新NISAで利益を得るなら月いくらが理想?金額設定のポイントとシミュレーション
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「新NISAで投資可能額が増えたけれど、月いくら積み立てをするべき?」「老後資金を新NISAで準備するなら、積立金額はいくら必要?」と、2024年から始まった新NISA(新しいNISA)の利用を検討する中で、毎月の積立金額をいくらにするべきか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
積立投資をするうえで、まとまったお金が必要と考える人もいるかもしれません。
しかし、少額であっても「長期投資」をすることで効率的にお金を増やすことができます。
本記事では新NISA(新しいNISA)の積立金額を月いくらにするべきか悩んでいる人に向けて、積立金額を決める時のポイント、積立金額別の利益のシミュレーションについて解説していきます。
※本記事では2023年までのNISA制度を「旧NISA」、2024年から始まった新しいNISAを「新NISA」と表記しております
- 2024年から始まった新NISA(新しいNISA)では投資枠を併用することで年間360万円投資することができる
- 月5万円の積立を年利3%で10年運用すると、積立総額600万円に対して98万7071円の利益を得ることができる
- 積立金額を月いくらにするべきか悩んだら「投資の目的と目標金額、運用できる年数で決める」「無理なく長期運用できる金額で設定」
- 少額でもなるべく早めに始めることが大切
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新NISAの生涯投資上限額は「1800万円」
2022年12月16日の「令和5年度税制改正大綱」により、NISA制度の抜本的拡充・恒久化の方針が発表されました。
具体的な内容として、NISA制度の恒久化や非課税保有期間の無期限化、年間投資上限額の拡大などが挙げられます。
生涯投資上限額(非課税保有限度額)は「1800万円」となり、そのうち1200万円は成長投資枠として利用できます。
つみたてNISA枠と成長投資枠は、それぞれ旧制度のつみたてNISAと一般NISAの役割を引き継ぐ形になります。
そして、つみたて投資枠と成長投資枠は併用が可能です。
新NISAの年間投資可能額と対象商品
新NISA(新しいNISA)では「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、年間投資可能額と対象商品が異なります。
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
つみたて投資枠の場合
つみたて投資枠の年間投資上限額は120万円となり、旧NISAのつみたてNISAと比べて3倍に拡大します。
つみたて投資枠の対象商品は、旧NISAのつみたてNISAと同様に、金融庁が規定している要件を満たした商品に限定されています。
販売手数料ゼロ(ノーロード)や信託報酬が一定水準以下、信託契約期間が無期限または20年以上あるなど、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託となります。
金融庁があらかじめ選定しているため、投資初心者にとって利用しやすい仕組みとなっています。
このような特徴があるため、投資初心者や少額でコツコツ積立投資をしたい人は、まずはつみたて投資枠から始めると良いでしょう。
成長投資枠の場合
成長投資枠の年間投資上限額は240万円です。生涯投資上限額は1800万円のうち、1200万円が成長投資枠として投資可能です。
旧NISAの一般NISAとほぼ同じように、投資対象商品は上場株式や投資信託等となっています。
例えば、日本株式や外国株式、ETF(上場投信)やREIT(リート・上場不動産投信)などに投資可能であり、つみたて投資枠の投資対象商品よりも幅広く商品選定をすることができます。
また、成長投資枠ではつみたて投資枠の商品を選ぶこともできます。
投資資金に余裕がある人や一定の投資経験がある人、さまざまな商品に投資してみたい人に向いているでしょう。
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毎月積み立てできる金額は金融機関によって異なる
毎月の最低投資金額は金融機関によって異なります。店舗型の銀行や証券会社では1000円から始められます。
また、ネット証券では100円からスタートすることも可能なため、余裕資金で無理なく始められるでしょう。
新NISA口座は金融機関で一口座のみ保有できます。積み立てできる金額や取り扱いの商品数は金融機関によって異なるため、しっかりと選ぶ必要があるでしょう。
新NISAでどのくらい利益が期待できる?積立金額別にシミュレーション
新NISA(新しいNISA)でどのくらい利益が期待できるのでしょうか。
積立金額別に年利×運用年数でシミュレーションしていきましょう。
新NISAで利益が期待できる理由
新NISAはつみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能であり、年間投資上限額はそれぞれ120万円と240万円です。
通常は投資で得た利益に対して20.315%の税金がかかりますが、新NISAではすべての利益が非課税となります。
よって、新NISAで得た利益が大きければ大きいほど、非課税のメリットも大きくなり、結果的に複利効果も最大限に活用することができます。
新NISAで投資できる金融商品は多岐にわたります。そのため、目論見書や運用レポートなどで事前に運用方針や過去の実績などを確認し、成長率が高い投資信託に長い期間投資を続けることが大切です。
積立金額例:月5000円
毎月5000円の積立を年利3%で10年間運用した場合、投資元本60万円に対して9万8707円の利益を得ることができます。
通常、運用益に対して20.315%が課税されますが、新NISAの場合は非課税となるため、節税効果は2万52円となります。
積立金額例:月3.3万円
年間約40万円、月3.3万円を年利3%で10年間運用した場合、投資元本396万円に対して積立総額と運用益の合計は461万1467円です。
運用益は65万1467円なので、非課税による節税効果は13万2346円となります。
30年間月3.3万円積立投資した場合は149万3217円が非課税となり、長期投資により節税効果が期待できます。
積立金額例:月5万円
毎月5万円の積立を年利3%で10年間運用した場合、投資元本600万円に対して98万7071円の利益を得ることができます。
新NISAでは利益が非課税となるため、節税効果は20万523円となります。
積立金額例:月10万円
毎月10万円の積立を年利3%で10年間運用した場合、投資元本1200万円に対して運用益は197万4142円、節税効果は40万1047円となります。
積立金額が大きければ、利息に利息がつく複利効果を最大限に活かすことができます。
新NISAの積立金額は月いくらがベスト?金額設定のポイント
「新NISA(新しいNISA)で積立投資をするなら、毎月いくら投資するべき?」と悩んでいる人もいるでしょう。
金額を決めるポイントについて、投資のプロがわかりやすく解説します。
①投資の目的と目標額から運用できる年数を決める
投資の目的は、老後資金や教育資金、住宅資金など人によってさまざまです。まずは投資目的を明確にして、どのくらいの期間投資ができるかを考えましょう。
以下の計算式を使って、投資の目的と目標金額から運用できる年数を決めましょう。
さらに、年間の収益率が何%であるかによって、目標額までの運用期間は変わってきます。
過去の運用実績や運用方針などが記載されているレポートや目論見書を参考にして、将来的に成長が期待される資産に投資すると良いでしょう。
例:老後資金を準備する場合
将来必要な老後資金は以下の計算式を使用して算出しましょう。
支出について、総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支」の資料によると、世帯ごとの毎月の平均支出は以下の通りとなります。
二人世帯:27万9024円(名目、実質共に前年比0.7%の増加)
単身世帯:15万5046円(名目、実質共に前年比3.3%の増加)
老後の年金に関して、国民年金は令和5年度時点で最高で6万6250円、厚生年金は夫婦で合計22万4482円がもらえます。
ただし、自営業者やフリーランスの場合、国民年金しか受け取れず、これだけでは老後の生活費を賄うのは難しいと言えます。
一方、会社員や公務員の場合は、現役時代の年収や加入期間によって将来の年金額が変動します。
具体的な年金の受給額を知りたい場合は、ねんきんネットやねんきん定期便を活用して確認することができます。
さらに、会社員や公務員の中には、勤務先に退職金制度がある場合もあります。
東京都産業労働局の調査データによれば、高卒者は約1031万円、大学卒者は約1118万円の退職金が支給されています。
老後に必要な資金は、各世帯によって異なるため、早めに老後の生活計画を考え、どのような生活を望むかをイメージしておくことが重要です。
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(参考:家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支|総務省統計局)
(参考:令和5年4月分からの年金額等について|日本年金機構)
(参考:中小企業の賃金事情|東京都産業労働局)
②無理なく長期運用できる金額に設定する
投資は長期運用によって複利効果を得ることができ、リスクを軽減することが可能になります。
しかし、無理な金額で積立投資をしてしまうと、お金が必要になった場合に途中で運用を止めなければならなくなります。
月5000円でも仮に3%を10年間投資した場合の運用益は9万8707円と、少額でも利益は期待できます。
新NISAでは年間投資上限額が増えますが、あくまで無理のない範囲の金額で始めましょう。
③予算がある場合は成長投資枠とつみたて投資枠の併用もおすすめ
2024年からの新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になります。
投資資金に余裕がある人や一定の投資経験がある人、さまざまな商品に投資をしてみたい人にはつみたて投資枠と成長投資枠の併用がおすすめです。
一方で、投資初心者やまだ投資に不安がある人、少額でコツコツ積立投資をしたい人は、まずはつみたて投資枠からスタートすると良いでしょう。
投資には元本割れのリスクが伴うため、投資したお金が必ず戻ってくるという保証はありません。
自分がどれだけのリスクを許容できるかを確認し、無理のない範囲で長期的な投資ができるように心がけましょう。
少額でもなるべく早めに始めることが大切
実際に投資をスタートする際には、月々いくらで始めるべきか悩む人も多いことでしょう。
投資には元本保証がないため、投資した資産が日々増減します。しかし、長期投資によりリスクを軽減しながら複利効果を最大限に活用することが可能です。
積立の最低金額は金融機関によっては100円から可能なため、少額でもなるべく早めにコツコツ始めてみましょう。
参考)一般NISA・つみたてNISAの月額平均
日本証券業協会のデータによると、2022年のつみたてNISA口座開設数は495万口座でした。
また、2022年の買付金額は9598億円です。つみたてNISAの平均積立金額は下記の計算式で求められます。
9598億円÷495万口座=約19万3899円(1口座あたりの年間積立金額)
19万3899円÷12ヶ月=約1万6158円(1口座あたりの月間積立金額)
また、同資料による一般NISAの口座開設数は684万口座、買付金額は2兆7961億円のため、
2兆7961億円÷684万口座=約40万9797円(1口座あたりの年間積立金額)
19万3899円÷12ヶ月=約3万4066円(1口座あたりの月間積立金額)
となります。
(参考:NISA口座開設・利用状況調査結果|日本証券業協会)
積立金額はいつでも調整可能
変更できる金額は金融機関によって違う場合があるものの、年間投資上限額を超えない範囲でいつでも増減が可能です。
毎月の収支を確認し、余裕資金があれば積立金額を少しずつ増やすことも一案です。
変更金額の反映は設定したタイミングによっては翌月になることもあるため、事前に各金融機関の公式サイトなどで確認しましょう。
ただし、年間投資上限額が余ったとしても翌年に繰越できない点や、減額によって将来の運用益が小さくなる可能性がある点には注意しましょう。
年の途中から始めた場合は「ボーナス設定・増額設定」を活用
年の途中から新NISA(新しいNISA)を始めた場合は、ボーナス設定や増額設定を活用して投資額を増やしましょう。
ボーナス設定…指定した月の積立金額を増やす
賞与が支給される月に、積立額を増やしたい時に利用できる設定のこと
例えば、毎月1万円の積立に加え、賞与の月に事前にいくらか増額の設定をすることで、自動的に積立投資ができます。
年の途中からボーナス設定をした場合でも、1年間の投資上限金額を全額使うことも可能なため、非課税枠を最大限に活用することもできます。
設定方法の詳細は金融機関によって異なりますが、Web上か店舗にて手続きが可能です。
増額設定…年間投資可能額の範囲内で積立金額を増やす
NISA制度では、年間の上限金額を超えて投資することはできません。
後から増額したい場合は、年間の投資上限額の範囲内で積立金額を増やすことができます。これを増額設定といいます。
手続きの詳細は金融機関ごとに異なり、変更内容の反映や設定できる金額は各金融機関で確認すると良いでしょう。
新NISAと旧NISAは併用できる
2023年末まで新規買付ができる旧NISAは2024年以降も運用の継続ができますが、非課税保有期間に制限があります。
つみたてNISAの場合は20年、一般NISAでは5年、非課税保有期間が定められています。
旧NISAの場合、非課税保有期間を過ぎると課税口座に移されるため、課税口座で得た利益は課税対象となります。
そのため、非課税の恩恵を受けたい場合は非課税保有期間内に売却をする必要があります。
また、新NISAと旧NISAは分離扱いとなり、それぞれの口座を別に保有できますが、旧NISAの資産を新NISAへ、新NISAの資産を旧NISAへロールオーバーはできない点には注意が必要です。
新NISAの始め方
新NISAの口座開設に関する手続きは、各金融機関によって異なりますが、Webでの申し込みや店舗での直接申し込みが一般的です。
旧NISA口座を保有している場合と保有していない場合、ケース別に新NISA(新しいNISA)の始め方について解説します。
旧NISA口座を保有している場合
旧NISA口座を保有しており、同じ金融機関で新NISA口座を開設する場合は、自動的に口座が開設されるため手続きは不要です。
2024年から別の金融機関で新NISAを開設する場合は、新しい金融機関で新NISA口座の手続きを行う必要があります。
旧NISA口座を保有していない場合
旧NISA口座を保有していない場合、金融機関で新NISA口座開設の手続きが必要です。
ただし、2023年中に旧NISA口座を開設すれば、新NISA口座に関する手続きは不要です。
金融機関によって取扱商品や最低積立金額などが異なるため、新NISAを始める前に確認しましょう。
旧NISAとは異なる金融機関で新NISAを始める場合
新NISAを始めた後も、旧NISAで保有している資産は非課税保有期間が終わるまでは、非課税のまま保有することができます。
一方で、旧NISA口座を保有している金融機関とは別の金融機関で、2024年からの新NISA口座を開設する場合は、新しい金融機関で新NISA口座の開設手続きが必要になります。
まとめ:上限額にとらわれず無理のない金額で長期投資をしよう
新NISA(新しいNISA)では年間投資上限額は決まっており、余った枠を翌年に繰り越すことができないため、できる限り投資をしようと思う人もいるかもしれません。
しかし、投資には元本割れリスクがあるため、売却する際に投資した資産が減ることもあります。
万が一のお金は貯金で準備をし、余裕資金でなるべく長く投資をするように心がけましょう。
長期・積立投資することによって、リスクを軽減しながら複利効果を活用できます。少額からコツコツ投資を始めましょう。
NISAで失敗したくないあなたへ
知識ゼロでも正しいNISA運用ができるよう、マネイロではさまざまな無料サービスを提供しています。
▶NISAオンライン相談:専門家にスマホで直接相談
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監修者
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆者
田中 友梨
- ファイナンシャルアドバイザー
筑紫女学園短期大学卒業後に株式会社三井住友銀行に入行。リテール営業に従事し、卓越した成績を残す。24歳で2年間銀行を休職し青年海外協力隊員としてフィリピンでボランティアをするなど異色の経歴を持つ。受賞歴多数。現在は金融IT企業で個人向け資産運用のコンサルティング業務を行う。老後資金の準備や相続の相談などを得意とし自身の投資歴20年以上。一種外務員資格(証券外務員一種)を保有。