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iDeCoは60歳以降どうなる?受け取り方法・運用の注意点・おすすめの投資を解説

iDeCoは60歳以降どうなる?受け取り方法・運用の注意点・おすすめの投資を解説

iDeCo2025/10/09
  • #60代

»3分でわかる!60歳からの資産運用タイプ

iDeCoは60歳以降どうなるのか気になっている人も多いでしょう。現行のiDeCoでは原則60歳から75歳まで受け取り可能で、一時金や年金など受け取り方法を選べます。

2025年の制度改正により、2027年から70歳まで加入可能となる予定です。しかし、60歳以降も運用を続ける場合、収入減により所得控除の効果は小さくなり、運用期間も短くなるため注意が必要です。

60歳からは資産を大きく増やすよりも守る運用が重要で、NISAを活用した積立や退職金を活かした債券投資など、柔軟に取り崩せる方法も検討しましょう。本記事では、60歳以降のiDeCoの受け取り・運用・注意点などについて、わかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 税制優遇を最大化する3つの受け取り方法
  • 60歳以降もiDeCoを継続するための条件と今後の法改正
  • 資産を減らさないための運用戦略と注意点


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60歳以降のiDeCo受け取り方法と期間

iDeCoで積み立てた資産は、受け取り方とタイミングを自由に選ぶことができます。主な受け取り方法は「一時金」「年金」「併用」の3種類があります。

一時金・年金・併用の3パターン

iDeCoの受け取り方法には大きく3つあります。

1つ目は「一時金」です。これは積み立てた資産を一度に全額受け取る方法で、税制上は退職金と同じ「退職所得」として扱われます。そのため、勤続年数や加入年数に応じて「退職所得控除」が適用され、税負担を大きく減らせるのがメリットです。

2つ目は「年金」方式です。公的年金と同じように、定期的に一定額を分割して受け取ります。税制上は「雑所得」に分類され、「公的年金等控除」が使えます。ただし、国民年金や厚生年金と合算して課税される点には注意が必要です。

3つ目は「併用」方式です。資産の一部を一時金で受け取り、残りを年金形式で受け取る方法です。この場合、それぞれに対応する控除(退職所得控除と公的年金等控除)が適用されます。ただし、金融機関によっては併用方式を選べない場合があるため、事前に確認しておきましょう。

受け取り開始は原則60歳から75歳まで

iDeCoの老齢給付金は、原則として60歳から受け取りを開始できます。そして、受け取り開始のタイミングは60歳から75歳までの間で、加入者が自由に選択可能です。。

ただし、60歳から受け取るためには、iDeCoの通算加入者等期間が10年以上必要です。通算加入者等期間とは、掛金を拠出した期間と運用のみを行った期間を合計したものです。

この期間が10年に満たない場合は、加入期間に応じて受給開始年齢が段階的に繰り下げられます。例えば、通算加入者等期間が8年以上10年未満の場合は61歳から、1ヶ月以上2年未満の場合は65歳からとなります。

ポイントの解説

60歳以降に新規でiDeCoに加入した場合は、加入日から5年が経過した時点から受け取りが可能になります。自身の加入期間を確認し、いつから受け取れるのかを正確に把握しておくことが大切です。

受け取り手続きの流れ

iDeCoの資産を受け取るための手続きは、自動的に開始されるわけではなく、請求手続きを行う必要があります。

手続きは以下の流れで進めるのが一般的です。

受け取り手続き
1
受給資格の通知
受給可能な年齢に達すると、iDeCoに加入している金融機関に登録している住所に「受給権資格取得通知書」といった書類が届きます
2
受け取り方法の決定
通知書の内容を確認し、一時金、年金、またはその併用のうち、どの方法で受け取るかを決定します
3
請求書類の取り寄せと準備
受け取りを開始したい時期が近づいたら、金融機関に連絡して給付請求に必要な書類を取り寄せます。併せて、印鑑登録証明書などの添付書類も準備します
4
書類の提出
請求書類に必要事項を記入・押印し、添付書類とともに金融機関に提出します
5
審査と給付
提出された書類が金融機関で確認され、不備がなければ「給付裁定結果通知書」が届き、指定した口座に給付金が振り込まれます

手続きには一定の時間がかかるため、受け取りを希望する時期から逆算し、余裕を持って準備を進めることをおすすめします。

60歳以降もiDeCoに加入・拠出できる?

60歳以降もiDeCoへの加入や掛金の拠出を続けることは可能です。

拠出は65歳まで、運用は75歳まで継続できる

現行のiDeCoでは、国民年金に加入していれば65歳まで拠出でき、拠出を終えた後も最長75歳まで資産運用を続けられます。

受け取りを急がずに運用を継続すれば、非課税のメリットを活かしながら相場回復を待つなど柔軟な対応が可能です。特に、受け取り時期を選べることは大きな利点といえるでしょう。

一方で、運用を続ける間は口座管理手数料がかかり続け、価格変動リスクも伴います。資産が必ず増えるとは限らないため、ライフプランやリスク許容度を踏まえて、運用をいつまで続けるかを慎重に判断することが大切です。

2027年以降は70歳まで拠出可能に

近年の働き方の多様化や高齢者の就業機会拡大を受け、iDeCoもより長く資産形成を続けられるよう制度が見直されています。

2025年の法改正により、iDeCoの加入年齢は現在の65歳未満から70歳未満へ引き上げられることが決定しました。

60代から資産形成を始めたい人でも、税制優遇を受けながら老後資金を準備できる期間が広がります。施行は2027年内と予定されているため、今後の法改正の動向をしっかり確認しておくことが大切です。

60歳以降もiDeCoを運用する際の注意点

60歳以降のiDeCo運用では、収入減により節税効果が小さくなることや、運用期間が短いため大きなリスクを取りにくいといった注意点があります。

こうした特有の事情を理解した上で判断することが大切です。

所得控除の効果は収入減で小さくなる

iDeCoの大きな魅力である掛金の全額所得控除は、所得にかかる税金を軽減する仕組みです。つまり、所得税や住民税を納めている場合にのみ、その節税効果を享受できます。

60歳以降、定年退職や働き方の変更によって収入が減少すると、適用される所得税率が下がったり、課税所得自体がなくなったりすることがあります。その場合、iDeCoの掛金を拠出し続けても、節税メリットは小さくなるか、まったく得られなくなる可能性があります。

退職後の収入見込みを把握し、所得控除の恩恵がどの程度見込めるのかをシミュレーションした上で、掛金の拠出を継続するかどうかを判断することが賢明です。

運用期間が短くリスクを取りにくい

60歳以降のiDeCo運用では、資産を受け取るまでの期間が短いため、若い世代のように時間を味方につけた運用は難しくなります。

万一市場が下落しても回復を待つ余裕がないため、株式などハイリスク資産への大きな投資は避けるのが無難です。

大きな損失を防ぐためには、資産を増やす「攻め」から、「守り」を重視した安定運用へシフトする必要があります。

リスク許容度を見極め、元本割れリスクを考慮した商品を選ぶことが大切です。

制度改正の動向を適宜確認する

iDeCoを含む年金制度は、社会情勢に合わせて頻繁に改正されます。特に60歳以降の運用や受け取りを考える場合、最新の制度動向を把握しておくことが欠かせません。

最近の大きな変更点として注目すべきは「退職所得控除の10年ルール」です。2026年1月以降、iDeCoの一時金を受け取ってから10年以内に会社の退職金を受け取ると、控除額が調整される仕組みが導入されます。

従来は5年だったため、iDeCoと退職金の受け取り時期の戦略に大きな影響を与える可能性があります。

ポイントの解説

税制の変更は手取り額に直結するため、知らないと予期せぬ負担を招きかねません。金融機関からの案内や公的情報を定期的に確認し、最新ルールを踏まえて計画を立てることが重要です。

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60歳からは「資産を守る」運用が大切

60歳は、自分の資産配分(ポートフォリオ)を見直す大切な節目です。若い頃と同じように株式などリスク資産を多く持ち続けると、退職後の生活に影響が出る可能性があります。

見直しの方法としては、株式の割合を徐々に減らし、その分を債券や元本確保型商品など安定資産に移す「リバランス」が有効です。

例えば「株式70%債券30%」から「株式40%債券60%」に変更すれば、市場急落への耐性が高まり、資産の大きな目減りを防ぎやすくなります。

ライフプランやリスク許容度を踏まえ、守りを重視したポートフォリオに切り替えていくことが安心につながります。

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60歳から検討したいおすすめの投資

60歳からの資産形成は、iDeCoだけでなく他の制度も組み合わせることで、より柔軟で効果的な運用が可能になります。

退職金などのまとまった資金と、年金などの継続的な収入をそれぞれ最適な方法で活用することがポイントです。

特に、非課税メリットがあり換金も自由なNISAは、iDeCoと並行して検討したい制度です。

一括投資+積立投資を組み合わせる

60歳以降の資産運用では、資金の性質に合わせて投資手法を組み合わせる戦略が有効です。

具体的には、退職金などで得たまとまった資金で行う「一括投資」と、公的年金などの定期的な収入の一部を使って行う「積立投資」の併用がおすすめです。

積立投資は柔軟に運用できるNISA

60歳から積立投資を考えるなら、NISA(少額投資非課税制度)は有力な選択肢です。iDeCoが原則60歳まで引き出せないのに対し、NISAはいつでも資金を引き出せるため、急な出費にも対応できる柔軟性があります。

NISAには、年間120万円の「つみたて投資枠」と年間240万円の「成長投資枠」があり、生涯の非課税保有限度額は合計1800万円と大きく設定されています。この枠を活用すれば、少額からでも効率的に資産を育てることが可能です。

iDeCoの拠出を終えた後の新たな積立先として、またiDeCoと併用する形でも、NISAを活用すれば非課税メリットを最大限に享受しながら効率的な資産形成が期待できるでしょう。

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一括投資は利子収入が得られる債券が有効

退職金などまとまった資金を投じる「一括投資」では、安定性と利子収入を両立できる債券が有力な選択肢となります。

債券は国や企業が資金調達のために発行する証券で、購入すると満期まで定期的に利子を受け取り、償還時には額面金額が戻る仕組みです。このため、計画的にキャッシュフローを確保できます。

元本割れリスクが極めて低く、個人向け国債では金利も最低0.05%が保証されているため、安全性を重視した60歳以降の資産運用に適しています。

大きな値上がりは期待できないものの、堅実に資産を守りながら利子収入を得たい方に向いた投資先といえるでしょう。

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60歳以降のiDeCoの運用で悩んだ時の相談先

60歳以降のiDeCoの運用や受け取り方は、退職金の有無、公的年金の受給額、そして今後のライフプランなど、多くの要素が複雑に絡み合います。

自分一人で最適な判断を下すのが難しいと感じた場合は、金融の専門家に相談することも有効な手段です。

IFAがおすすめの理由

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、特定の金融機関に属さず中立的な立場でアドバイスを行う専門家です。

銀行や証券会社のように自社商品の販売を優先することがなく、利用者一人ひとりの資産状況やライフプランに合わせて最適な提案をしてくれるのが大きなメリットです。

投資だけでなく、保険や相続といった幅広い分野も含めて相談できるため、老後資産を総合的に見直したい場合に適しています。

マネイロなら投資と保険を含めて総合相談が可能

マネイロの特徴

マネイロでは、IFAが専任でサポートし、投資と保険の両面から資産形成をサポートします。iDeCoやNISAを活用した投資の相談はもちろん、保障の見直しまで一括して行えるのが特長です。

複数の金融機関の商品を比較できるため、自分に最も合った選択肢を見つけやすくなります。

老後資金の準備を進めながら、必要な保障も確保したい方にとって、総合的に相談できるマネイロは心強い存在です。

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まとめ

60歳以降のiDeCoの活用でおさえておきたいポイントは以下のとおりです。

  • 受け取り方法:「一時金」「年金」「併用」の3種類があり、退職金や公的年金の状況など、自身に合った受け取り方法を選択しましょう
  • 継続加入と拠出:条件を満たせば60歳以降も掛金の拠出が可能で、法改正により将来的には70歳まで延長される見込みです
  • 運用方針:資産を増やす「攻め」から、資産を守る「守り」の運用へシフトし、債券や元本確保型商品の比率を高めることが推奨されます
  • 注意点:収入減による節税効果の低下や、退職所得控除のルール変更(10年ルール)など、60歳以降ならではの注意点があります。

ご自身のライフプランと照らし合わせ、iDeCoだけでなくNISAなどの制度も活用しながら、最適な資産形成・活用プランを立てましょう。判断に迷う場合は、専門家への相談も有効な選択肢です。

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執筆・監修
高橋 明香
  • 高橋 明香
  • ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者

みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。

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