NISAのつみたて投資枠のボーナス設定のやり方は?デメリット・メリット・仕組みを解説
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NISAの積立設定画面で見かける「ボーナス設定」ですが、気になりつつも「実際に使ったほうがいいの?」「リスクはあるの?」と迷っている人も多いのではないでしょうか。
ボーナス設定は、毎月の積立に加えてボーナス月に投資額を増やせる仕組みであり、効率的に非課税枠を活用できるのが大きな魅力です。一方、一括投資に近い形になるためリスク管理も重要です。
本記事では、ボーナス設定の基本やメリット・デメリット、注意点を整理し、自分に合う活用法を専門家視点で解説します。
- ボーナス設定の基本とメリット・デメリット
- ボーナス設定が向いている人の特徴と注意点
- 主要ネット証券での具体的な設定方法
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NISAのボーナス設定とは?基本の仕組み
NISAのボーナス設定とは、毎月決まった額を積み立てる通常の投資に加えて、年に2回まで特定の月に投資金額を上乗せできる機能のことです。
多くの金融機関で採用されており、例えば「6月と12月のボーナス月に、通常の積立額に加えて5万円ずつ増額する」といった柔軟な設定ができます。
この仕組みを利用すれば、ボーナスなどの臨時収入があった月に合わせて投資額を増やし、計画的に資産作りのペースを速めることが可能です。
ボーナスで増額している人は増えており、SBI証券のボーナス積立設定口座数の推移を見てみると、2021年1月から2025年1月では約3.3倍に増えています。
ボーナス設定を利用できるかどうかは金融機関によって異なるため、事前に確認しましょう。
(参考:ボーナスの賢い使い方!|SBI証券)
毎月積立・一括投資・増額設定との違い
- 毎月積立:毎月一定額をコツコツと投資する基本的な方法
- 一括投資:まとまった資金を一度に投じる方法
- ボーナス設定:毎月の積立を基本としつつ、ボーナス月などにまとまった資金を追加投資する方法
- 増額設定:ボーナス月に限らず、任意の月から積立額を増やす方法
NISAのボーナス設定のやり方
NISAのボーナス設定は、主に利用している金融機関のウェブサイトやアプリから手続きが可能です。基本的な流れは各社で共通していますが、具体的な画面表示や操作方法は異なります。
代表的なネット証券であるSBI証券の例と、一般的な流れ、そして銀行などでの手続きについて解説します。
SBI証券での設定手順(投信選択→積立設定→ボーナス月設定)
SBI証券でボーナス設定を行うには、まず積立したい投資信託を選択し、「積立買付」画面に進みます。次に、決済方法(現金またはクレジットカード)や毎月の積立金額などを入力します。
その設定画面内に「ボーナス月の積立設定」という項目があります。ここで「設定する」を選択し、増額したい月(年2回まで)と、それぞれの月に追加したい金額を入力します。
注意点として、SBI証券のシステムでは、「毎月の積立額×12ヶ月+ボーナス設定額」の年間概算金額が、つみたて投資枠の上限である120万円を超過する場合、設定自体ができない仕様になっています。
年間の投資総額を正確に計算し、枠内に収まるように金額を入力する必要があります。
銀行・対面型金融機関のケース
銀行や対面型の証券会社でNISA口座を運用している場合、ボーナス設定の手続き方法は金融機関によって様々です。
ネット証券と同様に、インターネットバンキングや専用アプリを通じてオンラインで手続きが完結する金融機関も増えています。これにより、24時間いつでもご自身のタイミングで設定変更が可能です。
一方で、取引店の窓口での手続きが必要な場合もあります。その際は、届出印や本人確認書類などが必要になることがあるため、事前に持ち物を確認しておくとスムーズです。
金融機関によっては電話での手続きに対応している場合もあるため、利用している金融機関のWebサイトを確認するか、問い合わせて確認すると良いでしょう。
ボーナス設定のメリット
- 投資枠を効率的に使える
- 途中開始でも非課税枠を活用できる
NISAでボーナス設定を活用するメリットの一つは、非課税枠を無駄なく使い切れることです。
例えば、つみたて投資枠の年間上限120万円を毎月積立だけで達成するには、月10万円の積立が必要です。毎月の負担が難しい場合でも、ボーナス月に増額すれば、無理なく上限を埋められます。
これにより、非課税メリットを最大限活かし、効率的な資産形成が可能になります。
さらに、年の途中からNISAを始めた人にも有効です。例えば7月から積立を始めた場合、毎月の積立だけでは残り半年分しか枠を使えません。
しかし、ボーナス設定を併用すれば不足分をまとめて投資でき、その年の非課税枠をしっかり活用できます。
ボーナス設定のデメリット
- 一括投資に近くリスクが高まる可能性
- ドル・コスト平均法の効果が薄れる可能性
ボーナス設定は便利ですが、一度にまとまった資金を投じるため、実質的に一括投資に近い性質を持ちます。
その結果、投資タイミングが高値に重なると、その後の下落で大きな損失につながるリスクがあります。
毎月積立は購入時期を分散できるため価格変動リスクを抑えられますが、ボーナス設定では投資額が集中するため、市場の動きに左右されやすくなります。
コロナショックのような予期せぬ暴落直前に大きく投資した場合、下落幅も大きくなる点に注意が必要です。
また、ボーナス設定は時間分散効果を高める「ドル・コスト平均法」のメリットを弱める可能性もあります。
毎月一定額を積み立てることで平均購入単価を平準化できますが、ボーナス設定で大きく投資すると、その効果が薄れるのです。
ボーナス設定が向いている人・向かない人
NISAのボーナス設定は、すべての人にとって最適な選択肢とは限りません。自身の収入状況や資金管理のスタイル、投資に対する考え方によって、向き不向きが分かれます。
どのような人がボーナス設定の活用に適しているのか、また、どのような人が注意するべきか、見ていきましょう。
ボーナス収入が安定している会社員
ボーナス設定の活用に特に向いているのは、毎年安定したボーナス収入が見込める会社員の方です。ボーナスが支給される月やおおよその金額が予測できるため、事前に増額投資の計画を立てやすくなります。
あらかじめボーナスから投資に回す金額を決めておくことで、他の支出とのバランスを取りながら、無理なく積立額を増やすことが可能です。
資金的な余裕を持って投資を継続できるため、精神的な負担も少なく、長期的な資産作りを着実に進めることができるでしょう。
投資枠を有効活用したい人
NISAの税金がかからないメリットを最大限に享受したいと考えている、投資意欲の高い方にもボーナス設定は適しています。毎月の積立だけでは年間の税金がかからない投資枠を使い切れない場合でも、ボーナス設定を組み合わせることで、枠を余すことなく活用できます。
特に、できるだけ早く税金がかからない保有限度額(生涯で1800万円)に到達させたいと考えている人にとっては、ボーナス設定は資産作りのスピードを上げるための有効な手段となります。
計画的に税金がかからない枠を埋めていくことで、複利効果をより大きく享受し、効率的な資産拡大を目指すことが可能です。
資金管理に不安がある人には不向き
一方で、ボーナス収入が不安定な方や、資金管理に自信がない方には、ボーナス設定は不向きな場合があります。ボーナスは業績によって変動することが多く、予定していた金額が支給されない可能性もゼロではありません。
また、ボーナス設定を行うと、その月の支出が通常より大幅に増加します。急な出費が重なった場合に、生活資金が不足してしまう事態も考えられます。
投資を始める前に、まずは万が一の事態に備えるための生活防衛資金(生活費の6ヶ月〜1年分が目安)を確保し、家計全体の収支バランスを把握しておくことが大切です。
余裕資金の範囲内で、無理なく続けられる計画を立てましょう。
シミュレーションで見るボーナス設定の効果
ボーナス設定が将来の資産額にどれほどの影響を与えるか、具体的なシミュレーションで確認してみましょう。
毎月3万円を積み立てるケースを基本とし、「ボーナス設定なし」の場合と、「ボーナス月に増額した場合」の20年後の資産額を比較します。
【シミュレーション条件】
- 想定利回り: 年5%
- 積立期間: 20年
- 毎月積立額: 3万円
※上記の試算は概算値です。手数料、税金、為替等は考慮しておらず、実際値とは異なる場合があります
※上記の試算は将来の運用成果を予測し、保証するものではありません。また、特定の金融商品の取引を推奨し勧誘するものではありません
シミュレーション結果を見ると、ボーナス設定を活用することで、20年後には約400万円もの差が生まれる可能性があります。
年間10万円の追加投資が、複利の効果と相まって、長期的に大きな資産の差につながることがわかります。これは、ボーナスという余剰資金を計画的に投資へ回すことの重要性を示しています。
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ボーナス設定を行う際の注意点
NISAのボーナス設定は、計画的に利用すれば資産作りを加速させる有効な手段ですが、いくつかの注意点が存在します。
設定方法の制約や手続きの期限、年間投資枠の管理など、事前に把握しておくべきポイントを理解し、思わぬ失敗を避けましょう。
クレジットカード積立では利用できない
NISAの積立において、ポイント還元が魅力的なクレジットカード積立を利用している方は多いですが、多くの金融機関ではボーナス設定にクレジットカード決済を利用できません。
ボーナス設定を利用したい場合、その増額分については銀行口座からの引き落としなど、別の決済方法を選択する必要があります。
金融機関によっては、毎月の積立とボーナス設定で決済方法を分けることができず、積立全体を口座引き落としに変更しなければならないケースもあります。
クレカ積立のポイント還元を重視している場合は、ボーナス設定を利用することでそのメリットが受けられなくなる可能性があるため、利用している金融機関のルールを事前に必ず確認しましょう。
申込期限に間に合うように手続きする
ボーナス設定を利用する際は、各金融機関が定める申込期限に注意が必要です。希望する月に増額設定を反映させるためには、定められた締切日までに手続きを完了させなければなりません。
申込期限は金融機関や選択する投資信託、決済方法によって異なります。一般的に、積立指定日の数営業日前が期限となっていることが多いです。期限を過ぎてしまうと、その月の増額はできず、次の機会を待つことになります。
特にボーナス支給直前に慌てて設定しようとすると、金融機関の営業日やシステムメンテナンスなどの影響で間に合わない可能性もあります。
計画的にボーナス設定を活用するためにも、事前に締切日を確認し、余裕を持ったスケジュールで手続きを行うことが大切です。
年間投資枠を超えないように管理する
ボーナス設定を行う際には、毎月の積立額とボーナスでの増額分を合計した金額が、NISAの年間投資枠を超えないように注意深く管理する必要があります。つみたて投資枠の年間上限は120万円、成長投資枠は240万円です。
例えば、つみたて投資枠で毎月8万円を積み立てている場合、年間の積立額は96万円になります。この場合、ボーナス設定で追加できる金額の上限は、残りの24万円(120万円 - 96万円)までとなります。
もし計算を誤って年間投資枠を超過してしまうと、その超過分はNISA口座ではなく課税口座(特定口座や一般口座)での購入として扱われます。
その結果、超過した投資分から得られた利益には通常通り約20%の税金がかかってしまい、税金がかからないメリットを受けられなくなるため、事前の計算で確認しておきましょう。
翌年以降も自動的に継続される点に注意
ボーナス設定は一度手続きを行うと、変更や解除をしない限り、翌年以降も同じ内容で自動的に継続されるのが一般的です。
例えば、「今年の冬のボーナスが多かったので一時的に増額したい」という意図で設定した場合でも、解除手続きを忘れると、翌年も同じ月に同額の引き落としが行われます。もし翌年のボーナスが減少していた場合、家計を圧迫する原因になりかねません。
その年限りの増額を考えている場合や、翌年以降は金額を見直したい場合は、必ず設定の変更または解除の手続きを行うことを忘れないようにしましょう。定期的に自身の積立設定を見直す習慣をつけることが大切です。
一括投資に偏りすぎないよう資産全体でバランスを取る
ボーナス設定は税金がかからない枠を有効活用する上で便利な機能ですが、投資額が大きくなると一括投資に近い形になり、時間分散の効果が薄れるという側面も持ち合わせています。
ボーナス設定に過度に依存するのではなく、資産全体でのバランスを考慮することが大切です。
投資の基本は、長期的な視点でのコツコツとした積立による時間分散です。これを主軸に据え、ボーナス設定はあくまで補完的な手段として活用するのが賢明でしょう。
資産全体のリスク許容度を把握し、株式や債券などの資産配分(ポートフォリオ)を適切に管理しながら、無理のない範囲でボーナス設定を取り入れることを推奨します。
NISAの運用時に気をつけるポイント
NISAを活用した資産作りは、長期的な視点で取り組むことが成功の鍵です。特にボーナス設定などを利用して投資額を増やす際は、目先の利益や市場の変動に一喜一憂せず、当初の計画に沿って冷静に運用を続けることが重要になります。
投資の目的・目標額を見失わない
NISAでの資産運用を成功させるためには、「何のために、いつまでに、いくら貯めたいのか」という具体的な目標を最初に設定することが不可欠です。
例えば、「20年後に老後資金として1500万円を用意する」「10年後に家のローン返済のために500万円を準備する」といった明確な目標が、長期的な投資を続ける上での強力なモチベーションとなります。
目標が定まれば、それを達成するために必要な毎月の積立額や、ボーナス設定でいくら上乗せすべきかといった具体的な計画も立てやすくなります。
市場が変動しても目標を見失わなければ、短期的な値動きに惑わされることなく、一貫した投資を継続できるでしょう。
価格変動に動揺しない
投資信託などの金融商品は、市場の動向によって日々価格が変動します。資産が増えている時は嬉しいものですが、逆に下落局面では不安に駆られることもあるでしょう。
長期的な資産作りを目指す上では、短期的な価格の上下に一喜一憂しないことが求められます。
特に避けたいのが、価格が下落した際に恐怖心から慌てて売却してしまう「狼狽売り」です。これは投資の基本である「安く買って高く売る」とは逆の行動であり、損失を確定させてしまうことにつながります。
むしろ、価格が下がっている局面は、同じ投資額でより多くの口数を購入できる「買い増しの好機」と捉えることもできます。
市場の変動はつきものであると理解し、冷静に積立を継続することが重要です。
上限額にとらわれず、無理のない運用をする
NISAの税金がかからない投資枠は大きな魅力ですが、上限額を使い切ること自体を目的化しないように注意が必要です。
大切なのは、家計にとって無理のない範囲で、長期間にわたって投資を「継続する」ことです。
税金がかからない枠を埋めるために生活費を切り詰めたり、過度な借入をして投資に回したりすることは、本末転倒です。万が一、急な出費で資金が必要になった際に、相場が下落していれば、損失を抱えたまま資産を売却せざるを得ない状況に陥る可能性もあります。
投資はあくまで「余剰資金」で行うのが大原則です。まずは日々の生活費や緊急時に備える生活防衛資金をしっかりと確保した上で、残った資金で計画的に積立を行うことを心がけましょう。
運用に悩んだ時の相談先
NISAの運用で迷った時は、専門家に相談するのがおすすめです。特にIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、金融機関に属さない立場から中立的なアドバイスをしてくれます。
お金の診断・相談サービスを提供しているマネイロはSBI証券と提携しており、投資額にかかわらず専任の担当者がつきます。
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まとめ
ボーナス設定は、NISAの税金がかからない投資枠を効率的に活用し、資産作りを加速させるための有効な手段です。特に、ボーナス収入が安定している人や、年の途中からNISAを始めた人にとっては大きなメリットがあります。
一方で、投資タイミングが集中することによる価格変動リスクや、ドル・コスト平均法の効果が薄れるといったデメリットも存在します。これらの特性を十分に理解し、ライフプランやリスク許容度に合った形で活用しましょう。
最終的には、税金がかからない枠の上限を使い切ることだけを目的とせず、あくまで家計に無理のない範囲で、長期的な視点を持ってコツコツと運用を続けることが、NISAを活用した資産作りを成功させるための最も大切な鍵となります。
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執筆・監修
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。