
障害年金のデメリットとは?申請前に確認すべき注意点と対策
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「障害年金にはデメリットもあるの?」と不安になっている方もいらっしゃるかもしれません。経済的な支援となる障害年金ですが、受給には収入制限や手続きの複雑さ、そして意外と知られていない注意点があるのも事実です。
そこで本記事では、障害年金制度の基本的なおさらいから、受給にあたって生じる可能性のあるデメリット、そしてそれらに対する具体的な対策、さらには後悔しないための申請のポイントまでを詳しく解説していきます。
障害年金の申請を検討されている方は、ぜひ本記事を参考に、制度への理解を深めてみてください。
- 障害年金を受給する際のデメリットと、それらが及ぼす影響
- デメリットに対する具体的な対策と、申請前に知っておくべきポイント
- 障害年金の受給で後悔しないための申請のコツ
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そもそも障害年金とは?制度の基本をおさらい
障害年金は病気やけがによって生活や仕事に支障が出た場合に、国から支給される公的な年金制度です。まずは、障害年金の基礎についておさらいしていきましょう。
2つの障害年金の種類と対象者
障害年金には、大きく分けて「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。
障害基礎年金
国民年金に加入している期間中、または20歳未満・60歳以上65歳未満で日本国内に住んでいる方が、病気やけがにより一定の障害状態になった場合に支給されます。
障害厚生年金
厚生年金に加入している期間中に、病気やけがにより一定の障害状態になった場合に支給されます。会社員や公務員などは障害厚生年金が支給されるため、手厚い保障が受けられる可能性があります。
どちらの年金も、原則として「初診日(初めて医師の診察を受けた日)」の時点で加入していた年金制度によって、どちらの障害年金が請求できるかが決まります。
障害年金でもらえる金額の目安
障害年金でもらえる金額は、障害の等級や加入している年金制度、扶養する家族の有無によって異なります。
参照:支給される障害年金の額(年額)令和7年度|政府広報オンライン
障害基礎年金でもらえる金額
障害基礎年金は、障害等級が「1級」または「2級」の場合に支給され、それぞれ年間で定められた金額が支給されます。令和7年度(2025年度)の年間支給額は、1級が103万9625円、2級が83万1700円です。
また、18歳になった後の最初の3月31日までの子(又は1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子)がいる場合は、人数に応じて、1人につき一定額(こども2人までは1人につき239,300円、3人目以降は1人につき79,800円)が加算されます。
障害厚生年金でもらえる金額
障害厚生年金は、障害等級が1級~3級の場合に支給されます。報酬比例の年金額となるため、個人の状況によって受給額が大きく変動します。
報酬比例の年金額は、厚生年金加入期間中の標準報酬額と加入期間で算出されます。1級は「報酬比例の年金額」の1.25倍、2級・3級は「報酬比例の年金額」が障害厚生年金として支給されます。
また、1級・2級で65歳未満の配偶者がいる場合、加給年金として令和7年度(2025年度)は23万9300円が加算されて支給されることになっています。
なお、障害の程度が3級よりもやや軽い場合には、一時金として「報酬比例の年金額」の2倍の障害手当金が支給されます。
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障害年金を受給する基本的なメリット
障害年金を受給することには、多くのメリットがあります。
経済的な安定が得られる
障害年金は、病気やけがで収入が減少したり、働けなくなったりした場合に、経済的な支えとなります。原則として所得税・住民税がかからない非課税所得であるため、確定申告も不要な場合が多く、受給額をそのまま生活費に充てることができます。これにより、生活の安定を図り、安心して療養や社会復帰に専念することができるようになります。
使い道が自由
障害年金として支給されたお金の使い道に制限はありません。生活費の補填だけでなく、治療費やリハビリ費用、介護サービスの利用料など、必要に応じて自由に使うことができます。そのため、個々の状況に合わせた柔軟な対応ができ、生活の質を維持・向上させることにつながります。
就労しながら受給できる
障害年金は、必ずしも「働けない人がもらうもの」というわけではありません。障害の程度(等級)によっては、パートタイムやフルタイムで働きながら受給することも可能です。収入を得つつ年金も受給できるため、経済的な負担をさらに軽減し、社会参加を続ける上で大きな助けとなります。
国民年金保険料が免除される
障害年金の1級または2級に認定された場合、国民年金保険料の法定免除を受けることができます。これにより、将来の老齢基礎年金の受給資格期間に影響を与えることなく、保険料の支払いを免除されるため、経済的な負担が軽減されます。
障害年金のデメリット・注意点
多くのメリットがある一方で、障害年金の受給にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。事前に確認しておきましょう。
老齢基礎年金が減額する場合がある
障害年金の受給により国民年金保険料の法定免除を選択した場合、将来受け取る老齢基礎年金の年金額が、免除期間分だけ減額される可能性があります。老後の生活設計に影響が出る可能性があるため、慎重な判断が必要です。
全額免除の場合、法定免除期間は、保険料を全額納付した場合の老齢基礎年金額の1/2となります。
家族の扶養から外れる可能性がある
障害年金は原則非課税ですが、社会保険(健康保険)の扶養認定においては収入とみなされるケースがあります。障害年金の受給額が、扶養の収入基準を超えてしまうと、これまで家族の扶養に入っていた方が扶養から外れ、ご自身で健康保険料を支払う必要が生じる可能性があります。
死亡一時金・寡婦年金が支給されない
国民年金第1号被保険者独自の給付制度として、遺族に支給される「死亡一時金」や「寡婦年金」といった制度があります。
しかし、死亡した人が生前に障害基礎年金を受けていた場合、これらの死亡一時金や寡婦年金は支給されなくなる点には注意が必要です。遺族の経済的保障に影響が出る可能性があるため、事前に確認が必要です。
他の公的給付との調整が発生する
障害年金と他の公的給付(傷病手当金や労災年金、生活保護など)を同時に受給する場合、併給調整が発生することがあります。
これは、同一の事由または異なる事由であっても、複数の公的給付を同時に満額受給できないように調整される仕組みです。
多くの場合、いずれか1つの年金を選択して受給することになるため、自身の状況でもっとも有利な給付を検討する必要があります。
申請手続きが複雑
障害年金の申請手続きは、非常に複雑です。必要書類が多く、準備に時間と手間がかかるだけでなく、「初診日(初めて医師の診察を受けた日)」の特定や証明が争点になりやすいなど、専門的な知識が求められる場面が多々あります。
不備があると申請が滞ったり、不支給になったりする可能性もあるため、十分な準備が必要です。
障害年金のデメリットへの対策
障害年金のデメリットを理解した上で、適切な対策を講じることで、安心して制度を利用することができます。
法定免除申請は慎重に判断する
国民年金保険料の法定免除は任意であり、必ずしも適用する必要はありません。経済的に余裕がある場合、国民年金保険料を納付することで、将来の老齢基礎年金の減額を防ぐことができます。
収入見込の試算&収入の調整
家族の扶養から外れるリスクを避けるためには、障害年金を含めた年間収入見込を事前に試算し、必要に応じて収入を調整することが有効です。
健康保険の扶養条件は、主に年間収入と、被保険者(扶養する人)との収入の比率が重要です。一般的に、被扶養者の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)で、かつ被保険者の収入の半分未満である場合に、被扶養者として認定されます。
上記を確認の上、扶養から外れない範囲での収入調整を検討しましょう。
併給可能な制度の確認&優先順位の整理
他の公的給付との併給調整を考慮し、自身が受給し得るすべての制度について、併給が可能か、あるいはどちらか一方を選択すべきかを事前に確認しましょう。
多くの場合、複数の給付の中からもっとも受給額が多く、生活に有利なものを選ぶことになります。必要に応じて年金事務所などにも相談しながら、優先順位を整理するとよいでしょう。
社労士を活用して手続きを代行してもらう
障害年金の申請手続きの複雑さを解消するためには、社会保険労務士(社労士)をはじめとした専門家を活用することが非常に有効です。
社労士は、必要書類の準備から申請書の作成、年金事務所とのやり取りまで、一連の煩雑な手続きを代行してくれます。これにより、申請者の負担を大幅に軽減し、スムーズかつ適切な申請を実現することが期待できます。
障害年金で後悔しないためのポイント
障害年金申請で後悔しないためには、以下のポイントを事前に確認し、準備を進めることが大切です。
初診日と保険料納付の確認
障害年金を請求する上で、もっとも重要かつ争点になりやすいのが「初診日」の証明です。初診日が不明確だと、受給資格が認められない可能性があります。
また、初診日の前日までに一定期間の国民年金保険料が納付されているかどうかも重要な要件となります。年金事務所や医療機関に確認し、正確な証拠を確保することが非常に重要なポイントです。
正確な診断書の取得
障害年金用の診断書は、様式が細かく決められており、医師に正確に記載してもらう必要があります。診断書の内容が不十分だと、障害の程度が適切に評価されず不支給になったり、低い等級で認定されたりする可能性があります。
医師に障害年金制度の趣旨を理解してもらい、日常生活や就労状況の具体的な困難さを詳細に記載してもらうよう依頼しましょう。
専門家(社労士)の活用
前述の通り、障害年金の手続きには専門知識が不可欠です。社労士は、複雑な要件の確認、必要書類の収集、診断書の依頼方法のアドバイス、申請書の作成など、多岐にわたるサポートを提供します。
専門家のサポートを得ることで、申請の成功率を高め、不必要な労力やストレスを軽減できるだけでなく、より適切な等級での受給につながる可能性が高まります。
障害年金に関するQ&A
最後に、障害年金に関するよくある質問にお答えします。
Q. 障害年金を受給しながら働くことはできる?
はい、障害の程度(等級)によっては、障害年金を受給しながら働くことも可能です。例えば、症状が安定しており、軽作業であれば就労できる場合や、短時間勤務などで働くケースも少なくありません。
ただし、働くことによって障害の状態が改善したと判断された場合、等級が見直されたり、支給停止になったりする可能性もあります。
Q. 障害年金受給で職場にばれる?
個人情報保護の観点から、原則として障害年金の受給情報が職場に通知されることはありません。
ただし、厚生年金に加入している場合は、会社が手続きの一部に関与したり、社会保険料の計算などを行うため、間接的に知られる可能性もゼロではありません。
もし不安がある場合は、お近くの年金事務所や社会保険労務士に相談し対策について確認してみましょう。
Q. うつ病でも障害年金はもらえる?
はい、うつ病などの精神疾患であっても、障害認定基準に該当していれば障害年金を請求できます。重要なのは、診断名だけでなく、日常生活や社会生活にどの程度の支障が出ているか、という具体的な状況です。
ただし、症状が重くても就労している場合など、社会生活への適応性が高いと判断されると、受給が難しくなるケースもあります。
Q. 生活保護と障害年金の併給はできる?
生活保護を受給中であっても、障害年金の請求は可能です。しかし、障害年金と生活保護費の両方を同時に満額受給することはできません。障害年金が支給された場合、その年金額が生活保護費から差し引かれる形で調整されます。
まとめ
障害年金は、病気やけがによって生活に支障が生じた際に、経済的な保障をしてくれる重要な公的制度です。
非課税所得であり、使い道が自由であること、就労しながら受給できる可能性があること、国民年金保険料の免除が受けられることなど、多くのメリットがありますが、一方で、老齢基礎年金の減額や家族の扶養から外れる可能性、他の公的給付との調整などのデメリットも存在します。
これらのデメリットに対しては、法定免除の慎重な判断や収入の見込み試算と調整、併給制度の確認、そして社会保険労務士などの専門家を活用するといった対策を行うことが大切です。
障害年金の受給で公開しないために、今回の記事の内容を参考に慎重に申請を検討しましょう。
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監修
森本 由紀
- ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士
行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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