今さら聞けない投資信託とは?なぜ利益が出る?図解で仕組みをわかりやすく解説
投資信託は初心者でも始めやすい資産運用ですが、そもそもどういう仕組みでお金が増えるのか、わからない人も多いのではないでしょうか。
本記事では初心者向けに図を使いながら、証券アナリストとファイナンシャルアドバイザーが投資信託の仕組みについて、わかりやすく解説します。
投資信託とは
投資の対象として主に株式と債券、不動産(REIT)があります。
株式なら場合によっては数百社の企業の株式を、債券なら数十カ国の公債や数百社の社債を一つにまとめ、それを詰め合わせたのが投資信託です。
投資信託の仕組み
投資信託のポイントは3つあります。
②運用の専門家(=ファンドマネージャー)が株式や債券などに投資・運用する
③各投資家の投資信託の購入金額を元本として、運用成果が投資家にとってのリターンまたはロスとなる
③にあるように、プロであるファンドマネージャーが運用したとしても、損が発生する可能性もあるのです。
投資信託の仕組みについて、もう少し詳しく説明していきますね。
まず、投資信託を始める時、銀行や証券会社(=販売会社)で投資信託の売買や、管理のための証券口座を開きます。
投資家は銀行や証券会社の人のアドバイスなどを参考にしながら、どの投資信託を購入するのか選択します。
この投資信託の口座は信託銀行にて分別管理されます。
つまり、口座を開いた銀行や証券会社が破綻しても、投資家の資金は守られていることになります。
管理するのは信託銀行ですが、肝心の運用方針を考えるのは別会社の運用会社です。
運用会社は方針に沿って信託銀行に指示を出し、信託銀行は指示に従って資産を売買し、運用管理していきます。
(関連記事:投資とは?なぜ必要?基本知識と初心者でも失敗しないコツをわかりやすく解説)
投資信託のメリット
投資初心者でも始めやすい投資信託ですが、大きく分けて3つのメリットがあります。
少額から投資ができる
投資信託は少額から投資することが可能です。販売会社によっては100円程度から始められます。
ただし、投資する金額が少なすぎると、たとえリターンが上がっても投資の効果が実感しにくいため、月1万円~2万円程度から始めると良いでしょう。
分散投資でリスクを抑えることができる
投資信託に投資をすれば、分散投資でリスクを抑えた投資が可能です。
投資信託は投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品です。
そのため、投資信託に投資をするだけで資金の投資先は分散していることになります。
株式や債券、不動産などにはそれぞれ値動きの特徴があり、この値動きの方向感や強弱が異なる商品を組み合わせることで、リスクを抑えることが可能になります。
よって、株式のみ、または債券のみに投資した場合よりも、さまざまな資産・銘柄に分散している投資信託の方がリスクが分散され、結果としてリスク軽減につながるのです。
他にも「先進国株式・新興国株式」「先進国国債・新興国国債」「国内株式・海外株式」といったように地域の分散をすることでリスクを減らすケースもあります。
これらがパッケージ化され、異なる資産が組み合わさった場合に互いの値動きが相殺される、または均(なら)されることで、投資信託のパフォーマンスに安定感が出てくる(=リスクが抑えられる)のです。
(関連記事:読めば投資信託の基本がわかる!投資初心者でも失敗しない選び方・始め方・運用方法)
(関連記事:投資信託の選び方のポイントは4つ~初心者でもできる!年代・ケース別にプロが解説)
投資信託の主なリスク
投資信託のリスクは主に4つあります。
専門家が運用するから初心者でも始めやすい
投資信託は、投資家から集めたお金を投資家に代わって専門家が運用します。
そのため、自分で投資先を探したり、投資先を分析していつ売却すれば良いか、そういったことを考える必要がありません。
よって、投資信託は投資に詳しくない初心者でも気軽に始められるのです。
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投資信託で利益が出る2つの仕組み
「投資信託はどういう時にお金が増えるんだろう?」と疑問に思ったことはないでしょうか。
初心者でもわかる投資信託で利益が出る仕組みをわかりやすく解説していきます。
①基準価額が上がることで得られる「売却益(キャピタルゲイン)」
投資信託の価格を「基準価額」といいます。
原則、日本の証券取引所が開いている日であれば、毎日基準価額は変動します。
ただし、当日の基準価額は国内外で異なるため、前日以前の組入銘柄の価格を反映したものとなります。
例えば、日本株で運用している投資信託であれば、前日の終値を基準として当日の投資信託の基準価額を決定します。
そのため、前日新たに投資信託を購入した投資家の元本は、1日前の株価が反映された本日の基準価額になります。
自分が購入して以降、基準価額が上がり、そのタイミングで売却すれば売却益(キャピタルゲイン)を得ることができるのです。
②運用の収益である「分配金(インカムゲイン)」
投資信託の中には、「収益分配金」を受け取れるものがあります。
収益分配金は、投資している株式や債券などの値上がり益や配当、利息などの利益が生じている場合に出ることがあります。
収益分配金が支払われるのは投資信託の決算日です。
投資信託には企業と同じように決算日があり、各投資信託によって毎月・3ヶ月・半年・1年ごととタイミングが異なります。
この決算日では収益分配金が支払われるほか、損益・資産の状況が計算・報告されます。
さらに、分配金は支払われず、運用資産として再投資する投資信託もあります。
Q1.「分配金あり」と「分配金なし」の違いとそれぞれのメリットは?
「分配金あり」のメリットは、運用期間中細かく利益確保できることです。
基準価額10000円の投資信託が決算日に12000円になり、その後9000円に下落した場合を考えてみましょう。
分配金ありの場合は、12000円の時に利益を分配金として支払われます。
仮に2000円出た場合、その後9000円に下落しても手元の2000円と合わせれば当初の10000円よりは増えていることになります。
一方、分配金なしの場合は一度12000円まで上がったものの、利益が確保されることなく9000円まで下がったことになるので、トータルで損している状態になります。
ただし、分配金が出ないため、運用益が再投資され、長期的に運用することで複利効果を得られやすいというメリットがあります。
この複利効果とは、運用益が再投資され、運用資産がその分増えることで、その後のリターンが大きくなる効果のこといいます。
では「分配金あり」と「分配金なし」はどちらが良いのでしょうか。
それは投資家の好みや資金ニーズによります。
分配金ありの場合は、運用中に利益を確保したい投資家に向いています。
しかし、途中で利益を確保し増えた部分を分配金として受け取ってしまうため、複利効果が上手に働かず、大きな資産を作りづらくなります。
既に大きな資産ができていて、その資産で上手く分配金を受け取り、現金収入を得たいという場合は良いのかもしれません。
一方、分配金なしの場合は、分配金を受け取らず増えた部分を再投資し最大限運用に回せるため、複利効果が時間とともに大きくなります。
上記のことから長期的に運用して、複利効果を高めて大きな資産を作っていく資産形成層は「分配金なし」が良いでしょう。
(関連記事:複利効果が倍になるのはいつ?単利とどっちが得?仕組みや計算方法をわかりやすく解説)
Q2.「普通分配金」と「特別分配金」の違いは?
分配金には「普通分配金」と「特別分配金」の2種類があります。
「普通分配金」は運用によって得られた利益を元に払われる分配金のことです。
普通分配金は投資家の利益となるため、課税対象になります。

「特別分配金」は利益ではなく元本の一部を投資家へ「返す」仕組みです。タコ足配当といわれています。
特別分配金は個別元本から支払われる分配金のため、運用資金が減っていきます。
元本の一部が戻ってくる仕組みであり、これは利益ではないという考えから、課税対象外になります。
投資信託の種類

投資信託にもさまざまな種類や区分があります。
これらを完璧に覚える必要はないものの、把握することによって、より自分に合った投資信託を選ぶことができます。
(関連記事:読めば投資信託の基本がわかる!投資初心者でも失敗しない選び方・始め方・運用方法)
購入方法(単位型・追加型)
投資信託を購入する場合、単位型投資信託と追加型投資信託があります。
単位型は「ユニット型」とも呼ばれ、定められた募集期間中にのみ購入ができます。また、3年や5年といった信託期間が決まっています。
追加型は「オープン型」とも呼ばれ、運用中であればいつでも購入ができ、信託期間が長期間または無期限となっています。
基準価額が下落し、そこを狙い目として追加購入したい場合は追加型投資信託のみ可能です。
投資対象地域(国内・海外・内外)
投資対象となる地域の区分は国内・海外・内外があります。
投資信託協会によると、国内の定義として「主たる投資収益が、実質的に国内の資産を源泉とするもの」としています。
次に海外は「主たる投資収益が、実質的に海外の資産を源泉とするもの」とし、内外は「主たる投資収益が、実質的に国内及び海外の資産を源泉とするもの」としています。
投資対象(REIT・株式・債券・金・その他)

投資対象は主にREIT(不動産投資信託)・株式・債券・金・その他があります。
REITは不動産投資信託とも呼ばれ、オフィスビルや商業施設・住居といった不動産を投資対象として運用する、不動産専門の投資信託です。
株式は「株式会社が出資者に対して発行する証券」で、債券は「国や企業などが、投資家から資金を借り入れるために発行する証券」です。
また、金は「有事の金」といわれ、世界情勢が不安定な時期に購入される傾向があります。
そしてREITや株式・債券・金以外のものをその他資産とします。
独立区分(MMF・MRF・ETF)
MMFは「マネー・マネージメント・ファンド」と呼ばれ、1992年から証券会社で発売されました。
主に国内外の公社債や譲渡性預金(CD)、コマーシャル・ペーパーなどの短期金融資産に投資するオープン型の公社債投資信託です。
似て非なるのがMRFです。
MRFは「マネー・リザーブ・ファンド」と呼ばれ、投資対象はMMFと同じです。
MMFとMRFの違いはMMFの場合、購入する度に手続きが必要になりますが、MRFの場合は証券口座に入金するだけで運用が開始できます。
一方ETFは「上場投資信託(Exchange Traded Fund)」と呼ばれ、証券取引所に上場している投資信託で、リアルタイムで売買できます。
運用方法(アクティブ・インデックス)
投資信託の運用方法にはアクティブとインデックスがあります。

投資信託においてアクティブとは「TOPIXなどの特定の指数を上回る成果を目指す」ことを表し、インデックスとは「指数と連動した動きをする」ことを意味します。
アクティブはプロが分析しながら運用を調整するため、購入者の支払う運用コストは高いですが、指数以上のリターンが期待できます。
一方、インデックスの場合は特定の指数とパフォーマンスを合わせるよう調整するため、指数以上のリターンが期待しづらいですが、運用コストは低いです。
投資信託を選ぶ時のポイント

投資信託を選ぶ時は
・特徴を踏まえたリスクとリターン
上記2点をきちんと理解することが大切です。
投資対象では、前述の通り「REIT・株式・債券・金・その他」があります。さらに対象地域まで考えると資産の組み合わせはさまざまです。
商品の特徴についても、分配金あり・分配金なし、アクティブ・インデックスといったような選択肢があります。
そして、これらは結果としてリスク・リターンに影響を与えます。
総合的に考え、自分に合った投資信託を選ぶことが重要です。
(関連記事:積立投資初心者が失敗しないコツは3つだけ!やりがちな失敗例と対策をプロが徹底解説)
(関連記事:投資信託の選び方のポイントは4つ~初心者でもできる!年代・ケース別にプロが解説)
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投資信託は約6000本あり、つみたてNISAについては201本(2021年12月現在)あります。
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※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます。
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監修
泉田 良輔
- 証券アナリスト/経営者/元機関投資家
株式会社OneMile Partners代表取締役。2018年にmoneiro(マネイロ)を運営するOneMile Partnersを創業。それ以前は日本生命やフィデリティ投信で外国株式や日本株式運用のファンドマネージャーや証券アナリストとして従事。慶應義塾大学商学部卒。東京工業大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。Amazon「一般・投資読み物」カテゴリで第1位を記録した『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資法』 など著書多数
著者
柴又 順平
- ファイナンシャルアドバイザー
専修大学・経営学部を卒業後、株式会社三井住友銀行に入社。おもに富裕層向けに、約17年間資産運用コンサルティング業務に従事。投信、保険、債券、住宅ローン、遺言信託、資産承継など、幅広い金融商品の取り扱いが可能で深い知識を有している。キャリアの途中からは管理職として部下の育成にも関わる。2021年に株式会社OneMile Partnersに入社。現在は、金融IT企業で個人向け資産運用のコンサルティング業務を行う。AFP(Affiliated Financial Planner)、一種外務員資格(証券外務員一種)、プライマリーPB(プライベートバンカー)資格を保有
宮内 勇資
- ファイナンシャルアドバイザー
ファイナンシャルアドバイザー。専修大学商学部卒業後、水戸証券株に入社。リテール営業に従事し、国内外株式、投資信託、債券などが得意分野。キャリアの途中からは人材育成にも携わり、主に若手社員の能力向上に大きく貢献した。2021年に株式会社OneMile Partnersに入社。現在は個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。AFP(Affiliated Financial Planner)、一種外務員資格(証券外務員一種)保有