社債の意外なデメリットとは?他金融商品と徹底比較!知っておきたいリスクをプロが解説
無料診断:債券投資が自分に合うか3分でわかる
「社債にはどんなデメリットがある?」「債券にもリスクはある?」と社債の購入について検討している人も少なくないでしょう。
社債とは企業が資金調達のために発行する債券のことです。株式よりもリスクは低いですが、金利や企業の信用リスクによって値動きが変わる点や、外貨建ての債券の場合は為替リスクがある点にも注意が必要です。
本記事では社債のデメリットやリスクをきちんと知っておきたい人に向けて、社債の仕組みやデメリット、株式や投資信託との比較、選び方についてプロがわかりやすく解説します。
- 社債のメリットは「 預金よりも高い利率で定期利子を得られる」など
- 社債のデメリットは「個人が購入できる社債は限られている」「元本割れリスクがある」など
- 社債がおすすめなのは「預金より高い利率で安定的に運用したい人」「リスクを最小限に抑えたい人」
債券を活用して資産運用をしたいあなたへ
「専門知識がなくても正しい資産運用ができる」をコンセプトに、さまざまな無料サポートを提供しています。
▶債券投資のオンライン相談:金融機関出身の専門家に無料相談
▶500万円から始める債券投資セミナー:債券の活用法がわかる
▶3分投資診断:自分に合う投資がすぐわかる
社債とは?基本の仕組みと種類
企業が資金調達を目的に発行する債券のこと
債券とは国や企業といった発行体が、投資家から資金を借りるために発行する有価証券を指します。
投資家は企業に資金を貸し出すかわりに、利子を受け取る形になります。企業側は借り入れコストとして利子を支払い、満期日には額面金額を返済する仕組みです。
株式のように企業の経営への参加権はなく、あくまで「借用証書(お金の貸し借りを証明する証書)」として位置づけられます。
預金より利率が高い場合もあるため、定期的な利子収入を狙う投資家にとって魅力的な選択肢になり得るでしょう。
社債の主な種類
債券にはさまざまな分類方法がありますが、発行体で債券を分類した場合、大きく「公共債」と「民間債」に分けられます。社債は大きく民間債の中に含まれ、主に金融債と区別されます。
金融債には利付金融債と割引金融債があり、金融機関が発行し、安定性を重視する投資家向けに販売される債券です。
一方の社債は、普通社債・特定社債・新株予約権付社債・投資法人債・交換社債などがあり、発行体の目的や条件によって種類が変わる点が特徴です。
普通社債は最も一般的な形態で利子が定期的に支払われ、特定社債とは特定目的会社が発行する特別な債券を指します。
新株予約権付社債は、一定の条件のもとで株式に転換できる権利が付帯しているもので、かつて転換社債(CB)とも呼ばれていました。
また、社債発行会社以外の株式と交換できる交換社債、不動産投資信託(REIT)などを運営する投資法人が資金を調達する時に発行する投資法人債もあります。
社債のメリット
社債は、比較的安定した収益を得たい人にとって魅力的な金融商品のひとつです。
社債ならではの主なメリットについて、あらためて見ていきましょう。
メリット① 預金よりも利率が高く、安定収益を得られる
社債の魅力は、一般的に銀行預金よりも高い利率が期待できる点です。
日本の企業が発行する債券でも、年利で2%を超える利回りのものは珍しくありません。
さらに利子は定期的に受け取れるため、安定的に収益を確保できる仕組みといえます。毎月の給与や公的年金の上乗せ収入としても活用しやすいでしょう。
メリット② 満期まで保有すれば、原則額面の金額を受け取れる
社債は株式と違い、発行体が倒産しないかぎり、満期時に額面金額が返ってくるのが基本です。
途中売却による価格変動リスクはあるものの、満期まで保有し続ければ当初の額面通りの元本を受け取れる点が魅力になります。
特に大手企業や高い信用格付けの社債の場合は、比較的安心して投資を継続できるでしょう。
メリット③ 株式投資よりリスクが低い
社債は企業への貸付の形をとるため、投資家は株主に比べて優先的に返済を受けられる立場にあります。
また、株式のように急激な値動きに翻弄されるリスクが比較的小さい点は、多くの投資家にとって大きな安心材料といえます。
ただし、極端に財務状況の悪い企業の場合は、利回りが高くても慎重な見極めが必要です。
メリット④ 分散投資に向いている
株式や不動産など他の金融商品と組み合わせることで、社債はポートフォリオ全体のリスクを分散しやすくなります。
投資は政治や景気、各国の政策金利など、さまざまな要因で変動します。そのため、元本割れリスクを100%回避することは、投資のプロでも困難です。
しかし、値動きが異なる複数の銘柄や資産へ資金を分割する「分散投資」を行えば、リスクを低減しやすくなります。株式と社債をはじめとした債券を組み合わせることも、その代表的な手法の一つです。
株式と債券は原則として相反する値動きをするため、仮に株式市場が不調でも、債券の利益でカバーして資産全体の損失を軽減できる可能性があります。
知っておきたい社債のデメリットとリスク
社債には魅力的な面が多い一方で、購入前におさえておきたいリスクも存在します。主なデメリットを順に確認しましょう。
デメリット① 個人が購入できる社債の種類が限られている
個人投資家が購入できる社債の多くは、大手企業や金融機関によって発行されたものが中心です。
一方で、中小企業が発行する社債は、50人未満の投資家や適格機関投資家を対象とした「私募形式」での募集が一般的なため、個人投資家が購入するのは難しいのが現状です。
また、社債は最低投資金額が高めに設定されているケースもあり、資金が少ない投資家にとっては利用しづらい面があります。
デメリット② 途中売却すると元本割れの可能性がある
社債は満期まで保有すれば額面通りの返済を受け取れますが、途中で売却する場合は市場価格で取引することになります。
市場金利の変動や発行企業の業績次第では、購入時よりも低い価格でしか売れない可能性がある点に注意が必要です。
とりわけ金利の上昇局面では、既存の社債の利率が相対的に見劣りするため、売却による損失が発生しやすくなります。
デメリット③ 企業が倒産した場合、元本が返ってこない
社債は企業への貸付のため、発行体の企業が倒産すると元本が100%返ってくるとは限りません。
株式よりは返済の優先順位が高いとはいえ、倒産した企業が整理される過程で担保が設定されているなどの理由から、全額を回収できない事態に陥る恐れがあります。十分に注意が必要といえるでしょう。
社債は発行企業の信用力に依存
債券の返済原資は企業の利益に左右されるため、経営状態が悪化すると利子や元本の支払いが滞るリスクが高まる点に注意が必要です。
事前に決算内容や格付けなどを調べ、発行企業の信用力を把握しておきましょう。
格付けの低い社債(ジャンク債)は特にリスクが高い
社債には格付機関による信用格付けがつけられており、一般的にダブルB(BB)以下に分類されるものは「ジャンク債」と呼ばれます。
格付けとは、国や企業などが発行する債券の信用力や元利金の支払能力を分析し、記号でランク付けしたものです。
ジャンクは「がらくた」という意味があり、信用力が低くデフォルト(債務不履行)の可能性が高いため、投資する際には十分な注意が必要です。
デメリット④インフレや金利上昇時に資産価値が目減りする
社債は保有期間中にあらかじめ定められた利子を受け取り、満期時には元本が返済されるのが基本的な仕組みです。
ただし、インフレが進行すると注意が必要です。物価の上昇によってお金の実質的な価値が下がるため、仮に年利2%の社債を保有していても、物価が年5%上昇する状況では実質的な資産価値が目減りしてしまいます。
また、市場金利が上昇した場合にもリスクが生じます。
例えば、年利2%の社債を保有していたところ、1年後に同じ発行体から年利3%の社債が新たに発行されると、既に保有している社債の相対的な魅力は下がります。
その結果、社債の市場価格が下落し、売却時に元本割れとなる可能性もあるため注意が必要です。
デメリット⑤外貨建ての場合は為替リスクがある
外貨建て社債に投資すると、為替相場の影響によって収益が左右されます。利子や元本を受け取る通貨が円以外のため、為替レートによっては想定以上の損失や利益が生まれる可能性があります。
仮に100万円の元本で、1ドル100円の時に年利3%のA社米国社債を、10000米ドル分購入した事例を見てみましょう。
このケースでは1年後、利子が付いて10300米ドルに増えていたとしても、円高が進み1ドル90円のタイミングで円に換金すると「10300米ドル×90円=92.7万円」となり、元本割れする計算になります。
こんな社債は注意!選ぶ時のポイント
社債にはさまざまな種類がありますが、選ぶ際は以下のポイントをおさえておきましょう。
信用格付けを確認
社債を選ぶ際は、まず発行企業の信用格付けを調べることが大切です。
一般的に、AAA~BBB以上の社債は「投資適格債」と呼ばれ、それ未満は「ジャンク債」に分類されます。
ジャンク債はリスクが高い分、利回りも高い傾向があるものの、返済能力や経営の安定性に不安が残る場合も多いでしょう。投資判断には十分な注意が必要です。
利回りが異常に高い社債には要注意
利回りが異常に高い社債は、大きなリスクを伴う可能性があります。
高利回りにつられて安易に投資すると、元本割れやデフォルト(債務不履行)のリスクに直面する恐れがあるため注意が必要です。
特に発行企業の財務状況や経営状態に不安がある場合は、企業の決算情報や市場での評価を十分確認しておきましょう。
社債 vs 株式 vs 投資信託|どれを選ぶべき?
資産運用を始める際、「社債」「株式」「投資信託」のどれを選ぶべきか迷う人も多いのではないでしょうか。
これらはそれぞれ特徴やリスク・リターンのバランスが異なり、自分の投資スタイルや目的に応じて選ぶことが大切です。
3つの代表的な金融商品の違いを比較しながら、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
株式 vs. 社債…リスクとリターンの比較
株式は値動きが大きく、短期的に大幅な利益が狙える可能性がありますが、景気や企業業績の急変により株価が下落すると資金が大きく目減りするリスクがあります。
一方、社債は株式ほどの値上がり益は見込みにくい反面、満期まで保有すれば額面を受け取れるため、暴落リスクを相対的に抑えられる点が強みです。
ただし、企業が倒産した場合には元本が戻らない可能性があるため、株式より安全と断言できるわけではありません。
株式と債券のいずれを扱う場合も、投資先企業の信用力を見極めることが重要です。
短期間で大きく利益を狙いたい場合は株式、安定的にコツコツと利子収入を得たい場合は社債など、投資スタンスや目的に応じて選り分けましょう。
国債 vs 社債…安全性の違い
国債は国が発行するため、企業よりも信用力が高いとみなされるのが一般的です。
一方、社債は発行体が企業であるため、業績の悪化や倒産などにより元本や利子が払えなくなるリスクがあります。
その分、社債は国債よりも高い利回りを提供しやすい特徴がありますが、安全性を最優先にするなら国債の方が安心感は大きいでしょう。
投資家はリターンと安全性のバランスを踏まえて、どちらを選ぶかを検討する必要があります。
投資信託 vs 社債…分散投資の視点
投資信託は、複数の銘柄や資産に分散投資することで、リスクを抑える仕組みが特徴です。
個人で分散投資を行うには、多くの銘柄に資金を振り分ける必要があり、それなりの資金と専門知識が求められます。しかし、投資信託であれば、少額から幅広く分散できるため、初心者でも比較的リスクを抑えながら投資を始めやすいのがメリットです。
特に、債券ETFや債券型の投資信託を活用すれば、社債への分散投資も手軽に実現できます。
ただし、投資信託には信託報酬などの運用コストがかかる点にも注意が必要です。コストが高いと、その分リターンが目減りする可能性があるため、投資信託を選ぶ際はコストと期待利回りのバランスをよく確認しましょう。
社債がおすすめなのは「リスクを最小限に抑えたい人」
社債は株式よりリスクが低く、預金よりも利回りを狙いやすい手段として、安定志向の投資家に適した商品といえます。
例えば株の値動きに不安がある人や、毎年の利子を重視して長期的に資産を守りながら運用したい人に向いています。
金利や格付けを把握して、無理のない範囲で投資すれば、リスクを抑えつつ定期的な利回りを確保することができるでしょう。
社債はどこで購入できる?
社債は主に証券会社を通じて購入できます。口座開設をして取り扱い銘柄を選び、募集が行われている時期に買い付ける仕組みです。
企業によっては直接販売を行う場合もありますが、多くの個人投資家にとっては証券会社を利用するのが一般的です。
社債は募集期間が限られている場合もあるため、購入を検討している銘柄がある場合は定期的に情報をチェックしておきましょう。
また、店頭取引ではなくインターネット専業の証券会社でも取り扱いがあるため、手数料やサービス面を比較して自分に合ったところを選ぶ方法もおすすめです。
まとめ
社債は比較的リスクを抑えながら、預金より高い利回りを得られる投資手段として有力な選択肢です。
ただし、企業の信用リスクや金利変動リスクがあるため、利益が約束されるわけではありません。
国債や株式、投資信託など他の金融商品と特徴を比較しながら、リスク許容度や資金状況に合った投資計画を立てることが重要です。
社債に投資をする時は、情報収集と信用格付けのチェックを行い、長期的に安定した資産形成を目指しましょう。
債券を活用して資産運用をしたいあなたへ
「専門知識がなくても正しい資産運用ができる」をコンセプトに、さまざまな無料サポートを提供しています。
▶債券投資のオンライン相談:金融機関出身の専門家に無料相談
▶500万円から始める債券投資セミナー:債券の活用法がわかる
▶3分投資診断:自分に合う投資がすぐわかる
※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます
※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください
オススメ記事
執筆・監修
金子 賢司
- ファイナンシャルプランナー/CFP®認定者
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信中。