
老後の生活費はいくらかかる?一人暮らし・夫婦の平均は?データをもとに解説
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老後の生活費は平均いくら?夫婦・一人暮らし別のリアルな金額から、ゆとりある暮らしに必要な額までデータで徹底解説します。
さらに、老後の生活費を確保するための節約術など、今日からできる対策も併せてご紹介します。
- 夫婦と一人暮らし、それぞれの老後の平均生活費の具体的な金額
- 老後に必要な生活費を予測し、不足額を算出する方法
- 老後の生活費を準備するための具体的な対策
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老後の生活費は平均いくら?
老後の生活費は、多くの方が気になるテーマの1つでしょう。総務省の「家計調査(家計収支編/2024年)」によると、無職の夫婦世帯や単身世帯における平均的な月間支出が明らかになっています。
このデータは、信頼性の高い公的データとして、老後の生活を具体的にイメージする上で非常に役立ちます。
夫婦のみ世帯(無職)の平均生活費
総務省のデータによると、「夫婦高齢者世帯のうち無職世帯」の1ヶ月間の消費支出の平均額は25万6521円となっています。
この金額は、夫婦二人が最低限の生活を送る上で必要となる費用を考える上での基準となります。
生活費の内訳
無職の夫婦高齢者世帯の月間消費支出の内訳は以下の通りです。
これを見ると、食費がもっとも大きな割合を占め、次に交通・通信費や教養娯楽費が続くことがわかります。
同データでは、夫婦2人世帯の持ち家率が96.5%と非常に高いことが示されており、それによって平均的な住居費が低く抑えられています。
単身世帯(無職)の平均生活費
次に、「高齢単身世帯のうち無職世帯」のデータを見ていきましょう。単身世帯では、1ヶ月間の消費支出の平均は14万9286円となっています。
生活費の内訳
無職の高齢単身世帯の月間消費支出の内訳は以下の通りです。
単身世帯でも食料費がもっとも高く、次に交通・通信費、教養娯楽費が続きます。全体的に夫婦世帯と比較して各費目の支出額は少なくなりますが、一人あたりの負担は大きくなる傾向があります。
単身世帯でも持ち家率は86.6%と高い水準にあり、住居費は低めの金額となっています。
あなたはいくら必要?老後の生活費をシミュレーション
老後に必要な生活費は、個々人のライフスタイルや価値観によって大きく異なります。平均値はあくまで参考であり、ご自身の状況に合わせてシミュレーションを行うことが不可欠です。
ここでは、老後の生活費を予測し、必要な貯蓄額を割り出すための3つのステップをご紹介します。
ステップ1.老後の「毎月の支出」を予測する
老後の生活で毎月どれくらいの支出が見込まれるかを具体的に予測します。現在の生活費を基盤としつつ、老後に特有の変化を考慮に入れることが重要です。
最低限の生活を送る場合
最低限の生活とは、日々の衣食住を満たし、健康を維持するために必要な基本的な支出を指します。現在の家計簿を見直し、無駄を省いた場合にどの程度の支出になるかを算出します。
例えば、ローンが完済している場合は住居費が大幅に減る可能性がある一方、医療費や介護費用が増加する可能性も考慮に入れる必要があります。
食費や光熱費など、固定費以外の変動費についても、健康状態や生活様式の変化を想定して見込みを立てましょう。
ゆとりのある生活を送る場合
ゆとりのある生活とは、最低限の生活費に加えて、趣味、旅行、レジャー、交際費、孫への援助など、精神的な豊かさや楽しみを追求するための支出を加えたものです。
例えば、毎年の海外旅行や高級レストランでの外食、習いごとなど、具体的なやりたいことをリストアップし、それぞれにかかる費用を見積もります。
これにより、漠然とした「ゆとり」ではなく、具体的な目標額を設定することができるでしょう。
ステップ2.老後の「毎月の収入(年金など)」を予測する
次に、老後に見込まれる毎月の収入源を洗い出し、それぞれの金額を予測します。主な収入源となるのは公的年金ですが、その他にも個人年金や企業年金、退職金、または再雇用やアルバイトによる勤労収入なども該当します。
まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、加入している年金制度の情報を確認し、将来の受給見込み額を把握することが重要です。
勤労収入がある場合は、何歳まで、どれくらいの頻度で働くかによって収入額が変わるため、複数のシナリオを想定するとよいでしょう。
ステップ3.「毎月の不足額」と「老後に必要な貯蓄総額」を割り出す
ステップ1で予測した「毎月の支出」から、ステップ2で予測した「毎月の収入」を差し引くことで、「毎月の不足額」が割り出せます。もし不足額のほうが大きければ、その分だけ毎月貯蓄を切り崩す必要が出てきます。
この毎月の不足額に、老後生活が続く期間(例えば「65歳から90歳まで」など)を乗じることで、老後に必要となる貯蓄の総額を算出できます。
仮に毎月5万円の不足があり、25年間(300ヶ月)の老後生活を想定するなら、「5万円 × 300ヶ月 = 1500万円」が必要な貯蓄総額の目安となります。
老後の必要額が分かる「3分診断ツール」を活用
マネイロが提供する「将来の必要額診断」のようなツールも併せて活用することで、老後に必要な金額をより具体的に把握することができます。
必要額診断は、簡単な質問に答えていくことで必要な老後資金や、そのお金を作るための最適な手段などが分かるシミュレーションツールです。
診断は無料で、なおかつ3分程度でできるので、老後資金の具体的なイメージをつかむためにも、ぜひ活用してみてください。
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要注意!データには見えない「臨時支出」
家計調査の平均支出データは、日々の生活費を把握する上で非常に有用ですが、生活していく上ではデータには現れにくい「臨時支出」も出てきます。
これらの支出は想定外に金額が大きくなることもあり、また予測が難しい場合もあるため、事前に老後資金計画に含めておくことが重要です。
住宅のリフォーム費用
長年住み慣れた家も、老朽化に伴い修繕やリフォームが必要になります。屋根や外壁の補修、水回りの改修、バリアフリー化など、一度に数百万円単位の費用が発生する可能性もあります。
特に、高齢になると身体能力が変化するため、安全に暮らすための改修は不可欠です。計画的に資金を積み立てておくことが、老後の住まいの安心を確保するために重要です。
車の買い替え費用
地方に住んでいる場合や、外出の機会が多い方にとって、車は生活に欠かせない移動手段です。車の寿命は一般的に10年程度と言われており、老後も長く乗り続けるのであれば、数年ごとに買い替え費用が発生します。
車種にもよりますが、新車であれば200万円から300万円以上かかることも珍しくなく、維持費だけでなく買い替え費用も考慮した計画が必要です。
子や孫への援助
老後には、子どもの結婚や住宅購入、孫の入学祝いや成人祝いなど、節目節目でお祝い金や援助を求められる機会が増えることがあります。また、孫との旅行やプレゼントなど、楽しみのためのお金も発生するでしょう。
これらの支出は予測が難しいものではありますが、家族との良好な関係を維持するためにも、ある程度の余裕資金を用意しておくと安心でしょう。
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病気や怪我の医療費
高齢になると、病気や怪我のリスクが高まり、医療費の負担が増える傾向にあります。
公的医療保険でカバーされる部分があるとはいえ、自己負担分や先進医療、差額ベッド代、交通費、お見舞い品など、想定外の費用がかかることがあります。
定期的な健康診断や、万が一のための医療保険の加入も検討し、備えておくことが大切です。
親の介護費用
もし自分の親が高齢で、介護が必要になった場合、その費用を一部負担する可能性も考えられます。
介護サービスを利用する場合、利用料や施設入居費など、月に数万円から数十万円の費用が発生することもあります。
介護保険制度で一部がカバーされるとはいえ、自己負担額や、介護のための交通費・雑費なども考慮し、資金計画に含めておくことが賢明です。
今日から始める、老後の生活費の準備方法
老後の生活費に対する不安を解消するためには、早めに対策を始めることが肝心です。
ここでは、今日からできる具体的な準備方法を3つの側面からご紹介します。
対策1.支出を減らす
もっとも効果的なのは、毎月の支出を見直して減らすことです。特に、一度見直せば継続的に効果が得られる「固定費」の削減から着手しましょう。
通信費の見直し
携帯電話のプランやインターネット回線の見直しは効果が出やすい項目の1つです。
格安SIMへの切り替えや、不要なオプションの解約などにより、通信費を大幅に削減できる場合があります。夫婦でプランを見直せば、さらに大きな節約効果が期待できます。
保険料の見直し
加入している生命保険や医療保険の保障内容を定期的に確認しましょう。
ライフステージの変化に伴い、過剰な保障になっていたり、逆に不足していたりする場合があります。保険のプロへの相談も検討し、自分にとって最適な保障内容と保険料のバランスを見つけることが大切です。
対策2.収入を増やす
老後の収入源は年金だけではありません。働き方や年金受給のタイミングを工夫することで、収入を増やすことが可能です。
定年後の再雇用やセカンドキャリア
定年後も健康であれば、再雇用制度を活用したり、新しいスキルを身につけてセカンドキャリアを築いたりすることで、継続的に収入を得ることができます。
趣味や特技を活かした仕事、短時間勤務など、無理のない範囲で働くことを検討しましょう。
また、長く働くには、健康であることが最重要です。日頃からバランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけ、病気の予防に努めましょう。健康を維持することは、医療費の削減にもつながります。
長く働くためのスキルアップ
デジタルスキルや語学力など、年齢に関係なく需要の高いスキルを習得することで、選択できる仕事の幅が広がります。生涯学習の機会を積極的に利用し、自己投資を続けることも重要です。
繰下げ受給も視野に
公的年金には、受給開始年齢を遅らせる「繰下げ受給」という制度があります。年金の受給開始を遅らせることで、1ヶ月あたり0.7%ずつ年金受給額が増額されます。
例えば、65歳からの年金を70歳まで繰り下げると、「0.7% × 60ヶ月 = 42%」増額された年金を一生涯受け取ることができます。長く働ける見込みがある場合や、まとまった貯蓄がある場合は、繰下げ受給も視野に入れるとよいでしょう。
対策3.お金を増やす
貯蓄だけでなく、資産運用によってお金を増やすことも、老後資金準備の重要な柱です。投資初心者でも利用しやすい、国が推奨する優遇制度を活用しましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用
iDeCoは、自分で掛金を拠出し、自分で運用する私的年金制度です。
掛金が全額所得控除の対象となるため、所得税・住民税の節税効果があります。また、運用益も非課税で再投資され、将来受け取る際も公的年金等控除の対象となるなど、税制上の優遇措置が手厚いのが特徴です。
老後資金形成に特化した制度であるため、長期的な視点で資産を増やすのに適しています。
NISA(少額投資非課税制度)の活用
NISAは、一定の投資額まで得られた運用益が非課税になる制度です。2024年からは制度が拡充され、非課税投資枠が大幅に拡大しました。つみたて投資枠と成長投資枠があり、個別株や投資信託など、幅広い商品に投資できます。
iDeCoと異なり、途中で引き出すことも可能なため、老後資金以外の目的でも柔軟に活用できます。長期的な資産形成を目指す上で、ぜひ活用を検討したい制度です。
老後の生活費に関するよくある質問(Q&A)
ここでは、老後の生活費に関するよくある質問にお答えします。
Q. 老後に必要な資金はいくら?
老後に必要な資金は、個人のライフスタイルや生活水準によって大きく異なります。
一概に「いくら」と断言することはできません。上で解説したシミュレーションを参考に、ご自身の毎月の支出と収入を予測し、将来必要となる貯蓄総額を事前に割り出すことが非常に重要です。
また、無料でできる老後の必要額診断の活用もおすすめです。早めに計画を立て、準備を始めることで、老後の不安を軽減することができます。
Q. 年金の繰上げ受給・繰下げ受給はどちらが得?
繰上げ受給は年金受給開始を早める代わりに、年金額が減額され、繰下げ受給は年金受給開始を遅らせる代わりに、年金額が増額されます。これにより、それぞれの損益分岐点は以下のようになります。
年金の繰上げ受給と繰下げ受給のどちらが得になるかは、個人の寿命や健康状態によって異なります。自分が何歳まで生きるか、また何歳まで働けるかなども想定しながら慎重に検討しましょう。
Q. 年金の平均受給額はいくらくらい?
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和5年度)」によると、令和5年度の国民年金(基礎年金部分)の平均年金月額は5万7700円、厚生年金保険(基礎年金を含む)の平均年金月額は14万7360円となっています。
これらはあくまで平均値であるため、自身がもらえる年金額については、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で必ず確認するようにしましょう。
まとめ
老後の生活費は、夫婦のみ世帯で平均25万6521円、単身世帯で平均14万9286円が消費支出の目安となります(いずれも無職世帯)。
ただし、これらは平均であり、実際の生活費については自身のライフスタイルや予想される臨時支出(住宅リフォーム費用、車の買い替え費用、医療費など)を考慮した上で、個別のシミュレーションを行うことが不可欠です。
また、老後の生活費に対する不安を解消するためには、今日から具体的な対策を始めることが重要です。
支出の見直しや収入を増やす工夫、そしてiDeCoやNISAといった国の優遇制度を活用した資産運用は、老後資金の準備において非常に有効な手段です。
早めに計画を立て、実行に移すことで、不安のない老後生活を送るための基盤を築くことができます。まずは現状を把握し、できるところから一歩を踏み出しましょう。
老後の生活費が気になるあなたへ
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監修
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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