
利上げとは?日銀が利上げする理由と家計・生活への影響を専門家がわかりやすく解説
»老後資金は結局いくら必要?いますぐ無料診断
利上げとは、中央銀行が政策金利を引き上げることを指し、私たちの生活や資産運用に幅広い影響を与えます。
利上げが行われると、住宅ローンや各種ローンの金利は上がりやすくなり、借入の負担は増加します。一方で、預金金利は上昇し、利子は増えやすくなります。
また、株式や債券、為替市場にも影響が及び、これまでの投資環境が大きく変わることもあります。
利上げは景気抑制やインフレ対策として実施されますが、家計や資産にとってはメリットとデメリットの両面があります。
本記事では、利上げの基本的な仕組みと、生活・投資にどのような影響があるのかをわかりやすく解説します。
- 利上げの基本的な仕組みと目的
- 住宅ローンや株価、為替などへの具体的な影響
- 今後の見通しと私たちが今からできる対策
金利が気になるあなたへ
現在の収入や資産で、将来どれくらいの貯金が貯まるのか、また老後生活にはどれくらい足りないのかを早めに把握して準備を始めましょう。マネイロでは、将来資金の準備を便利に進められる無料ツールを利用できます。
▶将来資金の無料診断:将来必要になる金額が3分でわかる
▶賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる
▶NISAで始める資産運用~基本編~:NISAの基本と資産運用の始め方入門
利上げとは何か?基本をわかりやすく解説
利上げとは、各国の中央銀行が政策金利を引き上げることを指します。
日本における中央銀行は日本銀行(日銀)であり、米国ではFRB(連邦準備制度理事会)がその役割を担っています。
中央銀行は、景気がよくなりすぎて経済活動が活発化し、物価が過度に上昇するインフレが進みすぎると判断した場合に利上げを実施します。
これにより、市中の金利が上昇し、企業や個人の消費や投資といった経済活動を抑制する効果が期待されます。
利上げは企業の資金調達コストや株価、個人の住宅ローンなど、経済全体に幅広い影響を及ぼすため、重要な金融政策の1つとされています。
政策金利とは
政策金利とは、中央銀行が景気や物価の安定を目的として設定する、金融機関への貸し出しなどに適用される短期金利のことです。
日本銀行は政策金利を操作することで、銀行などの金融機関の貸出金利に影響を与え、世の中に出回るお金の量を調整しています。
例えば、日銀が政策金利を引き上げると、金融機関はより高い金利で資金を調達することになるため、企業や個人への貸出金利も引き上げる傾向があります。
政策金利は国内のさまざまな金利の基準となるため、経済全体をコントロールするための重要な手段とされています。
利上げと利下げの違い
利上げと利下げは、景気や物価の状況に応じて中央銀行が使い分ける、正反対の目的を持つ金融政策です。
それぞれの目的と経済への影響は、以下の表のようにまとめることができます。
利上げは、景気がよすぎて物価が上がりすぎる「インフレ」を抑えるために行われます。金利を上げることでお金を借りにくくし、経済活動を少し落ち着かせる効果があります。
一方、利下げは、景気がわるく物価が下がり続ける「デフレ」の時に実施されます。金利を下げることでお金を借りやすくし、企業や個人にもっとお金を使ってもらうことで、経済を活発化させることを目指します。
日銀が利上げする理由
日本銀行が利上げに踏み切る主な理由は、日本経済を安定的かつ持続的に成長させるためです。
具体的には、「インフレの抑制」「景気の過熱防止」「通貨価値の安定」という3つの大きな目的があります。
これらの目的は相互に関連しており、日銀はさまざまな経済指標を分析しながら、最適なタイミングで金融政策を判断しています。
それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
インフレを抑えるため
日銀が利上げを行う一番の理由の1つは、インフレ(物価上昇)を抑制するためです。
インフレが適度な水準であれば経済によい影響を与えますが、物価が急激に上昇しすぎると、企業のコスト増や個人の生活費の圧迫につながり、経済全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで日銀は、利上げによって市中の金利を引き上げます。金利が上がると、企業や個人がお金を借りにくくなり、設備投資や消費を手控えるようになります。
その結果、世の中の商品やサービスに対する需要が抑えられ、物価上昇の勢いを和らげる効果が期待できるのです。
景気の過熱を防ぐため
利上げは、景気が過熱しすぎるのを防ぐ目的でも行われます。景気の回復・拡大期には経済活動が活発になり、企業の投資や個人の消費意欲が高まります。
しかし、動きが過剰になると、需要が供給を上回り、急激なインフレを引き起こしたり、資産価格のバブルを発生させたりするなど、経済が不安定になるリスクが高まります。
そこで、中央銀行は景気が過熱気味だと判断した場合に利上げを実施します。金利を引き上げることで、企業や個人の資金調達を抑制し、経済活動のペースを緩やかに調整します。
これにより、経済の急激な変動を防ぎ、持続可能な成長を目指します。
通貨価値の安定
利上げは、自国通貨の価値を安定させる目的も担っています。他国との金利差は為替相場に影響を与えます。
一般的に、投資家はより高い利子収入を得るために、金利の高い国の通貨を求める傾向があります。
例えば、日本の金利が米国の金利に比べて低いままだと、円を売ってドルを買う動きが強まり、円安が進行しやすくなります。
過度な円安は、輸入品の価格を高騰させ、国内の物価上昇を加速させる要因となります。日銀が利上げを行うことで日米の金利差が縮小すれば、円を買う動きが強まり、行き過ぎた円安に歯止めをかける効果が期待できます。
利上げは為替相場の安定を通じて、通貨価値を維持する役割も果たしています。
金利が気になるあなたへ
現在の収入や資産で、将来どれくらいの貯金が貯まるのか、また老後生活にはどれくらい足りないのかを早めに把握して準備を始めましょう。マネイロでは、将来資金の準備を便利に進められる無料ツールを利用できます。
▶将来資金の無料診断:将来必要になる金額が3分でわかる
▶賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる
▶NISAで始める資産運用~基本編~:NISAの基本と資産運用の始め方入門
利上げが私たちの生活に与える影響
利上げは、経済全体だけでなく、私たちの日常生活にもさまざまな影響を及ぼします。
- 住宅ローン
- 預金
- 株価
- 為替
- 物価
の5つの側面で変化を感じやすくなります。
プラスの影響とマイナスの影響の両方があるため、それぞれの内容を正しく理解し、自身の家計や資産状況に合わせて備えることが欠かせません。
具体的な影響を1つずつ見ていきましょう。
住宅ローンへの影響
日銀が利上げを行うと、変動金利型の住宅ローンを組んでいる人の返済額が増加する可能性があります。
住宅ローンの変動金利は、多くの場合「短期プライムレート」という指標に連動しています。短期プライムレートは、日銀の政策金利の影響を強く受けるため、政策金利が引き上げられると、連動して住宅ローンの適用金利も上昇する傾向があるのです。
金利の見直しは通常半年ごとに行われるため、利上げが実施されると、その後の見直しタイミングで毎月の返済額や総返済額が増える可能性があります。
一方、固定金利型でローンを組んでいる場合は、契約期間中の金利は変わらないため、直接的な影響はありません。
預金金利への影響
利上げは、お金を借りる人にとっては負担増となりますが、お金を預ける人にとってはプラスの影響があります。
日銀が政策金利を引き上げると、銀行などの金融機関も預金金利を引き上げる傾向があります。
これにより、普通預金や定期預金に預けているお金から得られる利子が増えるため、貯蓄のメリットが高まります。
長く続いた超低金利の状況では、預金から得られる利子はごくわずかでしたが、利上げが進む局面では、預金も資産形成の選択肢の1つとして見直される可能性があります。
リスクを抑えて着実に資産を増やしたいと考える人にとっては、金利の高い預金商品は魅力的に映るでしょう。
株価への影響
一般的に、利上げは株式市場にとってマイナス要因となり、株価が下落する傾向にあります。その理由は主に2つあります。
1つ目は、企業の業績への影響です。利上げによって金利が上昇すると、企業は銀行からの借入金に対する支払利子が増加します。
また、資金調達コストが上がるため、新たな設備投資や事業拡大に慎重になりがちです。これにより、企業の成長性への期待が低下し、株が売られやすくなります。
2つ目は、投資家の資金の流れの変化です。金利が上昇すると、株式のようなリスクのある資産よりも、国債や預金といったリスクが低く安定した利回りを得られる資産の魅力が高まります。
そのため、株式市場から資金が流出し、株価の下落圧力となることがあります。
為替(円高・円安)への影響
日銀が利上げを行うと、為替市場では円高に振れやすくなるのが一般的です。
為替相場は、2国間の金利差に影響されます。投資家は、より高いリターンを求めて金利の高い国の通貨で資産を運用する傾向があります。
例えば、米国が利上げを続けている一方で日本が低金利を維持していると、より魅力的な米ドルが買われ、円が売られることで「円安ドル高」が進行します。
しかし、日銀が利上げに踏み切ると、これまで開いていた日米の金利差が縮小します。すると、日本円で資産を運用する魅力が高まるため、円を買う動きが活発になり、円高方向に進みやすくなります。
ただし、為替相場は各国の経済状況や金融政策の見通しなど、さまざまな要因で変動するため、必ずしも利上げが円高に直結するとは限りません。
物価への影響
利上げは、物価の上昇を抑制する(下落させる)方向に作用します。そもそも利上げの主な目的が、行き過ぎたインフレを抑えることにあるためです。
物価は、基本的にモノやサービスに対する「需要」と「供給」のバランスで決まります。
需要が供給を上回れば物価は上昇し、下回れば下落します。
利上げが行われると、住宅ローンや企業の借入金の金利が上昇するため、個人は大きな買い物を控え、企業は設備投資を抑制するようになります。
このように、社会全体でお金を使う動きが鈍くなることで、モノやサービスへの需要が減少し、物価の上昇にブレーキがかかります。
ただし、利上げの効果が物価に反映されるまでには時間がかかるため、すぐに物価が下がるわけではありません。
日銀の利上げ動向と今後の見通し
日本銀行は長らく続いた大規模な金融緩和策からの転換を進めており、今後の利上げ動向に大きな注目が集まっています。
2024年には約17年ぶりとなる利上げに踏み切り、金融政策の正常化に向けた一歩を踏み出しました。
市場では次の利上げ時期についてさまざまな観測が飛び交っており、日銀が判断材料とする経済指標の動向がこれまで以上に重要になっています。
直近の動きと今後の見通しについて解説します。
直近の利上げ実施状況
日本銀行は、2024年3月にマイナス金利政策の解除を決定し、政策金利を従来の-0.1%から0~0.1%程度へ引き上げました。
これは2007年2月以来、約17年ぶりの利上げとなります。
決定は、持続的・安定的な2%の物価目標の実現が見通せる状況になったとの判断に基づくものです。
その後、2024年7月の金融政策決定会合では0.25%程度への追加利上げを実施。さらに、物価と賃金の上昇基調が続いたことから、2025年1月には0.5%程度への再利上げを行いました。
直近の2026年1月23日の会合では、これまでの利上げの影響を見極めるため、政策金利は0.75%で据え置かれています。
次回利上げの可能性
2026年1月23日の金融政策決定会合で金利据え置きが決定されたものの、日銀の植田和男総裁は利上げを続ける姿勢を維持しており、市場では次回の利上げ時期に関心が集まっています。
市場関係者の間では、春闘の結果などを踏まえた2026年4月の会合で追加利上げに踏み切るのではないか、という観測が強まっています。
一方で、今後の利上げ判断には不透明な要素も存在します。
1つは為替の動向です。2026年1月23日には日米両政府が為替介入の準備段階とされる「レートチェック」に動いたとの見方から円高が急伸しました。
このような円高の進行は、輸入物価を押し下げることでインフレを抑制するため、日銀の早期利上げ観測を後退させる可能性があります。
植田総裁は、データが明確に表れるのを待つのではなく、企業へのヒアリングなどを通じて「もっと手前で(経済状況を)つかまえたい」と述べており、今後の経済情勢を慎重に見極めながら、追加利上げのタイミングを探る姿勢を示しています。
日銀が注視する経済指標
日銀が追加利上げを判断する上で、重要視しているのが「基調的な物価上昇率」です。
「基調的な物価上昇率」とは、天候による価格変動が大きい生鮮食品や、国際情勢に左右されやすいエネルギー価格など、一時的な要因を除いた物価の変動トレンドを指します。
総務省が発表する消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、日銀が目標とする2%を長期間上回っていますが、日銀はこの「基調的な物価上昇率」がまだ2%に安定して達していないと見ています。
そのため、今後の金融政策を判断する上では、この基調的な物価の動向が最大の焦点となります。
加えて、物価と密接に関係する「賃金の上昇率」も重要な判断材料です。
持続的な賃上げが実現し、それが消費の拡大を通じて物価を押し上げるという好循環が確認できるかどうかが、追加利上げのタイミングを見極める鍵となるでしょう。
利上げ局面で私たちができる対策
利上げは、住宅ローンの返済額増加など家計に直接的な影響を与える可能性があります。一方で、預金金利の上昇といったメリットも生まれます。
このような金利の変動期においては、自身の状況に合わせた適切な対策を講じることが欠かせません。
個人が実践できる4つの具体的な対策について解説します。早めに見直しを行うことで、家計への影響を抑え、変化をチャンスに変えることも可能です。
住宅ローンの見直し
利上げ局面で影響を受けやすいのが、変動金利型の住宅ローンです。将来の金利上昇による返済額の増加に備えるため、以下の対策を検討することが推奨されます。
- 固定金利型への借り換え
今後の金利上昇が不安な場合は、返済額が一定になる固定金利型への借り換えが有効な選択肢です。金利が本格的に上昇する前に手続きを行うことが望ましいでしょう。
- 繰り上げ返済
手元の資金に余裕があれば、一部または全額を繰り上げ返済することで、元本を減らし、将来の利子負担を軽減できます。
- 返済計画のシミュレーション
まずは、金利が1%、2%と上昇した場合に毎月の返済額がどのくらい増えるのかをシミュレーションし、家計への影響を把握しておくことが必須です。
預金の活用
利上げは、預金者にとっては金利収入を増やすチャンスとなります。超低金利時代には魅力が乏しかった預金ですが、金利上昇局面ではその価値が見直されます。
普通預金よりも金利が高く設定されることが多い定期預金などを活用することで、より多くの利子を受け取ることが可能です。
各金融機関は、顧客獲得のために魅力的な金利のキャンペーン商品を展開することがあります。金利動向や金融機関の情報をこまめにチェックし、より有利な条件の預金商品を検討してみましょう。
リスクを避けたい資金や、近い将来に使う予定のあるお金の置き場所として、預金の活用は有効な手段です。
投資戦略の見直し
利上げは株価全体には下落圧力となりますが、すべての業種にマイナスというわけではありません。
このような局面では、自身の投資戦略を見直すことが必須です。
- 利上げの恩恵を受ける業種に注目する:一般的に、銀行や保険などの金融業界は、利上げによって貸出金利と預金金利の差(利ざや)が拡大し、収益が改善する傾向があります。
このような金利上昇の恩恵を受けやすいセクターへの投資を検討するのも1つの方法です。
- 債券投資を検討する:金利が上昇すると、新たに発行される債券の利回りも高くなります。株式に比べてリスクが低いとされる債券を、資産ポートフォリオの一部に組み入れることも有効な選択肢です。
- 分散投資を徹底する:特定の資産に集中投資するのではなく、株式、債券、不動産など、値動きの異なる複数の資産に分散して投資することで、金利変動リスクを低減させることが期待できます。
家計の固定費見直し
利上げによって住宅ローンの返済額が増加したり、物価上昇が続いたりすることで、家計の支出が増える可能性があります。このような状況に備えるため、家計の「固定費」を見直すことが有効な対策となります。
固定費とは、毎月一定額がかかる費用のことで、一度見直すと節約効果が長く続くのが特徴です。
具体的な見直しの対象としては、以下のような項目が挙げられます。
- 通信費(スマートフォン、インターネット回線)
- 保険料(生命保険、損害保険)
- 光熱費(電気・ガス会社の切り替え)
- サブスクリプションサービス(動画配信、音楽配信など)
これらの項目について、現在利用しているプランが本当に必要か、より安いプランやサービスに乗り換えられないかを検討してみましょう。
支出を削減することで、金利上昇による負担増を相殺し、家計に余裕を持たせることができます。
まとめ
利上げは、景気の過熱やインフレを抑制するために中央銀行が行う金融政策です。
私たちの生活には、住宅ローン金利の上昇といった注意すべき点がある一方で、預金金利の上昇というメリットももたらします。
大切なのは、利上げが進んだ場合でも、老後に必要な資金が足りるかどうかを把握することです。ここを整理しておくと、繰り上げ返済・積立額の見直し・資産配分の調整など、取るべき行動が見えてきます。
3分投資診断では、老後に必要な金額と現在の資産状況から、利上げを踏まえた将来資金の見通しを整理できます。
相場に振り回されず、長期視点で判断するための診断です。
»あなたに必要な老後資金を無料診断
金利が気になるあなたへ
現在の収入や資産で、将来どれくらいの貯金が貯まるのか、また老後生活にはどれくらい足りないのかを早めに把握して準備を始めましょう。マネイロでは、将来資金の準備を便利に進められる無料ツールを利用できます。
▶将来資金の無料診断:将来必要になる金額が3分でわかる
▶賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる
▶NISAで始める資産運用~基本編~:NISAの基本と資産運用の始め方入門
※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます
※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください
オススメ記事


金利が上がるとどうなる?生活への影響と今すぐできる対策をわかりやすく解説


