
30代の貯金はいくらあれば安心?平均額・中央値と将来資金の作り方を解説
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「30代でいくら貯金があれば安心できるのだろう?」このような漠然とした不安を抱えている方は少なくないようです。結婚、子育て、住宅購入、キャリアアップなど、ライフイベントが本格化する30代は、お金に関する悩みが増える時期でもあります。
そこで本記事では、30代の平均貯蓄額や中央値を解説するとともに、住宅資金、教育資金、老後資金といった将来の大きな出費に備えるための考え方をご紹介します。30代の今から、将来の不安を安心に変えるための具体的な一歩を踏み出しましょう。
- 30代の単身世帯および2人以上世帯における平均貯蓄額と中央値の実態
- 人生の三大資金に対する30代の備え方と検討すべきポイント
- 家計の見直しやNISA、iDeCoを活用した資産形成の具体的な戦略
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30代の平均貯金額はいくら?
30代の貯金額は、単身世帯か2人以上世帯かによって大きく異なります。ここでは、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」のデータをもとに、それぞれの世帯の平均値と中央値を見ていきましょう。
平均値は全体の合計を人数で割ったもので、一部の大きな金額に引っ張られやすい傾向があります。一方、中央値はデータを金額の小さい順に並べたときにちょうど真ん中にくる値で、より実態に近い感覚を示しやすい特徴があります。
30代(単身世帯)の平均貯金額は?
30代・単身世帯では、金融資産あり世帯が66.6%、金融資産なし世帯が33.4%となっています。そして、金融資産ありと回答した世帯の内訳は以下のとおりです。
30代単身世帯(金融資産あり世帯)の金融資産保有額は、平均で700万円、中央値は305万円となっています。内訳を見ると、100万円未満が23%、100~200万円未満が12.4%となっており、金融資産あり世帯の約3分の1が金融資産200万円未満という結果になっています。
30代(2人以上世帯)の平均貯金額は?
30代・2人以上世帯では、金融資産あり世帯が75.5%、金融資産なし世帯が24.5%となっています。そして、金融資産ありと回答した世帯の内訳は以下のとおりです。
30代の2人以上世帯(金融資産あり世帯)の金融資産保有額は、平均で909万円、中央値は360万円です。単身世帯と比較すると、平均・中央値ともに高くなっていますが、これは夫婦など収入源が複数あることや、将来のライフイベントに備えた貯蓄意識の高まりが影響している可能性が考えられます。
一方で、100万円未満、100~200万円未満の割合が多い傾向は2人以上世帯も同様で、合わせて30%を超えています。
30代の「安心」を左右する人生の3大資金+αはいくら必要?
30代が安心して将来を過ごすには、人生の大きな支出となる「住宅」「教育」「老後」の三大資金、そして「万が一の備え」を意識した計画が不可欠です。具体的な金額の目安は個々の状況で異なりますが、ここではその考え方と計画の重要性について解説します。
住宅資金
住宅購入は、人生でもっとも大きな買い物の1つです。頭金の目安として、「物件価格の10~20%」が一般的に挙げられますが、これらはあくまで目安であり、そこまで必要ないケースもあります。
そして、住居費は世帯の「手取り収入の25~30%」程度が理想とされています。住宅ローンを組む際は、このラインを基準に置きつつ、将来のライフプランも考えながら余裕を持った計画を立てることが肝心です。
住宅を購入した後も、固定資産税や修繕積立金、メンテナンス費用など、継続的な費用が発生するため、購入を検討する段階であらかじめ想定しておくことをおすすめします。
教育資金
子どもの教育資金は、幼稚園から大学まで、進路によって大きく変わってきます。例えば、すべて国公立の学校を選択する場合と、すべて私立の学校を選択する場合では、総額で数百万円から数千万円の差が生じることもあります。また、学習塾へ通う場合ではさらに大きな費用がかかるでしょう。
教育資金の準備には、児童手当を貯蓄に回す、学資保険を活用するといった方法が考えられます。長期的な視点で計画を立て、着実に準備を進めることが重要です。
子どもの進路選択の可能性を複数想定しながら、それぞれの場合に必要な教育資金を大まかに試算してみましょう。
老後資金
「老後2000万円問題」でも取り沙汰されたように、多くの人が公的年金だけでは生活費が不足する可能性が高く、その不足分を自らの資産で補う必要があります。そのため30代といえども老後資金の準備に早すぎるということはありません。
まずは毎年送付される「ねんきん定期便」や、オンラインで閲覧できる「ねんきんネット」で、将来受け取れる年金額を確認し、自身にとって不足する見込み額を大雑把にでも想定することから始めましょう。
万が一の備え
三大資金とは別に、突発的な支出や予期せぬ収入減に備えるための「生活防衛資金」の確保も重要です。これは、病気やケガ、失業など、万が一の事態に直面した際に、生活を維持するための資金です。
具体的には、生活費の6ヶ月分程度を目安に確保しておくとよいでしょう。この資金があることで、不測の事態にも冷静に対応でき、日々の生活に安心感が生まれます。
普段の生活費と混同しないよう、別の口座にプールするなど、すぐに使ってしまわない工夫も有効です。
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【世帯タイプ別】30代の理想の貯金額
30代における理想の貯金額は、世帯の状況や将来のライフプランによって異なります。ここでは、独身、夫婦のみ(DINKS)、子育て世帯の3つのタイプに分けて、貯蓄の目安とポイントを解説します。
独身の場合
独身の30代は、給与収入も増えてきて比較的自由に使えるお金が多い時期であり、貯蓄と同時に自己投資にも力を入れるポートフォリオが推奨されます。具体的には手取り収入の20~25%を貯蓄に回すのが理想です。
30代は結婚や住宅購入など、大きなライフイベントを迎える人も多い年代です。これらに備えるために積極的に貯蓄に回すことを意識しましょう。
夫婦のみ(DINKS)の場合
子どもがいない共働き世帯(DINKS)は、人生でもっとも貯蓄効率を高められる時期・属性であるといえます。手取り収入の25%以上を貯蓄に回すことを目標とし、この時期に将来の資産の土台を築くことが非常に重要です。
夫婦で将来の具体的なライフプラン(いつまでに何をしたいか、どんな暮らしをしたいか)を話し合い、それに応じた貯蓄目標を設定してみるとよいでしょう。
子育て世帯の場合
子育て世帯の30代は、教育費などの支出が増えるため、貯蓄を継続することが難しくなる傾向があります。そんな中でも、手取り収入の10~15%程度を死守することを目標に、さらに先の教育資金や老後資金のための一定額を確保することが重要です。
家計の現状を詳細に把握し、無駄な支出がないか見直すことが、貯蓄を継続するための鍵となります。特に固定費の見直しは効果が大きいため、優先的に行うとよいでしょう。
30代の資産を最大化する「家計見直し」と「資産形成」の具体策
30代で資産を最大化するためには、「守り(節約)」と「攻め(資産運用)」の両面から具体的なアクションプランを実行することが重要です。
【守り】家計の3大固定費を見直す
家計の見直しにおいて特に効果が大きいのは、毎月決まって発生する固定費です。以下の3つの項目を中心に、見直しを検討してみましょう。
住居費
賃貸の場合は、郊外へ出る、駅から少し遠いところにするなどで家賃を下げられる場合があります。引っ越し等の費用は一時的にかかりますが、長期的には節約になります。
すでに住宅を購入している場合は、より有利な条件の住宅ローンに借り換えることで月々の返済額を減らせる可能性もあるでしょう。
保険(保障内容の最適化)
加入している保険の保障内容が、現在のライフステージや家族構成に合っているか確認しましょう。不要な保障を削減したり、よりコストパフォーマンスの高い保険に切り替えたりすることで、保険料を最適化できます。
通信費(格安SIMなど)
スマートフォンやインターネットの通信費は、見直しの余地が大きい項目です。大手キャリアから格安SIMへの乗り換えや、不要なオプション契約の見直しなどによって、毎月の費用を抑えることが可能です。
これらの他にも、不要なサブスクリプションサービスがないか確認し、整理するのも固定費削減に有効です。
【攻め】NISAを活用
2024年から始まった新しいNISAは、非課税で投資ができる期間が恒久化され、非課税保有限度額も大幅に拡大された非常に強力な資産形成ツールです。ぜひ30代から長期的な視点で活用を進めていきましょう。
つみたて投資枠で長期的な資産形成
「つみたて投資枠」は、年間120万円まで、毎月一定額を積み立てる形での投資が可能です。投資信託などを活用して、長期目線での資産形成を心がけましょう。時間を味方につけ、複利効果を最大化することで、着実に資産形成を進めることができます。
成長投資枠でサテライト運用
「成長投資枠」は年間240万円まで利用可能で、個別株や投資信託など、より幅広い選択肢から投資できます。つみたて投資枠で形成するコア資産とは別に、自身の目標やリスク許容度に応じて、サテライト的な投資を行うことも可能です。
一般的に個別株投資は投資信託に比べてリスクが高くなります。特に成長投資枠を活用して個別株への投資を検討する場合は、事前に投資に関するリスクとリターンについて知識を十分に深めておくことをおすすめします。
【攻め+節税】iDeCoを活用
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金形成に特化した私的年金制度です。掛金が全額所得控除となるほか、運用益が非課税であること、受取時も税制優遇を受けられることなど、強力な税制優遇が大きなメリットとなっています。
一方で、原則60歳まで引き出せないというデメリットもあるため、自身のライフプランに合わせてNISAと使い分けたり併用したりするのがおすすめです。老後資金をしっかり準備しつつ節税効果も得たい場合は、iDeCoを活用するのがよいでしょう。
30代の貯金に関するよくある質問(Q&A)
最後に、30代の貯金に関するよくある質問にお答えします。
Q. 30代で貯金はいくらあれば安心?
安心できる金額は、個人の価値観や将来のライフプランによって異なるため、一概にいくらとはいえません。
ただし、もしもの病気やけが、失業などへの備えとしての「安心」という意味では、年代を問わず、生活費6ヶ月分程度の生活防衛資金を確保しておくと、ひとまずは安心です。
この生活防衛資金をベースに備えつつ、将来のライフイベントに向けてさらに貯金や資産運用で増やしていくことを考えるとよいでしょう。
Q. 30代で貯金100万円未満はヤバい?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によると、30代単身世帯の33.4%は金融資産なしであり、また、金融資産ありと答えた66.6%の世帯の23%、つまり全体の約15.3%は資産100万円未満であるというデータが出ています。
これを合わせると、全体の約48.7%、つまり半数近くが貯金100万円未満であることになり、まったく珍しいことではないことがわかります。
「ヤバい」の基準は個人の状況や価値観にもよるため、一概にはどちらともいえませんが、一般的には将来に向けた資産額として十分とはいえません。早めに貯金の習慣をつけていく必要性が高いといえるでしょう。
Q. 30代で500万円貯金している人の割合は?
同調査によると、30代で金融資産を500万円以上保有している世帯の割合は、単身世帯で26.8%、2人以上世帯で31.9%です。このことから、おおよそ3~4人に1人は500万円以上の資産を保有していることになります。
計画的に資産形成に取り組むことで、比較的若い世代でもまとまった貯蓄ができるということがわかります。
まとめ
30代は、人生におけるさまざまなライフイベントが本格化し、お金に関する漠然とした不安を抱えやすい時期です。また、金融広報中央委員会のデータからは、貯金を効率的に進めている人となかなか貯金できない人が大きく分かれていく年代であることもわかります。
将来への「不安」を「安心」に変えていくには、上記も踏まえつつ、住宅資金、教育資金、老後資金といった人生の三大資金への備えを進めていく必要があるでしょう。
30代は、資産形成の時間がまだまだたっぷりあり、NISAやiDeCoといった税制優遇精度のメリットを最大限に活用できる年代です。まずは自身のライフプランを見つめ直し、具体的な目標を設定して、一歩ずつ着実に資産形成を進めていきましょう。
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監修
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。