貯金3000万円超えたら要注意!知らないと損する賢いお金の使い方をプロが解説
「貯金3000万円超えたら、何かするべきことはある?」「貯金が3000万円あったら何年生活できる?」と、貯金3000万円を超えたらどうするべきか、今仕事を辞めたらあと何年暮らせるか、このまま貯金を続けるべきか、気になっている人も多いのではないでしょうか。
令和4年のデータによると、保険や有価証券なども含めた貯蓄額において、平均貯蓄額を3000万円以上保有しているのは主に年収1000万円以上(総世帯:金融資産保有世帯)の世帯になります。
本記事では貯金3000万円を超えたら何をするべきか悩んでいる人に向けて、賢いお金の使い方についてお金の専門家がわかりやすく解説します。
- 3000万円を保有しているのは少数派
- 3000万円の貯金があった場合、二人以上世帯では「約9年」、単身世帯では「約16年」で使い切ってしまう
- 3000万円は早期退職やセミリタイアをするには十分な金額とはいえない可能性が高い
- 3000万円など、まとまったお金を運用するなら安定性の高い「債券」がおすすめ
貯金が3000万円を超えている割合はどのくらい?
「3000万円を超える貯金額を保有している人はどのくらいいる?」と気になっている人も多いでしょう。
金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年度)」を参考に、日本の人々がどれくらい金融資産を保有しているのか見ていきましょう。
年代別・年収別の預貯金額
年代別に見ると、年代が上がるに連れて預貯金(運用または将来の備え)が増えています。
預貯金が最も多い年代は60代で、退職金が預貯金額に影響していることが考えられます。
また、預貯金に占める定期性預貯金の割合は、年代が上がるほど高くなっています。
年代が上がるに連れてリスクのある運用ではなく、安全な預貯金を好む人が多いといえるでしょう。
さらに預貯金に占める定期性預貯金の割合は、どの年収帯でも約半分くらいを占めていることがわかります。
年収別に見ても、年収が上がるにつれて預貯金額や定期性預貯金が増えています。
年代別・年収別の金融資産保有額
年代別の金融資産保有額を見ると、60代にかけて増え続けています。
一般的に60代で退職を迎える人が多いことから、70代は金融資産保有額の増加はほとんどありません。
年収別の金融資産保有額を見ると、年収が高くなるにつれて金融資産保有額は増えています。
年収1000万円を超えると500~750万円未満の世帯と比べて、金融資産保有額に2000万円以上の差があることがわかります。
貯金が3000万円を超えているのは少数派
貯金だけで3000万円を超えている人はかなり少ないといえます。
ただし、預貯金を含めた金融資産の保有額で3000万円を超えている人も存在します。
具体的には、年収が1000万円以上の世帯が該当します。
年代別に見ると、3000万円を超える人は少ないですが、60〜70代は約2000万円の金融資産を保有していることがわかります。
金融商品を取り入れることで、預貯金以外の資産を持つことができ、3000万円近くの金融資産を保有する可能性もあります。
貯金3000万円で何年暮らせる?
退職後の生活を想像して「3000万円あったら働かなくても良い?」「3000万円で何年暮らせる?」と、疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。
実際3000万円でどのくらい生活ができるのか、シミュレーションしてみましょう。
3000万円を何年間で使い切るかシミュレーション
3000万円を何年間で使い切るか、総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」を参考にシミュレーションしてみましょう。
二人以上世帯の月間消費支出額は、約28万円となっています。
単身世帯の月間消費支出額は、約16万円となっています。
3000万円の貯蓄があった場合、二人以上世帯で約9年、単身世帯で約16年で使い切る計算となります。
現在、一般的に退職年齢と年金受給開始年齢は65歳からとなっています。
仮に、3000万円をもとに55歳で早期退職した後、夫婦であれば約9年で使い切るということになり、年金受給開始年齢まで持ちません。
また、臨時的な出費が必要となった際は、さらに早く資金が底尽きます。
そのため、退職年齢にもよりますが、3000万円の貯蓄では早期退職をするに十分な金額とはいえないかもしれません。
セミリタイアの可能性
FIRE(経済的自立と早期退職)まではいかなくても、セミリタイアを検討している人もいるかもしれません。
定職にはつかず、アルバイトなどの臨時的な収入や貯蓄を頼りに生活すること
仕事がフルタイムでない分、時間に余裕が生まれ、資金を使う機会も自然と増えることでしょう。
セミリタイア後、どこでどんなライフスタイルを送るのかによっては、3000万円の貯蓄では足りない可能性があります。
また、しっかり計画を立てていても病気や失業などによって計画が崩れる可能性があります。
セミリタイアを考える場合、不測の事態にも備えて慎重に検討しましょう。
賢くお金を使うなら資産運用がおすすめ
現在の低金利(※)の状況やインフレの影響により、貯金を行うだけではなかなかお金を増やしづらくなっています。
資産運用は株式や債券などの投資によって資産を成長させることが期待できます。
資産運用を行ううえで知っておきたい基本知識を解説します。
※記事公開時参考:普通預金金利|預金金利・利率 | みずほ銀行
基本の運用スタイルは「長期・積立・分散」
資産運用における大切なポイントは3つです。
1つ目は「長期間運用すること」です。
具体的には、20〜30年を見込んでおくとリターンが安定します。経済不況で大きく下落しても、動揺せずに運用を続けましょう。
2つ目に「積立投資すること」です。
一定金額で積立買付をすると、買値を平準化することができます。積立投資では、買うタイミングが分散されるため、一括投資に起こりやすい高値掴みを防ぐことができます。
最後は「分散投資すること」です。
ただ分散投資をするのではなく、値動きの異なる金融商品に分散投資しましょう。例えば、一般的には株式が値上がりすると、債券は値下がりしやすいといわれています。
異なる値動きの株式と債券に分散投資していれば、株式の下落リスクを債券がカバーしてくれる仕組みになります。
「長期・積立・分散投資」を基本として運用をすることで、投資におけるリスクを抑えることができます。
資産運用における「リスクとリターン」
「リスク」と聞くと、多くの人がそれを「危険性」とイメージするかもしれません。しかし、投資の世界では「リスク」とは「変動幅」という意味で定義されます。
一方、「リターン」とは、資産運用によって得られる「収益」を指します。金融商品では、リスク(変動幅)とリターンは密接に関連しています。
リスク(変動幅)が大きいと、将来の値動きが予測しにくくなるため、成功すれば大きなリターンが得られる可能性もありますが、失敗した場合には元本割れが大きくなるということです。
つまり、リスクとリターンは表裏一体といえます。
資産運用を検討する際は自分がどのくらいリスクを許容できるか、どのくらいのリターンを望むのかをふまえて金融商品を選ぶ必要があります。
商品選びに大切な「金融商品の特性」
金融商品を選ぶ際には、「金融商品の特性」をしっかり理解しましょう。
金融商品の特性において「リスクとリターン」という観点だけではなく、以下の3点においても納得できるものを選びましょう。
投資したお金(元本)や利子の支払いがどれくらい確実なのかを表す要素
【収益性】
自分が投資した金額に対して、どれくらいの収益が期待できるのかを表す要素
【流動性】
投資した金額をどれくらいの期間で現金化できるかといった、お金の動かしやすさを表す要素
また、商品選びをする際には以下のように、運用目的に応じて金融商品を選ぶように意識してみましょう。
30年後に必要な老後資金を作る運用
15年後に必要な教育資金を作る運用
使用目的は決まっていないがすぐに現金化できる運用
このように、運用目的に最適な運用商品に分散投資することで、バランスの良い資産運用ができます。
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貯金3000万円あるからこそおすすめしたい資産運用は「債券」
貯金が3000万円ある世帯は珍しいですが、仮に3000万円といったまとまったお金があった場合、おすすめしたい資産運用は「債券」です。
なぜ債券がおすすめなのか、理由は2つあります。
おすすめ理由①安定性が比較的高い
国や企業などが資金を調達するために発行する有価証券のこと
債券を購入した人は、発行体にお金を貸している状態になります。発行体が破綻しない限りは、債券購入時の条件に従った利子を受け取ることができ、満期には原則元本が返ってくる仕組みです。
債券のメリットは、金利が固定のため受け取れる利子が決まっており、満期に応じて資金計画が立てやすい点です。
そのため、金融商品の中でも安定性が比較的高い商品だといわれています。
おすすめ理由②まとまったお金があるからこそ効率的に増える
債券は、投資する資金が大きければ効果が増す傾向にあります。
ただし、リスクの高い商品に大きな資金を投資することは、精神的な負担が大きくなります。
しかし、自分で選んだ発行体に資金を貸し、固定の利子をもらえる債券なら、安心して継続的に運用できます。
投資額や利回りによっては、債券から定期的な収入だけで生活費を賄うことも可能です。
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債券で投資した場合のシミュレーション
預貯金に預ける場合と、債券に投資する場合の、リターンをシミュレーションしてみましょう。
初期投資額:1000万円
期間:5年
■債券(年利3%・税金20.315%)
1000万円→1119万5275円(※)
■預貯金(金利0.001%・税金20.315%)
1000万円→1000万399円
(参考:定期預金利息シミュレーション |定期預金・普通預金|イオン銀行)
同じ期間預けていても、債券と預貯金ではリターンに大きな差が出ることがわかります。
※計算式(1000万円×3%×(100-20.315)%=23万9055円(年間利金))×5年=119万5275円
おすすめ理由③富裕層にしか購入できない債券がある
債券には、「額面金額」として最低投資金額が設定されています。
個人の投資家が投資できる社債は、額面金額を100万円程度に小口化されています。
一方、「機関投資家」と呼ばれる法人の大口投資家向けが投資できる債券は、額面金額を1億円に設定されています。
証券会社によっては、本来1億円からしか買えない法人向けの債券を2000〜3000万円に分割して個人の投資家が買えるようにしています。
HPなどで公表されていない債券のため、証券会社に確認してみると良いでしょう。
(参考:額面金額│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券)
リスクを取って投資をするなら「積立投資」がおすすめ
債券投資よりも、リスクを取ってリターンを求める人には「積立投資」がおすすめです。積立買付を行う金融商品は、世界株式に分散投資ができる「投資信託」を選ぶのも一案です。
運用の専門家が投資家から集めた資金を投資家に代わって運用する金融商品のこと
債券投資よりも、リスク(変動幅)は大きいものの、長期的には大きなリターンが期待できます。
貯金3000万円超えた人が陥りやすい思い込み
貯金3000万円を超えると、経済的な安定を感じて現在の生活や将来について満足してしまう人もなかにはいるかもしれません。
3000万円を超える貯金を持つ人々が陥りがちな思い込みに焦点を充て、そのリスクや注意点を見ていきましょう。
①貯金だけで十分
貯金が3000万円以上あると、目先の生活を送るうえでは十分な金額に思えるかもしれません。
しかし、老後のライフプランやインフレ(物価上昇)を考慮すると、貯金だけでは十分ではないでしょう。
将来の生活に備えるためには、貯金に加えて資産運用を取り入れて資産を増やしていくことが大切です。
②将来は何も変わらない
人生は予測できないものであり、自分の未来に何が起こるかは誰にもわかりません。
仕事や収入の変化、病気や怪我、災害など、思いもよらない出来事が起こるかもしれません。
そのような不測の事態に備えて、適切な保険の加入や備蓄、予備資金の準備も考えておきましょう。
③お金があるから自分で判断できる
投資や保険などの金融商品は、複雑な内容を含んでいる場合があります。
自分で判断することができない時は、中立的な専門家のアドバイスを受けましょう。
投資詐欺から身を守るためにも、信頼できる情報源を利用し、正しい知識を身につけることも必要です。
貯金3000万円を超えたら貯金・預金はしないほうがいい?
貯金が3000万円を超えた場合、そのまま貯金をするべきかどうか悩む場面が今後出てくるかもしれません。
銀行預金を続けた場合のメリット・デメリットについて解説します。
銀行預金を続けた場合のメリット・デメリット
銀行預金のメリットは資金の流動性が高い点です。現金が必要な時に銀行窓口やATMで引き出すことができます。
また、元本割れのリスクがなく、預金保険制度で一定額まで保証されます。
不測の事態のために、安全にすぐ使える資金を確保するという意味で、銀行預金は最適でしょう。
一方、銀行預金のデメリットは、お金が増えにくい点です。現在の低金利(※)の日本では、物価上昇によって現金の価値が目減りしています。
銀行預金のメリット・デメリットは、資金性格や個人のリスク許容度によって異なります。
まずは今後のライフプランを考えたうえで、銀行預金に預けるべき金額がいくらなのかを検討してみましょう。
※記事公開時参考:普通預金金利|預金金利・利率 | みずほ銀行
貯金・預金を続けることが適切な選択になることも
今後のライフプランを考えたうえで、銀行預金が最適な選択になることもあります。
例えば、数年後にまとまった資金の入用が決まっている場合は、あえて資産運用をしない方が良いでしょう。
数年間の短期運用では、元本割れの可能性が高まります。
そのため、万一に備えていつでも資金を引き出したい場合は、銀行預金が適しているでしょう。
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まとめ:貯金3000万円超えた人は資産運用の選択肢が広がる
貯金額や金融資産が3000万円以上ある人は、少数派です。
ライフスタイルによるとはいえ、3000万円だけで生活を送るには、不十分だと考えられます。また、不測の事態や臨時的な出費も考慮すると、セミリタイアも厳しいでしょう。
ただし、3000万円以上あるからこそ金融商品の選択肢の幅は広がります。
特に、リスクを大きく取らずに安定的に運用したい人にとっては、債券運用を検討してみても良いでしょう。
債券を活用した運用方法には、さまざまな種類があります。
自分にとって最適な運用方法を比較したい人は、資産運用のプロに一度相談してみてはいかがでしょうか。
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監修者
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆者
西森 遥
- ファイナンシャルアドバイザー
都留文科大学卒。大和証券株式会社にて、主にリテール営業に従事。株式、投資信託の販売など、資産運用コンサルティング業務に携わる。現在は個人向け資産運用会社にて、運用に関するコンサルティング業務を行っている。顧客に寄り添う営業をモットーとし、特に若い世代へ資産運用の必要性を伝えるべく、日々精力的に活動中。外務員一種保有。