
金融資産と貯金の違いとは?類似用語の定義と「金融資産」目線の必要性を解説
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「金融資産」「貯金」「預金」「貯蓄」といった言葉の正確な違いがわからず、資産形成の第一歩で戸惑いを感じていませんか?これらの用語は似ていますが、それぞれ指し示す範囲や意味が異なります。
本記事を参考に各用語の正しい意味と使い分けを正しく理解し、将来に向けた最適な資産形成プランの計画に、ぜひお役立てください。
- 金融資産・貯金・預金・貯蓄の明確な違い
- 年代別のリアルな金融資産保有額
- 貯金だけでなく金融資産全体で考えるべき理由
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金融資産・貯金・預金・貯蓄の違いとは?
資産形成について考える際、まず理解しておきたいのが「金融資産」「貯金」「預金」「貯蓄」という4つの言葉の違いです。これらは日常的に混同されがちですが、金融の専門的な観点からは明確な使い分けがあります。それぞれの定義を正しく把握することが、資産状況を正確に理解する第一歩となります。
貯金とは?
「貯金」とは、主にお金を貯める行為そのものを指す言葉ですが、狭義には特定の金融機関にお金を預けることを指します。
具体的には、ゆうちょ銀行やJAバンク(農協)、JFマリンバンク(漁協)といった協同組合組織の金融機関にお金を預けることを「貯金」と呼びます。これは、これらの機関が郵便貯金法など、銀行法とは異なる法律に基づいて設立・運営されている歴史的経緯によります。
日常会話では金融機関の種類を問わず「お金をためること」全般を指して使われることが多いですが、厳密な定義では預け先が限定されると覚えておきましょう。
預金とは?
「預金」とは、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫といった民間の金融機関にお金を預けることを指します。これらの金融機関は銀行法などの法律に基づいて運営されており、そこに預け入れたお金を制度上「預金」と呼びます。
「預金」には、いつでも自由に出し入れができる「普通預金」や、一定期間引き出せない代わりに金利が比較的高く設定される「定期預金」、外国の通貨で預ける「外貨預金」など、目的に応じてさまざまな種類があります。
日常会話では「貯金」と混同されたり、ほぼ同じ意味で使われたりしますが、制度上の預け先が銀行などの民間金融機関に限定される点が「貯金」との大きな違いです。金融機関の種類によって呼び方が変わると理解しておくと良いでしょう。
貯蓄とは?
「貯蓄」は、「貯金」や「預金」よりも広い意味を持つ言葉です。単にお金を金融機関に預けるだけでなく、株式、投資信託、保険といった金融商品を含め、資産を蓄え、増やしていく行為全般を指します。
つまり、「貯蓄」には現金や預貯金だけでなく、投資による資産形成も含まれるのが特徴です。例えば、NISAやiDeCoを活用して投資信託を積み立てることも「貯蓄」の一環と捉えられます。
「お金をためる」という点では貯金と似ていますが、「貯蓄」はより能動的に「資産を増やす」というニュアンスを含んだ、包括的な概念であると理解しておきましょう。
金融資産とは?
「金融資産」とは、これまで説明した用語の中で一番広範囲を指す言葉です。具体的には、現金や預貯金、株式、債券、投資信託、生命保険など、現金化が可能な資産の総称です。
「貯蓄」が資産を蓄える「行為」を指すニュアンスが強いのに対し、「金融資産」は蓄えられた「資産そのもの」を指します。不動産や貴金属といった「実物資産」とは区別され、形はないものの財産的価値を持つものが分類されます。
家計の財産状況を評価する際には、その「金融資産」がどれだけあるかが重要な指標となります。つまり、預貯金だけでなく、保有している有価証券なども含めたトータルの金額で資産を把握することが求められます。
金融資産に含まれるもの・含まれないもの
「金融資産」という言葉が具体的に何を指すのかを理解することは、自身の資産を正確に把握する上で不可欠です。金融資産には多様な種類があり、それぞれに異なる特徴があります。一方で、資産の中には金融資産には分類されない「実物資産」も存在します。ここでは、金融資産の具体的な内訳と、それ以外の資産との違いについて解説します。
金融資産に含まれる主な種類
金融資産は、その流動性(現金化のしやすさ)やリスク・リターンの特性によってさまざまな種類に分けられます。以下に代表的なものを挙げます。
- 現金・預貯金:一番流動性が高く、元本保証がある安全資産です。普通預金や定期預金がこれにあたります。
- 株式:企業が発行する有価証券で、株価の値上がり益(キャピタルゲイン)や配当金(インカムゲイン)が期待できますが、価格変動リスクも伴います。
- 債券:国や企業が資金調達のために発行する有価証券です。満期まで保有すれば額面金額が償還され、定期的に利子を受け取れます。株式に比べてリスクは低いとされています。
- 投資信託:投資家から集めた資金を専門家が株式や債券などに分散投資する商品です。少額から始められ、専門家に運用を任せられるため、投資初心者にも適しています。
- 貯蓄型生命保険:終身保険や個人年金保険など、保障機能と貯蓄機能を兼ね備えた保険です。解約時に解約返戻金を受け取れるため、金融資産に含まれます。
金融資産に含まれない「実物資産」
金融資産と対比されるのが「実物資産」です。実物資産とは、そのもの自体に価値があり、物理的な形を持つ資産のことを指します。
代表的な実物資産には、以下のようなものがあります。
- 不動産:土地や建物など
- 貴金属:金(ゴールド)やプラチナなど
- その他:絵画、骨董品、ワインなど、希少価値のある収集品
実物資産の大きな特徴は、インフレーション(物価上昇)に強いことです。インフレが起こると現金の価値は目減りしますが、実物資産の価値は物価とともに上昇する傾向があります。
一方で、金融資産に比べて流動性(現金化のしやすさ)が低いという側面も持ち合わせています。
資産形成においては、金融資産と実物資産の特性を理解し、バランス良く保有することが欠かせません。
【注意点】暗号資産やポイントの扱いは?
近年、新たな資産として注目されている暗号資産(仮想通貨)や、日常的に貯まるポイントの扱いはどうなるのでしょうか。
暗号資産については、金融資産としての法的な位置づけが整備されつつあります。 金融庁は、暗号資産を株式などと同様に金融商品取引法上の「金融商品」と位置づける方針を示しており、これにより投資家保護のルールが強化される見込みです。その動きが進むと、暗号資産は金融資産の一部としてより明確に認識されるようになるでしょう。
参照:仮想通貨を「金融商品」に 金融庁、有価証券並み厳格規制へ|日本経済新聞
一方、買い物などで貯まるポイントは、一般的に金融資産とは見なされません。これらは現金化できる場合もありますが、法的な資産としての定義からは外れることがほとんどです。ただし、会計上は資産として計上されるケースもあり、その扱いは今後の法整備によって変わる可能性があります。
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なぜ貯金だけでなく金融資産の視点が必要か
多くの人が資産形成の第一歩として「貯金」を思い浮かべますが、現代の経済環境においては、預貯金だけで資産を守り、増やしていくことには限界があります。
将来の安定した生活を築くためには、より広い視野で「金融資産」全体を管理・運用する視点が不可欠です。その理由を3つの重要な観点から解説します。
現金の価値は目減りする可能性がある
銀行にお金を預けておくだけでは、資産が実質的に減少するリスクがあります。その主な原因がインフレーション(インフレ)です。インフレとは、物価が継続的に上昇し、相対的にお金の価値が下がることを指します。
例えば、物価が年2%上昇すると、今日100万円で買えたものが1年後には102万円出さないと買えなくなります。一方で、現在の銀行(メガバンク)の普通預金金利は年0.2%程度と低水準です。物価の上昇率に金利が追いつかないため、預貯金に置いているだけのお金は、購買力という観点で見ると年々価値が目減りしていくことになります。
そのインフレリスクに対抗するためには、預貯金だけでなく、物価上昇率を上回るリターンが期待できる株式や投資信託といった金融資産を組み入れることが有効な手段となります。
家計のバランスシート(B/S)で考える
家計の健全性を正しく評価するためには、資産だけでなく負債も合わせた全体像、つまり「バランスシート(B/S)」の視点を持つことが鍵となります。その考え方において中心となるのが「純金融資産」という指標です。
純金融資産は、自身が保有する金融資産の合計額から、住宅ローンや奨学金などの負債の合計額を差し引いて算出されます。
純金融資産 = 金融資産 - 負債
たとえ預貯金が多くても、それを上回る多額のローンがあれば、家計は「債務超過」の状態にあるといえます。逆に、預貯金が少なくても負債がなければ、純金融資産はプラスになります。
そのように、資産と負債の両面から家計を評価することで、表面的な貯金額だけでは見えない「実質的な資産状況」を把握し、より的確な資産形成計画を立てることが可能になります。
複利効果による資産形成の効率化
資産形成のスピードを加速させる上で欠かせないのが「複利効果」の活用です。複利とは、投資で得た利益(利息や分配金)を元本に加えて再投資することで、その合計額に対して新たな利益が生まれ、雪だるま式に資産が増えていく仕組みを指します。
例えば、100万円を年利5%で運用した場合、単利では毎年5万円の利益ですが、複利であれば1年目の利益5万円が元本に加わり、2年目は105万円に対して5%の利益が付きます。その差は、運用期間が長くなるほど飛躍的に増加します。
その複利効果は、預貯金のような低金利の商品ではほとんど期待できません。投資信託などの金融資産を長期的に保有し、得られた分配金を再投資することで、複利の力を最大限に活かすことができます。時間を味方につけることで、効率的な資産形成が可能になります。
日本人の金融資産保有額の平均・中央値はどれくらい?
自身の資産状況を客観的に評価するために、他の人がどれくらいの金融資産を保有しているのかを知ることは有効な参考情報となります。公的な調査データを基に、日本人の金融資産保有額の実態を見ていきましょう。ただし、データを見る際には「平均値」と「中央値」の違いを理解しておくことが大切です。
「平均値」と「中央値」の大きな違い
金融資産に関するデータを見る際、「平均値」と「中央値」という2つの指標がよく用いられます。
- 平均値:全員の保有額を合計し、人数で割った数値
- 中央値:全員の保有額を少ない順(または多い順)に並べたとき、ちょうど真ん中に位置する人の数値
平均値は、一部の極端に資産が多い富裕層の数値に引き上げられる傾向があります。そのため、一般的な実感とはかけ離れた高い金額になることが少なくありません。
一方で、中央値はそうした極端な値の影響を受けにくく、より実態に近い「標準的な世帯」の資産額を示しているといえます。自身の立ち位置を把握する際には、平均値だけでなく、中央値も確認し参考にするとよいでしょう。
年代別の金融資産保有データ
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によると、年代別の金融資産保有額は以下のようになっています。
いずれの年代においても平均値が中央値を上回っており、一部の資産保有額が多い世帯が平均値を引き上げている構造がわかります。
また、年代が上がるにつれて資産額は増加傾向にありますが、60代で退職金などにより資産が増加している様子が見て取れます。自身の該当する年代の中央値を1つの目安として、資産形成の計画を立てるとよいでしょう。
金融資産と貯金の違いに関するQ&A
ここでは、金融資産や貯金に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で分かりやすく解説します。
Q. 住宅ローンがある場合、金融資産の計算はどうなる?
住宅ローンは「負債」として扱います。そのため、正確な資産状況を把握するには「純金融資産」を計算する必要があります。
純金融資産は、預貯金や株式などの金融資産の合計額から、住宅ローンの残高などの負債総額を差し引いて算出します。例えば、金融資産が1000万円あっても、住宅ローンが3000万円残っている場合、純金融資産はマイナス2000万円となります。その純金融資産を把握することが、家計の健全性を測る上で鍵となります。
Q. 掛け捨ての生命保険は金融資産に入る?
いいえ、掛け捨て型の生命保険は一般的に金融資産には含まれません。金融資産に含まれるのは、解約した際に「解約返戻金」が受け取れる貯蓄型の生命保険(終身保険、養老保険、個人年金保険など)です。
掛け捨て型の保険は、保障機能に特化しており、解約してもお金が戻ってこないため、資産価値がないと見なされます。保険商品を評価する際は、その保険が貯蓄性を持つかどうかを確認することがポイントです。
Q. 宝くじやタンス預金は金融資産に入る?
タンス預金は「現金」であるため、金融資産に含まれます。 自宅で保管している現金も、個人の資産の一部です。ただし、盗難や災害のリスクがあるため、多額の現金を自宅で保管することは推奨されません。
一方、購入した宝くじは、当選して現金化するまでは金融資産とは見なされません。宝くじはあくまで「当選する権利」であり、それ自体に換金性や市場価値があるわけではないためです。当選金を受け取って初めて、現金または預貯金という金融資産になります。
Q. 貯金と投資、どちらを優先すべき?
一般的に、まずは一定額の「貯金」を優先すべきです。具体的には、万が一の事態に備えるための「生活防衛資金」を確保することが最優先となります。
生活防衛資金として用意すべき金額は、会社員であれば生活費の6ヶ月分程度、自営業やフリーランスの方であれば1年分程度が理想です。この資金は、病気や失業などで収入が途絶えた場合でも生活を維持するためのもので、すぐに引き出せるよう流動性の高い預貯金で準備しておく必要があります。
この生活防衛資金を確保した上で、さらに余裕のある資金(余剰資金)を「投資」に回していくのが、資産形成における基本的な順序です。
まとめ
本記事では、「金融資産」「貯金」「預金」「貯蓄」という似て非なる言葉の定義から、資産形成においてなぜ金融資産全体の視点が重要なのかを解説しました。
それぞれの言葉の違いをまとめると以下のようになります。
- 貯金:ゆうちょ銀行など特定機関へのお金の預け入れ
- 預金:銀行など民間金融機関へのお金の預け入れ
- 貯蓄:預貯金に加え、投資などでお金を蓄え増やす行為
- 金融資産:預貯金、株式、保険など現金化できる資産の総称
低金利に加えてインフレリスクもある現代において、預貯金だけで資産を守り増やすことは困難です。複利効果を活かした効率的な資産形成を目指すには、NISAなどの制度を活用し、株式や投資信託といった金融商品をバランスよくポートフォリオに組み入れる視点が不可欠です。
まずは自身の金融資産と負債を洗い出し、「純金融資産」を把握することから始めてみましょう。その上で、年代別の平均データなどを参考にしながら、将来のライフプランに合った資産配分を検討し、着実に資産形成の準備を進めていきましょう。
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高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。



