

老後資金はゆとりある生活でいくら必要?シミュレーションでわかる夫婦・世帯別の必要額と対策
»あなたの年金はいくら?老後に不足する金額をシミュレーション
「ゆとりのある老後を送るには、いくら必要?」「年金だけで生活費をまかなえる?」と気になる人もいるでしょう。
ゆとりある老後生活に必要と考えられている生活費は、夫婦2人で月額平均39万1000円です。最低限必要な生活費の平均23万9000円に、旅行や趣味などに使う費用として平均15万2000円が上乗せされています(生命保険文化センター「2025(令和7)年度生活保障に関する調査」)。
ただし、必要な老後資金は年金額や貯蓄額、希望する暮らしによって異なります。
本記事では、老後に必要な生活費や資金の目安を状況別にシミュレーションし、準備方法までわかりやすく解説します。
- ゆとりある老後生活に必要な費用の目安(月額約39.1万円)
- シミュレーションでわかる夫婦・単身など世帯別の不足額
- 年金やNISAなどを活用した老後資金不足への具体的な対策
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ゆとりある老後生活費の目安とは

「ゆとりある老後」とは、日々の生活費に加えて、趣味や旅行などを楽しむための経済的な余裕がある状態を指します。
まずは、目安となる金額について、生命保険文化センターの調査データをもとに確認していきましょう。


最低日常生活費/ゆとりのための上乗せ額/合計
生命保険文化センターの「2025(令和7)年度生活保障に関する調査」によると、夫婦2人が老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費は、月額で平均23万9000円です。
一方で、経済的にゆとりのある老後生活を送るための費用として、最低日常生活費に加えて必要と考える金額(上乗せ額)は平均で月額15万2000円となっています。
これらの結果から、ゆとりある老後生活費の合計は、月額で平均39万1000円が1つの目安といえるでしょう。
ゆとり生活費の使い道(旅行・趣味・交際費など)
ゆとりある生活のための上乗せ額は、具体的にどのような目的で使われるのでしょうか。
生命保険文化センターの同調査によると、上乗せ額の使い道として59.5%の人が「旅行やレジャー」と回答しています。
また、「日常生活の充実」(50.1%)や「趣味や教養」(47.9%)と回答した人の割合も多くなっています。日々の暮らしを豊かにしたり、新しい学びや活動に取り組んだりすることに関心が寄せられていることがわかります。
その他に、人付き合いを豊かにするための「身内とのつきあい」(43.1%)や「友人・知人とのつきあい」(11.1%)なども挙げられています。
参考)老後の年金収入の目安
老後の主な収入源となる公的年金は、いくらくらい受け取れるのでしょうか。
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の受給権者の平均年金月額は、老齢基礎年金を含めて約15万円です。
また、総務省の「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2025年(令和7年)平均結果の概要」では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における社会保障給付(年金など)の平均は月額約25.4万円となっています。
自営業者などが加入する国民年金のみの場合、40年間保険料を納付した満額でも月額7万608円(2026年度)です。
公的年金の受給額は加入期間や現役時代の収入などによって異なります。ゆとりある老後生活を希望する場合は、自身や夫婦の年金見込額を確認したうえで、希望する生活費との差額を把握しておくことが大切です。
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あなたの老後資金は足りる?シミュレーション
それでは、具体的なライフスタイルのパターン別に、老後の収支がどのようになるかシミュレーションしてみましょう。ここでは、65歳から90歳までの25年間生活すると仮定して、不足する資金額を計算します。
本シミュレーションは特定の前提条件に基づいて算出したものであり、将来の成果を保証するものではありません。個々の状況によって必要額は変動します。


夫婦世帯のケース

夫婦世帯について、3つの働き方のパターンでシミュレーションします。
ここでは、以下の前提で試算しています。
- 共働き世帯は夫婦ともに年金月額約15万円
- 夫が会社員・妻が専業主婦の世帯は夫が年金月額約15万円、妻は老齢基礎年金のみを満額(月額7万608円)受給
- 自営業世帯は夫婦ともに老齢基礎年金のみ満額を受給
- ゆとりある老後生活費を月額39万1000円、最低日常生活費を月額23万9000円と仮定
共働き世帯では、夫婦ともに厚生年金を受給できるため、年金収入は比較的多めです。それでも、ゆとりある生活を送るには毎月約9万1000円が不足し、25年間で約2700万円の準備が必要になります。
夫が会社員で妻が専業主婦の世帯では、年金月額が約22万1000円となり、ゆとりある生活には毎月約17万円が不足します。25年間では約5100万円の資金準備が求められます。
自営業の世帯は、夫婦ともに国民年金のみとなるため、年金収入が月額約14万2000円と、最低日常生活費さえも下回ります。ゆとりある生活を目指す場合、不足額はさらに増加し、計画的な資産形成が重要です。
単身の場合は?
単身(おひとりさま)世帯のシミュレーションも見てみましょう。
総務省の2025年度家計調査によると、65歳以上の単身無職世帯の1か月の平均支出(消費支出と非消費支出の合計)は約16万1000円です。ここでは、生活費として月額約16万1000円が必要と仮定して試算します。
なお、会社員は年金月額約15万円、自営業は老齢基礎年金のみを満額(月額7万608円)受給するものとします。
会社員の場合、年金月額が約15万円となり、必要な老後資金は330万円程度となります。ただし、これは65歳以上の単身無職世帯の平均支出をもとにした試算です。実際に必要となる金額は、生活水準や住居費、医療・介護費などによって異なります。
自営業の場合、年金月額が約7万1000円となり、平均支出との差額は約9万円です。65歳から90歳までの25年間では、約2700万円の資金準備が必要となる計算です。
シミュレーション結果から見える老後資金の現実
今回のシミュレーションでは、いずれのケースでも公的年金だけではゆとりある老後生活を送るのが難しいという結果になりました。
ここでは、社会的な話題となった「老後2000万円問題」との関連性や、退職金だけでは不十分な可能性について掘り下げていきます。


老後2000万円問題との関係

「老後2000万円問題」とは、金融庁の報告書がきっかけで広まった言葉です。高齢夫婦無職世帯では毎月の収支に5.5万円の不足が生じ、その不足が30年間続くと約2000万円の金融資産の取り崩しが必要になるという試算が示されました。
今回のシミュレーションでも、例えば共働き夫婦がゆとりある生活を送るためには約2730万円、夫が会社員で妻が専業主婦の世帯では約5100万円の準備資金が必要という結果が出ています。
「老後に2000万円必要」という金額だけが注目されがちですが、実際に必要な老後資金は、年金受給額や生活水準、老後を過ごす期間などによって大きく異なります。今回のシミュレーションのように、ゆとりある生活を希望する場合には、2000万円を上回る資金が必要となるケースもあります。
退職金だけでは不足する可能性
まとまった金額が手に入る退職金は、老後資金の柱と考える人が多いでしょう。しかし、退職金だけで老後のすべての費用を賄うのは難しいかもしれません。
老後には、日々の生活費以外にも、家のリフォーム、車の買い替え、子どもの結婚や孫への援助といったライフイベント資金、そして自分たち夫婦の介護費用など、さまざまな支出が想定されます。
まとまった退職金を受け取ったとしても、これらの費用に充当していくと、老後の生活費に使える金額が少なくなる可能性があります。
退職金はあくまで老後資金の一部と捉え、計画的に活用することが大切です。
»あなたの老後は年金で足りる?本当の不足額をシミュレーション
ゆとりある老後生活を目指すための対策
シミュレーションで明らかになった資金不足を解消し、ゆとりある老後を目指すためには、具体的な対策を講じることが重要です。
対策は「年金を増やす」ことと「老後のための資金を増やす」ことの2つのアプローチに分けられます。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

年金を増やす方法(公的年金・私的年金を活用する)
老後の安定した収入源である公的年金を、制度を上手く活用して増やす方法があります。ここでは代表的な3つの方法を紹介します。
繰下げ受給
公的年金は原則として65歳から受給を開始しますが、受給開始を66歳以降に遅らせる「繰下げ受給」を選択できます。
1ヵ月繰り下げるごとに年金額が0.7%増額され、最大で75歳まで繰り下げると84%も増額されます。
この増額率は生涯にわたって適用されるため、健康状態や他の収入とのバランスを考えながら検討する価値のある選択肢です。
付加年金
国民年金第1号被保険者や任意加入被保険者は、国民年金保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納めることで、将来受け取る老齢基礎年金に付加年金を上乗せできます。
年金額は「200円 × 付加保険料納付月数」で計算されます。支払った付加保険料の総額は、付加年金を2年間受け取ると上回る計算になるため、長生きするほど有利になる制度として検討の価値があります。
確定拠出年金
確定拠出年金には、企業が掛金を拠出する「企業型DC」と、個人が任意で加入する「iDeCo(個人型確定拠出年金)」があります。
どちらも加入者自身が運用商品を選び、掛金を運用し、その運用成果に応じた資産を60歳以降に受け取る仕組みです。
運用益が非課税になるほか、iDeCoでは掛金が所得控除の対象になるなど税制上の優遇があり、公的年金に上乗せする私的年金として、老後資金準備の有効な手段となります。
ただし、iDeCoで元本変動型商品(投資信託)を選んだ場合、運用成績によっては資産額が掛金総額を下回る可能性がある点に留意が必要です。また、加入時や運用期間中に手数料がかかります。
老後のための資金を増やす方法(貯蓄+運用)

年金の増額と並行して、自分自身で資産を形成していくことも重要です。ここでは、貯蓄や資産運用を通じて老後資金を増やすための具体的な方法を紹介します。
NISAを活用
NISA(少額投資非課税制度)は、個人の資産形成を支援するための税制優遇制度です。
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をして得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内で得た利益には税金がかかりません。
2024年に改正されたNISAでは、非課税で保有できる期間が無期限になり、年間の投資上限額も拡大されたため、長期的な視点で効率よく資産を増やす手段として活用が期待されます。
ただし、NISAで取り扱う金融商品は元本が保証されておらず、投資した資産の価値が下落するリスクがある点には注意が必要です。また、商品によっては手数料がかかる場合があります。
退職金の一部を運用
退職金をすべて預貯金として保有するのではなく、一部を資産運用に回すことも有効な選択肢です。
投資信託の中には、国内外の株式や債券など複数の資産に分散投資できる商品もあり、リスクを分散しながら資産の成長を目指すことができます。
ただし、元本が保証されているわけではないため、自身の許容できるリスクの範囲内で、長期的な視点で行うことが大切です。
支出の見直しと固定費の削減
資産を増やすだけでなく、支出を減らすことも老後資金対策の重要な柱です。中でも、毎月決まって出ていく「固定費」の見直しは効果的です。
例えば、通信費や光熱費のプラン変更、あまり利用していないサブスクリプションサービスの解約などが考えられます。
また、加入している生命保険の内容を見直し、現在のライフステージに合わない保障を整理することで、保険料の負担を軽減できる場合もあります。
老後資金に不安があるなら…専門家に相談すべき5つのサイン

老後資金の準備は多くの人にとって重要な課題ですが、一人で悩みを抱え込んでしまうことも少なくありません。
もし、以下のようなサインに当てはまる場合は、お金の専門家に相談することを検討してみてはいかがでしょうか。
- シミュレーション結果が大幅な赤字だった:自身で試算した結果、資金不足が見込まれるものの、どう対策すればよいか分からない。
- 何から手をつけていいか分からない:NISAやiDeCoなど、さまざまな制度があることは知っているが、自分にどれが合っているのか、何から始めるべきか判断できない。
- 退職が間近に迫っている:退職を数年後に控え、退職金の受け取り方や運用方法について、具体的な計画を立てる必要があると感じている。
- ライフプランに変化があった:結婚、出産、転職、住宅購入など、人生の転機を迎え、将来のお金の計画を根本から見直す必要が出てきた。
- 自己流の資産運用に限界を感じている:これまで自分なりに貯蓄や投資を試してきたが、思うように資産が増えず、より効果的な方法を知りたいと考えている。


老後資金の悩みはマネイロに相談がおすすめ

老後に必要なお金は、現在の年齢や収入、貯蓄額、将来受け取れる年金、希望する暮らしによって一人ひとり異なります。
「自分はいくら準備すればいい?」「今の貯蓄や運用で足りる?」と悩んでいる場合は、お金のプロに相談するのもひとつの方法です。
マネイロでは、現在の資産状況や将来の希望をもとに、老後に向けたお金の課題と、これからやるべきことを整理します。さらに、必要に応じて具体的な資産運用の方法を提案し、実際に運用を始めるところまでサポートします。
マネイロの相談満足度は96.8%(2024年1月~2026年1月アンケート調査より)。老後資金について漠然とした不安がある人も、「何から始めればいいのか」を整理するところから無料で相談できます。
老後に必要なお金と、自分に合った準備方法をプロと一緒に整理してみませんか?
ゆとりある老後資金に関するよくある質問(FAQ)
ゆとりある老後資金に関して、よく寄せられる質問と回答をまとめました。


Q. ゆとりある老後の生活費は夫婦でいくら必要?
生命保険文化センターの2025年度の調査によると、夫婦2人でゆとりある老後生活を送るための費用は、月額で平均39万1000円が目安とされています。
これには、最低日常生活費と、趣味や旅行などを楽しむための上乗せ額が含まれています。
Q. ゆとりある老後に必要な資金の総額はいくら?
必要な老後資金は、年金受給額や生活水準、老後を過ごす期間などによって異なるため、一概にはいえません。
本記事のシミュレーションでは、65歳から90歳までの25年間について、年金収入と想定する生活費との差額から必要な準備資金を試算しています。まずは自身の年金見込額と希望する生活費を確認し、その差額から必要額を計算することが大切です。
Q. 60歳でいくら貯金があれば安心?
必要な貯金額は、60歳以降の働き方、年金受給額、そして望む生活レベルによって異なります。
本記事のシミュレーションでは、世帯構成や働き方、想定する老後の生活費によって300万円台から7000万円以上の準備資金が必要という結果になっています。
まずは自身の年金見込額を確認し、老後の支出をシミュレーションして、不足額を把握することから始めるのがよいでしょう。
Q. 最低日常生活費とゆとり生活費の差はいくら?
生命保険文化センターの同調査によると、夫婦2人世帯の場合、最低日常生活費の平均が月額23万9000円、ゆとりある生活費の平均が月額39万1000円です。
差額(ゆとりのための上乗せ額)は、月額で平均15万2000円となります。
Q. おひとりさま・単身の場合は?
総務省の「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2025年(令和7年)平均結果の概要 」によると、65歳以上の単身無職世帯の平均支出は月額約16万1000円です。
本記事のシミュレーションでは、会社員で年金月額を約15万円と仮定した場合でも、平均支出との差額を補うために、25年間で約330万円の準備資金が必要となります。自営業で老齢基礎年金のみを満額受給する場合は、約2700万円の準備資金が必要という結果になりました。
単身の場合は、病気や介護の際に頼れる人が限られるため、生活費に加えて医療・介護への備えも重要になります。
まとめ

夫婦2人でゆとりある老後生活を送るために必要と考える生活費は、月額で約39万1000円という調査結果があります。公的年金だけではこの金額を賄えないケースもあるでしょう。
本記事のシミュレーションでも、働き方や世帯構成、想定する生活費によって300万円台から7000万円以上の準備資金が必要になるケースが見られました。
しかし、将来の資金不足は、今から対策を始めることで解消できる可能性があります。
年金の繰下げ受給やiDeCoの活用、そしてNISAを使った計画的な資産形成など、自身に合った方法を見つけて、できることから始めてみましょう。
具体的な計画を立てるのが難しいと感じる場合は、お金の専門家に相談するのも有効な選択肢です。
まずは自身の状況を把握することから、豊かなセカンドライフへの第一歩を踏み出しましょう。
自身のケースで、具体的にいくら不足する可能性があるのか、まずは簡単なシミュレーションで確認してみませんか。
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ご留意事項
- 本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の取引を勧誘するものではありません。
- 本記事の内容は記事公開時または更新時点の情報に基づいています。制度・法令・税制等の変更により、現在の情報と異なる場合があります。
- 本記事の内容の正確性、完全性、最新性を保証するものではなく、予告なく変更または更新する場合があります。
- 投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任とご判断のもとで行っていただきますようお願いいたします。
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監修

森本 由紀
- ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士
行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。








