自己都合退職の退職金はいつもらえる?相場や税金、もらえないケースまで徹底解説
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自己都合で退職する際、退職金はもらえるのか、いつ支給されるのか、減額されることはあるのか、不安に感じる方もいるでしょう。
本記事では、自己都合退職における退職金の支給時期の目安から、会社都合との相場の違い、支給されないケース、万が一支払われない場合の対処法まで、わかりやすく解説します。
- 自己都合退職でも退職金が支給される条件と、その時期の目安
- 自己都合退職と会社都合退職における退職金の一般的な相場の違い
- 退職金が支給されないケースと、その場合の具体的な対処法
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そもそも自己都合退職でも退職金はもらえる?
もしかすると、「自己都合退職だと退職金はもらえない」と思っている方もいるかもしれません。しかし実際には、自己都合退職であっても、退職金が支給されるケースはあります。
退職金の支給は法律で義務づけられているものではなく、その有無や支給条件、計算方法などは、各企業の「就業規則」や「退職金規程」によって定められています。そのため、まずは勤めている会社の就業規則・退職金規程を確認することが非常に重要です。
規程に退職金制度があり、かつ所定の条件(例:勤続年数や退職理由など)を満たしている場合、自己都合退職でも退職金を受け取れる可能性があるでしょう。
会社によっては、自己都合退職の場合に支給額が減額されたり、無支給とされるケースもあるため、やはり事前に確認することが大切です。
自己都合退職の退職金はいつもらえる?
自己都合退職の場合、退職金はいつ支払われるのか気になる方も多いでしょう。一般的な目安と、確認すべきポイントを解説します。
一般的には1~2ヶ月程度で支払われる
退職金の支給時期は、会社の就業規則や退職金規程によって具体的に定められていることがほとんどです。目安としては、退職後1~2ヶ月程度で支払われるケースが一般的です。
しかし、会社の経理処理や書類の手続きに時間がかかる場合や、会社の支払いサイクルによっては、それ以上の期間を要することもあります。例えば、給与の支払い日と合わせて支給される企業や、会社の決算月にまとめて支給する企業など、そのタイミングは会社によってさまざまです。
詳しくは「就業規則(退職金規程)」を確認
退職金の正確な支給日を知るためには、自社の「就業規則」や「退職金規程」を確認するのが確実です。多くの企業では、退職金規程の中に支給時期に関する条項が設けられています。規程に明記された支給日を事前に把握しておくことで、計画を立てやすくなります。
就業規則は、労働基準法で従業員がいつでも閲覧できる状態にしておくことが義務付けられています。書面での配布や、社内システム上で閲覧できるようになっているのが一般的なので、確認してみましょう。もし保管場所等が不明な場合は、人事担当部署に問い合わせて確認するとよいでしょう。
自己都合退職の退職金は減額されることも
自己都合退職の場合、退職金は会社都合退職に比べて減額されることがあります。
会社都合退職の場合よりも減額される可能性あり
退職金制度を設けている企業では、自己都合退職の場合と会社都合退職の場合で退職金の計算方法や支給率が異なります。会社都合退職は、企業の都合による解雇や倒産などが理由であるため、従業員の生活保障の意味合いが強く、退職金が高めに設定される傾向にあるためです。
一方、自己都合退職は従業員自身の意思による退職であるため、会社側の責任が問われにくく、退職金が減額される、あるいは勤続年数に応じた係数が会社都合よりも低く設定される傾向があります。
具体的な減額率は会社によって異なるため、これも就業規則等で確認しておきましょう。
【自己都合/会社都合】退職金の相場
退職金の金額は、企業の規模、勤続年数、退職理由(自己都合か会社都合か)、そして退職時の役職など、さまざまな要因によって変動します。以下で大まかな相場を見ていきましょう。
東京都産業労働局が公表している「令和6年版 中小企業の賃金・退職金事情」で、日本の会社の大部分占めるといわれている従業員10~299人の中小企業を対象とした退職金のデータが示されています。
参照:東京都産業労働局「令和6年版 中小企業の賃金・退職金事情」
このデータを見ると、すべての学歴、勤続年数の区分で、会社都合退職よりも自己都合退職のほうが支給金額が少ないことがわかります。その減額幅は、おおむね給与の1~2ヶ月分程度となっています。
なお、上記はあくまで平均値である点に注意が必要です。会社によっては、自己都合退職の場合、特に勤続年数が短い場合などでは退職金が支給されなかったり、支給されてもごく少額であったりすることもあります。
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退職金がもらえないor大幅減額される3つのケース
退職金制度がある会社でも、特定の状況下では退職金が支給されない、または大幅に減額されることがあります。
就業規則に退職金制度の定めがない
そもそも、会社の就業規則に退職金制度の定めがない場合、原則退職金は支給されません。法律上の支払い義務がないため、会社に制度がなければ、従業員は退職金を請求する権利を持ちません。
入社時や在籍中に、自身の会社の退職金制度の有無を確認しておくことが大切です。
支給対象の条件を満たしていない
退職金制度があっても、支給対象となるための特定の条件が就業規則等で定められている場合があります。例えば、「勤続3年以上」「退職事由が会社都合または定年退職の場合」といった条件です。
自己都合退職の場合でも、「勤続5年以上」といった最低勤続年数が定められていることが多く、この条件を満たしていなければ退職金は支給されません。また、特定の役職者にのみ退職金を支給するといったケースもあります。
懲戒免職にあたる退職の場合
従業員が重大な規律違反や不正行為を犯し、「懲戒解雇」またはそれに準ずる「懲戒免職」となった場合、退職金が支給されない、あるいは大幅に減額されることが就業規則や退職金規程で明記されているケースがあります。
例えば、業務上横領、会社の機密情報の漏洩、ハラスメントなど、重大な違法行為や就業規則違反がこれにあたります。規程に「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない」と明確に記載されている場合は、原則として退職金は受け取れません。支給されるとしても、ごく一部のみとなることがほとんどです。
退職金が予定日までに支払われない場合の対処法
万が一、退職金が予定日までに支払われない場合は、以下のステップで対処を進めましょう。
まずは会社の担当部署に確認
退職金が予定日までに支払われない場合、まずは会社の人事部や経理部など、退職金に関する担当部署に直接問い合わせて確認しましょう。支払いの遅延は、単なる事務処理の遅れや振込口座情報の誤りなど、些細なミスが原因である可能性もあります。
冷静に状況を確認した上で、支払いの見込みや具体的な期日について尋ねてみましょう。この際、いつまでに回答をもらえるか、また具体的な対応策は何かを併せて確認しておくことが重要です。
内容証明郵便で支払いを請求する
口頭での確認や催促で解決しない場合は、内容証明郵便を利用して正式に退職金の支払いを請求することができます。内容証明郵便は、いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったかを郵便局が公的に証明してくれるサービスです。これにより、会社側が「請求を受けていない」といい逃れをするのを防ぎ、法的な証拠として残すことができます。
内容証明郵便には、退職金の請求金額、支払期日、支払われなかった場合の法的措置を検討する旨などを記載し、配達証明付きで送付することをおすすめします。これにより、会社側に支払いの義務があることを強く認識させることができます。
専門家に相談する
内容証明郵便を送っても状況が改善されない場合は、労働基準監督署や弁護士などの専門機関に相談することを検討しましょう。
労働基準監督署
労働基準監督署は、労働者の権利が侵害された場合に相談できる公的機関です。退職金の未払いも労働基準法に関わる問題として扱われる可能性があります。労働基準監督署に相談することで、会社に対して行政指導が行われるなど、問題解決に向けた圧力をかけてもらえる可能性があります。
弁護士
個別の労働問題に強く、交渉や訴訟といった法的手段による解決を検討する場合には、弁護士への相談が有効です。
弁護士は、会社の就業規則や法的な根拠に基づいて退職金の支払いを強く請求したり、必要に応じて労働審判や民事訴訟などの手続きを代行したりすることができます。費用はかかりますが、確実に権利を行使したい場合に頼りになるでしょう。
まとめ
自己都合退職における退職金は、会社都合退職の場合とは異なる特性を持ちますが、会社の就業規則や退職金規程に定めがあれば、支給される可能性があります。
支給時期は、一般的に自己都合か会社都合かにかかわらず1~2ヶ月程度が目安になりますが、これも規程によって異なる場合があるため、まずは自社の規程を確認することがもっとも重要です。
なお、自己都合退職では会社都合退職に比べて退職金が減額されるのが一般的であり、また支給条件を満たさない場合や、懲戒免職に該当するような場合は、退職金がまったく支給されないこともあります。
万が一、受け取れるはずの退職金が予定通り支払われない場合は、まず会社に確認し、それでも解決しない場合は適切な方法で請求を行うとよいでしょう。
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監修
西岡 秀泰
- 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー
同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。