

国民年金を65歳まで払うといくら増える?元は取れるかを早見表で解説【FP監修】
»あなたの年金はいくら?老後に不足する金額を3分でシミュレーション
国民年金は原則60歳まで保険料を納めますが、保険料の納付期間が40ヶ月に満たない場合は、60歳から65歳まで任意加入することで将来の年金額を増やせる可能性があります。
2026年度の年金額を基準にすると、任意加入によって保険料を1年間納めた場合、老齢基礎年金は年額約2万円増える計算です(概算)。
ただし、追加で保険料を支払うため、「何年受給すれば元が取れるのか」が気になる人もいるでしょう。
本記事では、国民年金の任意加入ができる条件や、65歳まで保険料を納めた場合の受給額、任意加入による増額効果、支払った保険料を何年で回収できるのかについて、具体的なシミュレーションを交えて解説します。
- 任意加入を1年・3年・5年した場合に増える年金額と、支払った保険料を約10年の受給で回収できること
- 60歳以降に国民年金へ任意加入できる対象者の条件と手続き
- 未納・免除があると年金額がいくら減るのか(減額早見表)
- 2026年度(令和8年度)の国民年金(老齢基礎年金)の満額は年額84万7300円(月額7万608円)
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国民年金を65歳まで払うと“いくら増える”?【早見表】
国民年金の保険料納付は原則60歳までですが、納付済期間が40年(480ヶ月)に満たない場合は、60歳から65歳までの間、国民年金に任意加入して将来の年金額を増やせることがあります。まずは、任意加入した期間に応じて年金がいくら増えるのかを早見表で確認しましょう。

1年・3年・5年 任意加入した場合の増額
任意加入して保険料を納めると、その期間が老齢基礎年金の額に反映され、満額に近づけることができます。任意加入によって増える年金額は、おおむね1年あたり年額約2万1200円です。
例えば、保険料納付済期間が35年の人が60歳から65歳までの5年間任意加入すれば40年(480ヶ月)となり、満額の老齢基礎年金を受け取れるようになります。この場合、増える年金額は年額約10万5900円です。
※令和8年度の保険料額および年金額を基準とし、任意加入期間中は金額が変わらないものと仮定して試算(概算)。
増える年金額は生涯にわたって受け取れるため、長生きするほど任意加入のメリットは大きくなります。
払った保険料の「元は取れる」?何年で回収(損益分岐)

任意加入では追加で保険料を支払うため、「何年受給すれば元が取れるのか」が気になるところです。結論からいうと、任意加入で支払った保険料は、いずれの期間でも約10年の受給で回収できる計算になります。
※令和8年度の保険料額および年金額を基準とした概算。税・社会保険料は考慮していません。
例えば5年間任意加入した場合、納める保険料の合計は約107万5000円、増える年金は年額約10万5900円です。107万5000円 ÷ 10万5900円 ≒ 約10.2年で支払った保険料を回収でき、それ以降に受け取る分は実質的なプラスになります。
65歳から受給を始めた場合、75歳前後で損益分岐を迎える計算です。平均余命を踏まえると、多くの人にとって任意加入は「元が取れる」選択肢といえます。
任意加入の対象者・手続き
誰もが任意加入できるわけではありません。任意加入できるのは、原則として次の条件をすべて満たす人です。
- 日本国内に住所がある60歳以上65歳未満の人
- 老齢基礎年金を繰上げ受給していないこと
- 20歳以上60歳未満の保険料の納付月数が480ヶ月(40年)未満であること
- 厚生年金・共済組合等に加入していないこと
また、老齢基礎年金の受給資格期間である10年(120ヶ月)を満たしていない人も、任意加入することで受給資格を得られる場合があります。さらに、1975年4月1日以前に生まれた人で、65歳になっても受給資格期間が10年に満たない人は、一定の条件のもと最長70歳まで特例的に任意加入できます。
手続きは、住んでいる市区町村の国民年金窓口(または年金事務所)で行います。年金手帳・基礎年金番号がわかるもの(またはマイナンバーカードなど)、預貯金口座の通帳と届出印などが必要です。保険料は原則として口座振替での納付となります。詳しい必要書類は、事前に市区町村窓口や年金事務所に確認しておくと安心です。
(参考:日本年金機構「任意加入制度」)
そもそも国民年金の満額はいくら?(令和8年度)

2026年度(令和8年度)の国民年金(老齢基礎年金)の満額は、年額84万7300円、月額に換算すると7万608円です(1956年4月2日以後生まれの人の場合)。20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)すべて保険料を納めた場合に、この満額を受給できます。
年金額は毎年度の物価・賃金の変動に応じて改定されるため、将来の受給額が現在と同じになるとは限りません。満額の仕組みや条件のより詳しい解説は、次の記事で確認できます。
(参考:日本年金機構「老齢年金ガイド」)


未納・免除があるといくら減る?【減額早見表】
国民年金(老齢基礎年金)の受給額は、保険料の納付状況などに応じて決まります。納付済期間が40年(480ヶ月)に満たない場合や、未納・免除期間がある場合には満額より少なくなります。
保険料の免除期間などがなく、保険料納付済期間のみで計算する場合、受給額は次の式で計算できます。
- 年間の受給額 = 満額(84万7300円)× 保険料納付月数 ÷ 480ヶ月
なお、保険料の免除期間がある場合は、免除の種類や時期によって年金額への反映割合が異なります。
納付年数別の受給額・減額早見表

保険料の免除期間などがない場合、納付期間によって年金額がどれくらい変わるのかを一覧にしました。
※2026年度(令和8年度)満額84万7300円を基準とした概算。免除期間がある場合は反映割合が異なります。
受給資格期間(原則10年)に満たない場合は、老齢基礎年金を受け取れません。未納が長いと、障害基礎年金・遺族基礎年金の納付要件を満たせなくなる可能性もあります。
免除・猶予の種類と年金額への反映割合
保険料の免除期間は追納しなくても一定割合が年金額に反映されますが、納付猶予・学生納付特例の期間は、追納しなければ年金額に反映されません。
※一部免除の場合、免除されなかった部分の保険料を納めなければその期間は未納扱いとなり、年金額に反映されません。学生納付特例期間も、追納しなければ年金額には反映されません。
(参考:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」)
経済的な理由で納付が難しい場合は、未納のままにせず免除・納付猶予制度の利用を検討しましょう。免除や猶予を受けた期間も、追納または60歳以降の任意加入で満額に近づけられます。

いつから・いつまで払う?対象と期間
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金制度で、保険料は原則として20歳から60歳になるまでの40年間納めます。
会社員・公務員として厚生年金に加入していた期間や、その扶養に入っていた配偶者の期間も、老齢基礎年金の計算上は保険料納付済期間に含まれます。
納付の開始・終了の時期は誕生月によって細かく変わります。「何歳まで払うのか」「誕生月でどう違うのか」といった詳しい解説は、次の記事で確認できます。


国民年金だけで生活できる?老後の不足額

国民年金の満額は月額7万608円(2026年度)ですが、実際の老齢基礎年金の平均受給月額は約5万9000円(2024年度末)にとどまります。いずれにせよ、この金額だけで老後の生活をすべて賄うのは現実的に厳しいのが実情です。
生命保険文化センターの調査では、夫婦2人の老後の最低限の生活費は月額平均23万9000円、ゆとりある生活では月額平均39万1000円とされています。
仮に自営業の夫婦が2人とも満額を受給しても、世帯の年金収入は月額約14万1216円で、最低限の生活費と比べても毎月約9万8000円が不足します。不足分は貯蓄や退職金、65歳以降の就労収入などで補う必要があります。
詳しい不足額の考え方と対策は次の記事で解説しています。
(参考:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
(参考:生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」)


年金を増やす方法(付加年金・国民年金基金・iDeCo・繰下げ)
国民年金だけでは老後資金が不足する可能性があります。受給額を増やす工夫や、公的年金に上乗せする老後資金の準備が重要です。ここでは代表的な4つの方法を紹介します(60歳以降の任意加入については前半の早見表を参照)。

付加年金を利用する
自営業者やフリーランスなどの第1号被保険者や任意加入者は、毎月の保険料に加えて月額400円の付加保険料を納めることで年金を上乗せできる「付加年金」を利用できます。
受け取れる付加年金額は「200円 × 付加保険料を納めた月数」で計算されます。例えば20年間(240ヶ月)納めると年額4万8000円が生涯上乗せされます。
2年間受け取れば支払った付加保険料と同額になり、以降は受給総額が保険料総額を上回るため、長く受け取るほど有利な制度です。
ただし、国民年金基金に加入している人や、保険料の免除・納付猶予を受けている人などは利用できません。

繰下げ受給で受給額を増やす
受給開始を65歳より後に遅らせる「繰下げ受給」を選ぶと、1ヶ月遅らせるごとに年金額が0.7%増額されます。70歳まで繰り下げると42%、75歳まで繰り下げると最大84%増え、満額(年額84万7300円)を75歳から受け取る場合は約156万円になる計算です。
増額は生涯続きますが、繰下げ期間中は年金を受け取れないため、その間の生活費の計画が必要です。年金額が増えると税・社会保険料の負担が増える場合もあります。
1952年4月1日以前生まれの人などは繰下げの上限が70歳となり、障害年金・遺族年金の受給権がある場合には繰下げが制限される点にも注意が必要です。

国民年金基金・iDeCoで上乗せする

公的年金に上乗せする私的年金として「国民年金基金」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を活用する方法もあります。
国民年金基金は第1号被保険者や60歳以上65歳未満の任意加入者が加入でき、将来受け取る年金額が確定している点が特徴です。
一方iDeCoは自分で掛金を拠出・運用し、成果によって受給額が変わる仕組みで、会社員・公務員・専業主婦(夫)も加入できます。
両制度は併用できますが掛金には合算の上限があります。いずれも掛金が全額所得控除の対象となり、所得税・住民税の負担を軽減できる税制メリットがあります。

国民年金だけで老後資金が足りるか不安なら「3分投資診断」
国民年金は、保険料を納めた期間などによって将来受け取れる年金額が異なります。60歳以降も任意加入して保険料を納めることで、受給額を増やせる場合があります。
ただし、年金額が増えても、それだけで老後の生活費をまかなえるとは限りません。現在の貯蓄や将来の支出も踏まえて、老後資金をどのくらい準備すべきか考えることが大切です。
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国民年金に関するよくある質問
国民年金(老齢基礎年金)の受給額や制度に関してよく寄せられる質問にお答えします。自身の状況と照らし合わせながらご確認ください。
Q. 10年しか払っていない場合の受給額は?
10年間(120ヶ月)だけ納付した場合でも老齢基礎年金の受給資格は得られます。他に免除期間などがない場合、2026年度満額を基準にすると受給額は次のとおりです。
- 84万7300円 × 120ヶ月 ÷ 480ヶ月 = 21万1825円(年額)
月額に換算すると約1万7652円となり、この金額だけで生活するのは困難です。任意加入や繰下げ受給の活用を検討するのが望ましいでしょう。
Q. 任意加入は本当に「得」?損することはない?
任意加入で支払った保険料は、約10年の受給で回収できる計算です(65歳受給開始なら75歳前後が損益分岐)。平均余命を踏まえると多くの人にとって「得」になりますが、
- 受給開始後10年以内に亡くなった場合は、支払った保険料に対して受給総額が下回る可能性があります
- それでも増えた年金は終身で受け取れるため、長生きリスクへの備えとしての価値があります
Q. 未納期間がある場合、後から取り戻せる?
未納期間は、原則として過去2年分までしかさかのぼって納付できません。ただし次の方法で年金額を回復・上乗せできる場合があります。
- 免除・猶予を受けた期間は、10年以内なら追納が可能
- 60歳以降の任意加入で納付月数を増やし、満額に近づける
Q. 65歳以降も働くと年金は減る?
65歳以降に働いて収入を得ても、国民年金(老齢基礎年金)が減額されることはありません。
ただし厚生年金に加入しながら働く場合、総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額の合計が一定額(2026年度は65万円)を超えると、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止される「在職老齢年金」の仕組みがあります。
自営業やパートなどで厚生年金に加入せずに働く場合は、収入がいくらあっても国民年金・厚生年金ともに減額されません。


Q. 35年間納付した場合の受給額は?
35年間(420ヶ月)納付した場合の受給額は次のとおりです。
- 84万7300円 × 420ヶ月 ÷ 480ヶ月 = 約74万1388円(年額)
月額に換算すると約6万2000円。満額には届きませんが、40年納付した場合の87.5%を受け取れます。60歳から5年間任意加入すれば満額を受給できる場合があります。

Q. 任意加入の手続きはどこで、いつまでにする?
手続きは住んでいる市区町村の国民年金窓口(または年金事務所)で行います。基礎年金番号(またはマイナンバー)がわかるもの、預貯金口座の通帳・届出印などが必要で、保険料は原則口座振替での納付です。
任意加入できるのは原則として65歳になるまでですが、受給資格期間が足りない場合は、特例により70歳まで加入できることもあります。任意加入手続きは60歳の誕生日の前日から可能です。
さかのぼって加入することはできないため、できるだけ早めに窓口へ相談するとよいでしょう。
Q. 任意加入と繰下げ受給は併用できる?
併用できます。任意加入で納付月数を増やして年金額のベースを底上げし、さらに繰下げ受給で増額率を上乗せすることが可能です。ただし繰下げ期間中は年金を受け取れないため、その間の生活資金を確保できることが前提となります。
まとめ

国民年金の受給額は保険料の納付状況で決まり、2026年度(令和8年度)の満額は年額84万7300円です。これだけで老後の生活をすべて賄うのは難しいのが現実です。
しかし公的年金の制度内でも、60歳以降の任意加入や付加年金、繰下げ受給で受給額を増やせます。任意加入は保険料を1年納めるごとに年金額を約2万1200円増やすことができ、約10年の受給で支払った保険料を回収できる計算です。
またiDeCoや国民年金基金などの私的年金を活用した上乗せも有効です。自身の年金加入記録を確認し、将来の受給額を試算したうえで、早めに老後資金の計画を立てることが大切です。
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ご留意事項
- 本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の取引を勧誘するものではありません。
- 本記事の内容は記事公開時または更新時点の情報に基づいています。制度・法令・税制等の変更により、現在の情報と異なる場合があります。
- 本記事の内容の正確性、完全性、最新性を保証するものではなく、予告なく変更または更新する場合があります。
- 投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任とご判断のもとで行っていただきますようお願いいたします。
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監修

森本 由紀
- ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士
行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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