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企業年金のおすすめの受け取り方は?一時金・年金の違いと自分に合った選び方を解説

企業年金のおすすめの受け取り方は?一時金・年金の違いと自分に合った選び方を解説

年金2025/06/09 (最終更新:2026/07/29)

    »あなたの年金はいくら?老後に不足する金額を3分でシミュレーション 

    「企業年金は一時金と年金のどちらで受け取るのがよい?」「税金で損しない受け取り方はある?」と悩む人もいるでしょう。

    企業年金の受け取り方には、主に一時金、年金、そして一時金と年金を組み合わせる併用の3つがあります。

    どれがおすすめかは、退職金の有無や金額、老後の生活費、税金の負担、今後のライフプランによって異なります。

    本記事では、企業年金の受け取り方ごとの特徴や税金の違い、自分に合った受け取り方を選ぶポイントをわかりやすく解説します。

    この記事を読んでわかること
    • 企業年金の「一時金」「年金」「併用」3つの受け取り方の違い
    • 受け取り方によって変わる税金(退職所得控除・公的年金等控除)の仕組み
    • 勤続年数や退職後の働き方など、状況別におすすめの受け取り方の判断基準


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    企業年金の受け取り方で迷う理由

    企業年金の受け取り方が重要である一方、多くの人がその選択に迷うのは、決断が老後の生活設計に直接的な影響を与えるためです。

    ポイントの解説

    受け取り方には「一時金」「年金」「併用」の3つの選択肢があり、それぞれ税金の計算方法が異なります。一時金の場合は「退職所得控除」が、年金の場合は「公的年金等控除」が適用されますが、どちらが有利になるかは個人の勤続年数や企業年金の額、退職後の働き方などによって変わります。

    また、年金形式で受け取ると、毎年の収入が増えることで所得税や住民税だけでなく、国民健康保険料や介護保険料などの社会保険料の負担が増加する可能性もあります。

    一度選択すると原則として変更できないため、これらの複雑な要素を総合的に検討し、最適な選択肢を判断しなければならないのです。

    企業年金の種類と受け取り方の選択肢

    企業年金には、主に「確定給付企業年金(DB)」と「企業型確定拠出年金(DC)」の2種類があります。

    どちらの制度に加入しているかによって、受け取り方のルールや選択肢が異なるため、まずは自身の制度を確認することが欠かせません。

    確定給付企業年金(DB)の受け取り方

    確定給付企業年金(DB)は、将来受け取る年金額が加入期間や給与水準に基づいてあらかじめ決まっている制度です。掛金の拠出や運用は企業側の責任で行われるため、加入者自身が運用リスクを負うことはありません

    受け取り方については、企業の規約によって定められています。選択肢は企業ごとに異なり、「一時金のみ」「年金のみ」、あるいは「一時金と年金の併用」が選択可能など、パターンはさまざまです。

    自身の勤務先の規約を確認し、どのような選択肢があるかを把握する必要があります。

    企業型確定拠出年金(DC)の受け取り方

    企業型確定拠出年金(DC)は、企業が拠出した掛金を加入者自身が運用し、運用成果によって将来の受取額が変動する制度です。運用リスクは加入者自身が負いますが、運用次第で受取額を増やせる可能性があります。

    受け取り方は、原則として60歳から75歳までの間で選択でき、「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」の3つの方法から選べるのが一般的です。

    ただし、企業の規約によっては併用ができない場合もあるため、事前の確認が必須です。どの方法を選ぶかによって税金の扱いが変わるため、慎重な検討が求められます。


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    受け取り方ごとの税制と手取り額の違い

    企業年金の受け取り方を選択する上で、税金の仕組みを理解することは手取り額を最大化するために必要です。

    一時金、年金、併用では、それぞれ異なる税制が適用され、税金の計算方法が異なります。

    一時金で受け取る場合の税制

    企業年金を一時金で受け取る場合、当該所得は「退職所得」として扱われます。退職所得には、長年の勤労に報いるための税制優遇措置として「退職所得控除」が適用されるのが特徴です。

    退職所得控除額は勤続年数に応じて計算され、勤続年数が長いほど控除額が増加します。

    • 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数 (最低80万円)
    • 勤続20年超:800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)

    課税対象となる金額は、受け取った一時金の総額から退職所得控除額を差し引いた後、さらに2分の1にした金額です。

    この計算方法により課税所得が大幅に減少すること、他の所得と合算されずに分離して課税されることにより、税負担が軽減されます。

    (参考:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得) | 国税庁

    年金で受け取る場合の税制

    企業年金を分割して年金形式で受け取る場合、当該収入は公的年金などと同じ「雑所得」として扱われます。雑所得の計算では「公的年金等控除」が適用されます。

    控除額は受給者の年齢や公的年金収入(老齢年金や企業年金など)の合計額によって決まり、65歳以上で公的年金などの収入が330万円未満の場合は110万円です。ただし、老齢年金などで公的年金等控除の枠を使い切った場合、企業年金に控除は適用されません。

    また、雑所得は給与所得など他の所得と合算されて総所得金額が計算される「総合課税」の対象となります。そのため、他に収入が多い場合は所得税の税率が上がり、税負担が重くなる可能性があります。

    さらに、所得額の増加は国民健康保険料や介護保険料などの社会保険料の負担増にもつながるため、手取り額への影響を多角的に考慮する必要があります。

    (参考:No.1600 公的年金等の課税関係 | 国税庁

    併用で受け取る場合の税制

    企業年金の一部を一時金で、残りを年金形式で受け取る併用型を選択した場合、それぞれの税制が適用されます。

    一時金として受け取った部分には「退職所得控除」が、年金として受け取る部分には「公的年金等控除」が適用されるため、両方の税制優遇を活用できるのがメリットです。

    ポイントの解説

    例えば、退職所得控除の枠内で一時金を受け取り、残りを年金で受け取ることで、税負担を分散させることが可能です。

    中でも、公的年金の受給が始まる65歳より前に、60歳から企業年金を年金として受け取り始めると、公的年金等控除の枠を有効に活用できる場合があります。

    ただし、すべての企業年金制度で併用が選択できるわけではないため、自身の制度の規約を確認することが前提となります。

    勤続年数・退職金額別の手取りシミュレーション

    企業年金の受け取り方によって、手取り額がどのように変わるのか、具体的なモデルケースで比較してみましょう。

    ここでは「勤続30年、企業年金2000万円」という条件で、一時金で受け取る場合と、10年間の年金(年200万円)で受け取る場合の税負担を試算します。住民税率は一律10%と仮定します。

    受け取り方

    一時金(退職所得)

    一時金(退職所得)

    年金(雑所得)

    年金(雑所得)

    収入

    一時金(退職所得)

    2000万円

    年金(雑所得)

    200万円/年

    適用される控除

    一時金(退職所得)

    退職所得控除

    年金(雑所得)

    公的年金等控除

    控除額

    一時金(退職所得)

    1500万円

    年金(雑所得)

    110万円/年

    課税対象額

    一時金(退職所得)

    250万円

    年金(雑所得)

    90万円/年(住民税のみ)

    所得税・住民税(概算)

    一時金(退職所得)

    約40万5700円

    年金(雑所得)

    約4万7000円/年

    10年間の合計税額(概算)

    一時金(退職所得)

    約40万5700円

    年金(雑所得)

    約47万円

    【一時金の場合(他に退職所得なしと仮定)】

    • 退職所得控除額:800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円
    • 課税退職所得金額:(2000万円-1500万円)×1/2=250万円
    • 所得税・住民税の合計:約40万5700円(所得税約15万5700円、住民税約25万円)

    【年金の場合(65歳以上、他に所得なしと仮定)】

    • 公的年金等控除額:110万円
    • 雑所得:200万円-110万円=90万円
    • 課税所得金額:90万円 - 基礎控除95万円 =0万円(所得税)、90万円 - 基礎控除43万円 = 47万円(住民税)
    • 所得税・住民税の合計(年額):約4万7000円(住民税のみ)
    • 10年間の合計税額:約4万7000円×10年=約47万円

    このシミュレーションでは、一時金で受け取るほうが税負担は軽くなる結果となりました。

    ただし、年金の場合は運用益が上乗せされる可能性や、他の所得の有無、社会保険料への影響など、考慮すべき要素は他にもあります。あくまで1つの目安として参考にしてください。

    上記は概算であり、復興特別所得税や各種控除(基礎控除、社会保険料控除など)によって実際の税額は変動します。

    【状況別】受け取り方の考え方

    企業年金のおすすめの受け取り方は一時金、年金、併用の3つあり、税金やライフプランに合わせて選ぶのがポイントです。

    ここでは、どのような人に「一時金」「年金」「併用」がそれぞれ向いているのか、具体的なケースを挙げて解説します。

    一時金での受け取りが向いているケース

    一時金での受け取りが向いているのは、以下のようなケースが考えられます。

    • 退職後にまとまった資金が必要な人:住宅ローンの完済や自宅のリフォーム、子どもの結婚資金援助など、退職直後に支出が予定されている場合に有効です。
    • 自分で資産運用をしたい人:受け取った資金を元手に、NISAなどを活用して資産運用を計画している人にも向いています。ただし、投資には元本割れのリスクがあるため、自身のリスク許容度を踏まえた計画的な資金管理が求められます。
    • 勤続年数が長く、退職所得控除額が大きい人:勤続年数が長いほど退職所得控除額が大きくなるため、税負担を抑えやすい一時金が有利になる傾向があります。

    年金での受け取りが向いているケース

    年金形式での受け取りが向いているのは、以下のようなケースが考えられます。

    • 老後の安定した収入を確保したい人:公的年金だけでは生活費に不安があり、企業年金を上乗せして毎月の収入を安定させたい場合に適しています。計画的にお金を使いたい人にも向いています。
    • 退職所得控除の枠を他の退職金で使い切ってしまう人:会社の退職金などで退職所得控除をすでに満額利用している場合、企業年金を一時金で受け取ると税負担が重くなるため、年金形式で受け取るほうが有利になることがあります。
    • 長生きに備えたい人:終身年金を選択できる場合、長生きするほど総受取額が増えるため、長寿化リスクに備えることができます。

    併用での受け取りが向いているケース

    一時金と年金の併用が向いているのは、以下のようなケースが考えられます。

    • 当面の資金需要と将来の安定収入を両立したい人:退職後の小規模なリフォームや旅行などの資金を一時金で確保しつつ、残りは年金として受け取ることで、長期的な生活の安定も図りたい場合に最適です。
    • 税負担を最適化・分散させたい人:退職所得控除と公的年金等控除の両方を効果的に活用したい人に向いています。税金の計算は複雑になりますが、手取り額を最大化できる可能性があります。
    • 将来の不確定要素に柔軟に対応したい人:将来のライフプランや健康状態の変化に備え、手元に現金を確保しつつ、定期収入も得たいと考える場合に有効な選択肢です。

    失敗しないための確認ポイント

    企業年金の受け取り方で後悔しないためには、事前の情報収集と確認が欠かせません。自身の状況を正確に把握し、制度のルールを理解することで、より有利な選択が可能になります。

    ここでは、最低限確認しておくべき3つのポイントを解説します。

    企業年金の加入内容の確認

    まず、自身が加入している企業年金の種類や加入内容を正確に把握することが第一歩です。

    最初に「確定給付企業年金(DB)」なのか、「企業型確定拠出年金(DC)」なのかを確認した上、受給金額や受給時期、受け取り方の選択肢などを確認しましょう。

    ポイントの解説

    確認方法としては、勤務先の人事部や総務部に問い合わせるのが確実です。また、企業型DCの場合は給与明細に掛金額が記載されていたり、加入者向けのWebサイトで運用状況を確認できたりします。

    DBの場合は、年に1度送付される加入状況のお知らせなどを確認してみましょう。制度の種類と規約を把握することで、選択可能な受け取り方を具体的に検討できます。

    退職金との兼ね合い

    企業年金を一時金で受け取る場合、会社の退職一時金との兼ね合いが税金面に影響します。

    同じ年に両方を一時金で受け取ると、その年の課税所得が大きくなり所得税率が高くなる可能性があります。これを避ける方法として、受け取るタイミングをずらすことが考えられます。

    また、先に企業年金(企業型DC)の一時金を受け取り、10年以上あけてから会社の退職金を受け取ることで、それぞれで退職所得控除を適用できる場合があります。

    ただし、企業年金は75歳までに受け取る必要があるなど、年齢的な制約もあるため、計画的な検討が必要です。

    社会保険料への影響

    年金形式で受け取る場合に注意したいのが、社会保険料への影響です。年金収入は「雑所得」として扱われ、他の所得と合算されるため、年間の総所得金額が増加します。

    所得が増えると、国民健康保険料(75歳未満)や後期高齢者医療保険料(75歳以上)、介護保険料の算定基準額が上がり、結果として保険料の負担が増える可能性があります。

    税金だけでなく、社会保険料の負担増も考慮に入れることで、より正確な手取り額を把握できます。

    年金形式を選ぶ際は、居住している自治体の保険料算定方法を確認し、どの程度影響が出るかを試算してみることが望ましいでしょう。

    専門家への相談が必要なケース

    企業年金の受け取り方は、税金や社会保険制度が複雑に絡み合うため、自身の状況によっては専門家への相談が有効です。

    退職金や企業年金の金額が大きい場合、退職後も働く予定がある場合、あるいは複数の年金制度に加入している場合などは、自己判断だけでは最適な選択が難しいケースも少なくありません。

    ファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家は、個別の状況をヒアリングした上で、手取り額が最大になるような受け取り方のシミュレーションを行ってくれます。

    税制や社会保険制度に関する最新の知識をもとに、客観的な視点からアドバイスを受けられるため、後悔のない選択をするための助けとなるでしょう。

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    企業年金の受け取り方に関するよくある質問

    ここでは、企業年金の受け取り方に関して多くの人が抱く疑問について、Q&A形式で解説します。

    Q. 一時金と年金、どちらが有利?

    一概にどちらが有利とは言えません。個人の状況によって最適な選択は異なります。

    一般的に、勤続年数が長く退職所得控除額が大きい方は、税制面で優遇の大きな一時金が有利になる傾向があります。また、住宅ローンの返済など、まとまった資金が必要な場合にも一時金が適しています。

    一方、老後の生活費として安定した定期収入を確保したい場合や、計画的にお金を使いたい場合は年金形式にメリットがあります。

    自身の退職金の額、退職後の収入見込み、ライフプランなどを総合的に考慮して判断することが欠かせません。

    Q. 受け取り方は後から変更できる?

    一度選択した企業年金の受け取り方は、原則として後から変更することはできません。裁定請求の手続きを完了した時点で、その後の受け取り方が確定します。

    例えば、一時金で全額を受け取った後に年金に変更したり、年金で受け取り始めた後に残りを一時金で受け取ったりすることは、ほとんどの制度で認められていません

    これは老後の生活設計に関わる重要な、そして一度きりの選択です。そのため、手続きを行う前に、それぞれのメリット・デメリットを十分に比較検討し、自身のライフプランに合った方法を慎重に選ぶ必要があります。

    Q. 企業年金はいつから受け取れる?

    企業年金の受給開始年齢は、制度の種類や加入期間によって異なります

    企業型確定拠出年金(DC)は、原則として60歳から75歳までの間で希望するタイミングで受け取ることができます。ただし、60歳で受け取るためには通算の加入者期間が10年以上必要です。

    加入期間が10年に満たない場合は、期間に応じて受給開始可能年齢が段階的に引き上げられます。

    加入期間

    受給開始可能年齢

    受給開始可能年齢

    10年以上

    受給開始可能年齢

    60歳

    8年以上10年未満

    受給開始可能年齢

    61歳

    6年以上8年未満

    受給開始可能年齢

    62歳

    4年以上6年未満

    受給開始可能年齢

    63歳

    2年以上4年未満

    受給開始可能年齢

    64歳

    1ヶ月以上2年未満

    受給開始可能年齢

    65歳

    確定給付企業年金(DB)の場合は、企業の規約によって定められているため、自身の勤務先の制度を確認する必要があります。

    まとめ

    企業年金の受け取り方は、「一時金」「年金形式」「併用」の3つがあり、それぞれに税制上のメリット・デメリットが存在します。

    どの方法が最適かは、自身の勤続年数、退職金の額、老後のライフプラン、健康状態などを総合的に考慮して判断する必要があります。

    • 一時金は、退職所得控除により税負担を抑えやすく、まとまった資金が必要な方に向いています。
    • 年金形式は、老後の安定収入を確保でき、長生きリスクに備えたい方におすすめです。
    • 併用は、両方のメリットを活かし、税負担を最適化したい場合に有効な選択肢です。

    まずは自身の企業年金制度の種類(DBかDCか)と加入状況を確認し、選択可能な受け取り方のルールを把握することが欠かせません。その上で、自身の状況に合わせたシミュレーションを行い、有利な方法を選択しましょう。

    自身のライフプランや資産状況に合わせて、最適な受け取り方を慎重に検討することが大切です。

    もし判断に迷う場合は、専門家のアドバイスを参考にしてみるのもよいでしょう。 

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    監修
    西岡 秀泰
    • 西岡 秀泰
    • 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー

    同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。

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    執筆
    マネイロメディア編集部
    • マネイロメディア編集部
    • お金のメディア編集者

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