

為替ヘッジあり・なしの違いとは?初心者向けに仕組みやコスト、選び方のポイントを解説
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「為替ヘッジあり・なし、初心者はどっちを選べばいい?」と迷う人も多いでしょう。
結論からいうと、長期運用を前提とするなら「為替ヘッジなし」、短期運用で為替変動の影響を抑えたいなら「為替ヘッジあり」が選択肢になります。
為替ヘッジにはコストがかかるため、運用期間や目的に応じて使い分けることが大切です。
なお、人気の「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))」には、為替ヘッジありの商品はなく、原則として為替変動の影響を受けます。
本記事では、為替ヘッジあり・なしの違いやメリット・デメリット、初心者がどちらを選ぶべきかをわかりやすく解説します。
- 為替ヘッジは為替変動リスクを抑える仕組みのことで、コストが生じる場合がある
- 円安局面では「ヘッジなし」、円高局面では「ヘッジあり」が有利
- 為替ヘッジの有無は、運用期間や投資目的、保有商品で選ぶという考え方もある
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為替ヘッジとは?あり・なしの違い

海外の株式や債券などに投資する投資信託では、「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」という選択肢が用意されていることがあります。
為替ヘッジの有無により投資成果が変わるため、投資家は「為替ヘッジ」の仕組みを理解して、どちらかを選ぶ必要があります。
まずは、為替ヘッジの基本的な仕組みと、「あり」「なし」の違いを理解しましょう。

為替ヘッジの仕組み
為替ヘッジとは、為替リスクを回避・軽減(ヘッジ)するための仕組みのことで、一般的には「為替予約」という金融取引が利用されます。
この取引では、たとえば、1ドル150円の時に1000米ドルを購入し、「1年後も1ドル150円で交換する」とあらかじめ約束しておくことで、1年後に為替レートが1ドル140円になっていても、予約した1ドル150円で円に交換することができます。
一方で、この取引にはコストがかかる場合があります。このコストは、2国間の金利差によって生じます。
「為替ヘッジあり」を選択すれば、為替リスクの影響を抑えられるメリットがありますが、メリットを享受するためのコストが発生する可能性も理解する必要があります。
「あり」と「なし」の違い【早見表】
為替ヘッジの「あり」と「なし」では、為替変動の影響の受け方やコストの有無が異なります。それぞれの特徴を理解することで、どちらが自分の投資スタイルに適しているかを判断しやすくなります。
以下に、主な違いをまとめました。
「為替ヘッジあり」は、為替リスクを抑えたい人の選択肢になります。
ただし、「為替ヘッジあり」は、ヘッジコストが発生する可能性があること、為替変動の影響を完全には排除できない点に注意が必要です。
一方、「為替ヘッジなし」は、ヘッジコストは不要ですが、為替変動の影響を直接受けます。円安はリターンの上昇要因になりますが、円高になると資産価値が下がる要因になります。
為替ヘッジのコスト(手数料)の仕組み
為替ヘッジは、為替リスクを抑える有効な手段ですが、「ヘッジコスト」と呼ばれる費用が発生する場合があります。投資信託のコストは運用成績に影響を与えるので、仕組みを正しく理解しておくことが重要です。
ヘッジコストとヘッジプレミアム
為替ヘッジのコストは、主に2国間の「短期金利」の差によって決まります。
ヘッジコストが発生する場合
ヘッジ対象通貨の金利が日本より高い場合、金利差に相当する費用が「ヘッジコスト」としてかかります。
例えば、低金利の日本円で高金利の米ドル建て資産に投資し、為替ヘッジを行うとコストが発生し、基準価額にもマイナスの影響を与えます
ヘッジプレミアムが発生する場合
逆に、投資先の国の金利が日本より低い場合は、金利差に相当する利益を「ヘッジプレミアム」として受け取ることができます。この場合、基準価額にはプラスの要因となります。
現在、日本の金利は他国に比べて低い水準に位置しています。そのため、海外資産への投資で為替ヘッジを行う際は、ヘッジコストが発生するケースがほとんどです。
円-米ドル間、ヘッジコストの現状

現在の金融市場では、日本と米国の金融政策の違いから、両国の短期金利には差が生じています。この金利差が、米ドル建て資産に対する為替ヘッジコストを押し上げる要因となっています。
例えば、日米の短期金利差が拡大している局面では、為替ヘッジコストも高くなる傾向にあります。
ヘッジコストは固定ではなく、両国の中央銀行の金融政策などによって常に変動します。そのため、為替ヘッジありの投資信託を検討する際は、現在の金利環境とコスト水準を把握しておくことが大切です。
ヘッジコストが運用成果に与える影響
ヘッジコストは、投資信託の「信託財産」から差し引かれています。現在の日本の金利は相対的に低金利であることから、ヘッジコストが発生する状況が続いており、このことは基準価額にマイナスの影響を与えます。
短期間であれば影響は限定的ですが、仮にこの状況がしばらく続くとすれば、ヘッジコストが運用成果に与える影響は小さくないと考えられます。
したがって、10年以上の長期投資を前提とする場合は、将来の金利動向も踏まえ、ヘッジコストがリターンに与える影響を考慮する必要があります。為替ヘッジの必要性自体も慎重に判断することが求められます。
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為替ヘッジあり・なしのメリット・デメリット【比較表】

為替ヘッジの「あり」と「なし」は、それぞれにメリットとデメリットが存在し、どちらかが有利、あるいは不利になるわけではありません。
ここでは、両者の特徴を比較し、どのような違いがあるのかを整理します。
円高・円安でどう変わる?【状況別早見表】
為替ヘッジの有無による運用成果の違いは、為替が大きく動いたときなどに、その差が現れやすくなります。
円高局面と円安局面、それぞれの状況で「ヘッジあり」と「ヘッジなし」のどちらが有利になるのかを理解しておきましょう。
このように、為替ヘッジの「あり」と「なし」は、為替相場の方向性によって有利・不利が逆転します。
将来の為替相場を正確に予測することは専門家でも困難なので、自身のリスク許容度や投資方針に基づき、バランスよく資産を保有するという視点で選択することが大切です。
あなたはどっち?タイプ別の選び方【ケース別】
為替ヘッジの「あり」「なし」の選択は、万人に共通する正解はありません。自身の投資期間や目的、投資対象資産の特性などを考慮して、総合的に判断することが大切です。
ここでは、具体的なケース別にどちらの選択肢が適しているかの目安を解説します。
投資期間で選ぶ場合

投資期間は、為替ヘッジの要否を判断するうえで重要な要素です。
短期運用(数年以内)を目指す人
数年以内に使う予定の資金を運用する場合、可能なかぎり、リスクは減らして運用したいものです。
「為替ヘッジあり」を選択すれば、為替リスクを抑えやすくなり、為替による資産評価額の変動は小さくなります。
長期運用(10年以上)を目指す人
老後のための資産形成などで、長期運用を行う場合、まずは「為替ヘッジなし」を検討してみましょう。長期投資では、為替レートの変動は平均化される傾向があるためです。
また、現在のように、日本の金利が低く、ヘッジコストが継続的に発生する状況が続くと、リターンを圧迫する可能性があります。
将来の金利動向も踏まえる必要はありますが、現在の金利情勢が続くなら、「ヘッジなし」の方が効率的に運用できるかもしれません。
投資目的で選ぶ場合(老後・教育・住宅・数年内に使う)
資金の使い道によっても、リスク許容度が変わるため、為替ヘッジの選択は異なります。
老後資金を貯めたい人
運用期間が20年、30年と長期にわたるため、コストを抑えてリターンの最大化を目指す「為替ヘッジなし」が選択肢になります。
教育資金・住宅資金を貯めたい人
10〜15年後に必要になるなど、使う時期がある程度決まっている資金であれば、目標達成の可能性を高めるために「為替ヘッジあり」も選択肢になるでしょう。
資金が必要になる時期が近づいてきたら、安定運用に切り替える一環としてヘッジありを検討するのも1つの方法です。
数年内に使う予定の資金がある人
複利効果が十分得にくい短期運用の場合、「元本割れ」にならないようにすることが大切です。そのためにも、為替変動による影響をできるだけ小さくするため、「為替ヘッジあり」を選択するのは合理的です。
オルカン(全世界株)投資を検討している人の場合
「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に代表される全世界株式インデックスファンド(通称:オルカン)は、そもそも「為替ヘッジあり」がありません。
オルカンは、日本を含む先進国や新興国の株式に幅広く分散投資する商品です。投資対象が米ドルだけでなく、ユーロ、人民元など多様な通貨に分散されているため、特定の通貨が円に対して大きく変動した場合でも、資産全体への影響を抑えることができます。
また、オルカンは長期的な資産形成を目的として設計されており、低コストであることが重視されます。そのため、追加のコストがかかる為替ヘッジは行われていません。

ゴールド(金)投資を検討している人の場合
金や金鉱株などが投資対象となる投資信託にも「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」の両方があります。
金はドル建てで価格が決定するため、金そのものに投資すると、為替リスクの影響を受けることになります。
そのため、為替の影響をなるべく避けたい人は、「為替ヘッジあり」が向いているかもしれません。この場合、金そのものの値動きでリターンを狙うことになります。
一方、「為替ヘッジなし」を選択する場合は、円高や円安の影響も基準価額に反映されることになります。そのため、「為替ヘッジあり」より値動きは大きくなります。
金そのものに投資をするとき、「為替ヘッジあり」や「為替ヘッジなし」という区分はありませんが、実質的には「為替ヘッジなし」に近い状況と言えます。
また、ゴールドは、それ自体が価値を持つ「実物資産」で、インフレや金融不安で、通貨の価値が下落することへの備えとして保有されることがあります。この目的で購入した場合、ヘッジしてしまうと保有する価値が失われてしまいます。
一方で、金を投資先とする投資信託などは、「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」の両方があります。金そのものの値動きだけを追及したい人は「為替ヘッジあり」が向いているかもしれません。
NISA・積立投資を検討している人の場合
NISA(少額投資非課税制度)で扱われている投資信託の多くは、「為替ヘッジなし」で、為替ヘッジのない投資信託の方が一般的です。
ただし、「為替ヘッジあり」の取り扱いが全く無いわけではありません。安定性を優先したい場合は「為替ヘッジあり」を選択することもできます。
注意したいのは、ラインナップは金融機関によって異なることです。ヘッジありの投資信託を購入したいときは事前に確認しておくと安心です。
積立投資では、毎月一定額を積み立てることになりますが、この方法は「ドルコスト平均法」と呼ばれます。価格が高い時には少なく、安い時には多く購入することで、平均購入単価を平準化する効果が期待できます。
この時間分散の効果は、為替レートの変動に対しても同様で、長期的に見れば為替リスクをある程度緩和する効果も期待できます。そのため、長期運用を目指す人は「為替ヘッジなし」も選択肢になります。
初心者が投資信託を選ぶ時のポイント

為替ヘッジの有無は投資信託を選ぶ際の重要なポイントの1つですが、それ以外にも確認すべき項目があります。
初心者が投資信託を選ぶ際に、最低限おさえておきたい基本的なポイントを解説します。
投資目的と期間を明確にする
「何のために」「いつまでに」「いくら」必要なのかを具体的にすることで、取るべきリスクの度合いや選ぶべき商品が見えてきます。
投資対象を確認する
投資信託がどの国や地域の、どのような資産(株式、債券、不動産など)に投資しているかを確認しましょう。投資対象によってリスクとリターンは異なります。
コスト(信託報酬)を比較する
投資信託を保有している間、継続的にかかる費用が信託報酬です。同じような投資対象のファンドであれば、一般的に信託報酬が低い方が運用効率がよくなります。
純資産総額を確認する
ファンドの規模を示す純資産総額もチェックしましょう。純資産総額が順調に増加しているファンドは、多くの投資家から資金が集まっている、もしくはパフォーマンスのよいファンドといえます。
逆に、純資産総額が極端に少ない、または減少し続けている場合は、解約が続いている、パフォーマンスが悪いなどの問題が考えられます。繰上償還(ファンドの運用が途中で終了すること)の可能性もあるため、注意が必要です。

為替ヘッジに関するよくある質問(FAQ)
ここでは、為替ヘッジに関する疑問について、Q&A形式で解説します。
Q1. 為替ヘッジありとなし、結局どちらがいい?
A. 為替リスクを抑えて安定的に運用したい人や、短期投資を予定している人は「為替ヘッジあり」が選択肢になります。
一方、コストを抑えて長期的に大きなリターンを狙いたい人や、円安による為替差益も期待したい人は「為替ヘッジなし」が向いているでしょう。
ただし、投資目的や期間、リスク許容度によって異なるため、一概にどちらがよいとは言えません。自分の投資方針に合わせて選ぶことが重要です。
Q2. 為替ヘッジなしの方がよいと言われる理由は?
A. 主に2つの理由が挙げられます。
1つ目は、ヘッジコストがかからない点です。長期投資の場合、コストの有無が最終的なリターンに影響を与えます。そのため、コストを抑えられる「ヘッジなし」の方が合理的と判断する人もいます。
2つ目は、円安時の為替差益を享受できる点です。将来的に円安が進むと考える場合、「ヘッジなし」であれば投資対象の値上がり益に加えて為替差益も得られ、リターンを押し上げる効果が期待できます。
Q3. オルカン(全世界株)は為替ヘッジあり・なしどっち?
A. eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、為替をヘッジしていません。
これは、長期的な資産形成を目的とし、低コストでの運用を重視しているためと考えられます。
また、投資対象が世界中の多くの通貨に分散されているため、特定の通貨の変動リスクが相対的に緩和されるという側面もあります。
Q4. ゴールド(金)は為替ヘッジあり・なしどっち?
A. ゴールド(金)そのものへの投資に、ヘッジあり・なしの区別はありません。為替リスクがあることから、「為替ヘッジなし」に近いと言えます。
金や金鉱株などが投資対象の投資信託には、「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」があるファンドもあります。
金そのものの上昇に期待したい人は「ヘッジあり」を、インフレなどに備えて金に投資したい人は「ヘッジなし」を検討するのも一案です。
Q5. NISAで為替ヘッジは必要?
A. 個人の投資方針によります。
NISAは長期的な資産形成を目的とする制度のため、非課税メリットを最大限に活かす観点からは、コストのかからない「為替ヘッジなし」が合理的と考える人もいます。
ただし、NISA口座であっても、短期的な価格変動をできるだけ抑えたい場合は、「為替ヘッジあり」の投資信託を選ぶことも選択肢の1つです。
Q6. 為替ヘッジとは簡単にいうと?
A. 海外資産に投資する際の、為替リスクによる価格変動を抑える仕組みのことです。
円高による資産価値の目減りを防ぐことができますが、そのために「ヘッジコスト」がかかります。また、円安になった場合の利益(為替差益)も得られなくなります。
まとめ

為替ヘッジは、海外資産に投資する際の為替変動リスクを抑えるための有効な手段ですが、コストがかかるという側面も持ち合わせています。
「為替ヘッジあり」は、為替の動きに一喜一憂せず安定的に運用したい方や、短期運用を目指す人に向いています。
一方、「為替ヘッジなし」は、コストを抑えて長期的に高いリターンを目指したい方や、円安による為替差益も狙いたい方に適しています。
どちらの選択が正解ということはなく、自身の投資目的、運用期間、リスクに対する考え方などを総合的に考慮して判断することが重要です。
本記事で解説したポイントを参考に、自身に合った投資信託を選び、資産形成の選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。
自身の投資スタイルやリスク許容度がわからない、最適な選択に迷うという方は、一度お金の専門家に相談してみるのも1つの方法です。
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ご留意事項
- 本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の取引を勧誘するものではありません。
- 本記事の内容は記事公開時または更新時点の情報に基づいています。制度・法令・税制等の変更により、現在の情報と異なる場合があります。
- 本記事の内容の正確性、完全性、最新性を保証するものではなく、予告なく変更または更新する場合があります。
- 投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任とご判断のもとで行っていただきますようお願いいたします。
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監修

土屋 史恵
- ファイナンシャルプランナー/金融ライター/編集者
神戸市外国語大学卒業後、外資系生命保険会社、都市銀行にてリテール営業、法人営業に携わる。遺言信託など資産承継ビジネスに強み、表彰歴あり。その後は長年の金融機関勤務経験を活かし、金融メディアに転職。記事執筆や編集などを担当。現在はフリーランスとして活動中。AFP、FP2級、証券外務員一種を保有。
執筆

田中 友梨
- ファイナンシャルアドバイザー
筑紫女学園短期大学卒業後に株式会社三井住友銀行に入行。リテール営業に従事し、卓越した成績を残す。24歳で2年間銀行を休職し青年海外協力隊員としてフィリピンでボランティアをするなど異色の経歴を持つ。受賞歴多数。現在は金融IT企業で個人向け資産運用のコンサルティング業務を行う。老後資金の準備や相続の相談などを得意とし自身の投資歴20年以上。一種外務員資格(証券外務員一種)を保有。








