

米国債は買ってはいけない?リスクの実態と失敗しないための判断基準をプロが解説
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「米国債は安全な資産」と聞き、投資を検討しているものの、一方で「買ってはいけない」という意見も目にし、不安を感じていませんか。世界でトップクラスの信用力を誇る米国債ですが、メリットだけでなく注意すべきリスクも存在します。
本記事では、米国債投資のデメリットやリスクの実態に加え、自身の投資目的に合っているかどうかを判断するための基準を、お金の専門家が分かりやすく解説します。
正しい知識を身につけ、納得のいく資産運用を始めましょう。
- 米国債が「買ってはいけない」と言われる主な理由は、為替リスク、金利変動リスク、信用リスク
- 米国債投資が向いているのは、ドル資産を長期保有したい人、保有資産が円に集中するのを避けたい人
- 米国債はポートフォリオのメインではなく、一部として組み込むのが失敗しないポイント
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なぜ「買ってはいけない」と言われるのか?

米国債には、「為替リスク」や「金利変動リスク」など、外国債券特有のリスクがあります。これらの知識がないまま投資すると想定外の損失につながる可能性があります。
この章では、米国債が「買ってはいけない」と言われる理由について詳しく解説していきます。
安全資産のはずなのに警告される理由
米国政府が発行する国債である「米国債」は、デフォルト(債務不履行)のリスクが極めて低く、「安全資産」の代表格とされる金融商品です。
それにもかかわらず「買ってはいけない」と言われがちなのは、米国債には外貨建て資産特有のリスクや米国の政治状況など、さまざまな要因があるためです。
外貨建て資産には、主に以下のリスクがあります。
- 為替リスク: 購入時より円高になると、利子を受け取っても円ベースでは損失を抱える可能性があります。
- 金利変動リスク: 中途売却時に市場金利が上昇していると債券価格が下落し、元本割れの可能性があります。
- 信用リスク:政治・経済・財政状況の変化により、最悪の場合、利子の支払いが滞ったり、元本が返済されない可能性があります。
また、上記のリスク以外にも、債券投資には流動性リスクやインフレリスクもあります。
為替リスク、金利リスク以外のリスクに関しては、米国債の場合、決して高いわけではありませんが、財政赤字の拡大や債務残高の増加などにより、信用リスクが以前よりも高まっている状況が指摘されています。
「安全資産」というポジションは確立されているものの、投資である以上、リスクがないわけではありません。「こんなはずではなかった」という事態に陥らないためにも、正しく商品を理解することが大切です。
米国債の基本を理解する

米国債への投資を判断する前に、まず基本的な仕組みを理解しておくことが欠かせません。
米国債とは、アメリカ合衆国政府が資金調達のために発行する債券のことで、「米国財務省証券」とも呼ばれます。
世界最大の経済大国である米国が元本と利子の支払いを保証しているため、信用力の高い金融商品の1つとして、世界中で認識されています。
米国債の種類と特徴
投資家は米国債を購入することで、米国政府にお金を貸すことになります。その見返りとして利子などを受け取り、満期まで保有し為替変動の影響を受けなければ、元本回収が期待できるのが債券の特徴です。
米国債は、利子の受け取り方や償還期間によっていくつかの種類に分けられ、自身の投資スタイルや目的に合わせて選ぶことができます。
利子の受け取り方による分類
割引債の一種として「ストリップス債」があります。これは、利付債の元本部分と利子部分をそれぞれ分離し、割引債として販売されるものです。
償還期間による分類
償還までの期間に応じて、以下のように呼称が変わります。
- トレジャリー・ビル(T-Bills): 1年以内の割引債
- トレジャリー・ノート(T-Notes): 2・3・5・7・10年の利付債
- トレジャリー・ボンド(T-Bonds): 10年超の利付債
これらの種類を理解し、自身の資金計画に合った米国債を選ぶことが、失敗しないための第一歩です。
利回りの仕組み
米国債の収益性を測る指標として「利回り」があります。これは投資元本に対する収益の割合を示すもので、表面的な「利率(クーポン)」とは異なります。
- 利率(クーポン): 債券の額面金額に対して支払われる利子の割合で、発行時に固定されます。
- 利回り: 投資元本(購入価格)に対して、利子収入や償還差損益を考慮した実質的な収益率です。
市場で売買される「既発債」の場合、価格は日々変動します。債券価格が額面より安いと(アンダーパー)利回りは高くなり、逆に高いと(オーバーパー)利回りは低くなります。
例えば、利率が年4%の債券を95円で購入した場合、額面100円に対して支払われる4円の利子に加え、5円の償還差益も得られるため、実質的な利回りは4%を上回ります。
債券投資では表面的な利率だけでなく、最終的にいくら利益が得られるか、つまり最終利回りを確認することがポイントになります。
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米国債の主なリスク|数字で見る影響度

米国債には、他の金融商品と同じように、いくつかのリスクがあります。米国債への投資を検討するときは、これらのリスクについて具体的に理解することが大切です。
ここでは、「為替リスク」「金利リスク」「信用リスク」という3つの主要なリスク、またその他のリスクに関しても、実際の投資にどの程度の影響を与える可能性があるかを解説します。
為替リスク|円高で元本割れの可能性
米国債は米ドル建てで取引されるため、為替レートの変動が円換算後の損益に直接影響します。
購入時よりも、中途売却時や償還時に円高・ドル安が進んでいると、米ドルベースで元本が返ってきたとしても、円換算では元本を下回る可能性があります。
例えば、1ドル150円の時に米国債を1万ドル(150万円)購入したとします。その後、償還金1万ドルを受け取り、1ドル130円のときに円に交換すると、日本円で受け取るのは130万円になります。
実際には保有期間中に利子などを受け取っているため、ドルベースでは資産が増えています。しかし、円に交換する時点で購入時より円高が進んでいると、為替差損が発生する可能性があります。
金利変動リスク|金利変動による価格下落
債券価格と市場金利は、シーソーのような関係にあります。一般的に、市場金利が上昇すると債券価格は下落し、反対に市場金利が下落すると債券価格は上昇します。
例えば、金利4%の時に購入した10年債を、金利が5%に上昇したタイミングで売却する場合、保有している債券の価格は下落しやすく、購入時より低い価格で売却すると損失が生じることがあります。
債券は、満期まで保有すれば原則として額面金額が償還されます。しかし、満期前に途中売却する場合は、その時点の市場金利によって価格が変動するため、元本割れが生じる可能性があることに注意が必要です。
また、債券は償還までの期間が長いほど、金利変動による価格の振れ幅が大きくなる傾向があります。米国債に投資する資金は、満期まで使う予定のない余裕資金であることが望ましいでしょう。
信用リスク|信用力低下による影響
信用リスクとは、債券の発行者である国や企業が、財政悪化などを理由に、利子や元本を予定どおりに支払えなくなるリスクのことです。
米国債はアメリカ合衆国政府が発行する債券です。米国は世界最大規模の経済力を持ち、さらに基軸通貨である米ドルを発行している国でもあります。
そのため、米国国債の信用リスクは非常に低いと見なされており、「安全資産」と呼ばれる理由にもなっています。
もっとも近年は米国の財政赤字や債務残高の拡大、政治不安などを背景に、以前に比べて信用面への懸念が意識されやすくなっています。
米国債は依然として安全性の高い資産であることに変わりありませんが、投資する際は信用リスクがゼロでないことも踏まえておく必要があります。
その他のリスク
為替リスクや金利変動リスク、信用リスクに比べると影響は限定的ですが、米国債に投資する際は、流動性リスクやインフレリスクについても確認しておく必要があります。
流動性リスク|売りたい時に売れない可能性
流動性リスクとは、売りたい時に希望する価格で売れなかったり、買い手が見つからず取引が成立しなかったりするリスクを指します。
米国債は世界的に流通量が多く、市場規模も大きいため、一般的には流動性リスクが低い金融商品とされています。必要なときに換金しやすい点は、米国債のメリットの1つです。
ただし、金融危機などで市場が大きく混乱している局面では、一時的に売却価格が不利になる可能性もあります。一般的な米国債に投資する限り、流動性リスクを過度に心配する必要はありませんが、売却時の市場環境には注意しておくとよいでしょう。
インフレリスク|実質的な購買力の低下
インフレリスクとは、物価の上昇によって、お金の実質的な購買力が低下するリスクのことです。固定金利の債券の場合、購入後にインフレが進むと、受け取る利子や償還金の実質的な価値が低下する可能性があります。
例えば、年利3%の米国債に投資していても、同じ期間のインフレ率が4%であれば、名目上は資産が3%増えますが、物価上昇を考慮した実質的な購買力は低下します。
- 名目リターン: +3%
- インフレ率: +4%
- 実質リターン: 概算で −1%
ただし、これは為替レートの変動を考慮しない場合の考え方です。日本円で米国債の投資成果を見る場合、円換算後の損益は為替レートにも大きく影響されます。
そのため、インフレリスクが無いわけではありませんが、最終的な実質リターンはインフレ率だけでなく為替リスクも含めて考える必要があります。
買ってはいけない人|こんな状況なら避けるべき
米国債は比較的安全性が高い投資対象ですが、すべての人に適しているわけではありません。投資目的や個人の状況によっては、むしろ投資を避けるべきケースも存在します。
ここでは、どのような人が米国債投資に不向きなのか、具体的な特徴を解説します。
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為替の知識がほとんどない

米国債は米ドル建ての金融商品であるため、為替レートの変動が損益に直接影響します。円高・円安の仕組みや、それが自身の資産にどう影響するのかを理解していない場合、予期せぬ損失を被る可能性があります。
少なくとも「円換算時がドル購入時より円安なら利益が出やすく、円高になれば損失が出やすい」という基本的な仕組みは理解しておきたいところです。そのうえで、為替レートを用いた損益計算ができることが望ましいでしょう。
可能であれば、為替が動く背景や、為替に影響を与える経済ニュースにも関心を持っておくと、自分なりに為替の見通しを立てやすくなります。
為替の基本的な知識がないまま米国債に投資するのは、羅針盤を持たずに航海に出るようなものです。まずは為替の仕組みを学んだうえで、投資を検討するのが賢明です。
数年以内に資金が必要になる
米国債投資も含め、債券投資は「満期まで保有する」ことが基本です。これにより、途中の価格変動リスクを回避し、額面通りの元本を受け取ることができます。
もし、数年以内に住宅購入の頭金や子どもの教育費などで使う予定のある資金を米国債で運用してしまうと、いざ現金が必要になった時に、思っていた金額で売却できない可能性があります。最悪の場合、売却金額が購入金額を下回ってしまうかもしれません。
金利や為替レートの変動は、いつどのように推移するか、だれも正確に予想することはできません。短期的に使う予定のある資金は、預金保険制度の対象となる預貯金などで確保し、米国債には長期的に動かす予定のない「余裕資金」を充てるようにしましょう。
これから円高になると考えている
米国債はドル建ての資産であるため、為替レートの変動が損益に大きく影響します。円換算後の利益を考えると、円高の時に購入して、円安の時に円へ換えるのが理想的です。
現在のように歴史的な円安水準にある局面で米国債を購入すると、今後トレンドが円高に変わったときに、いわゆる「高値掴み」になる可能性があります。
とはいえ、将来の為替レートを正確に予測することはできません。これから円安がさらに進む可能性もありますし、逆に円高へトレンドが変わるかもしれません。
大切なのは、現在の為替水準が過去と比べてどのような位置にあるのかを把握して、投資の是非を判断することです。
円高へ進みそうであれば、購入の検討は慎重に行い、実際に購入するのであれば複数回に分けて購入するなど、リスクを分散するなどの方法も検討しましょう。
高いリターンを短期で狙いたい
米国債は、安全性の高さと引き換えに、株式投資のようなリターンは期待できません。利回りは債券価格などによって変動しますが、資産が数倍になるような値上がりを狙う商品ではないのです。
米国債に投資している期間、もし他の成長性の高い株式などに投資していれば、より高いリターンを得られたかもしれません。
投資の目的が「短期的に資産を増やしたい」「積極的なキャピタルゲインを狙いたい」というものである場合、米国債は不向きです。
自身の目的と商品の特性が合致しているかを確認することが、後悔しない投資の第一歩です。
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米国債がおすすめな人|こんな目的なら選択肢になる
米国債は「買ってはいけない」と言われる一方で、リスクを理解した上で購入するなら、特定の目的を持つ投資家にとっては有効なツールとなります。
ここでは、どのような目的を持つ人が米国債投資に向いているのかを解説します。
ドル資産を長期保有したい
将来の海外旅行、子どもの留学、あるいは資産の通貨分散などを目的として、米ドル建ての資産を持ちたいと考えている人にとって、米国債は選択肢の1つになります。
銀行の外貨預金に比べて高い利回りが得られる可能性が高く、運用しながら保有することができます。長期保有を前提とすれば、短期的な為替の変動に一喜一憂する必要も少なくなります。
償還された米ドルをすぐに円に換えずに、ドル建てMMFなどで運用を続けながら、より有利な為替レート(円安)のタイミングを待つといった柔軟な対応も可能です。
日本円だけに集中するリスクを避けたい

自身の資産をすべて日本円で保有している場合、急激な円安やインフレが進んだとき、円の実質的な購買力が低下するリスクがあります。
資産の一部を世界の基軸通貨である米ドル建て資産で保有することは、日本円への集中を防ぐ方法のひとつです。なかでも米国債は信用力や流動性の高さから、外貨建て資産の代表的な選択肢といえます。
円安が進んだ局面では、ドル建て資産である米国債の円換算価値が上昇し、円資産の価値低下を補う効果が期待できます。ただし、米国債にも為替リスクや金利リスクがあるため、資産全体のバランスを見ながら組み入れることが大切です。
ポートフォリオ全体のリスクを管理する上で、通貨の分散は有効な戦略の1つです。
満期まで保有できる資金がある
米国債の金利変動リスクを、軽減する方法のひとつに、債券を満期まで保有することが挙げられます。これが実践できる人、つまり満期まで保有できる余裕資金がある人は債券投資では有利と言えます。
途中の価格変動を気にする必要はありませんし、満期日には額面通りの米ドルが償還されるため、ドルベースでの元本割れリスクを回避することができます。
また、「10年後の子どもの大学資金」「20年後の老後資金の一部」など、使う時期が明確な資金があれば、このような資金の投資先としても米国債は適しています。「満期まで持ち切る」戦略が、米国債投資の王道です。
ただし、為替リスクは避けることができないので、あらかじめ損益分岐レートなどを計算し、為替の推移で資産額がどのように変動するか確かめておくとよいでしょう。
安定した利子収入を得たい
米国債の中でも「利付債」に投資すれば、多くの場合、半年に1度、定期的に利子(クーポン収入)を受け取ることができます。
この安定したキャッシュフロー(インカムゲイン)は、株式の配当金と同様に、資産運用における収益の柱の1つとなります。リタイア後の生活費の一部を補うなど、定期的な収入源を確保したい場合に有効です。
利子収⼊があらかじめ定められているため、将来の資金計画が立てやすいのもメリットです。
日本国債や銀行預金よりも高い利回りが期待できるため、より効率的にインカムゲインを積み上げていきたいと考える人に向いています。
米国債を購入する際のポイント
米国債のリスクとメリットを理解した上で、実際に投資を始める際にはいくつかのポイントを押さえると、失敗を避けやすくなります。
購入タイミングや期間の選び方、リスク対策などを総合的に考え、自身の戦略を立てましょう。
購入タイミングの考え方
米国債の購入タイミングを考える上で重要なのは「金利」と「為替」の2つの視点です。
金利の視点
市場金利が高い時期に購入するのが有利とされています。金利が高ければ、債券の利回りが魅力的な水準である可能性が高くなります。
金利の高い債券を長期間保有できるため、将来の金利低下局面でも安定した収益を確保できます。
為替の視点
円高・ドル安の時期に購入するのが有利とされています。同じ1万ドル分の債券を買うにも、1ドル130円の時なら130万円で済みますが、1ドル150円の時なら150万円必要になります。円高の時に購入することで、円換算での投資元本を抑えることができます。
理想は「金利が高く、円高」のタイミングですが、現実はそう単純ではありません。多くの場合、米国の金利が高い局面ではドル高円安になりがちです。
どちらを優先するか、あるいは購入時期を複数回に分ける「時間分散」でリスクを平準化するかなど、自身の相場観に基づいた戦略的な判断が求められます。
償還期間の選び方
米国債は償還期間によってリスクとリターンの特性が異なります。自身の投資目的や資金計画に合わせて選ぶことがポイントです。
短期債(2年~5年物など)
- 特徴: 満期までの期間が短いため、金利変動による価格のブレが比較的小さいです。流動性を重視し、近い将来に資金を使う可能性がある場合に適しています。
- 向いていると考えられる人: 初めて米国債に投資する人、価格変動リスクを抑えたい人。
長期債(10年物や30年物など)
- 特徴: 一般的に、期間が長いほど高い利回りが設定される傾向にあります。一方で、金利変動に対する価格の感応度(デュレーション)が高く、価格変動リスクは大きくなります。
- 向いていると考えられる人: 老後資金など、長期間使う予定のない資金で、高い利回りを狙いたい人。
まずは、投資資金が「余裕資金であるか」を明確にしましょう。もし、15年後に使う必要があるのなら、15年債を選ぶのが合理的です。
目的と期間を合わせることで、途中売却のリスクを最小限に抑えることができます。
為替リスクを抑える工夫
米国債投資における最大のリスクである為替変動の影響を和らげるためには、いくつかの工夫が考えられます。
購入時期を分散する
一度にまとまった資金を投じるのではなく、複数回に分けて購入することで、購入時の為替レートを平準化できます(ドルコスト平均法)。これにより、高値掴みのリスクを軽減できます。
償還後もドルで保有する
償還の際、為替レートが円高で不利な場合は、すぐに円に換えずにドル建てのまま保有し続けるのもひとつの方法です。外貨MMFなどで運用しながら、円安のタイミングを待って円転することで、為替差損を回避または軽減できる可能性があります。
為替ヘッジ付きの商品を活用する
個別の債券ではなく、米国債に投資する投資信託やETFの中には「為替ヘッジあり」のタイプがあります。為替変動による影響を抑えることができますが、ヘッジコストがかかるため、その分リターンが低下する点には注意が必要です。
これらの方法を組み合わせることで、為替リスクをコントロールしながら、米国債投資のメリットを享受しやすくなります。
ポートフォリオの一部として組み込む

米国債投資で失敗しないための重要な考え方は、資産のすべてを米国債に投じるのではなく、多様な資産を組み合わせたポートフォリオの一部として活用することです。
米国債は、高い安全性から「守りの資産」として位置づけられます。一方で、より高いリターンを狙う「攻めの資産」である株式などと組み合わせることで、資産全体のバランスを取ることができます。
一般的に、景気後退局面で株価が下落する際には、安全資産である米国債に資金が向かいやすく、価格が上昇する傾向があります。
このように、株式と債券は異なる値動きをすることがあるため、両方を保有することで、市場の変動に対するクッションの役割を果たし、ポートフォリオ全体の値動きを安定させる効果が期待できます。
自身のリスク許容度に合わせて、米国債を適切な割合で組み入れることが、長期的に安定した資産形成を実現する鍵となります。

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よくある誤解と正しい理解
米国債投資を検討する際、多くの人が抱きがちな誤解があります。これらの誤解は、思わぬ損失につながる可能性があるため、ここで正しい知識を確認しておきましょう。
安全資産というイメージが先行しがちな米国債の、本当の姿を理解することが欠かせません。
「満期まで持てば損しない」は誤り
「満期まで保有すれば額面金額が戻ってくる」というのは、あくまで米ドルでの話です。資産を最終的に円に換えるのであれば、損益を確定するのは、米ドルを日本円に換えた時点です。
そのため、満期を迎えてドルベースで元本が戻ってきても、購入時よりも円高が進んでいれば、円換算した際に元本割れを起こす可能性があります。
例えば、1ドル150円で1万ドル(150万円)投資し、満期時に1ドル130円になっていれば、1万ドルは130万円にしかならず、20万円の為替差損が発生します。
「満期まで持てば損しない」という考えは、外国債券の場合には当てはまりにくく、為替リスクを考慮しない場合に限られるので注意が必要です。
「米国債は安全」ではない
米国債は世界トップクラスの信用力を持ち、デフォルト(債務不履行)のリスクは極めて低いとされています。しかし、リスクはゼロではありません。
近年、米国の財政赤字拡大や債務上限を巡る政治的な対立が問題視されています。実際に、2025年には大手格付け会社ムーディーズが米国の格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」へ引き下げ、大手格付け会社3社すべてが最上位から引き下げています。
この格付けは日本よりも高いものですが、投資である以上、いかなる金融商品にもリスクは存在します。安全性は高いと評価されていても、発行体である米国の財政状況や政治動向にも注意を払う必要があります。
利回りだけで判断してはいけない
日本国債や預金に比べて高い利回りは米国債の魅力ですが、その数字だけを見て投資を判断するのは早計です。
最終的な手取り額は、利回りから税金や手数料を差し引いたものになります。米国債で得た利益(利子、譲渡益、償還差益、為替差益)には、約20.315%の税金がかかります。また、円とドルを交換する際には為替手数料も発生します。
さらに、変動要因である為替リスクを考慮しなければなりません。たとえ高い利回りを得られても、円高が進めば為替差損が利益を上回り、トータルでマイナスになることも十分にあり得ます。
表面的な利回りだけでなく、コストやリスクを総合的に考慮して、実質的なリターンがどの程度になるのかを冷静に評価することが大事です。
米国債に関するよくある質問
ここでは、米国債への投資を検討する際によく寄せられる質問について、お答えします。
Q. 今は買い時?
専門家の間でも意見が分かれますが、2つの視点があります。
- 金利の視点: 現在の米国の金利は歴史的に見て高い水準にあり、魅力的な利回りを長期で固定できるチャンスと捉えられます。
- 為替の視点: 一方で、歴史的な円安水準にあるため、円換算での購入コストは割高です。今後、円高に振れた場合の為替差損リスクは考慮すべきです。
現在の金利が高い、為替が円安などの評価は、過去との比較にすぎず、将来どのように推移するかはわかりません。したがって、今が買い時であると断言することは難しいでしょう。そのため、時間分散で購入するなどの戦略が有効です。
Q. どこで買える?
米国債は、主に証券会社を通じて購入できます。銀行でも一部取り扱いがありますが、取扱銘柄の豊富さや手数料の観点から、ネット証券が選択肢の中心となることが多いです。
購入には証券口座に加え、「外国証券取引口座」の開設が必要になります。
また、個別の債券ではなく、米国債に投資する投資信託やETF(上場投資信託)を通じて、間接的に投資する方法もあります。
Q. 税金はどうなる?
米国債で得た利益は課税対象となります。利子、売却益、償還差益、為替差益に対して、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の申告分離課税が適用されます。
「特定口座(源泉徴収あり)」で取引すれば、自動的に税金が計算され、金融機関が納税まで行います。原則として確定申告は不要です。
なお、米国債はNISA(少額投資非課税制度)の対象外です。
まとめ

本記事では、「米国債は買ってはいけない」と言われる理由から、そのリスク、メリット、そして活用法までを解説しました。
米国債は、世界トップクラスの信用力を誇る一方で、為替リスクや金利変動リスク、信用リスクのある金融商品です。これらのリスクを理解せずに「安全資産」というイメージだけで投資を始めると、思わぬ損失につながる可能性があります。
重要なのは、高い利率だけに注目するのではなく、自身の投資目的やリスク許容度と照らし合わせて、米国債が有効な選択肢となるかを見極めることです。
長期的な視点で通貨分散を図りたい、安定した利子収入を得たいといった目的があり、満期まで保有できる余裕資金がある方にとっては、心強い味方となるでしょう。
本記事が、あなたの資産形成における正しい判断の一助となれば幸いです。
自身の資産状況で米国債をどう活用すべきか、具体的なプランを知りたい方は、専門家のアドバイスを参考にしてみるのも1つの方法です。
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土屋 史恵
- ファイナンシャルプランナー/金融ライター/編集者
神戸市外国語大学卒業後、外資系生命保険会社、都市銀行にてリテール営業、法人営業に携わる。遺言信託など資産承継ビジネスに強み、表彰歴あり。その後は長年の金融機関勤務経験を活かし、金融メディアに転職。記事執筆や編集などを担当。現在はフリーランスとして活動中。AFP、FP2級、証券外務員一種を保有。
執筆

長井 祐人
- ファイナンシャルアドバイザー
日本大学国際関係学部卒業後、東洋証券株式会社に入社。国内外株式、債券、投資信託、保険商品の販売を通じ、主に個人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。特に中国株・投資信託の提案を得意とし、自身でも幅広く投資を行ってきたため、豊富な金融知識を活かした顧客ニーズに沿う提案が強み。現在は個人向け資産運用のサポート業務を行う。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP3級)、一種外務員資格(証券外務員一種)を保有







