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基礎年金の底上げ案とは?生活への影響と改正法案の内容を専門家がわかりやすく解説

基礎年金の底上げ案とは?生活への影響と改正法案の内容を専門家がわかりやすく解説

年金2025/06/03
  • #老後資金

老後の年金だけでは生活できない」「基礎年金が少なすぎるのでは?」と感じる人も多いのではないでしょうか。

政府ではこうした声に応えるかたちで「基礎年金の底上げ案」が検討されています。最低限の年金支給額を守ることで、高齢者の生活をより安定させようという制度改革の一つです。

本記事では、基礎年金の仕組みや2025年5月30日に衆議院で可決された「年金制度改正法案」および基礎年金の底上げについて解説します。

基礎年金の底上げが実施された際のメリットと課題、生活にどのような影響が出るのか、詳しく見ていきましょう。

※本記事の内容は、公開時点での法案や制度の情報をもとに作成しています。今後、国の方針や制度の見直し等により内容が変更される可能性があります。最新の情報は、厚生労働省などの公的機関の発表をご確認ください

この記事を読んでわかること
  • 老齢基礎年金の底上げとは「将来の基礎年金の給付が大きく減らないようにするための仕組み」のこと
  • 基礎年金の底上げ案の課題は「年金制度間の公平性」「制度の持続性」などがある
  • 今のうちから年金以外の方法で老後資金の確保・資産形成を進めておくことが大切


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基礎年金の底上げ案とは

老齢基礎年金の底上げとは?

将来的な基礎年金の給付水準低下を抑制するもの

年金給付を抑える「マクロ経済スライド」によって、将来的に年金の給付水準は低下します。特に、財政状況が厳しい基礎年金の給付水準は、30年後に3割も低下する見込みです。

基礎年金の給付水準が低下すると、低所得者ほど大きな影響を受けます。将来の年金額の大幅減少を防ぎ、国民の老後生活を守るための対策の1つが、基礎年金の底上げです。

ポイントの解説

2025年5月30日に衆議院で可決された年金制度改革法案では、2029年の年金財政検証の結果を見て、厚生年金の積立金を活用して、基礎年金の底上げ措置を講じることが盛り込まれました。

(参考:年金制度改正法案を国会に提出しました|厚生労働省

現在の基礎年金の仕組み

日本の公的年金制度は、2階建て構造です。

  • 1階部分:基礎年金(国民年金)
  • 2階部分:厚生年金

基礎年金はすべての人が加入し、一定の要件を満たすと原則65歳から受給できます。

支給額は物価や賃金水準に応じて調整され、所得が少ない人や厚生年金に加入していない人にとっては、基礎年金が老後の収入の柱になります

底上げ案のメリットと課題

基礎年金の底上げ案のメリット

  • 最低限の生活の保障:高齢者の貧困を防ぎ、最低限の生活を保障する格差是正:特に自営業者、非正規労働者、女性など、厚生年金の対象外になりやすい人への支援になる
  • 生活保護とのバランス調整:年金と生活保護の逆転現象を防止

基礎年金の底上げ案の課題

  • 財源の確保:給付水準を上げるには、国庫負担の増加が不可避
  • 年金制度間の公平性:厚生年金の給付水準が一時的に下がる可能性がある
  • 現役世代の負担増:将来世代の負担が大きくなる懸念
  • 制度の持続性:少子高齢化の中で制度の安定運用が問われる

私たちの生活にどう影響する?

基礎年金の底上げが実現すれば、以下のような人々にとって恩恵が大きくなります。

  • 国民年金のみで老後を迎える自営業者・フリーランス
  • 専業主婦(第3号被保険者)など厚生年金に加入していない人
  • 障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取る人

ただし、実際に支給額がどのくらい上がるのか、開始時期や対象者などは今後の制度設計によります

「底上げされるから安心」と思わず、今のうちから年金以外の方法で老後資金の確保・資産形成を進めておくことが大切です。

現在の年金制度では年金はいくらもらえる?

現在の公的年金制度では、受け取る金額は加入期間働き方によって大きく異なります。ここでは、主に老齢年金(老後にもらえる年金)の目安を紹介します。

国民年金(老齢基礎年金)の受給額

自営業やフリーランスなどが加入する「国民年金」だけを納めてきた人が、20歳から60歳の40年間すべて納付した場合に受け取れるのは以下の老齢基礎年金です。

年間:約83万円(月額約6万9000円)
※令和7年度(2025年度)基準

ただし、未納期間保険料免除期間があると、この金額から減額されます。

厚生年金の平均受給額

会社員や公務員などが加入する「厚生年金」の場合、基礎年金に加えて厚生年金が上乗せされます。

夫婦2人のモデル世帯(夫が40年間会社員で妻が専業主婦)
年間:約279万円(月額約23万2784円×12ヶ月)

単身の平均的な厚生年金受給者
年間:168万円~192万円(月額約14万〜16万円)

※令和7年度(2025年度)基準
※厚生年金加入年数などによって差あり

将来の年金水準はどうなる?

少子高齢化の影響で、将来は現在よりも支給水準が下がる可能性があります。実際、政府の「財政検証」でも、現役世代の収入に対する年金の割合(所得代替率)が将来的に全シナリオで低下します。

ポイントの解説

このような背景から「基礎年金の底上げ」は、年金だけで生活する人の支えとなる重要な改革として注目されています。

(参考:国民年金及び厚生年金に係る 財政の現況及び見通し ー令和6(2024)年財政検証結果 ー

まとめ

基礎年金の底上げ案は、すべての世代にとって関わりのある重要な話題です。高齢化社会の中で、年金制度をどう整えていくかは、将来の安心に直結します。

とはいえ、制度改正には時間がかかるうえ、すべての人に十分な支給が保証されるわけではありません。今後の制度動向に注目しつつ、自分自身でも老後資金の準備を進めていくことが求められます。


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※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます

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監修
西岡 秀泰
  • 西岡 秀泰
  • 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー

同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。

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執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

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