外貨預金をおすすめしない理由~実は意外なデメリットが!知っておきたい仕組みとメリット
「外貨預金をおすすめしない理由はある?」「外貨預金をおすすめされたけど、お金を増やすなら投資信託の方が良いのでは?」と外貨預金について調べている人も多いのではないでしょうか。
外貨預金とは、日本円を「外国の通貨」に換えて預金することです。通貨によっては円預金より高い金利が適用されますが、為替リスクがあるため元本保証はありません。
本記事では「外貨預金をおすすめしない理由・デメリットを知りたい」と思っている人に向けて、知っておきたい外貨預金の仕組み・為替リスク、投資信託や保険との比較など、わかりやすく解説します。
- 外貨預金をおすすめしないと言われる理由は「為替リスクがある」「ペイオフは対象外」などのデメリットがあるため
- 外貨預金の為替リスクが心配な時の対処法は「長期運用をする」「預金のタイミングを分散する」など
- インフレに備えるなら債券や外貨建て保険も検討する
外貨預金とは
日本円を「外国の通貨」に換えて預ける預金を「外貨預金」といい、外貨預金には主に「外貨普通預金」と「外貨定期預金」があります。
外貨普通預金と外貨定期預金は、円普通預金や円定期預金の外貨バージョンと考えると良いでしょう。
外貨普通預金は円普通預金と同様に、いつでも預け入れや引き出しができる流動性の高い外貨預金のことです。
外貨定期預金も円定期預金と同じく、預入期間が決まっている預金のことで、流動性は普通預金より低くなりますが、適用金利は普通預金より高いのが特徴です。
円預金と外貨預金の大きな違いは、為替が関係するかどうか、つまり為替リスクがあるかどうかです。預入時より引出時が円高になっていれば為替差損が、反対に円安になっていれば為替差益が生じます。
(参考:外貨預金の特徴を知る | C.投資する | 一般社団法人 全国銀行協会)
主なメリット
外貨預金を行うメリットは3つあります。
1つ目は、円預金より高金利が期待できる点です。諸外国の金利水準は日本よりも高く、外貨預金に預け入れると、その国の高い金利が預金に適用されることになります。
2つ目は、為替差益を得られる点です。例えば、預入時の為替レートが1ドル100円で、引出時のレートが110円であれば、1ドルあたり10円の為替差益が生じます。
3つ目のメリットは流動性が高い点で、外貨普通預金などは預け入れ期間に関する制限がありません。万が一お金が必要になった場合は、すぐに円に換金することができます。(※)
※ただし、円換算する時の為替レートにより元本割れをする可能性があります
外貨預金をおすすめされた時の注意点
金融機関の窓口やホームページなどで、外貨預金キャンペーンの案内を受けた経験はありませんか。
外貨預金のキャンペーンは、金融機関が預金を獲得するために行うサービスで、キャンペーン期間中に外貨預金に預け入れをすると、通常よりも高い金利が適用されるというものです。
市中金利より高い金利が適用されるので預け入れる側にとっては魅力的ですが、優遇金利が適用される期間は1ヶ月や3ヶ月、半年など、期間が限られている点に注意が必要です。
預金金利は年利で表示される場合がほとんどなので、預入期間が半年や3ヶ月など、1年に満たない場合は、年利で計算した利息をすべて受け取ることができません。
実際受け取れるのは、1年経過した時に受け取れる利息を預入期間で按分した金額になります。金利は大切ですが、預入期間にも注目しておきましょう。
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外貨預金はおすすめしないと言われている理由
外貨預金は円預金より高金利が期待できるメリットがある一方で、いくつかの注意点があります。
①為替リスクがあり元本保証ではない
外貨預金は為替リスクのある金融商品です。そのため、預入時と引出時の為替水準により、円転時に為替差損が発生する可能性があります。
外貨預金のなかでも、金利の高い通貨を長く保有していれば、利息収入で為替差損をカバーできる場合もありますが、これも将来の為替相場次第です。
また、外貨預金は外貨ベースでの元本は保証されていますが、円に交換するのであれば元本の保証はなくなります。これらの点がおすすめしにくい理由に挙げられるのかもしれません。
②為替手数料がかかる
外貨預金への預入時、引出時には所定の為替手数料が必要です。
為替手数料は外貨取引時に発生する費用で、預入時は為替取引の基準レートである仲値に手数料が上乗せされ、引出時には仲値から手数料が引かれます。
ちなみに仲値はTTM、手数料を含む預入時の為替レートをTTS、手数料を引いた引出時の為替レートをTTBと言い、外貨取引はこれらのレートを用いて行います。
為替手数料は金融機関や通貨によって異なり、金融機関によっては為替手数料を優遇したり、手数料を一定期間割り引くキャンペーンを行うこともあります。
③預金保険制度(ペイオフ)は対象外
銀行が破綻した場合、1人あたり元本1000万円とその利息を最低保証する制度のこと
対象となる預金は、利息のつく普通預金や定期預金などの一般預金です。当座預金や利息のつかない普通預金などの決済性預金は全額保護されます。
一方、外貨預金は預金保険制度の対象外で、万が一の場合は預金が保護されません。
預けた金融機関に万が一があると、自分の外貨預金が保護されない可能性もあるので、外貨預金を預ける際は信頼性の高い銀行を選ぶことが大切です。
④為替の仕組みがわかりづらい
外貨預金は円より高い金利でお金を運用したり、為替の差で利益を狙うことができる金融商品で、取引の都度、円と外貨を交換する必要があります。
しかし、為替の動きは専門家でも予想しづらく、取引の仕方によっては、その仕組みがわかりにくいこともあります。
また、預け入れや引き出しを頻繁に行う場合、損益分岐レートの計算が複雑になりがちです。
長期保有であっても、自身の資産の損益レートは把握しておいた方が流動性も確保しやすくなります。
円高・円安による影響:預け入れの時
外貨預金を預け入れる場合には、為替の円高や円安の影響を受けます。ドルと円の為替レートで考えてみましょう。
例えば、1ドル=100円の時に10万円分のドルを購入する場合、ドルの額は1000ドルとなります。1ドル80円の場合は、10万円÷80円=1250ドルです。
預入時が過去のある時点より円高になった場合、預け入れできる外貨は増加し、円安になると預け入れできる外貨は減少することになります。
円高・円安による影響:引き出しの時
外貨預金を引き出す場合も、円高・円安の影響を受けます。
例えば、1ドル=100円の時に10万円分のドルに預入した場合、保有できるドルは1000ドルです。一定期間保有したのち、引き出す場合を考えてみましょう。
購入した時よりも為替が円高になったとします。仮に1ドル=80円で引き出す場合は、80円×1000ドル=8万円となり、2万円の損となります。
一方、1ドル=120円となっていた場合は、120円×1000ドル=12万円となり、2万円の利益が出ます。
引出時が預入時より円高になった場合、外貨を円に換算した額には損失が発生し、円安になると利益が得られることがわかります。
外貨預金のリスクが心配な時の対処法
外貨預金の為替リスクが心配な時の対処法について、プロが詳しく解説します。
①外貨預金の運用のポイント
運用の際は以下のポイントをおさえておきましょう。
長期運用を心がける
外貨預金は日々変動する為替相場を活用すれば、短期での取引も可能な金融商品です。
短期取引を行う場合、為替の僅かな差で利益を狙うことになりますが、為替手数料を考慮しておかないと損失が生じる可能性があるので注意が必要です。
できれば外貨預金で資産運用をするのなら、他の金融商品と同じく、長期で運用することをおすすめします。
為替が円高になればリターンは減少しますが、高金利の外貨であれば、長期運用による複利効果を得やすく、為替リスクを軽減させることができます。インフレ対策にもなるでしょう。
複数の外貨で運用する
外貨預金はさまざまな国の通貨で預け入れができます。
アメリカであれば米ドル、オーストラリアであれば豪ドルなど、国ごとに通貨が異なるだけでなく、為替レートや動きもそれぞれ異なります。
資産に余裕があれば、1種類の通貨を保有するよりも複数の通貨を購入してリスクを分散させることを検討しましょう。
外貨預金には為替リスクだけでなく、地政学リスクもあります。通貨を分散させることは資産運用において大切な観点といえるでしょう。
預金のタイミングを分散する
政治や経済の状況等により、為替相場は常に変化します。そのため、預け入れのタイミングを分散させる、いわゆる分散投資は資産運用の観点からも効果的な方法です。
例えば、投資信託の積立投資のように、毎月決まった金額を決まった日に預け入れるようにしておけば、購入単価を平準化することができます。
ただし、この方法は長期的に円高が続くような状況だと損失が膨らむ可能性があります。
為替相場はプラザ合意以降、ある程度決まった範囲で循環しており、一方的に円高や円安が進むことは考えにくいのですが、為替相場の動きに慣れたら、自分のタイミングで定期的に購入するのもひとつの方法です。
②外貨ではなく円建ての金融商品を選択する
外貨預金は円預金よりも高い金利が魅力の金融商品ですが、為替相場や為替手数料などに注意する必要があります。
また、外貨預金はペイオフの対象外であるため、万が一銀行が破綻した場合は、元本が戻ってくる保証はありません。
万一、外貨預金に不安を感じる場合は外貨ではなく、円建ての金融商品を選択すると良いでしょう。
金利を活かすなら債券と外貨建て保険を検討する
外貨預金は円預金より金利が高く、インフレ対策にも有効な金融商品です。外貨預金以外で高金利が期待できる金融商品だと、債券や外貨建ての保険などが挙げられます。
これらの商品は外貨預金と同様に高金利で運用されるため、長期運用にも向いています。
商品の仕組みはそれぞれ異なるので、自分の投資目的に合う商品を選んでみてはいかがでしょうか。
債券とは
企業や国、地方自治体などが、多数の投資家から資金を調達するために発行する有価証券のこと
投資家は、債券を購入することで発行体に資金を提供し、この間は、あらかじめ決められた利子を受け取ることができます。
満期が到来したら投資家に元本が払い戻される仕組みですが、発行体の財務状況が悪化すると、利子の支払いが滞ったり、元本の返済が遅れたりするリスクがあります。
債券にはさまざまな種類があり、なかにはリスクが高い債券もあるため、自分のリスク許容度に合った債券を選ぶことが重要です。
安定的にお金を増やすことができる
債券の種類には、円建てや外貨建て、国債や社債などさまざまな種類の債券が発行されています。
運用期間中に利子が受け取れる利付債券や、利子の支払いがなく額面から一定金額を割り引いて発行されるゼロクーポン債などがありますが、いずれの債券も満期時には額面金額が受け取れるため、安定的な運用が可能です。
外貨建て債券には為替リスクがありますが、債券運用は将来のキャッシュフローがはっきりしています。損益分岐レートを計算しやすく、運用をする上での安心材料になるでしょう。
預金よりも高い利率の債券もある
債券の利回りは円建て債券であっても、預金金利よりも高いのが一般的です。
証券会社や銀行では、さまざまな債券を購入できるので、発行体や利回り、償還期間など、資産運用の目的が達成できる条件の債券を選ぶと良いでしょう。
ただし、高い金利だけを目当てに購入すると、思わぬ損失が発生することもあります。
特に新興国の債券は金利が高い分、為替リスクや地政学リスクなどに注意が必要です。リーマンショックなど過去の金融危機の際は、新興国の債券価格が軒並み大きく下落したこともありました。
債券購入に不安がある場合は、資産運用に詳しい専門家に相談してみるのもおすすめです。
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外貨建て保険とは
外貨で運用できる保険には終身保険、養老保険、個人年金保険などがあります。通貨は米ドル建てが一般的ですが、ユーロ建て、豪ドル建ての保険もあります。
終身保険は一生涯保障が続く保険のことで、死亡や高度障害など万が一が起こった場合に保険金が受け取れる保険です。貯蓄性があるので資産形成にも向いています。
養老保険は保険期間が決まっている定期保険の一種です。保険期間中に死亡した場合は死亡保険金が支払われますが、満期を迎えた場合は死亡保険金と同額の満期保険金を受け取れます。また、終身保険と同様に貯蓄性があります。
個人年金保険は老後の資産形成を目的とした保険です。加入時にあらかじめ定めた時期が到来したら、以降は年金形式でお金を受け取ることができます。
外貨建て保険の場合、受け取る保険金や年金が外貨で支払われるため、円に換算する時の為替レートにより、受け取り額が変動します。
運用目的で加入する場合は別ですが、万が一の場合に備えて外貨建て保険に加入する場合は、為替の影響も考えた上で保険金額などを検討するようにしましょう。
万一の保障を持ちつつ貯蓄ができる
外貨建て保険に加入するメリットは、万が一の保障を確保しながら、資産運用も同時に行える点です。
外貨建て保険の場合は、円よりも高い利率で運用されているため、同種の円建ての保険商品と比較すると保険料が割安です。
また、同じ保険料を支払っていても、死亡時や高度障害時には大きな保障を得やすくなるでしょう。
解約返戻金も同様で、利率が高い外貨建て保険であれば、解約時に受け取れる額は円建て保険より多くなります。
外貨ベースの利率を最低保証している場合がある
外貨建て保険のなかでも、外貨建て終身保険は保険期間中に適用される積立利率が決まっており、多くの場合、積立利率は最低保証されています。
保険会社によって、商品の仕組みがやや異なりますが、円建て保険より高い利率で長期間運用できるのが外貨建て保険のメリットです。
年齢が若いうちに加入すれば、高金利の恩恵を長く享受しながら資産形成をすることができるでしょう。
ただし、保険は早期に解約すると手数料の負担が大きくなります。また、長期保有を目指すため、保険会社の信用リスクにも注意が必要です。
外貨預金・外貨建て保険・NISA…選び方に悩んだらプロに相談
世の中には外貨預金や外貨建て保険、外貨建て債券など、多くの外貨建ての金融商品が出回っています。
長期運用を支援するNISAやiDeCoなどの非課税制度も登場し、投資家にとっては、どのような商品を選んだら良いか、どの制度を利用したら良いか、悩んでいる人も多いかもしれません。
投資したくても自分では商品が選べない時など、資産運用に困りごとが生じたら、資産運用に関するアドバイス経験が豊富な専門家に相談するのがおすすめです。
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資産運用に悩んだら、豊富な金融知識と経験をもつマネイロコンシェルに相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ:外貨預金を活用する時は仕組みを理解しよう
外貨預金は、円預金では得られない高い金利が魅力の金融商品です。長期運用に向いているだけでなく、短期運用でもリターンが得られるので、投資家自身のニーズに応じて利用しやすい金融商品とも言えるでしょう。
一方で、外貨預金には為替リスクがあり、円換算額は為替レートに左右されるほか、取引には為替手数料が必要になります。
外貨建ての金融商品は、外貨預金や債券、保険などがありますが、どの商品で資産形成を行うにしても、まずは仕組みをきちんと理解しておくことが大切です。
商品への理解が進まないまま運用をスタートしてしまうと、せっかく始めた資産運用も途中で挫折してしまいかねません。
資産運用を行う時は、投資に関する正しい知識が必要です。まずは信頼できるお金のアドバイザーに相談して、投資に役立つアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。
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監修者
土屋 史恵
- ファイナンシャルプランナー/金融ライター/編集者
神戸市外国語大学卒業後、外資系生命保険会社、都市銀行にてリテール営業、法人営業に携わる。遺言信託など資産承継ビジネスに強み、表彰歴あり。その後は長年の金融機関勤務経験を活かし、金融メディアに転職。記事執筆や編集などを担当。現在はフリーランスとして活動中。AFP、FP2級、証券外務員一種を保有。
執筆者
田中 友梨
- ファイナンシャルアドバイザー
筑紫女学園短期大学卒業後に株式会社三井住友銀行に入行。リテール営業に従事し、卓越した成績を残す。24歳で2年間銀行を休職し青年海外協力隊員としてフィリピンでボランティアをするなど異色の経歴を持つ。受賞歴多数。現在は金融IT企業で個人向け資産運用のコンサルティング業務を行う。老後資金の準備や相続の相談などを得意とし自身の投資歴20年以上。一種外務員資格(証券外務員一種)を保有。