までに必要な教育資金を計画的に準備することができます。
保険料を月払いの口座振替で支払えば、自動的に教育資金を貯めることも可能です。
教育資金には幼稚園から大学までにかかる授業料のほかに、習い事や学習塾費なども含まれます。
将来必要になるお金を計画的に、かつ自動的に貯めることができるのはメリットといえるでしょう。
契約者に万が一のことがあれば支払いが免除される
学資保険に加入するメリットのひとつは、契約者に万が一のことがあった場合、以降の保険料の支払いが免除されることです。
保険料の支払いが不要になっても、契約時に定めた時期に予定どおり満期金や祝い金を受け取ることができるのは、大きなメリットといえるでしょう。
親に万が一のことがあっても子どもの希望する進路を諦めさせたくない人は、学資保険の利用を検討してみても良いかもしれません。
生命保険料控除を受けることができる
生命保険料控除には「一般」「医療・介護」「個人年金」の3つの枠があり、学資保険は一般生命保険料控除の対象となっています。
終身保険など他の保険契約と同様に、年末調整や確定申告をすることにより控除枠を使えるので、忘れないように手続きをしておきましょう。
子どものためのお金を貯めながら節税もできるのは、保険ならではのメリットだといえるでしょう。
学資保険のデメリット
次に、学資保険のデメリットを見てみましょう。
・途中で解約すると元本割れの可能性がある
・インフレに弱い
返戻率が低いため、効率的にお金が増やせない
生命保険の運用利回りは、ひと昔前と比べて大変低くなっています。現在の低金利下では、支払った保険料の総額に対して大きなリターンを得ることは難しいといえるでしょう。
一般的な貯蓄型の学資保険であれば、概ね既払込保険料を上回って受け取ることができますが、大きく増えることは期待できません。
各保険商品によって返戻率は異なるので、加入を検討している保険があれば調べてみるのも良いでしょう。
途中で解約すると元本割れの可能性がある
どうしてもお金が必要な場合には、学資保険を解約して解約返戻金を受け取ることができます。
ただし、保険料払い込み期間中に解約して得られる解約返戻金は、多くの場合において、それまでに払い込んだ保険料を下回ります。
学資保険は大切な教育資金を準備する保険です。
契約をする際は無理なく保険料を支払えるように資金計画をすることが大切です。
(関連記事:元本割れしたらどうなる?元本保証に頼らずリスクを抑えて効率よくお金を増やす方法 )
インフレに弱い
学資保険で将来受け取ることができる祝い金や満期金は、あらかじめ契約時に決められています。この金額は保険会社の破綻など、不測の事態が発生しない限り支払われる金額です。
ただし、この祝い金や満期金は将来の物価上昇などインフレ率は考慮されず、保険会社が定める所定の利回りで計算されています。
したがって、子どもが進学するまでの10年以上の間にインフレが起こると、学資保険で得られるお金の価値も下がってしまうことになります。
学資保険の選び方
保険会社や保険商品は、とにかく商品数が多く、何を基準に選べば良いのか悩む人も多いかもしれません。
学資保険を選ぶ時には、まず「何に備えるか」を考えましょう。
貯蓄機能だけにするか、子の入院や親の万が一に備えるか、最初にハッキリと決めておくと商品を選びやすくなります。
次に保険期間、保険料、保険料の支払い期間、受け取りのタイミングが、自分の意向に沿っているかを確認しましょう。
保険会社によって加入できる年齢の条件は異なります。将来の返戻率が変わる要因になるので、こちらも確認しておきましょう。
WEB上で保険料の簡易計算もできますが、細かな条件が反映されない場合もあります。正確な試算を知りたい場合は保険代理店やIFAなどで試算してもらうと良いでしょう。
(関連記事:【専門家監修】生命保険の選び方!年代別・目的別に本当に必要な保険を解説)
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学資保険が必要かどうかの判断ポイントは3つ!
学資保険は教育資金を計画的に貯めるために活用できる保険ですが、自分に本当に必要なのか悩んでいる人のために、3つの判断ポイントをご紹介します。
ポイント①自分で計画的にお金を貯められるか
学資保険を活用すると、口座から毎月保険料が引き落とされるため、自動的に教育資金を貯めることができます。
お金の管理が苦手な人にとって、学資保険の活用はお金を貯める有効な手段といえるでしょう。
特に、教育資金のように将来大きなお金が必要となる場合は、早い段階から計画的な貯金ができるかがポイントになります。
ポイント②既に他の方法で、ある程度お金を準備できているか
既に他の方法で、ある程度まとまったお金を準備できている場合、学資保険は不要かもしれません。
まず、目標金額から既に手元にあるお金を差し引き、あとどのくらい「お金」が必要なのか計算してみましょう。
将来に必要な金額によっては、現在保有している預貯金や、子どもが進学する時期までに得られる収入などで十分足りる場合もあります。
ポイント③今よりももっと効率的にお金を増やしたいか
従来の学資保険でも、条件によっては効率よくお金を増やすことができます。
しかし、今販売されている学資保険の予定利率はとても低くなっているため、支払った保険料より僅かに上回って返ってくることがほとんどです。
もっと効率よくお金を増やしたい場合は、学資保険以外の方法を検討してみるのも良いでしょう。
学資保険の代わりに教育資金作りができるもの
(関連記事:教育資金いくら貯めるべき?実は貯蓄・投資で賢く増やせる!具体的な方法をプロが指南)
「終身保険」…学資保険よりも高い返戻率になる可能性有
終身保険は、貯蓄機能と一生涯の保障を兼ね備えた死亡保険です。途中で解約した場合には、解約返戻金を受け取ることができます。
解約返戻金は契約からの年数が経過するにつれ、増加する仕組みになっています。このため、終身保険の保険料の払い方次第では、学資保険よりも高い返戻率になる可能性があります。
進学の資金が必要になれば、解約返戻金を学費に充てることができますが、進路によっては終身保険を解約しなくても済むかもしれません。
その場合、終身保険には満期がないため、契約をそのまま保有し続けることになります。
解約返戻金は年々増え続けていくので、他の資金用途にも活用できるメリットもあります。
(関連記事:終身保険とは?定期保険とどっちが良い?図でわかる仕組みと知っておきたいデメリット)
Q.養老保険も学資保険の代わりになる?
学資保険と養老保険は、どちらも満期のある、同じグループに分類される貯蓄型保険です。
養老保険の満期を進学の時期に合わせれば、学資保険と同じように活用することもできるでしょう。
ただし、養老保険の受け取り時期は満期の一度限りです。学資保険のように進学のタイミングごとに、分割して受け取ることができないので注意しましょう。
養老保険も学資保険と同じく、以前と比較すると満期保険金が増えにくい商品になっています。満期保険金が既払込保険料を僅かに上回るか、保険期間によっては下回る可能性も考えられます。
実際に契約する際は保険料と保険金額、満期保険金額をよく確認するようにしましょう。
「預金」…元本が割れる心配がほぼない
ソニー生命「子どもの教育資金に関する調査2021」によると、高校生以下・予備校生・浪人生の子をもつ親の教育資金の準備方法は銀行預金(55.1%)が第1位となっています。
第2位の学資保険(50.7%)と共に、3位以下の財形(10.2%)・学資保険以外の生命保険(7.9%)・株式投資や先物取引などの金融投資(4.9%)を大きく上回りました。
また、予備校生・浪人生を除いた大学生等の子をもつ親の場合も、第1位は銀行預金(59.0%)、第2位は学資保険(50.2%)と突出して高くなっています。
最も一般的な教育資金の準備方法である銀行預金は投資と違い、元本割れの心配がほとんどありません。
全回答者中72.4%が「子どもの希望を優先させたい」と回答しており、教育資金については手堅く備えている親が多数派のようです。
Q.変額保険は学資保険の代わりになる?
変額保険は、保障を確保しながら資産形成もできる保険商品です。
保険料の一部が投資信託などで運用されるため、高い運用成果を期待できる反面、運用のリスクがあり、元本保証もありません。
被保険者に万が一のことがあった場合に最低保障された保険金は受け取れますが、お金が必要な時期に運用益が出ているとは限らないため、学資保険の代わりにはなりにくいといわざるを得ません。あくまで補助的に資産形成の一環として検討してみると良いでしょう。
Q.投資信託は学資保険の代わりになる?
株式や債券に投資をする投資信託は、預金や学資保険よりもお金を増やすことが期待できます。その反面、お金が必要な時期に市場が大きく動いた場合、元本割れのリスクが高まります。
使い道のない余裕資金であれば、損失を取り戻すまで待つこともできますが、市場が回復するまで進学を先延ばしにすることはできません。
投資信託は個人が資産運用をする時に選ばれやすい手法のひとつではありますが、計画的に教育資金を貯めるという目的では活用しにくい商品といえるでしょう。
(関連記事:今さら聞けない投資信託とは?なぜ利益が出る?図解で仕組みをわかりやすく解説)
まとめ
学資保険は、子どもが希望する進路を諦めることがないよう、計画的に教育資金を準備するための保険です。
学資保険には主に
・子どもの進学に合わせた受け取り方ができる
・自動的に積み立てができる
というメリットがあります。
一方で、返戻率が以前よりも低く、途中で解約すると元本割れしてしまうなどのデメリットがあります。
貯金が苦手だったり、リスクは取りたくないという人には検討に値する商品ではありますが、効率よく教育資金を貯めるには、他の選択肢を考えても良いかもしれません。
どんな選択肢があるのか分からないという方は、ぜひマネイロにご相談ください。
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