クレジットカードが不正利用された!すぐにやるべき対応と今後の対策について紹介!
「クレジットカードが不正に利用されたらどうしよう」「万一、不正利用された場合はどんなふうに対応したらいいのかわからない」という人は多いのではないでしょうか。
近年、増加傾向にあるクレジットカードの不正利用ですが、なぜ不正利用されてしまうのか、対処法を知ることでクレジットカードが不正利用されるリスクを減らせるかもしれません。
本記事では、実際にクレジットカードが不正利用されてしまう原因や緊急時の対処法、さらにセキュリティが強いクレジットカードなど、専門家が分かりやすく解説していきます。
- クレジットカードの不正利用について、2021年では番号盗用による被害が94.4%
- クレジットカードは「スキミング」「情報漏洩」「ハッキング」などの原因から不正利用されてしまう
- クレジットカードが不正利用された際の主な対処法は「利用明細を確認する」「一刻も早くクレジットカード会社に連絡をする」など
- 不正利用されないためには「定期的に利用明細を確認する」「ナンバーレスカードを利用する」などの対策をする
クレジットカードの不正利用の実態は、近年増加傾向にある
一般社団法人日本クレジット協会の調査によると、クレジットカードの不正利用被害額は、2014年114.5億円に対し2021年は330.1億円です。比較するとおよそ3倍に増えています。
以前はクレジットカード偽造による被害が10%以上占めていた時代もありましたが、2021年はクレジットカード番号盗用による被害が94.4%に対し、クレジットカード偽造の被害は1.5%に留まります。
クレジットカード番号を他人に知られないようにする対策が大切だとわかります。
(参考:クレジット関連統計|クレジット関連資料|一般社団法人日本クレジット協会)
クレジットカードを所持していても自分では気づかないケースが多い
三井住友カードが運営する「ヒトトキ」が不正利用された人500名を対象に行った調査によると、半数以上はクレジットカード会社からの連絡で不正利用に気づいたそうです。
不正利用されても、自分では気づけないのが怖いところです。
(参考:【ヒトトキ調査】クレジットカードの不正利用被害にあった500人に聞いた!私のカードでテーマパークのチケットが買われていた??|【ヒトトキ】三井住友カード)
三井住友カードが運営する「ヒトトキ」が不正利用された人500名を対象に行った調査によると、半数以上はクレジットカード会社からの連絡で不正利用に気づいたそうです。
不正利用されても、自分では気づけないのが怖いところです。
クレジットカードの不正利用を放置すると、どのようなリスクがあるのか
不正利用されて放置すると、犯人は味を占めて被害が拡大する恐れがあります。
クレジットカードの紛失からの不正利用被害に遭い、最初の数回は数千円程度で少額の利用でしたが、次第に金額が増えて行き、最終的には数十万円の被害に膨らんでしまうケースもあります。
与信枠が埋まってしまい、新たにクレジットカードを作成することができなくなる
クレジットカードの不正利用を放置すると、与信額が埋まってしまい、新たにクレジットカードを作成できなくなるリスクがあります。
急いでクレジットカードを作る必要がある場合、予定通りに作成できなくなってしまうため、こまめに利用明細を確認し、不正利用されていないか注視しましょう。
ローンに通りづらくなる
不正利用により与信枠が埋まると、カードローンやフリーローンなどの審査にも通りづらくなってしまいます。
不正利用をされた場合、カード会社で補填されるのがほとんどです。
しかし、緊急で借り入れが必要な場合、不正利用で与信が埋まっている状態だと、借り入れをしたいタイミングでローンが利用できなくなってしまいます。
不正利用されないように、十分注意しましょう。
クレジットカードが不正利用されてしまう原因【9種類】
クレジットカードはなぜ不正利用されてしまうのでしょうか。
主な原因を見ていきましょう。
①スキミング
クレジットカードに書き込まれている情報を読み取り、「偽造カード(クローンカード)」を作成し不正利用する行為のこと
「スキマー」と呼ばれる装置を使って情報を盗むので、カードの保有者は情報を盗まれたことに気づきにくいです。
クレジットカード取扱店の端末にスキマーを仕掛けるケースや、治安が悪い地域だと店舗の従業員が自らスキマーで情報を盗むケースもあります。
磁気テープのクレジットカードだとスキマーで情報が盗まれてしまうので、最近はスキマーで読み取りができないICチップを搭載させたクレジットカードが増えています。
②ネットショッピング詐欺
ネットショッピング詐欺とは、ネットショップで人気商品を割引金額で購入させて商品を送らなかったり、別商品を送ったりする詐欺です。
また、本物とそっくりなサイトで購入させる手口もあります。
例えば、商品名を検索して詐欺サイトが上位表示されている場合、本物のサイトと間違えて購入してしまうケースがあります。
手口が巧妙化しており、本物と詐欺サイトの見分けがつきにくくなっています。
特定商取引法で求められている代表者や電話番号などの情報がないと、詐欺サイトの可能性が高いため、必ず確認しましょう。
③フィッシング詐欺
銀行やネットショッピングサイトなどの名前でメールやSMSを送りつけ、URLから偽りのホームページに誘導させる詐欺のこと
偽りのホームページでクレジットカード情報を入力させ、個人情報を盗むのが目的です。
フィッシング詐欺も近年巧妙化しており、アドレスも本物に近かったり、文面も偽物とは思えない内容だったりします。
URLにアクセスする前に、本物のサイトのURLかは必ず確認するようにしましょう。
④ネットショップからの情報漏洩
ネットショップでクレジットカードを利用して買い物する場合、管理者のセキュリティが万全ではないとクレジットカード情報が漏洩するリスクがあります。
特に低予算で運営しているショップは、そこまでセキュリティに力を入れていないケースが多いです。
なるべくセキュリティに力を入れている大手ネットサイトなどを利用した方が安心です。
⑤なりすまし詐欺
なりすまし詐欺とは、不正に手に入れたクレジットカードまたはクレジットカード情報を本人になりすまして不正利用する行為です。
クレジットカード情報だけを使い、ネットショッピングで利用されるケースがあったり、偽造クレジットカードを作り実店舗で利用するケースもあります。
なりすまし詐欺を防ぐためには、本人認証サービス(3Dセキュア)を利用できるクレジットカードを利用するのをおすすめします。
⑥出会い系サイト詐欺
出会い系サイトでは、メールのやり取りをするためにポイントが必要で、メールを複数したい場合には課金が必要になります。
しかし、実際は架空の人物やサクラとやり取りするだけでどんどん課金させる詐欺もあります。
日本クレジットカード協会によると、SNSなどで芸能人のマネージャーが芸能人とのメールができると有料出会い系サイトへの登録を促す手口が増えているそうです。
出会い系サイト詐欺は「自らサイトを利用した」という負い目から、泣き寝入りする人が多く、詐欺が立証されにくいそうです。
⑦スパイウェア
スパイウェアをコンピューターに侵入させ、クレジットカード情報を盗む詐欺も横行しています。
フリーソフトや偽りのセキュリティソフトをインストールさせることで、スパイウェアを侵入させるケースなどがあります。
例えば、無料で見られるサイトから「重大なエラーが発生しました!」と警告文を出し、偽のセキュリティソフトをダウンロードさせたうえで、クレジットカード情報を入力させるケースがあります。
利用しているパソコンのセキュリティを強化し、スパイウェアが侵入しないような対策が必要です。
⑧ハッキング
ハッキングとは、不法にコンピューターに侵入し、データを改ざんしたり、情報を抜き取ったりすることです。
ハッキングでクレジットカードの情報を盗み、ネットショッピングの買い物などに使われるケースが多々あります。
ハッキングを防止するためには、OSやソフトウェアを最新の状態にアップデートしたり、セキュリティソフトを利用したりするのが有効です。
⑨車上荒らしやスリ
車上荒らしやスリでクレジットカードが盗まれ、悪用されるケースもあります。
タッチ決済ができるクレジットカードを利用する人が増えていますが、暗証番号の入力もサインも不要で利用できてしまうため注意が必要です。
クレジットカードがなくなったことに気づいたら、すぐに利用停止の手続きをするようにしましょう。
クレジットカードが不正利用された際の対処法
クレジットカードが不正利用された時、まず何をするべきなのか、きちんと理解する必要があります。
不正利用された際の対処法について、詳しく解説します。
①まずは本当に身に覚えがないか利用明細を確認する
クレジットカードの利用明細を確認し、本当に身に覚えがない利用かを確かめましょう。実は自分や家族が使っていたケースなどもあるからです。
ここでは、利用明細を確認するポイントについて説明します。
利用日と金額を確認する
まず、利用日と金額を確認しましょう。実際に利用日と金額を確認することで、記憶がよみがえるケースもあるでしょう。
なお、ネットショップを利用すると、実際にカードを利用した日と決済日が一致しないケースもあるため、数日間の誤差がある点を頭に入れておいてください。
家族が利用したか確認する
クレジットカードは、自分名義のクレジットカードしか決済に使えません。家族が利用する場合は家族カードを使う必要があります。
しかし、サインを書かないケースや暗証番号を入力しないケースであれば、他人であっても利用できてしまいます。
そのため、自分が知らないうちに家族が勝手に利用したケースもあるかもしれないため、確認しましょう。
店舗と決済先の名前を確認する
店舗名や決済先の名前も確認しましょう。
例えば、まったく見覚えのない名前で請求されていても、実際はクレジットカードを利用した店舗を経営する会社名で請求されるケースもあるためです。
それでも利用日・金額・決済先に身に覚えがない場合は、不正利用の可能性が高いため、クレジットカード会社に問い合わせしましょう。
②一刻も早くクレジットカード会社に連絡し、カードを止める
利用明細を確認して不正利用だと確信したら、直ちにクレジットカード会社に連絡し、クレジットカードの利用を止めましょう。
クレジットカード会社は、カードを止める手続きができる窓口を設けており、基本的には24時間対応してくれます。
クレジットカードを止める方法は、クレジットカード会社により異なりますが、電話で対応するケース、メールで対応するケースがあります。
なお、クレジットカード会社に聞かれる項目は下記の通りです。
- カード番号
- 明細番号
- 加盟店名
- 金額
③悪質な場合は、警察に届け出る
悪質な場合には警察にも届け出るようにしましょう。
クレジットカードを不正利用された際には、その分を紛失・盗難保険で補填をしてくれるケースがほとんどです。
補填してもらう手続きで警察に届けた際の受理番号が必要になります。
ただし、不正利用から一定期間経った分については対象外になってしまいます。
不正利用になるべく早く気づくように、普段から明細の確認をしましょう。
クレジットカードを不正利用されないためのカード会社の対応
クレジットカードを不正利用されないために、クレジットカード会社はさまざまな対策や対応を行っています。
詳しく見ていきましょう。
クレジットカードを不正利用された場合、すぐに本人に連絡が入る
ほとんどのクレジットカード会社は、不正利用されていないかを検知システムで24時間365日監視しています。
そのため、決済状況から日本に滞在しているはずなのに、海外で急に決済があった場合などには、本人に連絡をして不正利用ではないかを確認の連絡が入ります。
そこで不正利用と確認できたら直ちにクレジットカードが止まり利用できなくなるので、被害を最小限に留めることができます。
本人認証サービス(3Dセキュア)を適用しているクレジットカード会社もある
本人認証サービス(3Dセキュア)を適用しているクレジットカード会社も増えています。
本人認証サービスを利用すると、クレジットカードで決済する際に本人確認が別途必要になるため、不正利用がしにくくなります。
クレジットカードの決済時にメールやSMSに本人認証サービスの認証ページが届き、そこから手続きをする流れです。
手間はかかりますが、不正利用されないためには非常に有効な手段といえます。
ナンバーレスなクレジットカードも効果的
盗み見によるクレジットカード情報の流出を防ぐために、ナンバーレスなクレジットカードも増えています。
実店舗での決済が多い場合は、ナンバーレスのクレジットカードが有効といえるでしょう。
クレジットカード情報はアプリに集約されるので、スマホのセキュリティにも気をつければ情報流出のリスクを減らせます。
ナンバーレスカードは2020年以降に普及したばかりですが、今後はより一層普及していくと予想します。
セキュリティに定評あり|おすすめのクレジットカード3選
クレジットカードの中でも特にセキュリティに特化したおすすめのクレジットカードをご紹介します。
三井住友カード(NL)
三井住友カード(NL)は、カードに番号が印字されないナンバーレスなので、カード番号を盗み見られるリスクがありません。
カード情報はアプリで確認ができるため、スマホのセキュリティに気をつければ、情報漏洩のリスクを減らすことができます。
申し込みから最短30秒で発行可能で、ネットショッピングならすぐに利用可能です。
楽天カード
楽天カードは、ネットで買い物する際に本人確認を行う「本人認証サービス(3Dセキュア)」を利用できます。
また、カードの利用があった際にはメールで通知が届くため、不正利用に気づきやすい体制になっています。
永年無料で利用でき、通常還元率は1.0%と、スペックも申し分ありません。
PayPayカード
PayPayカードはナンバーレスのデザインなので、カード番号を盗み見されるリスクを防げます。
クレジットカードを利用する都度、利用情報が通知されるため、不正利用された場合も即座に気づくことができるでしょう。
本人認証サービス(3Dセキュア)を利用することにより、不正利用を防ぐ対策ができます。
クレジットカードが不正利用されても、補償されないケースについて
クレジットカードが不正利用された場合、補償されるケースがほとんどですが、一方で状況によっては補償されない場合もあります。
以下のケースに注意しましょう。
クレジットカードを不正利用されてから60日以上が経過する
クレジットカード会社に不正利用を認めてもらえた場合には、その分を補償してくれるケースがほとんどです。
しかし、不正利用されてから60日以上経過していると補償されないケースが多いです。
普段利用していないクレジットカードについても、不正利用がないかこまめに確認するようにしましょう。
クレジットカードが家族に利用されている
クレジットカードを家族に利用された場合は、本人が知らなかったとしても不正利用と認められません。
例えば、親名義のスマホで子供がゲームの課金をしてしまった場合などがトラブルになりやすいです。
そのため、普段からクレジットカードを利用する際には報告するようにコミュニケーションをとっておきましょう。
クレジットカードに未サイン
クレジットカードの裏側にはサインをする必要があります。
クレジットカードの裏側にサインをしていない状態でクレジットカードを紛失・盗難の被害に遭い、不正利用された場合には補償の対象にはなりません。
クレジットカードを入手した悪意のある第三者が勝手にサインを書き不正利用してしても、サインが同じだとお店の人が気づかない可能性が高いからです。
クレジットカードの不正利用を防ぐためには事前の対策が重要
クレジットカードの不正利用を防ぐために、自分でもできる対策があります。
カード裏の署名など基本的な使用ルールを守る
カードの裏面には必ず署名をするなど、基本的なルールは守るようにしましょう。
カードの裏にサインを書いていないと、クレジットカードを手に入れた悪意ある第3者が勝手にサインを書き、不正利用する可能性があるからです。
クレジットカードを作ったら、真っ先にサインを書きましょう。
定期的に料金明細を確認する
利用明細は定期的に確認するようにしましょう。
特に、普段あまり利用しないクレジットカードは不正利用の発見が遅れるケースがあります。週1回程度は確認すると安心です。
管理しきれないほどクレジットカードを保有しているのであれば、必要ないクレジットカードは解約をおすすめします。
不正検知システムやナンバーレスかどうか確認する
クレジットカード会社によりセキュリティ体制は異なります。
不正利用が気になるのであれば、不正検知システムを導入しているクレジットカードかを確認して利用するようにしましょう。
また、実店舗での利用が多い場合は、ナンバーレスのカードを使うと盗み見による悪用リスクを減らせて安心です。
まとめ
クレジットカードの不正利用には、スキミング・フィッシング詐欺・ハッキング・盗難などさまざまな原因があります。
身に覚えがない明細を見つけた場合には、直ちにクレジットカード会社へ連絡し、利用停止手続きを行ってください。
ほとんどのクレジットカード会社では利用停止の窓口を設けており、24時間365日対応してくれます。
基本的に、不正利用された場合にはその金額分の補償が行われますが、不正利用から日が経っていたり、サインを書いていなかったりする場合は対象になりません。
不正利用されていないか利用明細を確認する習慣をつけ、クレジットカードの裏面には必ずサインを書くようにしましょう。
また、各社セキュリティ対策をしているため、セキュリティが気になるのであれば、本人認証サービスが使えるカードやナンバーレスカードを利用しましょう。
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監修者
伊藤 亮太
- ファイナンシャルプランナー/CFP®認定者
慶應義塾大学大学院商学研究科経営学・会計学専攻修了。在学中にCFPを取得する。その後、証券会社にて営業、経営企画、社長秘書、投資銀行業務に携わる。2007年11月に「スキラージャパン株式会社」を設立。現在、富裕層個人の資産設計を中心としたマネー・ライフプランの提案・策定・サポート等を行う傍ら、資産運用に関連するセミナー講師や講演を多数行う。著書に『図解即戦力 金融業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)、『ゼロからはじめる!お金のしくみ見るだけノート』(宝島社)など多数。
執筆者
勝目 麻希
- ファイナンシャルプランナー
新卒で総合職としてメガバンクに入行し、法人融資・金融商品販売等を担当。転職・結婚・出産を経て一時は専業主婦になったが、自分の知識や経験を活かしたいと思い独学でライターの道へ。現在は、ファイナンシャルプランナーの知識を活かして、金融系メディアを中心に執筆している。ライター以外の活動として、Webライターを育てる講座やマネーセミナーも実施中。