育児休業給付金はいつからいつまでもらえる?専門家が申請方法や計算例を解説
「育児休業給付金は初回いつ支給される?」「いつまで、いくら支給される?」と、育児休業給付金についてきちんと把握できている人は少ないのではないでしょうか。
育児休業給付金は母親と父親とでは支給期間が異なります。また、申請については本人が行うのではなく、会社などの事業主が行うのが原則です。
さらに、育児休業給付金を受け取るには2ヶ月ごとの申請が必要になります。
本記事では産休・育休に入る人に向けて、育児休業給付金の概要、申請方法、受給額の計算方法、支給期間の延長方法まで、専門家がわかりやすく解説していきます。
※初回公開日:2022年1月
※更新日:2023年7月
※本記事では一般的な内容かつ一例を記載しています。制度について不明点がある場合はお住まいの市区町村でご確認ください
- 育児休業給付金の支給期間は母親の場合「産後8週間後から子どもが1歳になる日の前日まで」父親の場合「子どもの出生当日から1歳になる日の前日まで」
- 育児休業給付金の支給対象期間は「1歳の誕生日の前々日」
- 支給額は1支給単位期間ごとに「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で算出される
育児休業給付金とは?誰がもらえる?【制度の概要】
育児休業給付金とは、育児休業を取得して一定の要件を満たした場合に、ハローワークへ申請することで支給される給付金です。
共働き世帯が増えるにつれ、女性が出産育児でキャリアを諦めなくても良いように、平成7年から始まりました。
現在は男性でも育休を取得できる環境が整備されてきており、「2021年7月に厚労省が発表した雇用均等調査」によれば、男性の育休取得率が初めて1割を超えたとされています。
これらの影響もあり、夫婦で制度の利用を考えている人も多いのではないでしょうか。
育児休業給付金を受け取るには一定の条件を満たす必要があります。詳しく見ていきましょう。
(参考:第11章 育児休業給付について|厚生労働省)
(参考:「令和元年度雇用均等基本調査」の結果概要 - 厚生労働省)
受給資格
受給資格を満たすには、以下のいずれかに当てはまっている必要があります。
1.1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)
2.育児休業を開始した日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)月が12ヶ月以上あること※
3.1支給単位期間中(支給単位期間とは、育児休業を開始した日から起算した1ヶ月ごとの期間(その1ヶ月の間に育児休業終了日を含む場合はその育児休業終了日までの期間)をいう。以下同じ。)の就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下であること。
※育児休業を開始した日前2年間に上記の月数が12ヶ月ない場合であっても、当該期間中に第1子の育児休業や本人の疾病等により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間がある場合は、受給要件が緩和され、支給要件を満たす場合があります。
<引用:Q&A~育児休業給付~について紹介しています。>
男性も制度の対象になり、受給資格条件は同じです。
(参考:Q4 育児休業給付における育児休業開始日とはいつですか。また、男性も育児休業給付を受給することは可能ですか。|Q&A~育児休業給付~)
育児休業給付金はいつからいつまでもらえる?【支給期間】
具体的に支給されるのはいつからいつまでなのでしょうか。図で確認していきましょう。
(参考:2 育児休業給付の基本的な流れ|第11章 育児休業給付について|厚生労働省)
母親の場合:産後8週間後から子どもが1歳になる日の前日まで
出産時には産後休暇を取っているかと思いますが、この産休から引き続いて育児休業を取得すると考えると、育児休業の開始日は産後8週間後となります。
ここから、原則子どもが1歳になる前日までが育児休業の対象期間です。(具体的には1歳の誕生日の前々日。民法の規定上、誕生日の前日をもって満年齢に達したとみなされる為)
子どもが1歳になる前に復職することも可能で、その場合は復職日の前日までが対象期間になります。
保育園の激戦区では1歳児クラスに入れるのが難しいため、0歳児クラスから入所させる人も多いようです。(地域によっては、0歳時クラスの入所も難しい地域もあります)
反対に、子どもを保育園に入れたいのに、申し込みをしても入所が叶わないなどの理由でどうしても復職が難しいこともあるでしょう。
そのような場合は、1歳6ヶ月(さらに要件を満たせば2歳)に達する日の前まで延長することもできます。
父親の場合:子どもの出生当日から1歳になる日の前日まで
父親の場合は受給開始時期が異なります。
出産した日から給付金の対象期間となり、実際には休業開始を申し出た日からの支給になります。
期間は母親と同じく、原則子どもが1歳になる前日(具体的には1歳の誕生日の前々日)まで。
ただし、産後8週間のうちに育児休業を取得した場合は再度取得することができます。
さらに「パパ・ママ育休プラス」という制度により、パパとママがどちらも育児休業を取得する場合は、子どもが1歳2ヶ月に達するまで延長できるメリットがあります。
産後はママの体力が回復するのにも時間がかかります。夫婦で上手く制度を利用しましょう。
(参考:両親で育児休業を取得しましょう!|厚生労働省)
受給中に第二子を妊娠した場合
育児休業給付金の受給中に、第二子を妊娠することもあるでしょう。
職場復帰をしないまま出産を迎える場合は、2人目の産前休業開始日の前日までが1人目の子どもの育児休業の期間になります。
もし産休をとらない場合は、出産日までの支給になります。
出産後の育児休業期間については、1人目と同じ考え方になります。
2人目の年齢をもとにして、1歳(要件を満たせば1歳6ヶ月や2歳)になる前日までが、対象期間ということです。
(参考:Q14 第1子に係る育児休業給付を受給中に、第2子を妊娠した場合に、第1子の育児休業給付はいつまで支給されますか。|Q&A~育児休業給付~)
育児休業給付金はいつ支給される?【支給時期・支給日】
育児休業給付金はいつからもらえることができるのでしょうか。支給時期と支給日について解説していきます。
初回の支給は給付まで約4ヶ月~5ヶ月前後かかる
申請後、初回の給付金を支給する前に受給資格の審査が行われます。通常この審査には2週間前後かかり、決定されれば1週間ほどで口座に振り込まれます。
育児休業給付金の支給は、2ヶ月に1回が原則です。
さらに育休は産後8週間後から始まるため、審査を考えると出産から4ヶ月~5ヶ月かかることもあります。
また、支給申請の期限は支給対象期間の初日から4ヶ月を経過する日が属する月の末日です。
(参考:2 育児休業給付の基本的な流れ|第11章 育児休業給付について|厚生労働省)
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2回目以降は原則2ヶ月に1回支給される
2回目以降は受給資格の審査がないため、2ヶ月に1回のペースで支給申請→振込の流れになります。
被保険者本人が希望する場合は1ヶ月ごとの申請も可能です。負担がない方法を家族や会社と相談してみましょう。
育休を延長する場合は、延長事由の届出と一緒に支給申請する必要があります。
最終振込分は、職場復帰する前日までの期間分です。
万が一育休中に退職することが決まれば、「退職日が属する期間の、1つ前の支給単位期間まで」が支給されます。
育児休業給付金はいくらもらえる?【支給対象期間と計算方法】
育児で休んでいる期間の金銭的支えとなる育児休業給付金。実際にいくらもらえるのかが気になるところでしょう。
支給対象期間ともらえる金額の計算方法について、詳しく解説します。
支給要件
育児休業給付金を受給するためには、受給資格を満たす必要がありました。さらに継続して給付金を受けるためには、各支給単位期間において、支給要件を満たさなければいけません。
被保険者資格が継続していることはもちろん、「育休期間中に就業する日数が10日以下であること」や、「支給された賃金額が、休業開始時の賃金月額の 80%未満であること」などが必要です。
ただし、もし就業した日数が10日を超える場合でも、就業していると認められる時間が80時間以下であれば資格を満たせます。
(参考:3 育児休業給付金について|(2)支給要件は|第11章 育児休業給付)
支給対象期間と支給単位期間
支給単位期間…育児休業開始日から起算して1ヶ月ごとに区切った場合の各期間
支給対象期間とは、「育児休業開始日から子どもが1歳に達する日(1歳の誕生日の前日)の前日までの期間」をいいます。つまり1歳の誕生日の前々日です。
育休を延長する場合や途中で終了する場合は、それぞれ延長が認められた年齢に達する日の前日と育児休業を終了した日までの期間になります。
支給単位期間とは、「育児休業開始日から起算して1ヶ月ごとに区切った場合の各期間」のことであり、この期間をもとに育児休業給付金の計算がされます。
支給要件の中に「育休期間中に就業する日数が10日以下であること」がありましたが、これらの条件も各支給単位期間で計算されます。
育児休業給付金の計算方法
6ヶ月経過している場合…休業開始時賃金日額×支給日数×50%
※休業開始時賃金日額…育休に入る前6ヶ月間の総支給額を180で割った額
※支給日数…基本は30日で計算
育児休業給付金は、1支給単位期間ごとに「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で算出します。
ただし、育休開始から6ヶ月経過後は67%ではなく50%になります。
休業開始時賃金日額とは、育休に入る前6ヶ月間の総支給額を180で割った額のこと。保険料等が控除される前の額で、賞与は除いて計算します。
また支給日数は、基本的に30日で計算します。
育児休業の終了日が含まれている支給単位期間では、その育児休業終了日までの期間です。
(参考:Q7 育児休業給付の受給できる額は、例えば1か月でどの程度もらえるのか、だいたいの金額を教えてください。|Q&A~育児休業給付~)
計算例:手当などを含む給与額面が月額30万だった場合
給与の額面が30万円の人を例にして、実際に計算してみましょう。
育児休業給付金(6ヶ月まで)…20万1000円(1万円×30日×67%)
育児休業給付金(6ヶ月経過後)…15万円(1万円×30日×50%)
つまり、手当などを含めた給与額面が30万円の人は、半年間は20万1000円、その後は15万円を受給できる計算になります。
金額の目安
給与額面が月額30万円以外の人も、受給額の目安をまとめてみます。
・15万円程度:約10万円(約7万5000円)
・20万円程度:約13万4000円(約10万円)
実際の金額はハローワークに提出した証明書から休業開始時賃金日額が確定後、算出されます。
(参考:Q7 育児休業給付の受給できる額は、例えば1か月でどの程度もらえるのか、だいたいの金額を教えてください。|Q&A~育児休業給付~)
いつまでにどうやって申請すればいい?【申請方法と申請期限】
育児休業の取得が決まった時、育児休業給付の申請手続きはどのように行えば良いのでしょうか。
実はこの申請は本人がするものではなく、会社などの事業主を経由して行うことが原則です。しかし本人が希望する場合は、本人が手続きすることも可能です。
ただ、これまで説明してきたとおり、育児休業給付金を受け取るには2ヶ月ごとの申請が必要です。
申請の流れは次のとおりです。
申請に必要な書類の準備
まずは申請に必要な書類について見ていきましょう。
(参考:Q5 育児休業給付の受給手続には何が必要でしょうか。また、どこで手続きをすればよいのでしょうか。|Q&A~育児休業給付~)
初回の申請に必要な書類
初回に必要な書類には、本人と事業主がそれぞれ準備すべきものがあります。
・母子手帳など育児を行っている事実を確認できる書類
・マイナンバーカードと本人確認書類の写し
・(手書きで申請書を作成している場合のみ)通帳のコピー
※本人名義のもの。旧姓の口座は不可
※その他、キャッシュカードコピーか銀行窓口でもらう確認印でも可
・雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
・育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
・賃金台帳、労働者名簿、出勤簿またはタイムカードなど、「賃金の額や賃金の支払い状況」が確認できる書類
2回目以降の申請に必要な書類
2回目以降は以下の書類が必要です。
・賃金台帳、出勤簿またはタイムカードなど、「賃金の額や賃金の支払い状況、休業日数や就労日数」が確認できる書類
書類には申請者本人が記載する必要があります。詳しい書き方は厚生労働省のホームページで確認してください。
(参考:雇用継続給付等の申請を行う事業主等の皆さまへ|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク)
申請方法
書類の準備ができたら以下の流れで申請をしましょう。
①育児休業予定を会社に伝える:申請者
まずは申請者本人が、会社に育休を取得する旨を伝えます。
実際の業務は総務部や人事部などが管轄になりますが、産休の取得と同時にまず上司に伝えることになるでしょう。
こちらは初めてのことでも、会社側は手続きに慣れています。疑問点があれば教えてもらえるでしょう。
②支給申請に関する必要書類をハローワークに申請:事業主
申請者からの申し出を受けて、事業主がハローワークに申請します。
「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を提出することで、ハローワークから決定通知とともに必要書類が交付されます。
③②の書類を記入し、必要書類を会社に提出:申請者
②で交付された書類に、申請者本人が記入していきます。
初回も2回目も「育児休業給付金支給申請書」が必要ですが、それぞれ記載内容が異なるため注意しましょう。
ここで本人が用意すべき添付書類(母子健康手帳など)を用意して、合わせて会社に提出します。
④③の書類をハローワークに提出:事業主
すべての書類が揃った時点で、事業主はハローワークに再度申請します。一括申請ではないため、その後も2ヶ月に1回の申請が続きます。
もしも本人が申請する場合は、事務所の所在地を管轄しているハローワークに都度申請をしなければなりません。
申請期限
申請には期限があります。注意して見ていきましょう。
2回目の申請期限は育児休業給付金支給決定通知書で確認
2回目以降の支給申請期限は、ハローワークから送られてくる「育児休業給付次回支給申請日指定通知書」に書かれています。「事業主用」として会社側にも通知が行くため、スムーズに申請できるよう早めに申請書に記入しましょう。
この時「育児休業給付金支給決定通知書」も同封されているため、念のため内容を確認しておくと安心です。
初回申請期限は育休開始日から起算して4ヶ月後の月末
初回の申請期限は、少し異なります。
原則2ヶ月ごとの審査ですが、初回は受給資格の審査もあるため、「育児休業開始日から起算して4ヶ月を経過する日の属する月の末日まで」となっています。
育休の開始日から4ヶ月後の月末まで可能であり、その後は2ヶ月に1回(希望によっては1ヶ月に1回)のペースとなります。
支給期間を延長したい場合
実際に育児休業に入った後、「保育園に入れないことや、産後の体調が回復しない」などの理由で延長したい時は、どうしたら良いのでしょうか。
育休には1歳6ヶ月、あるいは2歳まで延長できる条件があります。
ここでは育休が延長できる条件と申請方法を確認してみます。
1歳6ヶ月まで延長する場合の条件
1歳6ヶ月まで育休を延長できるのは、以下の条件を満たす時です。
2.主に子どもを育てる人や配偶者が、死亡やけが、病気などによって育児をすることが難しくなった場合
1の場合では、あらかじめ1歳以降も保育が実施されるように申込みを行う必要があります。自分の意思で保育園に申し込んでいない場合は、対象外になるため注意しましょう。
(参考:Q11 どのような場合に、1歳6か月まで延長が可能になるのでしょうか。|Q&A~育児休業給付~)
2歳まで延長する場合の条件
さらに2歳まで延長する場合は、1歳6ヶ月になってから延長申請をします。
延長が認められる条件は、同じく「保育所に入園できない場合」や「子どもを育てる人や配偶者が、死亡やけが、病気などによって育児をすることが難しい場合」になります。
また、1歳の時点で2歳まで延長申請することはできません。
それぞれの延長のタイミングで、復職ができない現状を証明する必要があります。
(参考:Q12 どのような場合に、2歳まで延長が可能になるのでしょうか。|Q&A~育児休業給付~)
延長申請の方法
延長の申請は、初回の申請と同じくハローワークで行います。会社に手続きをお願いするか、希望があれば本人が手続きすることも可能です。
「育児休業申出書」に必要事項を記入し、育休が終わる予定日の2週間前に申請しましょう。
様式は厚生労働省のホームページからダウンロードできますが、会社に備え付けられていることもあります。
その際に必要になる添付書類は、以下のとおりです。
添付書類
育児休業申出書に添付する書類は、「育児休業給付金支給申請書」と「延長が必要なことがわかる証明書」です。
証明書では復職できないことを証明する必要があるため、「保育所の入所保留」や「入所不承諾通知書」などが当てはまります。
病気が原因の場合は、医師の診断書が必要です。
延長した場合の支給金額
育児休業を延長した場合でも、支給金額は変わらず受け取ることができます。
初回の育休から6ヶ月が経過しているため、「休業開始時賃金日額×支給日数×50%」です。67%ではない点には注意しましょう。
令和4年(2022年)からの改正ポイント
育児・介護休業法の改正により、育児休業給付金に関連した制度内容や事業主側の体制に変更がありました。
令和4年(2022年)からの改正ポイントを詳しく見ていきましょう。
(参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内令和4年4月1日から3段階で施行|厚生労働省)
①雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化:令和4年4月1日施行
【育児休業を取得しやすい雇用環境の整備】
育児休業や産後のパパ育休を円滑に申し出るために、事業主は以下の措置のいずれかを講じる必要があります。
①育児休業や産後パパ育休に関する研修の実施
②育児休業や産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口の設置)
③自社の労働者の育児休業や産後パパ育休の取得事例を収集・提供すること
④自社の労働者に対して育児休業や産後パパ育休制度と取得促進に関する方針を周知すること
<引用:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内令和4年4月1日から3段階で施行|厚生労働省>
【妊娠・出産に関する個別の周知・意向確認の措置】
妊娠や出産を申し出た労働者(本人または配偶者)に対して、事業主は以下の事項について個別に周知し、休業の取得意向を確認しなければなりません。
周知すべき事項:
①育児休業や産後パパ育休に関する制度
②育児休業や産後パパ育休の申し出先
③育児休業給付に関すること
④育児休業期間中に労働者が負担すべき社会保険料の取り扱い
<引用:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内令和4年4月1日から3段階で施行|厚生労働省>
なお、雇用環境整備と個別の周知・意向確認は、産後パパ育休については令和4年10月1日から対象となります。
②有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和:令和4年4月1日施行
育児休業取得に関する要件が以下のように緩和されました。
【改正前】
① 引き続き雇用された期間が1年以上
②1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかでない
【改正後】
①の要件を撤廃
※無期雇用労働者と同様の取り扱い
(引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は労使協定の締結により除外可)
※育児休業給付についても同様に緩和
<引用:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内令和4年4月1日から3段階で施行|厚生労働省>
③産後パパ育休(出生時育児休業)の創設:令和4年10月1日施行
令和4年10月より、産後パパ育休(出生時育児休業)が創設されました。
現行の育児休業制度との比較は以下のとおりです。
※1:雇用環境の整備などについて、今回の改正で義務付けられる内容を上回る取り組みの実施を労使協定で定めている場合は、事業主側で1ヶ月前までとすることが可能
※2:1歳以降の育児休業が、他の子についての産前・産後休業、産後パパ育休、介護休業または新たな育児休
業の開始により育児休業が終了した場合で、産休等の対象だった子等が死亡等した時は、再度育児休業を取得できる
④育児休業の分割取得:令和4年10月1日施行
育児休業の分割取得ができませんでしたが、令和4年10月より以下のような形で取得ができるようになりました。
<引用:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内令和4年4月1日から3段階で施行|厚生労働省>
⑤育児休業取得状況の公表の義務化:令和5年4月1日施行
従業員数が1000人を超える企業には、育児休業などの取得状況を年に1回公表する義務が課されることとなりました。
公表される内容は、男性の「育児休業の取得率」または「育児休業と育児目的休暇の取得率」であり、企業は一般の人が閲覧できる方法で公表を行う必要があります。
まとめ
育児休業給付金についてまとめてきました。大事なポイントをおさらいします。
・原則1歳になる前日までだが、1歳6ヶ月や2歳まで延長することができる
・育休開始から6ヶ月は「休業開始時賃金の約67%」、6ヶ月経過後は「休業開始時賃金の約50%」が受け取ることができる
何となく知っていても、具体的な手続きや金額まで理解している人は多くありません。家計を守るためにも、漏れなく申請することをおすすめします。
(監修協力/unite株式会社)
※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます
※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください
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監修者
三上 貴子
- 特定行政書士/申請取次行政書士/宅地建物取引士
1995年東京都立大学法学部卒。株式会社リクルート東北支社、株式会社プロジェクト地域活性を経て、行政書士資格取得。2014年より行政書士として勤務。2020年、ブレイブ行政書士事務所 開業、代表就任。各種許認可申請及び補助金申請を行うと共に、申請取次行政書士として外国人のビザの取得、生活全般のサポートを行う。更に、自身の経験を基に夫婦問題や離婚に関する相談にも答えている。東京都行政書士会中央支部理事も務める。
執筆者