2000万円を運用するなら何がベスト?投資のプロが厳選!運用のポイントを徹底解説
「2000万円でどんな運用ができる?」「退職金をもらったけれど、運用するべき?」と、まとまった資金で資産運用を始めたいと検討している人もいるのではないでしょうか。
2000万円など、まとまったお金はすべてを運用に回すのではなく、万が一のためのお金を残しつつ、一部を一括投資するのがおすすめです。
また、毎月の貯金で積立投資を行うことでリスク分散をしながら効率よくお金を増やすことが期待できます。
本記事では「2000万円を使って効率よく運用したい」とまとまったお金で資産運用を検討している人に向けて、2000万円を運用するにあたっておさえておきたいポイントとおすすめの運用方法について投資のプロがわかりやすく解説します。
- 「老後2000万円問題」があるが、インフレなどにより2000万円で足りるとは言い切れない
- 2000万円を運用する際のポイントは「リスクが低い商品から始める」「運用を続けるために万一に備える」など
- 2000万円は「安定資産への一括投資と長期積立投資の組み合わせ」がおすすめ
2000万円を運用した方が良い理由
金融広報中央委員会が実施した「家計の金融行動に関する世論調査(令和5年度)」によると、金融資産額が2000万円を超えている割合が一番高いのは60代、次いで70代となっています。
60代と70代の貯蓄額2000万円超えの割合が高いのは、退職金など定年時にまとまったお金を受け取る機会が多いことが考えられます。
今回のデータにある「金融資産」には、預金だけでなく個人年金や債券、株、投資信託などの金融商品も含まれています。このことから、60歳以降で2000万円以上の金融資産を保有している人の中には若いうちから投資をして、60歳・70歳時点である程度まとまった資産を保有しているケースもあるでしょう。
一方、20代から50代で金融資産額が2000万円を超えている人も一定数いるようですが、全体で見るとその数は少数派です。
金融資産が2000万円を超えていると「2000万円で十分では?」と考える人も中にはいるかもしれません。
しかし、現在の物価上昇の状況が続いた場合、インフレリスクにさらされ保有資産が目減りする可能性があります。
そのため、保有資産が2000万円あるからといって安心するのではなく、預金以外にもさまざまな資産に分散して資産を保有することが大切です。
①老後資金は2000万円だけでは足りない可能性が高い
インフレとは私たちが日々購入しているモノの値段が上がることをいいます。
今後インフレが起こった場合、金融資産額が2000万円を超えていれば老後資金として足りるのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。
まずは以下の計算式をもとに必要な老後資金を計算しましょう。
ここでは毎月の収入と支出を、令和元年6月3日 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」を参考に算出します。
毎月約5.5万円の赤字となります。
そして、毎年2%の物価上昇が起こった場合、毎月の支出は「36万2028円」となります。物価が上昇した場合の老後資金を計算してみましょう。
今後、仮にインフレが起こった場合、老後に必要な資金は約2800万円から3500万円となっており、2000万円では足りない結果となりました。
また、本シミュレーションは住宅の修繕費や介護にかかる費用などは含まれていません。仮に、家の修繕費や老人ホームに入所するための費用なども加算すると1000万円から2000万円上乗せする必要があります。
今後インフレが起こった場合や介護などの万一の支出に備えるのであれば、2000万円では老後資金として足りないと言えるでしょう。
参考)老後資金の目安
生命保険文化センターが実施した「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人の老後生活に必要な最低金額は月平均で23.2万円となっています。
また、趣味や旅行などを楽しむ「ゆとりある生活」を送るためには追加で月平均14.8万円が必要という結果でした。
仮に、老後20年から25年間で考えた場合、3552万円から4440万円のお金がないと、ゆとりある老後は過ごせないということになります。
ゆとりある老後生活を送るためには、最低でも3000万円から3500万円程度のお金を準備する必要がありそうです。
(参考:2022(令和4)年度生活保障に関する調査|生命保険文化センター)
Q.貯金2000万円で何年生活できる?
今後インフレが起こった場合を想定した老後資金のシミュレーションでは、老後20年〜25年間で不足する老後資金は約2800万円から約3500万円という結果でした。
毎月不足する生活費は11万5541円となっており、仮に貯蓄2000万円で毎月の不足金額を補てんした場合、「14年と4ヶ月」で貯蓄が底を尽きる結果となります。
年金生活のスタート地点を65歳とするのであれば、80歳になる前には貯金が底をつき、残りの老後生活を年金だけで過ごすことになります。
また、老後は介護の必要性を感じる人も増えてくるでしょう。住宅をバリアフリーにしたり、施設に入所するとなれば数百万円から数千万円単位のお金が必要になります。
人によっては、貯金2000万円だけでは十分な介護サービスを受けることが厳しそうです。
②預金するよりも効率的にお金を増やすことが期待できる
貯金2000万円をそのまま預金しておくよりも、資産運用を行うことで効率的に資産を増やすことが期待できます。
仮に、1000万円を銀行に預金した場合と、資産運用した場合では以下のような違いがあります。
1000万円×0.02%=2000円(受け取れる利子)
【1000万円を年利3%で1年間運用した場合】
1000万円×3%=30万円(利益)
以上のように銀行預金の金利が低い現代では、より高い利率での運用が期待できる資産運用を活用した方が資産を効率的に増やすことが期待できると言えます。
③資産運用の選択肢が広がる
運用を始める時に、まとまった資金があれば資産運用の選択肢の幅が広がります。
例えば、「少しでも資産を増やしたいけれど、あまりリスクを取りたくない」という場合は、債券などで運用しても良いでしょう。債券は大きな収益は期待できませんが、数千万円単位で投資をすれば多少の収益は期待できます。
例えば、利率2%の債券であっても2000万円投資すれば年間で40万円の利子を受け取ることができます。
また、まとまったお金の一部をNISAなどを活用して積立投資を行うことで、リスクを取りつつリターンを狙う投資が可能です。
まとまった資金を運用できる利点は、リスクの高い投資からリスクを抑えた投資まであらゆるリスク度合いの金融商品の中から、自身に合った投資商品を選べる点にあります。
2000万円を運用するうえで知っておくべきポイント
2000万円を運用するにあたって知っておいた方が良いポイントについて解説します。まとまった資金を運用する際の参考にしましょう。
2000万円全額を投資に回さない
投資に元本割れはつきものです。投資をしたからといって、必ず資産が増える訳ではありません。
これまでも、リーマンショックやコロナショックなど大きな経済ショックが起こった時に、一時的に投資資産が大幅に減ったというケースも少なくありません。また、経済ショックによって減った投資資産が元の水準まで戻るには時間を要します。
手元にある資産をすべて投資に回して大きな損失を抱えてしまうと、日々の生活すら危ういという事態にもなりかねません。そのような事態を避けるためにも、退職金や長い時間をかけてやっと貯めた2000万円を運用する場合は、次の2つを守るようにしましょう。
- 手元にある2000万円をすべて投資に回さない
- 万一に備えられる「生活防衛資金」を確保した上で、余裕資金を投資に回す
ほとんどの金融商品は元本保証ではない
一般的にリスクが高いと言われる株式はもちろん、ローリスク商品と言われる債券など、ほとんどの金融商品には元本保証がありません。
投資をした資産が運用によって投資した時より資産が減る「元本割れ」に耐えられない人は、元本保証のある銀行の預金にお金を預けておく方が良いでしょう。
また、運用して少しでもお金を増やしたい人は、「投資に元本割れはつきもの」ということを常に頭におき、運用中の多少の値動きにも動揺せずに長く投資を続けることを意識しておきましょう。
リスクが低い金融商品から始める
※上記はイメージであり、すべての金融商品に該当するものではありません
金融商品の選択肢は「債券・株式・投資信託・保険商品」など多岐にわたり、それぞれ特徴やリスクが異なります。
投資する商品を決める際は個々の商品の特徴やリスクについてしっかり理解した上で、自身に合った金融商品を選ぶ必要があります。
投資初心者はリスクの低い投資から始めて、投資に慣れてきたら高い収益が期待できるハイリスクな投資に移行するなど、まずは投資に慣れることから始めましょう。
・投資の経験がない場合は何から投資を始めるべき?
・他社でおすすめされた商品で本当に大丈夫か不安
など、金融商品の選び方に悩んだ時は専門資格を保有しているプロに相談がおすすめ
≫元金融機関出身の専門家マネイロに無料相談
運用が続けられるように万が一に備える
資産運用でなるべく失敗しないためには、長期運用を行うことが大切です。そのため、運用を長期で続けられるための環境づくりは欠かせません。
突然の病気や怪我などで働けなくなり、収入が減った時や収入が途絶えた時のために、民間の保険の活用を検討しましょう。
また、万一のために備えて、当面の生活費を賄えるだけの十分な預貯金の準備も忘れずにしておきましょう。
分散投資を意識する
投資には元本割れのリスクがつきものですが、元本割れのリスクを少しでも抑えるために、「分散投資」を心がけることが大切です。
投資先の国や地域、業種などを分散することで、投資資産全体のリスクを減らす手法のこと
まとまった資金をなるべくリスクを抑えて運用するためにも、分散投資は欠かせないと言えるでしょう。
一括投資と積立投資の組み合わせがおすすめ
手元に2000万円など、まとまった資金がある場合は資産運用の選択肢の幅が広がります。
まとまった資金を効率よく運用する場合は「一括投資」と「積立投資」の組み合わせがおすすめです。
- 債券などの安定的な資産に一括投資
- NISAやiDeCoを活用して長期で積立投資
運用方法を組み合わせて運用することで、リスクを抑えながら資産を増やしていくことが期待できます。
おすすめの一括投資
おすすめの一括投資として「債券」と「貯蓄型保険」があります。特徴について詳しく見ていきましょう。
債券
債券は、国や企業、地方自治体が投資家からお金を借り入れるために発行する有価証券のことです。
投資家は債券を手に入れることで国や企業に資金提供したことになり、その見返りとして預金よりも金利が高い利子を定期的に受け取ることができます。
また、基本的には満期(償還日)になると額面金額が返ってくる仕組みのため、安全性が高くリスクの低い投資とされています。
ただし、発行体の財務状況によっては利子の支払いが滞ったり、額面金額の返済が遅れるリスクがあります。
債券に投資をする際は格付けなどで発行体を確認して、安心できる発行体に投資をすると良いでしょう。
貯蓄型の保険
貯蓄型保険は保障と将来に向けた資産形成の両立ができる保険商品のことです。終身保険、変額保険などが該当します。
また、貯蓄型保険の多くは、契約時点で運用する際の予定利率が決まっていることも多いため、計画的に将来資金を準備したい人向けの商品でもあります。
ただし、10年以内など短期間で解約をすると、払い込んだ保険料より少ない金額しか戻ってこない可能性が高いため、短期の解約する際は注意が必要です。
おすすめの積立投資
おすすめの積立投資として「NISA」と「iDeCo」があります。積立投資を始める際の参考にしましょう。
NISA
NISAとは少額投資非課税制度のことをいい、少額から投資ができる国の投資制度です。
金融機関にもよりますが、最低投資金額は100円から投資できるところもあり、投資から得た利益に対する税金は非課税になります。
NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」があり、つみたて投資枠では積立投資、成長投資枠では一括投資と積立投資の両方を行うことができます。
つみたて投資枠で投資できる商品は、あらかじめ金融庁が定めた一定の基準をクリアしたものに限られているため、投資初心者でも安心して選びやすい商品が揃っています。
また、運用途中で「まとまったお金が必要になった」などの万一の事態でも、いつでも売却して現金化できる点もNISAの魅力のひとつです。
iDeCo
iDeCoは、個人型確定拠出年金のことを指し、自分で老後資金をつくるための私的年金制度のことです。
毎月、一定金額を積み立てて、投資信託や保険商品などで運用します。月の積立金額は最低5000円からと少額から積立投資が可能です。
掛金は全額所得控除の対象となり、節税のメリットを受けることができます。さらに、投資から得た利益は非課税、運用資産を一時金や年金で受け取る場合にも税制優遇制度を受けられるなどのメリットが多くあります。
ただし、運用資産は原則60歳まで引き出すことができないため、iDeCoを始める際は「余裕資金の範囲内で始めること」と「万一のための生活防衛費を確保しておくこと」を心がけておきましょう。
2000万円を運用した場合のシミュレーション
一括投資と積立投資を組み合わせた場合のシミュレーションを見てみましょう。
例えば、2000万円のうち1500万円を想定年率4%で30年間投資した場合、3367万円の資産ができます。
また、家計からのお金と残りの500万円を活用して想定年率4%で毎月5万円ずつ積立投資した場合、10年間でも733万円になり、一括投資と合わせて約4000万円の資金が準備できます。
2000万円の運用で悩んだら専門家に相談がおすすめ
お金の運用に悩んだ時は、投資や資産運用の専門家に相談することをおすすめします。特に初心者の方は、「どの金融商品に投資すれば良いかわからない」という悩みを抱えがちです。
また、周囲の人が投資している商品に乗っかってしまうことも多いですが、それが結果的にリスクの高い商品に投資する原因となり、大きな損失を招くこともあります。
例えば、最近人気のある投資信託の全世界株式(オルカン)やS&P500では、資産が増える期待がある反面、リスクも高いです。株価が順調な時は良いですが、暴落した場合、一時的に資産が半分になることもあります。
リスクを抑えるためには、偏った資産にだけ投資をせずに、分散投資を心がけながら長期運用を行いましょう。
また、まとまった資金を運用する際は、暴落が起こった際などに損失を取り戻すのに時間がかかり、心理的にも大きな影響があります。
また、投資目的やリスク許容度などによって選択肢は変わります。資産運用を1人で行うことに不安がある場合は、専門家に相談するのがおすすめです。
おすすめの相談先は「IFA」
お金のことを相談するなら、「IFA」が相談先としておすすめです。
IFA(独立ファイナンシャルアドバイザー)とは、銀行や証券会社など特定の金融機関に所属しておらず、金融機関から独立した立場で投資や資産運用に関するアドバイスを行う専門家のことを指します。
IFAになるには、証券外務員資格を保有し、日本証券業協会に登録する必要があるため、金融に関する知識が豊富でお金のことを相談する相手として頼りになる存在と言えます。
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まとめ:2000万円を賢く運用して老後に備えよう
預貯金などを含んで2000万円以上の金融資産を保有している人の割合は、年代が高くなるほど増えています。
50代や60代といえば、役職に就いて高い給与を受け取っていたり、退職金を受け取り経済的に余裕がでてくる年代でもあります。
一方で、リタイアの時期も近く短期間で資産を増やそうと、投資初心者でありながらハイリスクな投資を始めてしまい、思うように資産を増やすことができなかったという人も多いです。
投資初心者の場合、まとまったお金を一括で株式などハイリスク商品で運用することは避けましょう。
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監修者
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆者
鶴田 綾
- ファイナンシャルアドバイザー
福岡女学院大学・人文学部英語学科卒。卒業後、日本郵便株式会社にてリテール営業に従事。投資信託や生命保険の販売では商品分析を得意とし、豊富な商品知識を持つ。現在はこれまでの金融商品の知識を生かし、Instagramを中心に、SNSにて資産運用のはじめ方や資産形成のコツについて積極的に情報発信をしている。一種外務員資格(証券外務員一種)、保険募集人資格などを保有。