
退職金は一括?年金?もらい方で損しないための選び方と税金・活用法まで徹底解説
>>退職金を減らさないために、まずは専門家に相談を
「退職金のもらい方で一番損しない方法は?」と退職金の受け取り方について悩んでいる人も少なくありません。
退職金の受け取り方は主に「一時金」「年金」「併用」の3パターンがあり、退職金は受け取り方によって手取り額が大きく変わることがあります。税金の仕組みをあまり理解せずに選んでしまうと、思ったよりも手元に残るお金が少なくなってしまう可能性があります。
本記事では、退職金のもらい方について、「一時金」「年金」「併用」の受け取り方における税金の仕組みや選び方を専門家がわかりやすく解説します。
- 退職金のもらい方の種類は「一時金・年金形式・一時金と年金形式の併用」
- 一時金の場合は「退職所得控除」、年金形式の場合は「公的年金等控除」が適用される
- 退職金のもらい方はライフプランに合わせて考えることが大切
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退職金の基本を確認しよう
退職金とは、企業が従業員の退職時に、長年の勤労への報奨や退職後の生活保障などを目的として支払う金銭のことです。
中小企業の退職金事情について詳しく見ていきましょう。
退職金が支払われる条件・タイミング
退職金が支払われる条件やタイミングは、企業によって大きく異なります。
一般的には、企業ごとに就業規則や退職金規程などに詳細が定められており、勤続年数や退職理由(定年・自己都合・会社都合など)によって金額や支給額が決まります。
また、退職金の支給時期は多くの企業で退職後1〜2ヶ月以内とされており、退職後すぐに受け取れるとは限りません。
事前に自社の規程を確認し、必要な手続きやスケジュールを把握しておくことが大切です。
退職金の相場
東京都では、都内の従業員10人〜299人の中小企業を対象に、毎年賃金や退職金についての調査を行っています。
令和6年度の調査によると、定年時の平均的なモデル退職金(学校卒業後すぐに入社した人が普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準)は、高校卒が約970万円、高専・短大卒が約990万円、大学卒が約1150万円となっています。
退職金が賃金に連動し、学歴が高くなるほど高くなる傾向があります。
(参考:中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)|中小企業の賃金・退職金事情|東京都産業労働局)
中小企業には「中退共制度」があることも
中退共(中小企業退職金共済制度)とは、単独では退職金制度を設けることが難しい中小企業のために、国が設けている退職金共済制度です。
中退共に加入している企業では、事業主が毎月掛金を支払い、従業員の退職金を積み立てています。中退共の掛金の一部は、国から助成される仕組みです。
中退共に加入している企業を退職した場合には、退職金は中退共から直接従業員に支払われます。退職金額は、事業主が納めた毎月の掛金と加入期間に応じて計算され、一定期間以上加入すると運用利息や付加退職金が加算されます。
中退共の退職金が支払われるタイミング
中退共の退職金をもらうには、退職者本人が中退共に必要書類を提出し、請求手続きを行う必要があります。
退職金は、請求書類が中退共本部に受理されてから通常約4週間で支給されます。
なお、退職金の支払い手続きは、退職月分までの掛金が事業主から納付されていることが確認できた後に進行します。
掛金の納付が遅れている場合や書類に不備がある場合には、退職金の支払いまでに2ヶ月以上かかることもあります。
退職金のもらい方は「一時金・年金形式・併用」
退職金のもらい方は企業の制度によって異なりますが、主に
- 一時金
- 年金形式
- 一時金と年金の併用
という3つの選択肢があります。
それぞれのメリットやデメリットを理解しておきましょう。
①一時金で受け取る場合
一時金での受け取りは、退職時に退職金を一括で受け取る最も一般的な方法です。まとまったお金を一度に手に入れられるため、資金をさまざまな目的で活用できます。
- 住宅ローンの繰り上げ返済や老後の生活費
- 新たな資産形成などすぐに大きな資金を必要とする場合
などには、「一時金」で受け取るとメリットが大きいでしょう。
税制面では、退職所得控除という優遇措置が適用されるため、税負担を大幅に軽減できます。税法で定められた控除額の範囲内であれば、税金の心配をする必要はありません。
一時金でまとまったお金を受け取る場合、受け取ったお金を計画的に使わないと、すぐに使い果たしてしまうリスクもあります。
将来のマネープランを考えて慎重に使い道を考えることが大切です。
②年金方式で受け取る場合
年金方式で受け取る方法は、退職金をまとめて受け取るのではなく、一定期間にわたって分割して受け取る方法です。
定期的に安定した収入が得られるため、長期的な生活資金が確保でき、計画的な家計管理もしやすくなります。年金として受け取っている間は企業が資金を運用するため、運用による増減があります。
税制上は公的年金等控除が適用され、受け取っている期間中の所得税や住民税の負担が軽減されます。
ただし、一時金に比べて税負担が重くなる傾向があり、トータルの手取りが少なくなる可能性もあります。
年金受け取りをする場合には、企業が倒産するリスクや、インフレによる実質価値の目減りリスクも考慮する必要があります。
③一時金と年金方式を併用する場合
退職金の一部を一時金で受け取り、残りを年金形式で受け取る方法です。
例えば、退職金2000万円のうち1000万円を一時金で受け取り、残り1000万円を分割して年金形式で受け取るような場合です。
両者の併用の最大のメリットは、それぞれの長所を活かして柔軟な資金計画が立てられることです。
一時金部分は退職所得控除を活用して税負担を軽減し、住宅ローンの繰り上げ返済など急な出費に充てられます。
年金部分は老後の安定収入として活用し、長期的な生活の安心感を得られます。
税制面では、一時金部分は退職所得控除、年金部分は公的年金等控除をそれぞれ活用できるため、税務上のメリットを最大化できる可能性があります。
参考)iDeCoの場合
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金を準備するための私的年金制度です。iDeCoの資産は60歳以降に受け取るため、退職金と同時期に受け取ることが多くなります。
iDeCoの受け取り方法も、退職金と同様に一時金、年金、両者の併用から選べます。iDeCoも一時金で受け取ると退職所得控除、年金で受け取ると公的年金等控除が受けられます。
ただし、退職金の受取とiDeCo(個人型確定拠出年金)を受け取る時期によっては、重複して控除の適用が受けられない場合があります。
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退職金のもらい方で変わる税金の仕組み
退職金はもらい方によって所得の種類が変わり、税金の計算方法も変わってきます。一時金で受け取ると退職所得となり、年金で受け取ると雑所得となります。
一時金で受け取る場合、「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出するか否かにより、計算が異なります。
併用の場合には、一時金で受け取ったお金が退職所得となり、年金として受け取ったお金は雑所得となります。
それぞれのケースでの税金の計算方法について解説します。
一時金の場合の税金
退職金を一時金出受け取った場合、所得の種類は退職所得となります。退職所得には税制優遇があり、勤続年数による「退職所得控除」という大きな控除が受けられます。
次の計算式で算出します。
例えば勤続30年の場合、退職所得控除は
となり、1500万円を受け取った退職金の額から控除できます。
さらに、退職所得として課税対象になるのは退職所得控除後の金額の2分の1のみです。ここでも税負担は大幅に軽減されます。
なお、退職所得は他の所得と分離して課税される申告分離課税であるため、その年の他の所得が多くても退職金の税率には影響しません。
年金形式で受け取る場合の税金
年金形式でもらう退職金は雑所得として扱われ、「公的年金等控除」を適用できます。公的年金等控除額は年齢(65歳未満か65歳以上か)により異なります。
また、その年の公的年金等以外の所得金額の有無によって所得税の額が変わります。
年金に区分される雑所得には、公的年金や年金形式の退職金のほか、iDeCoで受け取る個人型確定拠出年金(老齢給付金)なども含まれます。
雑所得は他の所得と合算して税金を計算する総合課税であるため、給与所得や事業所得、一時所得などの所得がある場合は税率が高くなる可能性があります。
年金収入が一定額を超えると社会保険料(国民健康保険料や介護保険料)の負担も増加します。
なお、年金形式で受け取る場合、公的年金等の収入金額が400万円を超える場合、または公的年金等以外の所得がある場合には確定申告が必要です。
一時金と年金方式を併用する場合の税金
一時金と年金を併用する場合、一時金部分は退職所得として退職所得控除の対象、年金部分は雑所得として公的年金等控除の対象となります。
併用方式の税務上のメリットは、両方の控除制度を活用できることです。
例えば、退職金2000万円のうち1500万円を一時金、500万円を年金で受け取ると仮定します。この場合、一時金部分は退職所得控除を最大限活用でき、年金部分は公的年金等控除の範囲内に収めることで税負担を最小化できる可能性があります。
ただし、年金部分の受け取り期間中は毎年の所得として計算されるため、他の所得との合計額によっては税率が高くなる場合があります。
また、社会保険料への影響も考慮する必要があります。
併用方式を選択する場合は、一時金と年金の配分比率を慎重に検討し、長期的な税負担を試算することが重要です。
退職金のもらい方で一番得なのは?金額をシミュレーション
退職金3000万円を受け取る場合、一時金と年金形式では手取り額が大きく異なります。
※下記のシミュレーションはあくまで概算値です。実際の税額は、扶養親族の有無、医療費控除や社会保険料控除など、その他の所得控除や税額控除の適用状況、個人の住民税額や市町村民税の均等割・所得割、復興特別所得税率、制度の変更などによって変動します
また、公的年金等控除額は、公的年金等以外の所得金額によっても適用される表が変わるため、自身の総合的な所得状況を確認しましょう
「一時金」で受け取る場合
退職金を一時金として一括で受け取る場合、「退職所得控除」が適用されます。これにより、税金がかかる部分(課税退職所得)を大きく減らすことができます。
【①退職所得控除額の計算】
勤続20年を超える場合の退職所得控除額は、「800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)」で計算されます(参考:国税庁)。
退職所得控除額 = 8,000,000円 + 700,000円×(38年 − 20年)
= 8,000,000円 + 12,600,000円
= 20,600,000円
【②課税退職所得金額の計算】
課税退職所得金額は、「(退職金総額 − 退職所得控除額) × 1/2」で計算されます(参考:国税庁)。
課税退職所得金額 = (30,000,000円 − 20,600,000円) × 1/2
= 9,400,000円 × 1/2
= 4,700,000円
【③所得税額を計算(復興特別所得税含む)】
課税される所得金額は4,700,000円です。国税庁の「所得税の税率」を適用します。
「3,300,000円 から 6,949,000円まで」の区分に該当:税率20%、控除額427,500円
- 所得税額 = 4,700,000円 × 0.20 − 427,500円
- = 940,000円 − 427,500円
- = 512,500円
これに復興特別所得税(所得税額の2.1%)を加算します。
- 復興特別所得税 = 512,500円 × 0.021 = 10,762.5円 → 10,762円(円未満切り捨て)
所得税等合計:512,500円 + 10,762円 = 523,262円
【④住民税額を計算】
退職所得に対する住民税は、分離課税であり、他の所得とは合算せずに計算されます。
所得割
- 課税される所得金額(退職所得) = 4,700,000円
- 標準税率:市町村民税 6% + 道府県民税 4% = 10%
- 所得割額 = 4,700,000円 × 0.10 = 470,000円
住民税合計:470,000円
【⑤手取り額を計算】
手取り額 = 退職金総額 − (所得税等合計 + 住民税合計)
= 30,000,000円 − (523,262円 + 470,000円)
= 30,000,000円 − 993,262円
= 29,006,738円(手取り額)
上記の前提条件(退職金3000万円、勤続38年)で、退職金を「一時金」として受け取る場合の税引後手取り額は、「約2901万円」となりました。
2. 退職金「年金」で受け取る場合
退職金を年金として受け取る場合、公的年金と同様に「雑所得」として扱われ、毎年受け取る年金額に応じて所得税と住民税が課税されます。この際、「公的年金等控除」が適用されます。
・退職金総額:3000万円
・年金として10年間で受け取る場合:年間300万円
・公的年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金):年間150万円
・年齢:65歳
・住民税▼
均等割…市町村民税3000円(年額)、道府県民税1000円(年額)
所得割…一律10%
(参考:総務省|地方税制度|個人住民税)
・他に雑所得(年金以外の所得)はないものと仮定
【①公的年金等の年間収入合計を計算】
まず、退職金から受け取る年金と公的年金を合計します。
- 年間収入合計 = 3,000,000円 (退職年金) + 1,500,000円 (公的年金) = 4,500,000円
【②公的年金等に係る雑所得の金額を計算】
国税庁の「公的年金等に係る雑所得の速算表(令和2年分以後)」の公的年金等以外に所得合計額が1000万円以下の場合、65歳以上を参照します。
年間収入合計450万円(65歳以上)は、「410万円超 770万円未満」の区分に該当します。
雑所得の計算式:収入金額の合計額 × 0.85 − 68万5千円
- 雑所得の金額 = 4,500,000円 × 0.85 − 685,000円
- = 3,825,000円 − 685,000円
- = 3,140,000円
【③所得税額を計算(復興特別所得税含む)】
課税される所得金額(雑所得の金額)は3,140,000円です。国税庁の「所得税の税率」を適用します。
課税される所得金額195万円超330万円以下の場合:税率10%、控除額97,500円)
基礎控除(所得税):480,000円(参考:基礎控除|国税庁)
- 所得税額 =( 3,140,000円ー480,000円) × 0.10 − 97,500円
- = 266,000円 − 97,500円
- = 168,500円
これに復興特別所得税(所得税額の2.1%)を加算します。
- 復興特別所得税 =168,500円 × 0.021 =3,538.5円 → 3,538 円(円未満切り捨て)
所得税等合計(年間):168,500円 + 3,538円 = 172,000円(100円未満切り捨て)
【④住民税額を計算】
所得割:
課税される所得金額 = 3,140,000円
標準税率:10%
基礎控除(住民税):430,000円
所得割額 =(3,140,000円-430,000円 )× 0.10 = 271,000円
均等割:
市町村民税 3,000円 + 道府県民税 1,000円 = 4,000円
住民税合計(年間):271,000円 (所得割) + 4,000円 (均等割) = 275,000円
【⑤年間手取り額と10年間合計の手取り額を計算】
年間手取り額 = 年間収入合計 − (所得税等合計 + 住民税合計)
= 4,500,000円 − (172,000円 + 275,000円)
= 4,500,000円 − 447,000円
= 4,053,000円(年間手取り額)
= 4,053,000円 × 10年
= 40,530,000円(10年間合計の手取り額)
上記の前提条件に基づき、退職金3000万円を年間300万円ずつ年金形式で10年間受け取り、他に年間150万円の公的年金がある場合(65歳以上)の合計手取り額は、「約4053万円」になります。
自分に合った受け取り方法の選び方
退職金の最適なもらい方は、ライフプランや資金ニーズ、資産の状況などによって異なります。退職金を使う目的や税金の負担を考えて、自分に合った方法を選びましょう。
退職後すぐにお金が必要な場合
住宅ローンの残債がある、親の介護費用がかかる、などの理由で退職後すぐにまとまった資金が必要な場合は「一時金での受け取り」が適しています。
一時金なら退職後1~3ヶ月程度で全額を受け取れるため、急な出費に対応できます。また、住宅ローンの繰り上げ返済を行えば、その後の利息負担を軽減でき、結果的に家計の改善につながります。
ただし、一時金で受け取る場合、一度に大きな金額を手にすることになるため、計画的な使用が重要です。
老後の安定収入を重視する場合
退職後の生活で安定した収入を確保したい場合は、「年金形式での受け取り」が適しています。
公的年金だけでは生活費が不足する場合、年金形式で退職金を受け取ることで、生活の安心感が得られます。
また、年金形式の場合、受け取っている期間中は企業が資金を運用します。資産運用に不安がある人や、まとまった資金の管理に自信がない人は、企業に運用を任せられる年金形式がおすすめです。
ただし、インフレや企業の倒産リスクについて考慮しておく必要があります。
税金をなるべく抑えたい場合
税負担を最小化したい場合は、退職所得控除を最大限活用できる一時金での受け取りが最も有利です。特に、退職金が退職所得控除額以下の場合は、税金の負担がありません。
退職金が控除額を大幅に上回る場合は、併用方式を検討しましょう。一時金部分で退職所得控除を活用し、年金部分で公的年金等控除を活用することで、全体の税負担を軽減できる場合があります。
ただし、将来の税制改正や所得税率の変更リスクについても考慮しておきましょう。
判断に迷った時は専門家に相談する
退職金のもらい方は、個人の状況によって最適な方法が異なります。金融機関やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することで、判断のポイントを知ることができます。
専門家は税制面だけでなく、社会保険料への影響、相続対策、資産運用の観点からも総合的にアドバイスしてくれます。
退職金を受け取った後の確定申告は必要?
一時金でもらう場合には、「退職所得の受給に関する申告書」を事前に会社に提出していれば、会社が正確な税額を源泉徴収するため、原則として確定申告は不要です。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、20.42%の税金が源泉徴収されます。この場合、税金を払い過ぎていることが多いため、確定申告により還付が受けられる可能性があります。
年金形式でもらう場合には、公的年金等の収入金額が400万円以下で、公的年金等以外の所得がなければ、確定申告は不要です。
退職金が支払われない時の対処法
退職金は法律で必ず支払うと定められているものではありません。しかし、退職金の支給が就業規則や雇用契約書、退職金規程などで定められている場合には、会社に支払い義務が生じます
退職金の支給条件を満たしているのに支払われない場合には、会社に問い合わせるとともに、書面で請求を行うことが有効です。
それでも解決しない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。ADRや労働審判、労働訴訟により解決を図ることも可能です。
退職金の預け先・使い道を考えよう
退職金はまとまった金額になるため、適切な預け先や使い道を考えることが重要です。銀行預金、投資信託、NISAなど、選択肢は多岐にわたります。
一部を生活資金として預金で確保しつつ、残りを資産運用で増やすことも有効です。
老後のライフプランやリスク許容度に合わせ、退職金の最適な活用方法を検討しましょう。使い道を明確にし、目的ごとに資金を振り分けることで、退職後の不安を減らすことができます。
退職金の預け先・使い道の一例
退職金をどこに預けたら良いのか迷っている人のために、退職金の預け先や使い道の具体例を紹介します。
例:生活費の予備資金として預金で確保する
退職金の一部を当面の生活費や急な出費に備えるための予備資金として、普通預金や定期預金で確保しておく方法があります。
預金があれば、急な医療費や介護費用などの不測の出費にも対応しやすいでしょう。特に、年金受給までのつなぎ資金や、収入が不安定な時期の生活費として役立ちます。
なお、預金保険制度により1つの金融機関に対して1000万円までしか保護されません。その点を踏まえて、大きな金額の場合は複数の金融機関に分散することも検討しましょう。
例:安定性を重視して債券などの低リスク商品で運用
退職金の運用を考える場合、債券や定期預金などの低リスク商品での運用は、元本割れのリスクを抑えつつ資産を守る手段となります。
特にリタイア後の生活資金として使う場合には、リスクを最小限にしながら着実に利回りを得られる商品を選ぶと安心です。
国債や社債などの債券は、比較的リスクが低く、定期的な利子収入が期待できます。元本割れのリスクもゼロではありませんが、株式などに比べると変動は小さい傾向にあります。
退職金の運用で悩んだ時の相談先
退職金として大きな金額を受け取ると、運用方法について悩んでしまうことも多いでしょう。預金で安全に管理するか、投資で増やすか、選択肢はさまざまです。判断を誤ると将来の生活に不安が残ることもあります。
退職金の運用については、金融機関やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのがおすすめです。
専門家は中立的な立場から資産状況や目標を丁寧にヒアリングし、最適な運用プランを提案してくれます。
退職金の活用方法のほか運用によるリスク、税金のことなど、個人のライフプランに合った客観的なアドバイスを期待できます。
まとめ
退職金のもらい方には一時金、年金形式、併用の3つがあり、それぞれに税制上のメリット・デメリットがあります。
一時金は退職所得控除による税制優遇がありますが、資産管理能力が問われます。年金形式は安定収入を確保できる一方、税負担が重くなることがあります。
併用方式は両方のメリットを活用できますが、制度が複雑になります。
最適な選択は個人の状況によって異なります。判断に迷った場合は、金融機関やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのがおすすめです。
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監修
中川 美佐子
- 税理士
東京国税局に採用後、東京国税局・金沢国税局管内の税務署に勤務、主に法人税・源泉所得税の調査事務・内部事務に従事。2021年たまらん坂税理士法人に社員税理士として入社。税務訴訟補佐人資格保有。
執筆
森本 由紀
- ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士
行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。