信託報酬の目安は?1%を超えると高い?手数料も含めた選び方のポイントをプロが解説

信託報酬の目安は?1%を超えると高い?手数料も含めた選び方のポイントをプロが解説

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投資信託を選ぶ際、「信託報酬は何%なら安い?」と気になる人も多いでしょう。信託報酬は保有中にかかり続けるため、長期運用では特に確認したいコストです。

目安は、インデックスファンドで年率0.1~0.5%程度、アクティブファンドで年率1.0~2.0%程度です。主要なインデックスファンドには、年率0.1%を下回る商品もあります。

本記事では、信託報酬の目安や何%から高いのか、投資信託を比較する際のポイントをわかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 投資信託の種類(インデックス/アクティブ)や投資対象で信託報酬の目安が異なる
  • 信託報酬のわずかな差が、長期運用では最終的なリターンに大きな影響を与える
  • NISAやiDeCoでは、コストを抑えたファンド選びが資産形成において重要なポイントとなる

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信託報酬の目安一覧【種類別・早見表】

投資信託の信託報酬は、運用スタイルや投資対象によって水準が異なります。

一般的に、特定の指数に連動することを目指すインデックスファンドはコストが低く、指数を上回るリターンを目指すアクティブファンドは高くなる傾向があります。

以下に、投資対象資産ごとの信託報酬の目安をまとめました。

投資対象資産
インデックス目安(年率)
アクティブ目安(年率)
国内株式
0.1%〜0.3%
1.0%〜2.0%
米国株式(S&P500)
0.08%〜0.2%
1.0%〜2.0%
先進国株式
0.1%〜0.5%
1.0%〜2.0%
全世界株式
0.05%〜0.2%
1.0%〜2.0%
新興国株式
0.15%〜0.6%
1.0%〜3.0%
バランス型
0.1%〜0.5%
1.0%〜2.0%

数字はあくまで目安です。実際の料率は改定が頻繁なので交付目論見書の最新値を、負担の実額は運用報告書の実質コストを確認してください。

信託報酬は何%から高い?【判定表】

信託報酬が高いか低いかは、ファンドの運用方法や投資対象によって目安が異なります。そのため、「〇%以上なら高い」と一律に判断するのではなく、同じ種類のファンド同士で比較することが大切です。

ポイントの解説

例えば、インデックスファンドでは、全世界株式や米国株式などで年率0.1%未満なら比較的低い水準といえます。一方、新興国株式やREITは運用にかかるコストが高くなりやすいため、信託報酬の水準も相対的に高くなります。

また、アクティブファンドは、銘柄の調査や選定などにコストがかかるため、一般的にインデックスファンドより信託報酬が高めです。

以下の判定表を、ファンドを比較する際の目安として活用しましょう。

判定表(インデックスファンド)

投資対象
低い(割安)
標準的
全世界・米国・先進国株式
0.1%未満
0.1%以上0.2%未満
国内株式・債券・バランス型
0.15%未満
0.15%以上0.3%未満
新興国株式・REIT
0.2%未満
0.2%以上0.7%未満

判定表(アクティブファンド)

投資対象
低い
標準的
株式型
1.0%未満
1.0%以上2.0%未満
国内債券・バランス型
0.5%未満
0.5%以上1.0%未満

数字はあくまで目安です。実際の料率は改定が頻繁なので交付目論見書の最新値を、負担の実額は運用報告書の実質コストを確認してください。

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信託報酬とは?投資信託でかかるコスト

投資信託を利用する際には、主に3つのタイミングでコストが発生する可能性があります。購入時、運用期間中、そして解約時です。

中でも、保有している限り継続的に発生する「信託報酬」は、長期的なリターンに影響するため、仕組みを正しく理解しておくことが重要です。

タイミング
費用
内容
ポイント
購入時
販売手数料
投資信託を購入する際に、銀行や証券会社などの販売会社へ支払う費用
無料の「ノーロード」商品も多い。NISAのつみたて投資枠対象商品は販売手数料が無料
運用時
信託報酬(運用管理費用)
投資信託を保有している間、運用・管理のために継続してかかる費用
信託財産から日々差し引かれる。長期運用ではわずかな料率の差でも運用成果に影響するため、重要な比較ポイント
解約時
信託財産留保額
投資信託を解約する際に発生することがある費用
すべての商品にかかるわけではない。販売会社に支払う手数料ではなく、信託財産に留保される

購入時:販売手数料(ノーロードなら無料)

販売手数料は、投資信託を購入する際に販売会社である銀行や証券会社に支払う費用のことです。購入金額に対して「〇%」といった料率で計算され、購入代金とは別に支払います。

ポイントの解説

ただし、近年ではこの販売手数料がかからない「ノーロード」と呼ばれる投資信託が主流になっています。中でも、NISAのつみたて投資枠の対象商品は、すべて販売手数料が無料です。初期コストを抑えたい場合は、ノーロードのファンドを選ぶのが選択肢の1つとなります。

運用時:信託報酬

信託報酬は、投資信託を保有している間、運用や管理の対価として継続的に支払うコストです。「運用管理費用」とも呼ばれます。

この費用は、投資家が別途支払うのではなく、信託財産の中から毎日自動的に差し引かれています。私たちが日々目にする投資信託の基準価額は、すでに信託報酬が引かれた後の数値です。

信託報酬は、ファンドの運用を行う「運用会社」、口座管理や販売を担う「販売会社」、資産の保管・管理を行う「信託銀行」の3者に分配されます。日々の負担はわずかに見えますが、長期で保有するほど総額が増加するため、投資信託選びでは重要な比較ポイントの1つです。

解約時:信託財産留保額

信託財産留保額は、投資信託を解約(売却)する際に発生することがある費用です。これは、解約に伴ってファンドが保有する株式などを売却する際の手数料を、解約者自身が負担するための仕組みです。

この費用は販売会社への手数料ではなく、ファンドの信託財産内に留保され、他の保有者のために使われます。料率は基準価額に対して0.3%程度が一般的ですが、販売手数料と同様に、信託財産留保額がかからない投資信託も増えています。

信託報酬がリターンに与える影響【シミュレーション】

信託報酬は、投資信託を保有している間、毎日少しずつ資産から差し引かれます。そのため、運用期間が長くなるほど、信託報酬の影響は増加します。

わずかな信託報酬率の違いが、将来の資産額にどれほどの差を生むのか、シミュレーションを通じて確認してみましょう。

信託報酬率×運用年数の最終資産差の表

毎月5万円を積み立て、年率5%のリターンで運用した場合、信託報酬率の違いによって最終的な資産額がどのように変わるかをシミュレーションしました。

信託報酬はリターンから差し引かれるため、例えば信託報酬率が0.5%の場合、実質的なリターンは4.5%として計算します。

運用期間
信託報酬0.2%(実質利回り4.8%)
信託報酬0.7%(実質利回り4.3%)
信託報酬1.5%(実質利回り3.5%)
資産額の差(0.2%と1.5%の比較)
10年
約764万円
約745万円
約715万円
約49万円
20年
約1985万円
約1879万円
約1724万円
約261万円
30年
約3936万円
約3608万円
約3147万円
約789万円

(参考:つみたてシミュレーター|金融庁)

表からわかるように、運用期間が長くなるほど、信託報酬率の差が最終資産額に与える影響は増加します。

30年間の運用では、信託報酬率が1.3%違うだけで、最終的に800万円程度の差が生まれる可能性があります。長期投資を行う上では、コストを意識した商品選びが重要です。

上記の試算は概算値です。運用に関するリスク、手数料、税金、為替等は考慮しておらず、実際値とは異なる場合があります。また、将来の結果を予測し、保証するものではありません

NISA・iDeCoの信託報酬の目安【制度別】

NISAやiDeCoは、運用益が非課税になる税制優遇制度ですが、投資信託の運用にかかる信託報酬は通常通り発生します。

これらの制度は長期運用が前提となるため、信託報酬のわずかな差が将来の資産額に影響します。

制度の特性を理解し、それぞれに適した信託報酬の目安を把握することが、賢い資産形成の第一歩です。

NISA:つみたて投資枠

NISAのつみたて投資枠は、長期・積立・分散投資に適した一定の基準を満たす投資信託が対象となっています。金融庁によって、信託報酬の上限が定められているため、低コストの商品がそろっているのが特徴です。

具体的には、国内株のインデックスファンドであれば年率0.5%以下、海外株のインデックスファンドであれば年率0.75%以下といった基準があります。

しかし、実際には競争の激化により、信託報酬が年率0.2%未満の優良なファンドが数多く存在します。つみたて投資枠で商品を選ぶ際は、年率0.2%を1つの目安とするとよいでしょう。

NISA:成長投資枠

NISAの成長投資枠では、つみたて投資枠の対象商品に加えて、アクティブファンドや個別株、ETFなど、より幅広い商品に投資できます。そのため、信託報酬の水準も商品によって異なります。

低コストのインデックスファンドを選ぶこともできますし、特定のテーマや運用戦略に魅力を感じて、信託報酬が1.0%を超えるようなアクティブファンドを選択することも可能です。

成長投資枠を活用する際は、コストだけでなく、自分がどのようなリターンを目指し、どの程度のリスクを許容できるかを考えた上で、投資方針に合った商品を選ぶことが重要になります。

iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、原則60歳まで資産を引き出せないという特性上、20年、30年といった超長期での運用が前提となります。そのため、NISA以上に信託報酬の低さが重要になります。

iDeCoで選べる商品は、運営管理機関(金融機関)によって異なります。低コストのインデックスファンドを豊富にそろえている金融機関もあれば、信託報酬が高めのアクティブファンドが中心のところもあります。

わずか0.5%の信託報酬の差でも、30年後には資産額に数百万円の差が生まれる可能性があるため、iDeCoを始める際は、商品の信託報酬だけでなく、金融機関選びも慎重に行うことが大切です。

信託報酬が低いファンドの選び方

長期的な資産形成を目指す上で、信託報酬の低いファンドを選ぶことは重要な戦略の1つです。コストを抑えることで、複利効果を最大限に活かすことができます。

ここでは、信託報酬が低いファンドを見つけるための具体的な3つのポイントを解説します。

①ネット証券を活用する

信託報酬の低いファンドを探すなら、ネット証券の活用が有効です。ネット証券は、対面型の証券会社や銀行に比べて人件費や店舗運営コストが少ないため、低コストの投資信託を豊富に取りそろえている傾向があります。

また、多くのネット証券では、投資信託の保有残高に応じてポイントが還元されるサービスを提供しています。信託報酬というコストを支払いながら、一方でポイントという形で還元を受けられるため、実質的なコストをさらに引き下げることが可能です。

品ぞろえの豊富さとポイント還元の両面から、ネット証券はコストを意識する投資家にとって有力な選択肢となります。

②低コストシリーズを検討する

近年、運用会社各社は「業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続ける」ことをコンセプトにした、低コストのインデックスファンドシリーズを展開しています。

代表的なものに、三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim」シリーズや、楽天投信投資顧問の「楽天インデックス・シリーズ」などがあります。

ポイントの解説

これらのシリーズは、競合する他社のファンドが信託報酬を引き下げると、それに追随して自社の信託報酬も引き下げるという特徴があります。

投資家にとっては、常に業界最安水準のコストで運用を続けられるメリットがあるため、こだわりがなければ、こうした低コストシリーズから商品を選ぶのが効率的です。

③純資産残高と「実質コスト」を確認する

ファンドを選ぶ際には、信託報酬だけでなく「純資産総額」と「実質コスト」も確認することが重要です。

項目
内容
確認するポイント
純資産総額
ファンドに集まっている資金の規模を示す指標
純資産総額が一定の規模を維持しているか、継続的に資金が流入しているかを確認する
実質コスト
信託報酬に加え、売買委託手数料や監査費用などを含めた実際の運用コスト
運用報告書で確認し、同種のファンドと比較する

純資産総額が大きいファンドは、規模を活かした効率的な運用が期待できます。ただし、純資産総額が大きいだけで運用の安定性や将来の成果が保証されるわけではありません。

また、信託報酬が同程度でも実質コストには差が生じることがあります。ファンドを比較する際は、信託報酬だけでなく実質コストも確認するとよいでしょう。

手数料だけにこだわりすぎるのは要注意

投資信託を選ぶ上で信託報酬の低さは重要な要素ですが、コストだけを基準に選ぶことには注意が必要です。信託報酬が高いファンドであっても、それを上回る優れた運用成績を上げていれば、結果として高いコストに見合う成果を得られる場合があります 。

大切なのは、コストとリターンのバランスです。自分の投資目的やリスク許容度に合ったファンドを選ぶことが、長期的な資産形成の成功の可能性を高めます。

投資目的やリスク許容度に合わせて選ぶ

投資信託を選ぶ際は、まず自分の投資目的を明確にすることが大切です。

「長期的に安定した資産形成を目指したい」のか、「多少のリスクを取ってでも高いリターンを狙いたい」のかによって、選ぶべきファンドは異なります。

例えば、安定志向であれば、市場全体に分散投資する低コストのインデックスファンドが有力な選択肢となります。一方、特定の成長分野に期待するなら、専門家が銘柄を厳選するアクティブファンドを検討する価値があります。

その場合、信託報酬は高くなりますが、運用戦略が自分の考えと合致していれば、コストを支払う意味があるでしょう。

自分のリスク許容度、つまりどの程度の価格変動に耐えられるかを把握し、目的に合ったファンドを選ぶことが、手数料の数字だけに惑わされない賢い選択につながります。

投資信託は組み合わせて活用する

1つの投資信託にすべてを託すのではなく、複数のファンドを組み合わせてポートフォリオを構築することも有効な戦略です。

ポイントの解説

例えば、資産の中核(コア)として、全世界株式や米国株式といった市場全体に連動する低コストのインデックスファンドを据えます。その上で、サテライト(衛星)として、AIや環境技術といった特定のテーマに特化したアクティブファンドや、新興国株式ファンドなどを少量加える方法です。

コア部分で安定的なリターンを確保しつつ、サテライト部分でより高い成長を狙うことで、リスクを管理しながらリターンの向上を目指せます。

このように、異なる特徴を持つファンドを組み合わせることで、コストとリターンのバランスが取れた、自分だけの運用スタイルを築くことが可能です。

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信託報酬に関するQ&A

信託報酬について、よくある質問と回答をまとめました。ファンド選びの参考にしてください。

Q. 信託報酬の目安は何%?

A. インデックスファンドなら年率0.1%~0.3%程度、アクティブファンドなら年率0.8%~1.5%程度が一般的な目安です。ただし、投資対象や運用戦略によって異なります。

Q. 信託報酬は何%から高い?

A. インデックスファンドの場合、年率0.5%を超えると割高感があります。アクティブファンドでは、年率1.5%~2.0%を超えるとやや高い水準といえるでしょう。ただし、運用内容に見合っているかが重要です。

Q. eMAXIS Slimの信託報酬はいくらですか?

A. 代表的な商品として、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は年率0.05775%以内、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は年率0.0814%以内です(いずれも税込)。業界最低水準のコストを目指す人気のシリーズです(2026年8月31日現在) 。

Q. NISAで投資できる投資信託の信託報酬の目安は?

A. つみたて投資枠の対象商品は、金融庁の基準により低コストのものがそろっており、年率0.2%未満が1つの目安です。

成長投資枠では商品によりますが、低コストのインデックスファンドから信託報酬1.0%超のアクティブファンドまで幅広く選べます。

Q. 信託報酬が安いのはいくらですか?

A. インデックスファンドの場合、年率0.1%未満であれば安い水準といえます。

近年は、純資産総額の大きい人気のファンドを中心に、0.1%を下回る低コスト競争が激化しています。

まとめ

投資信託の信託報酬は、運用期間中ずっと発生し続ける重要なコストです。NISAやiDeCoのような長期投資では、わずかな料率の違いが将来の資産額に差を生む可能性があります。

インデックスファンドであれば年率0.1%以下、アクティブファンドであれば1.0%以下をひとつの目安としつつ、信託報酬の低さだけで判断しないことが大切です。運用方針や過去の実績、リスクなども確認し、コストとのバランスを総合的に比較しましょう。

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ご留意事項

  • 本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の取引を勧誘するものではありません。
  • 本記事の内容は記事公開時または更新時点の情報に基づいています。制度・法令・税制等の変更により、現在の情報と異なる場合があります。
  • 本記事の内容の正確性、完全性、最新性を保証するものではなく、予告なく変更または更新する場合があります。
  • 投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任とご判断のもとで行っていただきますようお願いいたします。

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執筆・監修
高橋 明香
  • 高橋 明香
  • ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者

みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。