

国民年金が全額免除されたらいくらもらえる?シミュレーションと追納の判断基準を解説
»あなたの年金はいくら?老後に不足する金額を3分でシミュレーション
国民年金の保険料が全額免除になった期間があっても、将来の老齢基礎年金を受け取ることはできます。ただし、全額納付した場合と比べると受給額は少なくなります。
全額免除期間は、老齢基礎年金の受給額を計算する際、原則として保険料を全額納付した場合の2分の1として反映されます。
そのため、「全額免除が1年あるといくら減る?」「全期間免除ならいくらもらえる?」と気になる人も多いでしょう。
本記事では、国民年金を全額免除した場合にもらえる年金額をシミュレーションします。
- 国民年金保険料の全額免除制度の仕組みと承認条件
- 全額免除の期間に応じた将来の年金受給額のシミュレーション
- 免除期間の保険料を後から納めて年金額を増やせる「追納制度」
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国民年金の全額免除とは?受給額の仕組み

国民年金保険料の免除制度は、失業や収入減少など経済的な理由で保険料の納付が困難な場合に、申請によって保険料の支払いが全額または一部免除される制度です。
免除が承認された期間は、将来年金を受け取るための「受給資格期間」に含まれるため、保険料を納めていない「未納」とは異なります。全額免除の場合でも、将来の年金がゼロになるわけではありません。
(参考:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構)


全額免除と未納の決定的な違い
国民年金保険料を「全額免除」された期間と、単に支払わずに「未納」にした期間では、将来の年金受給において決定的な違いが生じます。
全額免除の期間は、老齢基礎年金を受け取るために必要な受給資格期間に算入されます。また、2009年4月以降の全額免除期間については、年金額の計算上、保険料を全額納付した場合の2分の1が反映されます。
また、保険料の免除期間は、障害基礎年金や遺族基礎年金の保険料納付要件を判定する際にも、保険料納付済期間と同様に扱われます。
一方、未納期間は受給資格期間にも算入されず、年金額にも一切反映されません。未納期間が長いと、将来老齢基礎年金を受け取れないリスクがあるほか、障害基礎年金や遺族基礎年金の対象外となる場合もあります。
経済的に納付が困難な場合は、未納のまま放置せず、必ず免除申請を行いましょう。
全額免除が承認される所得基準
国民年金保険料の全額免除が承認されるためには、所得が一定の基準以下である必要があります。審査の対象となるのは、申請者本人だけでなく、配偶者や世帯主の前年所得(1月〜6月の申請は前々年所得)です。
全額免除の所得基準の目安は、以下の計算式で算出されます。
- (扶養親族等の数 + 1)× 35万円 + 32万円
例えば、扶養親族がいない単身者の場合、所得が67万円以下((0+1)×35万円+32万円)であれば全額免除の対象となる可能性があります。
また、失業や事業の廃止、災害などの特別な事情がある場合には「特例免除制度」が適用されることがあります。特例免除では、失業した本人の所得を除外して審査が行われるため、前年の所得が高くても免除が承認される可能性があります。
全額免除でいくらもらえる?満額との比較

国民年金保険料を全額免除された期間があると、将来受け取る老齢基礎年金の額は、保険料を40年間すべて納付した場合(満額)よりも少なくなります。
ただし、年金額がゼロになるわけではありません。2009年4月以降の全額免除期間については、年金の計算上、保険料を全額納付した場合の2分の1が反映されます。どのくらい年金額に差が生じるのか、具体的に見ていきましょう。
満額納付した場合の受給額
老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)、すべての国民年金保険料を納付することで満額を受け取れます。
年金額は毎年度改定され、令和8年度の満額は年額84万7300円(月額7万608円)です。この金額が、全額免除期間がある場合の年金額を計算する際の基準となります。
(参考:令和8年4月分からの年金額等について|日本年金機構)

全額免除期間の年金額の計算式
2009年4月以降に全額免除期間がある場合の老齢基礎年金の受給額は、以下の計算式で算出できます。
- 老齢基礎年金の年金額 = 満額 × {(保険料納付済月数 + 全額免除月数 × 1/2) ÷ 480ヶ月}
この計算式からわかるように、全額免除された月数は、年金額を計算する上で「2分の1」の価値として扱われます。これは、老齢基礎年金の財源の2分の1が国庫(税金)で負担されているためです。
なお、2009年(平成21年)3月以前の全額免除期間については、当時の国庫負担割合が3分の1だったため、年金額の計算では「3分の1」として扱われます。

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免除期間別の受給額シミュレーション
国民年金保険料の全額免除期間が長くなるほど、将来の年金額は少なくなります。ここでは、全額免除の期間別に、将来受け取れる年金額がどのくらいになるかをシミュレーションします。
以下の表は、令和8年度の老齢基礎年金(満額84万7300円)を基準に、40年(480ヶ月)の加入期間のうち、一部または全部の期間で全額免除を受けた場合の年金受給額の目安です。
全額免除期間はすべて2009年4月以降として計算した仮想のシミュレーションです
表からわかるように、40年間すべて全額免除だったとしても、年額で42万3650円(月額約3万5300円)の年金を受け取ることが可能です。しかし、満額と比較すると半分になってしまうため、老後の生活設計を考える上ではこの差額を認識しておくことが重要です。
一部免除の場合の受給額

国民年金の免除制度には、全額免除のほかに、所得などの一定の要件を満たす場合に、保険料の一部が免除される「一部免除」があります。
一部免除には「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の3種類があり、免除されなかった残りの保険料を納付することで、全額免除よりも将来の年金額に多く反映されます。
(参考:国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構)

一部免除の反映率
一部免除の期間は、免除の割合に応じて老齢基礎年金額に反映されます。2009年4月以降の一部免除期間について、免除区分ごとの年金額への反映率は以下のとおりです。
例えば、半額免除の承認を受け、免除されなかった半額の保険料を納付した場合、2009年4月以降の期間については、保険料を全額納付した場合の8分の6(4分の3)が年金額に反映されます。
免除されなかった残りの保険料を納める必要はありますが、その分、全額免除よりも将来受け取る年金額は多くなります。
なお、一部免除の承認を受けた場合でも、残りの保険料を納付しなければ、その期間は未納扱いとなり、年金額にも反映されません。
追納すれば満額に戻せる?追納の仕組み
国民年金保険料の免除や納付猶予を受けた期間がある場合、保険料を全額納付した場合と比べて、将来受け取る老齢基礎年金の額が少なくなります。ただし、「追納(ついのう)」という制度を利用することで、満額に近づけることが可能です。
追納とは、免除・猶予された保険料を後から納付する制度です。経済的に余裕ができたタイミングで追納することで、当該期間は保険料を全額納付したものとして扱われ、老齢基礎年金の受給額を増やすことができます。
(参考:国民年金保険料の追納制度)


追納できる期間と金額

追納ができるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除・納付猶予等の期間です。この10年という期限を過ぎてしまうと、後から納付することはできなくなります。
追納する保険料の額は、免除・納付猶予を受けた当時の保険料額が基本となります。ただし、承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。そのため、追納を検討する際は、早めに行うほうが負担を抑えられます。
追納のメリット・デメリット
追納を検討する際には、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。
【追納のメリット】
- 将来の年金額が増える:最大のメリットは、老齢基礎年金の受給額を満額に近づけられる点です。
- 税金の負担が軽くなる:追納した保険料は、全額が「社会保険料控除」の対象となります。これにより、追納した年の所得税や住民税が軽減される税制上のメリットがあります。
【追納のデメリット】
- まとまった資金が必要になる:過去の保険料を一度に、あるいは分割で納付するため、家計への負担が生じます。
- 10年の期限がある:10年を過ぎると追納できなくなり、年金額を回復する機会を失います。
- 加算額が発生する場合がある:免除を受けてから3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされ、支払い金額が増える可能性があります。
追納すべきか判断するポイント

免除された国民年金保険料を追納するかどうかは、現在の家計状況や将来のライフプランを考慮して慎重に判断する必要があります。すべての人にとって追納が最善の選択とは限りません。
どのような場合に追納を検討し、どのような場合は急がなくてもよいのか、判断のポイントを解説します。
追納したほうがよいケース
以下のようなケースでは、追納を積極的に検討する価値があります。
- 老後資金に不安があり、公的年金を少しでも増やしたい人:老齢基礎年金は終身で受け取れるため、長生きするほど追納の恩恵を受けられます。
- 現在の所得が高く、節税メリットを活かしたい人:追納した保険料は全額が社会保険料控除の対象となり、所得税・住民税の負担を軽減できます。所得が高い人ほど節税効果を得られます。
- 家計に余裕があり、まとまった資金を準備できる人:将来の安心のために、計画的に追納を進めることで、着実に年金額を増やすことができます。
- 追納の期限(10年)が迫っている期間がある人:追納できる期間には期限があるため、期限が近い免除期間がある場合は優先的に検討するのがおすすめです。
追納を急がなくてもよいケース
一方で、以下のような状況では、追納を急ぐ必要はないかもしれません。
- 現在の家計に余裕がない人:無理に追納して現在の生活が苦しくなっては本末転倒です。生活の安定を最優先し、余裕ができてから検討しましょう。
- 教育資金や住宅購入資金など、直近で支出を控えている人:ライフイベントに必要な資金を優先的に確保することが望ましいです。追納は10年の猶予期間があるため、ライフプランに合わせて計画的に行いましょう。
- iDeCoやNISAなど、他の資産形成も検討している人:追納によって将来の公的年金を増やす方法のほか、iDeCoやNISAを活用して老後資金を準備する方法もあります。それぞれの特徴やリスクを踏まえて、自身に合った方法を検討しましょう。
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免除期間があっても受給資格は得られる
国民年金の免除制度を利用するうえで、重要なメリットの1つが「受給資格期間」を確保できる点です。
老齢基礎年金を受け取るためには、保険料の納付済期間や免除期間などを合算した受給資格期間が原則として10年以上必要です。保険料の免除や納付猶予が承認された期間は、この10年の受給資格期間に全期間算入されます。
たとえ40年間すべての保険料が全額免除になったとしても、受給資格期間は40年とカウントされるため、老齢基礎年金の受給資格期間を満たすことができます。
経済的な理由で保険料を納めるのが難しい場合でも、免除申請をしておくことで、将来のセーフティネットである年金の受給資格を確保できるのです。
免除の申請手続きの方法と必要書類

国民年金保険料の免除・納付猶予制度を利用するためには、所定の申請手続きが必要です。
申請は、住民登録をしている市区町村の役所・役場の国民年金担当窓口、またはお近くの年金事務所で行います。また、マイナンバーカードがあれば、マイナポータルを利用した電子申請も可能です。

申請に必要な書類
免除・納付猶予の申請には、主に以下の書類が必要です。
- 国民年金保険料免除・納付猶予申請書:年金事務所や市区町村の窓口で入手するか、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
- 基礎年金番号またはマイナンバーカードがわかるもの:基礎年金番号通知書や年金手帳、マイナンバーカードや通知カードなど。
- 失業などを理由に特例免除を申請する場合の添付書類:雇用保険受給資格者証のコピーや離職票のコピーなど、失業した事実が確認できる公的な書類。
所得の申告をしていない場合は、別途、市区町村民税の申告が必要になることがあります。必要な書類は個々の状況によって異なる場合があるため、事前に申請窓口に確認することをおすすめします。
申請期限と遡及申請
免除・納付猶予の申請は、原則として7月から翌年6月までを1年度として審査され、申請も原則として年度ごとに必要です。
また、免除・納付猶予は、申請時点から2年1ヶ月前まで遡って申請できます。
ただし、一度全額免除または納付猶予の承認を受けた人が、翌年度以降も継続して申請を希望する場合は、あらためて申請書を提出しなくても継続して審査が行われる「継続審査」の仕組みがあります。失業などを理由とした特例免除の場合は、翌年度も申請が必要です。
(参考:国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間)
国民年金の全額免除に関するよくある質問
国民年金の全額免除制度について、多くの人が抱える疑問にお答えします。制度を正しく理解し、自身の状況に合わせて適切に活用するための参考にしてください。
Q. 40年間全額免除だといくらもらえる?
20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)すべてで全額免除が承認された場合でも、老齢基礎年金は受け取れます。全額免除期間がすべて2009年4月以降と仮定した場合、受給額は、満額の半分です。令和8年度の満額年額84万7300円を基準にすると、年額42万3650円(月額約3万5300円)が支給されます。
Q. 免除と未納はどう違う?
「免除」は老齢基礎年金の受給資格期間に算入され、免除の種類や時期に応じて年金額にも反映されます。一方、「未納」は受給資格期間にも年金額にも一切反映されません。また、障害年金や遺族年金の受給資格にも影響するため、保険料の支払いが困難な場合は必ず免除申請をしましょう。

Q. 追納しないとどうなる?
免除期間の保険料を追納しない場合、その期間は免除の種類や時期に応じた割合で老齢基礎年金の額に反映されます。
例えば、2009年4月以降の全額免除期間は、保険料を全額納付した場合の2分の1が反映されます。追納できる期間には期限があり、期限を過ぎた期間については追納できません。
まとめ

国民年金保険料の免除制度は、経済的に納付が困難な場合に将来の年金受給資格を失わないための重要なセーフティネットです。全額免除を受けた期間については、2009年4月以降の期間であれば、保険料を全額納付した場合の2分の1が年金額に反映されます。
免除を受けた期間については、一定の期限内であれば「追納」することで、将来受け取る老齢基礎年金の額を増やすことが可能です。追納した保険料は社会保険料控除の対象となりますが、追納するかどうかは現在の家計状況や今後必要となる資金なども考慮して判断することが大切です。
保険料の支払いが難しいと感じたら、未納のまま放置せず、必ず居住している市区町村役場や年金事務所で免除等の申請手続きを行うことが大切です。
自身の状況で、将来の年金がいくらになるか、また老後資金がどのくらい不足する可能性があるか、一度具体的にシミュレーションしてみませんか。
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ご留意事項
- 本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の取引を勧誘するものではありません。
- 本記事の内容は記事公開時または更新時点の情報に基づいています。制度・法令・税制等の変更により、現在の情報と異なる場合があります。
- 本記事の内容の正確性、完全性、最新性を保証するものではなく、予告なく変更または更新する場合があります。
- 投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任とご判断のもとで行っていただきますようお願いいたします。
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監修

森本 由紀
- ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士
行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。



