
子ども名義の貯金はいつ渡す?贈与税はかかる?専門家が注意点と税金の仕組みを解説
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「子ども名義で貯金していたけれど、将来いつ・どう渡すのが正解?」「贈与税がかからないようにするには?」そんな疑問を持つ人は少なくありません。
特に教育費や就職・結婚のタイミングで渡したいと考えている場合、「名義預金」と「贈与」との違いを理解することは大切です。
本記事では、贈与税がかかるケースとかからない渡し方、名義預金とみなされないためのポイント、親ができる管理方法まで税理士がわかりやすく解説します。
- 子ども名義の貯金は、管理状況によっては「名義預金」とみなされ、贈与税や相続税の対象になる可能性がある
- 年間110万円を超える贈与には贈与税がかかるが、非課税で贈与できる特例制度(教育資金の一括贈与など)もある
- 通帳・印鑑の管理、記録の残し方、口座の分離など、対策を行うことが大切
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子ども名義の貯金とは?贈与との違い
子ども名義の貯金とは、子どもの名前で作られた銀行口座に、親がお金を入金するケースを指します。将来の教育費や自立資金として、親が子どものために用意する貯蓄です。
ただし、名義が子どもであっても、実際の管理や使途が親にある場合、それは税務上「親の財産」とみなされ、いわゆる「名義預金」とされる可能性があります。
形式上ではなく「実質的に誰が使えるか」が重要
子ども名義の口座であっても、親が通帳や印鑑を管理し、実質的に親のお金として扱っている場合は「名義預金」と判断される可能性があります。
名義預金は、税法上は親の財産とみなされ、親が亡くなった際には相続税の対象となるため注意が必要です。
通帳が誰の名義かではなく、実際に「誰がそのお金を使えるか」がポイントになります。
税務署が重視するポイント
税務署が名義預金かどうかを判断する際には、以下のような点を確認します。
・入金の内容(例:お年玉、祝い金など)
・出金の使途
・通帳の使用履歴に不自然な点がないか
「名義は子ども」であっても、親が自由に操作していれば「実質的には親のもの」とされるリスクがあります。
贈与税がかかるのは年間110万円を超える時
贈与税は、個人から財産をもらった場合にかかる税金です。年間110万円までの贈与であれば、贈与税の基礎控除の範囲内なので贈与税の対象となりません。
一括で渡す場合は要注意
例えば、1000万円を一年のうちに子どもに渡した場合、110万円を超える部分は贈与税の対象となります。
したがって、多額の貯金を子どもに渡す際は、年間110万円の基礎控除を活用し、複数年に分けて贈与を行うなどの工夫が必要です。
子ども名義の貯金はいつ渡すのがベスト?タイミングと注意点
以下の点をふまえて、子ども名義の貯金を渡すタイミングを決めましょう。
「自分で管理できる年齢」を目安にする
一般的には成人となる満18歳がそのタイミングです。なぜなら、本人が成人しているため、自身で金銭の管理ができるためです。
進学や教育費に使う場合は「贈与」とみなされにくい
教育費や進学費用として使う場合、贈与税の対象にならない可能性が高いです。ただし、あくまで「必要な範囲」であることが前提です。
これは、親が子どもを扶養しているためです。
例えば、大学の学費や教材費、アパートの家賃など、社会通念上妥当な範囲での支出が該当します。
非課税でお金を渡したい時に使える制度
年間110万円の基礎控除以外にも、非課税で贈与できる制度があります。
制度について正しく理解しましょう。
教育資金の一括贈与(1500万円まで非課税)
30歳未満の者が直系尊属(父母や祖父母)から教育資金の贈与を受ける場合、教育にあてるために金融機関と管理契約を結ぶことで、1500万円までの金額は贈与税が非課税になる制度があります。
塾の費用や習い事の月謝など、幅広い教育費に充てることができますが、金融機関での手続きが必要となります。
結婚・子育て資金の一括贈与(1000万円まで非課税 ※期限あり)
直系尊属(父母や祖父母)から、18歳(令和4年3月31日以前は20歳)以上50歳未満の子や孫に対し、金融機関と管理契約を結ぶことで結婚や子育てにかかる費用として、最大1000万円まで贈与税が非課税になる制度です。
結婚費用(上限300万円)や出産費用、不妊治療費などに充てることができますが、令和9年3月までの贈与に対する措置になるため注意が必要です。
祖父母からの贈与
祖父母が孫に対して贈与する場合も、年間110万円以下であれば贈与税は非課税です。孫が成人後、口座を管理できるようになってから、贈与することもできます。
贈与税を避けるために親がすべき管理とは
贈与税を避けたい場合は、以下の点に注意して管理しましょう。
通帳と印鑑は子どもに預け、管理者をはっきりさせる
親の口座と混在していると「名義預金」とされるリスクがあります。
贈与を成立させるためには、通帳と印鑑を子ども自身に渡し、子どもがその通帳と印鑑、キャッシュカードや暗証番号の管理をしていることを明確にすることが大切です。
親が通帳と印鑑、キャッシュカードや暗証番号の管理を続けていると、名義預金とみなされるリスクが高まります。
「子どもの収入源」でない時は記録を残す(例:お年玉や祝い金)
親が贈与したお金については、贈与の事実を証明できるよう記録を残しておきましょう。例えば、贈与契約書を作成する方法があります。
親の口座と明確に分けておく
子どもの口座は、親の口座とは明確に分けて管理しましょう。
親の口座から子どもの口座へ頻繁に資金を移動させるなど、親の口座の一部のように扱われると、名義預金と判断される可能性が高まります。
預金の管理は厳密に分けておきましょう。
子ども名義の貯金に関するよくあるNG事例
・子ども(口座名義人)が口座の存在や金額を知らない
・親が子ども(口座名義人)の口座から自由に資金を引き出して使っている
・親の口座から子ども(口座名義人)の口座へ頻繁に多額の資金が移動しているが、贈与の記録がない
上記の事例に該当する場合、贈与税や相続税の対象となるリスクがあります。
不安があるなら税理士など専門家へ相談を
贈与や相続に関するルールは複雑で、税の制度も改正される可能性があります。また、個別の状況によって判断が異なる場合があります。
不安がある場合は、税理士など税の専門家に相談することを検討しましょう。
まとめ
子ども名義の貯金は、管理方法や渡し方を誤ると「名義預金」と判断され、贈与税の課税リスクが生じる場合があるため注意しましょう。
贈与税や相続税の問題を避けるためには、単に名義を子どもにするだけでなく、実際に贈与する必要があります。
年間110万円の基礎控除の活用や、教育資金贈与などの贈与税の非課税制度を活用し、将来を見据えた計画的な貯蓄を心がけましょう。
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