マネイロ

サイトナビゲーション

【社労士監修】幼児教育・保育の無償化はいつから対象?仕組みや条件をわかりやすく解説

【社労士監修】幼児教育・保育の無償化はいつから対象?仕組みや条件をわかりやすく解説

制度2022/03/31 (最終更新:2024/08/01)
  • #既婚者

2019年10月から始まった「幼児教育・保育の無償化」。

主に3歳から5歳までの子どもを対象に、幼稚園や保育園などの利用料が無償化される制度です。

条件を満たせばどのご家庭でも利用できる制度になります。

本記事では「幼児教育・保育の無償化」について、いつから無償化の対象になるのか、制度の仕組みや条件をわかりやすく解説していきます。


※本記事は2022年3月時点の制度内容をもとに作成しています
※本記事では一般的な内容かつ一例を記載しています。制度について不明点がある場合はお住まいの市区町村でご確認ください

2019年10月から始まった「幼児教育・保育の無償化」とは

幼児教育・保育の無償化」とは、幼稚園や保育所等に通う子どもがいる場合、一定の条件を満たせばその利用料が無料となる制度です。

2019年10月に消費税が10%へ引き上げられたのが記憶に新しい人も多いと思いますが、この増税分を財源に充てる方針で施行されました。

これまでも「第二子は半額」「住民税非課税世帯の負担軽減」などの対策はとられてきましたが、十分とはいえない状況でした。

そこでさらなる少子化対策の一環として、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、「幼児教育・保育の無償化」が推進されたのです。

近年では共働き世帯が多く、子どもを幼稚園や保育所等に預けながら働く家庭が増えました。

子育て世帯が働きやすい環境整備が望まれる中、ようやく実現した制度ともいえます。

取り組みの背景・目的

こうした少子化対策は、政府にとって喫緊の課題でした。

というのも、

若い世代が理想の子ども数を持たない理由は「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が最大の理由であり、教育費への支援を求める声が多い。

内閣府 資料6 幼児教育の無償化について より引用

という現状があったからです。

逆にいえば、経済的課題を解決できれば、少子化対策に繋がるのではないでしょうか。

また、幼児期は人格の形成や身体育成などにとって重要な時期のため、幼児教育や保育の質を向上させる重要性も見直されています。

こうした背景を受けて、「幼児教育・保育の無償化」は実現することになったのです。

「幼児教育・保育の無償化」の対象となる条件と施設

無償化になるには一定の条件があります。詳しく見ていきましょう。

幼児教育無償化のイメージ

<幼稚園、保育所、認定こども園等の無償化について|説明資料|文部科学省 を参考に作成>

①幼稚園、保育所、認定こども園などの利用

まずは幼稚園や保育所、認定こども園などの条件です。

(参考:説明資料1
(参考:説明資料2|幼稚園、保育所、認定こども園等の無償化について


【対象者と利用料】

無償化の対象者は年齢によって異なります。

■0歳〜2歳
住民税非課税世帯のみ無償化の対象。課税世帯は自治体が所得によって定めた保育利用料を支払う

■3歳※~5歳
全ての子どもたちの利用料が無償化の対象
※幼稚園は満3歳になった日から、保育所等は3歳児クラスの始まりから

ただし、子ども・子育て支援新制度の対象とならない幼稚園の利用料については、月額2.57万円を上限として無償化されます。


【対象施設・サービス】

対象となる施設は幼稚園、保育所、認定こども園に加え、地域型保育(小規模保育、家庭的保育、居宅訪問型保育、事業所内保育)などです。企業主導型保育事業では、これまでの利用料から年齢に応じた一定の金額が減額されます。

無償化の対象となるサービスは、標準的な保育料や利用料などです。

通園バス代や給食費など、実費で徴収される費用は無償化の対象外なので注意しましょう。

②幼稚園の預かり保育の利用

次に幼稚園の預かり保育を利用する場合を確認しましょう。


【対象者と利用料】

幼稚園の預かり保育は、そもそも保育の必要性があると市区町村に認定された時のみなので、「リフレッシュのため」「美容院に行くため」などの理由では、預かり保育自体を利用できません。

その中でも無償化の対象になるかどうか決まっており、所定の時間に満たない就労や兄弟姉妹の学校行事・健康診断などは対象外です。

無償化の対象となれば、上限額の2.57万円にプラスして、利用実態に応じて最大で月1.13万円までが無料となります。つまり、最大で月に3.7万円の利用料が無償化されるということです。

③認可外保育施設などの利用

認可外保育施設を利用する場合、上限額が少し異なります。


【対象者と利用料】

認可外保育施設等を利用する3歳から5歳の子どもも、保育の必要性があると市区町村に認められれば無償化の対象になります。

認可外の保育料は一般的に高くなりがちですが、認可保育所の全国平均に合わせて、「月額3.7万円」が上限となります。これを超えた金額が自己負担ということです。

また、0歳から2歳の子どものうち、住民税非課税世帯の場合は「月額4.2万円」が上限になります。


【対象施設・サービス】

認可外保育施設等とは、都道府県等に届出を行い、国が定める認可外保育施設の指導監督基準を満たした保育施設※のことです。

一般的な認可外保育施設や自治体独自の認証保育施設に加え、ベビーホテル、ベビーシッター、認可外の事業所内保育、一時預かり事業、病児保育事業、ファミリー・サポート・センター事業なども対象になります。

経過措置として、指導監督基準を満たしていない場合でも、5年間は猶予期間として無償化の対象となっている施設もあります。


④就学前の障害児の発達支援の利用

障害のある子どもたちのための児童発達支援等の利用料も無償化の対象です。


【対象者と利用料】

就学前の障害児の発達支援では、既に0歳から2歳児の住民税非課税世帯が無償になっています。

今回の無償化を受け、3歳から5歳の子どもも無償化の対象となりました。

障害児通園施設と併せて、幼稚園や保育所に通っている場合、両方の利用料が無償化の対象になります。

Q.無償化を利用する際、世帯の所得制限はある?

よく支援制度とセットになる所得制限ですが「幼児教育・保育の無償化」に関しては所得制限がありません。

ただし、所得が一定の基準に満たない場合、さらに支援が受けられる可能性があります。

【住民税非課税世帯】
幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する場合、0歳〜2歳までの利用料が無償化されます。
また認可外保育施設等を利用する場合は、月額4.2万円までの利用料が無償化されます。

【年収360万円未満相当世帯】
給食費のうち副食費の費用も免除されます。

Q.無償化にならないものは?

幼稚園や保育所を利用する費用が、全て無償化の対象になるとは限りません。無償化の対象外になる費用を知っておきましょう。

【実費負担になる費用例】
・通園送迎費(通園バス利用料)
・行事費
・給食費(副食費は世帯所得や子どもの人数によっては免除)
・日用品費
・制服費
・延長保育料
など

発生する費用は園によっても違うので、事前に利用する施設に確認しておきましょう。

Q.二人目以降も無償化になる?

二人目以降も無償化の対象です。

最年長の子どもが保育所等を利用している場合、その子どもを第1子とカウントして、第2子以降の費用がさらに軽減されます。

・0歳~2歳までの第2子は半額
・0歳~2歳までの第3子以降は無償

「年収360万円未満相当世帯」及び自治体独自の助成がある場合、第1子の年齢に関係なく上記の軽減措置があります。

「幼児教育・保育の無償化」に関する申請手続き

認可保育所、地域型保育事業、認定こども園、新制度の幼稚園などは手続きが不要です。

横浜市を参考に、申請が必要なケースを見ていきましょう。

幼稚園などを利用する場合

まずは新制度に移行していない幼稚園を利用する際の手続き方法を見ていきましょう。


1.必要書類の準備

最初に必要となる書類を準備します。

以下で一例をご紹介しますが、お住いの自治体によって必要となる書類や名前が異なることがあります。

・給付認定申請書(兼認定内容確認票)
・利用施設等届出書
・マイナンバー記入用紙
・マイナンバー貼り付け台紙
・提出書類確認票

自治体の申請書が主になるので、HPからダウンロードするか直接行って記入しましょう。

もし、1月1日現在と違う住所地だった場合は、課税証明書も必要になります。


2.入園内定を得た園に書類を提出

書類に不備がないか確認した後は、書類を申請用封筒に入れて「入園内定を得た園」に提出します。

お住まいの自治体ではないので注意しましょう。

この時、「無償化対象外の費用」を細かく確認しても良いですね。


3.預かり保育を利用する場合は別書類が必要

預かり保育を利用する場合は、別途「保育の必要性を証明する書類」が必要です。

認定の事由によって、

・就労:就労証明書
・出産:母子健康手帳のコピー
・病気やけが:病院の診断書
・介護や看護:障害者手帳や介護保険被保険者証のコピー
・通学:在学証明書
・育休:育児休業証明書と在園証明書

などの書類を用意します。自治体によってはさらに書類が必要な場合や、他の書類で代用できることもあります。各市区町村のHPで確認しましょう。

認可外保育施設などを利用する場合

次に認可外保育施設認可外保育施設を利用する場合を確認します。




1.保育の必要性の認定を受けるための書類を準備

認可外施設を利用する場合、保育の必要性の認定基準を満たす必要があります。

そのために下記の書類を準備します。

【全員に共通して】
・給付認定申請書(兼認定内容確認票)
・利用施設等届出書
・マイナンバー記入用紙
・マイナンバー貼り付け台紙
・提出書類確認票

【保育が必要な認定事由によって】
・就労:就労証明書
・出産:母子健康手帳のコピー
・病気やけが:病院の診断書
・介護や看護:障害者手帳や介護保険被保険者証のコピー
・通学:在学証明書
・育休:育児休業証明書と在園証明書

こちらも自治体ごとに様式が異なりますので、各市区町村のHPでご確認ください。


2.住んでいる地域のこども家庭支援課に提出

書類を揃えて、各市区町村のこども家庭支援課などの担当窓口に提出します(担当課名は自治体によって異なります)。

給付認定が認められると給付認定決定通知書が送られてきます。

その後施設を利用し、支払った利用料について「無償化給付費の請求」をすることで、助成が受けられる流れです。

また認定を受けた場合でも、毎年現況届にて保育の必要性を証明する必要があります。

「幼児教育・保育の無償化」に関する現状の問題点

保護者にとってはありがたい「幼児教育・保育の無償化」ですが、まだまだ課題があるのも事実です。

例えば、制度の運営にあたり、保護者からの相談や事務量が増加したことにより、自治体の現場に負担がかかっています。

さらに無償化により保育ニーズが増加したことで、待機児童問題が新たに発生した自治体もあります。

どちらも「自治体職員」「保育士や幼稚園教諭」という人手不足に直結するため、早急な見直しが図られています。

(参考:幼児教育・保育の無償化に関する協議の場 議事録

まとめ

幼児教育・保育の無償化」についてまとめてきました。

利用する施設によって、必要な書類や申請手続きが異なります。まずは保育所、幼稚園、認可外保育施設など、ご自身が利用される施設の種類を確認し、手順を押さえましょう。

無償化になったとはいえ、対象外の費用があるのもポイントです。

その後の教育費も予想以上にかかるもの。無償化によって浮いたお金は、しっかり貯蓄しておくのもおすすめです。


(監修協力/unite株式会社

※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます

※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください

監修者
山口 雄大
  • 山口 雄大
  • 社会保険労務士

1989年生まれ、東京都出身。2012年明治大学法学部卒業。2018年社会保険労務士試験合格後、2019年汐留社会保険労務士法人 に入所。各種労働社会保険法令に基づく手続きや給与計算に加え、労働問題の対応やコンサルティングを行う。数多くの労務管理経験をもとに、働き方改革に対応した労務管理やITツール活用にも積極的に取り組んでいる。

執筆者
太田 彩子

京都教育大学卒業。地方自治体にて公務員として「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事。その後、保険代理店にて金融商品の紹介ページ作成に参加。キャリアを生かし、社会保障制度や公的保険、民間保険でバランスよく備える方法を発信。自身も「遠距離結婚」「ハイリスク出産」「小1の壁」で退職した経験から、現在はキャリアとマネープランの両立を目指す女性に向け、LIMO編集部 で金融の情報を広く発信する。

一覧へもどる