5000万円でFIREできる?実現可能なライフスタイルと将来の選択肢を解説
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「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」という生き方が注目を集める中、目標資産として5000万円を想定している人は多いでしょう。しかし、資産5000万円でのFIREは現実的なのでしょうか?
本記事では、資産5000万円でのFIREが失敗に終わらないよう、実現可能なFIREや、特に重要な「出口戦略」について徹底解説していきます。
- 資産5000万円で達成可能なFIREの具体的な種類と実現条件
- フルFIREを目指す場合の追加運用シミュレーションと資産運用の「出口戦略」
- 暴落時や税金・社会保険の落とし穴を回避するための具体的な対策
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資産5000万円ならFIREは可能?
資産5000万円を達成した方は、非常に高い貯蓄目標をクリアしたことになりますが、この資産額だけで完全に労働から解放されるかというと、目指す生活水準や家族構成によって「可能」か「不可能」かが分かれます。
FIRE成功の第一歩は、自分がどのような生活を送りたいか、すなわち、目指すFIREの形態を明確にすることです。
5000万円ではフルFIRE(ファットFIRE)は難しい
FIREの実現可能性を判断する際によく基準とされるのが「4%ルール」です。これは、年間支出の25倍の資産があれば、年率4%で資産を取り崩しても、資産が30年間枯渇しない確率が高いという法則です。
この4%ルールに基づき、資産5000万円で目指せる年間生活費の上限を計算すると、以下のようになります。
5000万円 × 4% = 200万円
年間200万円ということは、月々では、約16万6666円が生活費の上限となります。 この生活費水準であれば、独身者で支出が少ない場合は達成可能な場合もあるかもしれませんが、夫婦や家族がいる場合、あるいは都心での生活やゆとりのある生活を考えると、これらすべての生活費を資産収入だけで賄う「フルFIRE(ファットFIRE)」を達成するのは難しいといわざるを得ません。
また、後述するように、4%ルールには前提条件があり、日本の税制や市場を考慮すると、さらに保守的な取り崩しが必要となるため、5000万円では、十分な生活水準のフルFIREは困難です。
5000万円で可能なFIRE
資産5000万円でフルFIREは難しくても、支出を抑えたり、労働収入と組み合わせたりすることで実現可能なFIREのスタイルがいくつか存在します。
5000万円という資産を形成できた事実は、将来の選択肢を大きく広げることになります。
リーンFIRE
リーンFIREは、生活費を極限まで抑えることを前提としたFIREの形態です。資産5000万円で達成を目指す場合、年間200万円程度に生活費を抑える必要があります。
具体的には、主に独身者が対象となりやすいスタイルで、家賃の安い地方に居住する、自炊や節約を徹底するなどして、月の生活費を15万円程度に抑えられれば、資産5000万円でも達成可能となります。
サイドFIRE
サイドFIREは、資産運用による不労所得(資産収入)だけでは生活費の全てを賄わず、パートタイムやフリーランスなどの労働収入も得るスタイルです。
資産5000万円であれば、例えば年間100万円程度を資産の取り崩しで賄い、残りの生活費を労働収入で賄うといった運用が可能です。労働時間を短くすることも可能で、ストレスも軽減されるため、経済的な自由を享受しつつ、精神的・肉体的な負担を減らすことができる、バランスの取れた選択肢といえます。
バリスタFIRE
バリスタFIREは、サイドFIREの一形態です。一般的にサイドFIREがフリーランスなども含めた柔軟な働き方を指すのに対し、バリスタFIREは企業に雇用される形で働き続けるスタイルを指します。バリスタFIREは、勤務先によっては健康保険や厚生年金といった社会保険に加入できるのが最大のメリットです。
これにより、保険料の自己負担を抑えつつ、将来の年金額を増やすことも可能になります。このケースでも、5000万円の資産があるため、生活のために嫌な仕事をする必要が減り、より自由な仕事の選択権を持つことができます。
コーストFIRE
コーストFIREは、十分な資産を、将来必要な老後資金の「元本」として確保し、それ以降は追加の入金をせず、資産が複利で成長していくのに任せるというスタイルです。
例えば、40歳で5000万円を達成した人が、その資産を年利4%で60歳まで20年間運用できたと仮定すると、理論上は1億円を超える資産にまで成長します。
この「将来の見通し」を立てることで、「もう老後のためにお金を積立てなくても大丈夫」という安心感が得られます。その結果、現在の労働収入は無理に貯蓄へ回さず、日々の生活の充実や自己投資に使えるようになり、精神的な自由度が格段に高まります。
5000万円の運用でフルFIREを目指す選択肢も
現時点でフルFIREの基準に満たなくても、数年間の追加運用期間を設けることで、資産を大きく成長させ、より余裕のあるフルFIREを目指すことが可能です。資産5000万円という元本は、時間と複利の力を利用する上で非常に有利に働きます。
さらに運用を続けたらいくらになる?
初期資産5000万円を年利4%で運用し続け、さらに月々一定額の入金(積立)を続けた場合の将来の資産額をシミュレーションしてみましょう。
シミュレーション参考:資産運用シミュレーション|みんかぶ
このシミュレーション結果から、コツコツ投資を続けることで資産がさらに大きく成長することがわかります。
例えば、月々10万円を追加で積立運用すれば、資産は1億1400万円を超えます。これは、年間450万円(月37万5000円)の生活費が必要なファットFIREの目安とされる1億1250万円を達成可能な水準です。
5000万円の元手があれば、追加の運用期間を設けることで、目標とする生活水準でのフルFIREも現実的なものとなります。
>>リタイア後に必要な資金はいくら?あなたのケースでシミュレーション
このシミュレーションは、税金やインフレ(物価上昇)を考慮しておらず、また「年利4%」が安定的に得られることを前提とした計算上の目安です。
実際の運用リターンは市場環境によって毎年変動するため、将来の資産額を保証するものではありません。
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FIREの成否を分ける「出口戦略」とは?
資産規模が5000万円で、深く考えずに早期退職してしまった場合、出口戦略の失敗は資産の早期枯渇、すなわち「FIRE卒業」(再就職)に直結します。
そうならないためには、資産を築く「入口戦略」(積立・運用)だけでなく、資産をどのように取り崩していくかという「出口戦略」が極めて重要です。
以下で出口戦略についてもしっかり理解しておきましょう。
1.「4%ルールは万能ではない」と心得る
4%ルールは広く知られていますが、いくつかの重要な前提に基づいているため、そのまま日本の環境に適用するのはリスクが伴います。このルールは万能ではないと心得るべきです。
4%ルールは米国市場を想定している
4%ルールは、過去の米国株式市場(特にS&P500など)が高い成長率とリスク許容度を示してきたという歴史的なデータに基づいています。
日本国内の投資環境や、成長率が低い市場で運用を行う場合、この4%という取り崩し率を適用すると、資産寿命を危険にさらす可能性があります。
金融所得課税を考慮していない
4%ルールは、資産の取り崩し時に発生する税金(金融所得課税など)を考慮していません。日本のNISAなどの非課税制度を利用しない場合、運用益に対して約20%の税金が課されます。
この税金分を考慮すると、実質的な取り崩し可能額は減少し、資産寿命は短くなる傾向にあります。
逆にいえば、FIRE後の出口戦略では「NISA口座の資産から優先的に取り崩す」ことが、手取り額を最大化し、資産寿命を延ばすための鉄則となります。
FIREを目指す過程だけでなく、FIRE後の資産の置き場所としても、NISA制度の最大限の活用は必須です。
毎年安定したリターンがあるとは限らない
市場は毎年安定してプラスのリターンを出すわけではありません。FIRE直後に世界的な金融危機などで市場が大暴落した場合、評価額が下がった運用資産を生活費のために取り崩さなければなりません。
こうしたことが起こると、資産寿命は極端に縮んでしまう可能性があります。
インフレによる「支出額の増加」を考慮する必要がある
4%ルールの元となった研究では、取り崩し2年目以降、物価上昇に合わせて取り崩し額を増やしていくことを想定しています。つまり、年間200万円の生活費も、年2%のインフレが続けば10年後には約244万円に増えます。
FIRE後の数十年という長い期間では、このインフレによる支出増がボディブローのように資産を圧迫することを理解しておく必要があります。
2.「現金クッション」を用意しておく
市場暴落によるリスクに対応し、資産寿命を確保するためには、運用資産とは別に「現金クッション」を用意しておくことが必須の対策です。
FIREを実行する際には、最低でも1年分、可能であれば2年分の生活費を、すぐに引き出せる普通預金などの現金として確保しておくべきです。これにより、市場が暴落し運用資産の評価額が下がった時でも、運用資産を取り崩すことなく、現金で生活費を賄うことができます。
市場が回復するまで待つ時間的な余裕が生まれるため、資産寿命の枯渇を防ぐことができます。
退職後の「住民税爆弾」にも対応できる
この現金クッションは、FIRE初期に直面する可能性のある「住民税爆弾」への対策としても有効です。
会社員を退職した翌年は、前年の高い所得に基づいて住民税が計算されます。退職によって収入が減っているにもかかわらず、現役時代と同等の住民税を支払う必要が生じるため、家計を圧迫することがあります。
十分な現金クッションがあれば、この突発的な支出にも対応でき、FIRE生活を安定させることができます。
3.取り崩し率を保守的に設定する
日本の市場環境、税制、そして将来的なインフレリスクなどを考慮すると、4%という取り崩し率は高すぎる可能性があります。 資産寿命を確実に伸ばし、経済的な自由を失う「FIRE卒業」を回避するためには、取り崩し率を2~3%程度と保守的に設定することが推奨されます。
資産5000万円の場合、3%取り崩しであれば年間150万円、2%取り崩しであれば年間100万円となります。それを考慮した上で、FIREのスタイルを選択し、労働収入や生活費の見直しをする必要があります。
市場状況に応じて取り崩し額を調整するのも有効
毎年機械的に一定額を取り崩すのではなく、市場状況に応じて取り崩し額を調整する戦略は、資産寿命の維持に非常に有効です。
例えば、市場が大きく上昇した年は取り崩し額を少し増やし、暴落した年は取り崩し額を減らす、あるいは先に用意した現金クッションで生活費を賄うなど、柔軟に対応することで、資産寿命の枯渇リスクを軽減できます。
この柔軟な取り崩しを実践するための具体的な手法として「バケット戦略」があります。これは資産を目的別に3つのバケツに分けて管理する考え方です。
- 第1のバケツ(短期資金): 生活費1〜2年分。いつでも引き出せる現金や預金(=現金クッション)。
- 第2のバケツ(中期資金): 生活費3〜7年分。比較的安定した値動きを目指す低リスクな債券ファンドなどで運用。
- 第3のバケツ(長期資金): 残りの全資産。長期的な成長を目指す株式ファンドなどで運用。
日々の生活費は「第1のバケツ」から使い、市場の調子が良い年に「第3のバケツ」の一部を利益確定して「第1」に補充する、といったルールを設けます。こうすることで、暴落時に慌てて株式ファンド(第3のバケツ)を売却せずに済み、冷静かつ計画的な資産の取り崩しが可能になります。
FIREまでの運用で迷った場合は専門家に相談するのもアリ
資産5000万円を形成し、それを適切に「出口戦略」に基づいて取り崩してFIRE生活を成功させるためには、税制、社会保険、資産運用の深い知識が要求されます。
特に、FIRE後の健康保険や年金の切り替えタイミング、最適な取り崩し戦略、そして税制上の優遇措置の利用については、個人の状況によって最適解が異なります。
FIREを計画する段階で、FP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家に相談することは、計画の確実性を高め、思わぬ落とし穴(例:住民税爆弾)を回避するために非常に有効です。
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銀行や証券会社など、特定の金融機関に所属していないため、個人のライフプランや家計状況を総合的に判断し、5000万円でのFIREの可能性や、今後の最適な運用方法、ポートフォリオなどについて客観的なアドバイスの提供が可能です。
また、運用は一度始めたら終わりではなく、定期的な見直しが大切です。
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まとめ
資産5000万円でのFIREは、実現する生活水準や選択するFIREのスタイルによっては、実現可能な場合があります。
生活費のすべてを資産収入だけで賄う「フルFIRE」は難しいですが、支出を最低限に抑えた「リーンFIRE」や、労働収入を組み合わせる「サイドFIRE」「バリスタFIRE」であれば選択肢に入ってくるでしょう。
もしフルFIREを目指す場合は、追加で運用を続け、資産を1億円規模にまで成長させる計画が必要ですが、元手として5000万円あれば、それも達成が見えてきます。
ただし、FIRE成功のもっとも重要な鍵は「出口戦略」です。FIREにおいて「4%ルール」は非常に有名ですが、万能ではないことを理解し、「現金クッション」の準備や、取り崩し率を保守的に見積もるといった運用を検討しましょう。
また、迷った時は専門家の知見も活用し、リスクをコントロールしながら、理想とする経済的自由を実現しましょう。
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監修
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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