新NISAは何歳から始めると得?年齢制限あり?年代別の活用法をプロが徹底解説
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「新NISAは何歳から始めるべき?」「18歳未満の子どもでもできる?」など、2024年から始まった新NISA(新しいNISA)について、何歳から始めるべきか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。新NISAでは、成人年齢である18歳から口座開設が可能となります。
新NISAのメリットを活かし、効率的にお金を増やすためにも、年齢にこだわることなく早めにスタートすることをおすすめします。
本記事では、新NISA(新しいNISA)を何歳から始めるべきか悩んでいる人に向けて、将来期待できる利益をシミュレーションしながら、年代別の活用法について投資のプロが解説します。
※本記事では2023年までのNISA制度を「旧NISA」または「旧制度」、2024年から始まった新しいNISAを「新NISA」または「新制度」と表記しております
- 新NISAを利用できるのは「2024年1月1日時点で18歳以上の成人」
- 新NISAは子ども名義で口座開設をすることはできない(未成年が取引することはできない)
- 新NISAは長期投資によるリスク軽減等が期待できるため、年齢に関係なく思い立った時に始めるのがおすすめ
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新NISAは何歳からできる?→対象年齢は18歳以上
2024年からスタートする新NISA(新しいNISA)は、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」、この2つの枠組みを通じて投資を行う非課税制度のことです。
新NISAを活用できるのは、2024年1月1日時点で18歳以上の成人です。18歳以上の人であれば口座を開設して、いつでも運用をスタートすることができます。
ちなみに今年末で廃止となるジュニアNISAですが、新NISAにその機能は引き継がれません(※)。
未成年は来年以降、非課税制度を活用した新規の取引ができなくなります。
※18歳まで継続保有は可能
新NISAは何歳まで口座開設できる?→口座開設可能期間は恒久化
旧NISAは口座開設可能期間(投資可能期間)が決められている時限的な制度ですが、新NISA(新しいNISA)では口座開設可能期間は恒久化されます。
新NISAでは18歳以上であれば、若年層の人からリタイア後の人まで、成人であれば年齢に関係なく、多くの人が投資を行うことができるようになります。
NISA口座を既に開設している人は、自動的に新NISA口座が開設されます。手続きの必要はありません。
新NISAは何歳から始めるべき?→年齢問わず早めに始めることが大切
新NISA(新しいNISA)をいつから始めるべきか、悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
新NISAに限らず、投資は思い立った時に始めることが大切です。
その理由を投資のプロが解説します。
理由①長期投資によるリスク軽減が期待できる
<引用:つみたてNISA 早わかりガイドブック|金融庁>
▲1:1985年から2020年の各年に、毎月同額ずつ国内外の株式・債券の買付けを行ったものです。各年の買付け後、保有期間が経過した時点での時価をもとに運用効果及び年率を算出しています。これは過去の実績をもとにした算出結果であり、将来の投資成果を予測・保証するものではありません。運用管理費用は含みません。
日本株式:東証株価指数(配当込み)、先進国株式:MSCIコクサイ・インデックス(円換算ベース)
日本債券:NOMURA-BPI総合、先進国債券:FTSE世界コクサイ・インデックス(除く日本、円ベース)
上記の資料からもわかるように、投資は長期で行った方が、運用成績のバラつきが少なくなります。
まずは、20年間積立投資をした場合のグラフを見てみましょう。運用成果は、ほぼ年率2~6%の間に集約されており、0%以下はありません。
一方、保有期間が5年の場合は運用成績にバラつきが生じています。これは市況の好不調等に影響され、運用が安定しにくかったことを表しています。
短期で運用を止めてしまうと、市況が好転した時、その恩恵を受けられず、複利効果も得にくくなってしまいます。
投資先によってリスクの度合いは異なるため、一概にすべてグラフと同じような結果になるとは言えませんが、過去の実績から見ても、長期運用はリスクを軽減させるひとつの方法といえるでしょう。
理由②複利効果を高めることができる
投資で生じた利益を元本に加え、その元本に対して利息が付く計算方法のこと
「利息に利息が付く」と表現されることもあります。
複利は利益が利益を生み出す仕組みのため、その効果を上手に活用すれば、資産を雪だるまのように増やすことが可能になります。
一般的に、運用期間が長ければ長いほど、複利効果は右肩上がりに高まります。つまり、できるだけ長く運用を続けることが、資産運用が成功するかどうかのカギになるのです。
理由③新NISAでは非課税保有期間や口座開設可能期間の制限がない
新NISAでは、非課税保有期間は無期限に、口座開設可能期間が恒久化されることになりました。
これにより、長期運用を阻んでいた制限がなくなり、積立投資が成功しやすくなる条件は整ったと言えるかもしれません。
長期運用はリスクを軽減し、複利効果も得られるため、市況に左右されない安定的な運用が実現しやすくなります。
あとは、個々の投資家がリスクをコントロールし、運用を続ける意識を持ち続けられれば、運用成功へさらに近づくことができるでしょう。
新NISAで期待できる利益を年代別にシミュレーション
新NISA(新しいNISA)で運用を始める年齢を30歳、40歳、50歳に分け、月5万円・年利3%・60歳まで運用した場合をシミュレーションしてみました。
50歳で運用を始めた場合、60歳までの運用期間は10年ですが、積立金額と運用益の合計は698万7071円、節税できる金額は20万523円になります。
一方、30歳で始めて、30年運用を続けた場合、積立金額と運用益の合計は2913万6844円となり、節税額は226万2450円です。
シミュレーションからもわかるように、長期投資をすることで非課税効果は右肩上がりに上昇し、効率的に資産を増やすことが期待できます。
新NISAの年代別の活用方法
日本証券業協会の「NISA口座開設・利用状況調査結果(2023年6月30日現在)」における年代別データを改めて確認していきましょう。
<引用:NISA口座開設・利用状況調査結果(2023年6月30日現在)について|日本証券業協会>
一般NISA・つみたてNISAの口座数を年代別に見ると、30代から40代の働き世代が多くの口座を保有しており、一方で70代では一般NISA口座の保有が多いことがわかります。
また、口座数の推移を分析すると、2019年末から全体を通して口座数が増加しています。
2019年は「老後2000万円問題」が注目され、直後の2020年は新型コロナウイルス感染症が発生した年です。
これらの出来事は将来の生活に関わる年金や老後の財政問題を浮き彫りにし、不安定な収入状況に直面する状況をもたらしました。
多くの人々に貯蓄や投資への意識変容をもたらした要因の一つであることが、データから読み取れます。
ここからは、2024年から始まった新NISA(新しいNISA)について、年代別の活用方法を投資のプロが詳しく解説します。
20代…時間を有効活用した積極的な運用
他の世代よりも長く運用ができるのが20代です。60歳まで運用するなら運用期間は40年ほどになるので、年齢のアドバンテージを活かして、早めに運用をスタートさせましょう。
また、そのアドバンテージを十分に活かすため、積極的な運用を行うことをおすすめします。
例えば、リスクは高くなりますが、世界の株式に投資をする投資信託などを活用して、経済発展が見込まれる国々に投資をしてみるのも一案です。
それらの国々の発展と共に、自分の資産も増加しやすくなります。
長く積立投資を続けることができれば、リスクが軽減し、複利効果を得ながら安定的な運用が実現しやすくなります。大きな資産を築くことも現実味を帯びてくるでしょう。
30代・40代…ライフイベントに応じて柔軟に運用
30代や40代も、20代と同じく、積極的に運用することをおすすめします。可能であれば、今後の成長が見込まれる世界株式などへの投資も検討してみましょう。
運用ができる時間は20代より短くなりますが、リタイア後も運用を続ければ、20~30年の運用期間が確保できます。
30年運用ができれば、複利効果も得やすくなり、資産の増加も期待できるでしょう。
ただし、30代や40代はライフイベントが増える世代です。投資をする金額は家計の負担にならない程度にしておくのが賢明です。
また、万が一に備える保険も、資産形成の一環として考えておきましょう。
突然の病気や家族の死亡など、万が一のことが起こった場合、医療保険や死亡保険などに加入しておけば、将来のために蓄えた資産を取り崩さず、緊急事態に対応できる場合もあります。
そこで、保障と資産形成が同時に得られる変額保険に加入するのも一案です。毎月保険料を支払い、その一部が運用に充てられるため、積立投資のように活用することができます。
保険は新NISAを通じて購入することはできませんが、このような選択肢も合わせて考えておくと安心です。
50代…定年後も安心して過ごすために、資産を守りつつ運用
年金生活が目前の50代が投資を行う場合、資産を減らさない運用ができるかがポイントになります。
リタイア後の生活において、お金を使いたくても、気持ちよく使うことができない状況は避けたいものです。リスクを抑えることを第一に考えて運用しましょう。
50代は20〜40代と比較すると、運用期間を長く確保することができません。そのため、長期運用で軽減できるはずのリスクが運用に大きく影響するようになります。
例えば、相場が下落しても、時間の経過とともに元の価格に戻る場合もありますが、短期間だとそれが難しくなります。老後の資産が目減りする可能性もあるため注意が必要です。
50代で運用をスタートする場合は運用商品を慎重に選び、値動きの少ない、格付けが高い債券などへの投資も検討しましょう。
年齢に関係なく新NISAを始める時に心がけたい5つのポイント
新NISA(新しいNISA)を始める際、年齢にかかわらずなるべく失敗しないために心がけたいポイントについて、投資のプロが解説します。
長期・積立投資を続けられる仕組み作りをする
新NISAは長期投資を支援する制度であり、老後の資産形成を後押しする制度です。上手く活用して、将来の資産づくりに役立てていきましょう。
運用が成功するためのポイントのひとつに、長く運用を継続することが挙げられます。長期投資が続けられる仕組みを作り、途中解約はできるだけ避けるようにしましょう。
そのためには、積み立てる金額を無理のない範囲で設定したり、突然の支出や緊急事態に備える資金を別に用意したりすることも大切です。
入院や手術など予測しなかった出費に備えるため、保険加入も検討しておきましょう。
投資の目的と目標額を明確にする
投資を始める際は「なぜ投資を行うのか」という目的を明確にしましょう。
例えば「自分の老後資金を積立投資で貯めていきたい」「老後に住むマンションの費用を貯めたい」など、具体的に思い描くようにします。
目的が明確になれば、目標金額がわかり、利用する金融商品、運用すべき期間、積み立てる金額なども考えることができます。
目的と目標金額がわかると、自分のやるべきことが見えてきます。長期投資を着実に継続できる計画も立てやすくなります。
長期的な成長が期待できる資産に投資する
将来の成長が見込めない資産に投資をしても、資産を効率的に増やすことはできません。
投資をする時は、経済成長が期待でき、今後発展しそうな国々や企業に投資をするようにしましょう。
例えば、世界の株式に分散投資をするファンドなどは、長期的な成長が期待できる資産のひとつです。
株式ファンドなのでリスクはやや高くなりますが、運用期間を長く確保できる20代〜40代は、世界株式ファンドを中心に投資をすることも検討してみましょう。
価格変動があっても動揺しない
金融商品には、さまざまなリスクがあります。運用している資産は常に上昇と下落を繰り返しており、時には急騰したり、元本割れが生じることもあります。
自分の運用資産は常に変動しているものと認識しておけば、このような価格変動が起きても一喜一憂せずに済み、慌てて解約をすることもなくなります。
価格変動には振り回されず、コツコツと積立投資を行っていきましょう。
不安を感じた時はFPやIFAなど、金融の専門家に相談してみるのも一案です。
売却タイミングや銘柄選びに悩んだら専門家に相談する
投資を初めてスタートする人にとっては「いつ売却したら良いのか」「どんな商品を購入すれば良いのか」など、投資に関する不安を多く抱えているかもしれません。
そんな時には、FPやIFAなど、投資経験があって信頼できる投資のアドバイザーに相談がおすすめです。相談者に合った方法を一緒に考えてくれるでしょう。
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新NISAの対象年齢に関するよくあるQ&A
新NISA(新しいNISA)の対象年齢に関するよくある疑問について、投資のプロがわかりやすく回答します。
Q.子どもでもできる?
旧NISAには、未成年の子ども名義で口座開設が可能なジュニアNISAがあります。
新NISAにはジュニアNISAの仕組みは引き継がれず、ジュニアNISA自体は今年末で廃止になることが決まっています。(18歳になるまで継続保有は可能)
したがって、新NISAを活用して未成年が取引を行うことはできません。
Q.2024年に18歳になれば新NISAは利用できる?
2022年4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、新NISAを利用できる対象者は18歳以上となっています。
2024年1月1日時点で18歳以上であれば2024年から、2024年1月2日~2025年1月1日に18歳を迎える人は、2025年から新NISAを利用することができます。
Q.60歳以上、もしくは年金生活でも新NISAは利用できる?
新NISAは18歳以上であれば利用可能な制度であり、年齢の上限に制限はありません。
新NISAでは最大1800万円まで非課税で投資が可能です。余裕資金があれば無理のない範囲で投資をすると良いでしょう。
ただし、60歳以上で始めた場合、20代や30代で始めるよりも運用できる年数に限られています。
万が一、大きく損失が出た際は価格が戻るまで時間を要する場合もあるため、その点に注意しましょう。
新NISAは旧NISAと併用可能
新NISA(新しいNISA)と2023年までの旧NISAは分離扱いとなるため、別々に口座を保有することになります。
新NISAと旧NISAを併用する際は以下の点に注意しましょう。
旧NISAで保有している資産は随時売却が可能。売却後に得られたお金は新NISAを通じて、再び投資をするのも良いでしょう。
非課税保有期間内であれば、2024年以降も非課税のまま資産の保有はできます。
非課税保有期間が終了すると、保有資産は自動的に課税口座に移管されます。移管後に得た利益は課税対象となります。
新NISAの始め方
旧NISA口座を開設している場合は、同じ金融機関で自動的に新NISA(新しいNISA)の口座が開設されます。
ただし、旧NISAと異なる金融機関で新NISAを始める場合は、現在利用している金融機関と、新しく利用する金融機関で手続きが必要になります。
旧NISA口座を開設していない場合は新規で口座開設が必要になります。
手続きの内容等については金融機関によって異なるため、詳細は各金融機関のHPなどで確認しましょう。
まとめ:新NISAは年齢に関係なく早めに始めよう
2022年4月の法改正で成人年齢が引き下げられたことにより、2024年からスタートする新NISA(新しいNISA)は18歳以上から利用できるようになりました。
新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠が設けられるほか、非課税保有期間や投資可能期間の制限がなくなっています。
より長期的な運用ができる制度に生まれ変わり、利便性が増したと言えるでしょう。
新NISAだけに限らず、投資は運用期間が長く確保できるうちにスタートして、相場変動にも耐えられる長期運用を目指すことをおすすめします。
1人で運用するのが不安な方は、投資のプロに相談してみてはいかがでしょうか。
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監修者
土屋 史恵
- ファイナンシャルプランナー/金融ライター/編集者
神戸市外国語大学卒業後、外資系生命保険会社、都市銀行にてリテール営業、法人営業に携わる。遺言信託など資産承継ビジネスに強み、表彰歴あり。その後は長年の金融機関勤務経験を活かし、金融メディアに転職。記事執筆や編集などを担当。現在はフリーランスとして活動中。AFP、FP2級、証券外務員一種を保有。
執筆者
宮内 勇資
- ファイナンシャルアドバイザー
ファイナンシャルアドバイザー。専修大学商学部卒業後、水戸証券株に入社。リテール営業に従事し、国内外株式、投資信託、債券などが得意分野。キャリアの途中からは人材育成にも携わり、主に若手社員の能力向上に大きく貢献した。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社。現在は個人向け資産運用コンサルティング業務を行う。AFP(Affiliated Financial Planner)、一種外務員資格(証券外務員一種)保有