マネイロ知識ゼロでも
ただしい資産運用を

外貨定期預金のデメリットとは?利益の仕組みや始める前のチェックポイントを解説

外貨定期預金のデメリットとは?利益の仕組みや始める前のチェックポイントを解説

貯蓄2025/10/14
  • #初心者向け

>>あなたに最適な資産運用は?3分で診断

外貨定期預金は、高金利や為替差益を狙える魅力的な資産運用手段ですが、同時に大きなリスクも伴います。

本記事では、特に初心者が見落としやすい外貨定期預金のデメリットを網羅的に解説します。さらに、外貨定期預金を始める上で欠かせないチェックポイントを紹介します。具体的なリスクや要点を知り、失敗しない外貨運用を目指しましょう。

この記事を読んでわかること
  • 外貨定期預金で利益と損失が発生する仕組みとリスクについて
  • 外貨定期預金特有の落とし穴・デメリット
  • 外貨定期預金を利用する際のチェックポイント


将来の蓄えが気になるあなたへ

現在の収入や資産で、将来どれくらいの貯金が貯まるのか、また老後生活にはどれくらい足りないのかを早めに把握して準備を始めましょう。マネイロでは、将来資金の準備を便利に進められる無料ツールを利用できます。

将来資金の無料診断:将来必要になる金額が3分でわかる

賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる

NISAで始める資産運用~基本編~:NISAの基本と資産運用の始め方入門

関連記事
関連記事

外貨定期預金とは?利益と損失が生まれる仕組み

外貨定期預金とは、日本円を米ドルやユーロなどの外国通貨に替えて一定期間預け入れ、金利を得る商品です。この運用では、主に2つの方法で利益(または損失)が発生します。

インカムゲイン(利息)

インカムゲインとは、定期預金として外貨を保有している間に得られる利息収入のことです。一般的に、日本国内の円預金金利と比較して、外貨定期預金の金利は非常に高く設定されていることが大きな魅力です。

例えば、年利が2%や3%といった通貨も存在します。ただし、この利息は現地の通貨建てで支払われるため、最終的に円に換金する際の為替レートによって、円ベースでの手取り利息額は変動します。

キャピタルゲイン(為替差益)

キャピタルゲインとは、外貨を売買した際の価格差によって生じる損益のことで、外貨預金においては「為替差益」を指します。

預け入れた時(円→外貨に交換した時)よりも、満期時に引き出す時(外貨→円に交換した時)に「円安」になっていれば為替差益(利益)が発生します。逆に「円高」になっていれば為替差損(損失)となります。

ポイントの解説

この為替差益・差損こそが、外貨定期預金の利回り全体にもっとも大きな影響を与える要素であり、大きな魅力である一方、同時に最大のリスクとなります。

外貨定期預金のデメリット

外貨定期預金に取り組む上で、特に注意すべき5つのデメリットを解説します。これらのリスクを理解せず運用を開始すると、予想外の損失を被る可能性があります。

デメリット1.為替リスクがある

前述の通り、外貨定期預金の最大のリスクは、為替変動リスクです。定期預金は「元本保証」というイメージがありますが、外貨預金では「外貨建ての元本」は保証されても、円建ての元本は保証されないため、為替変動により元本割れをする可能性があります。

例えば、1米ドル=150円のときに100万円を預け入れたとします(約6666.67ドル)。もし満期時に1米ドル=140円の「円高」になっていた場合、元本の6666.67ドルを円に換算すると約93万3333円となり、金利を考慮しても、最初に預けた100万円を下回り、円ベースで、ほとんどの場合、元本割れとなります。

注意点

為替変動は予測が難しく、想定外の円高によって、高金利で得られた利息収入を上回る損失が発生する可能性がある点には十分注意が必要です。


将来の蓄えが気になるあなたへ

現在の収入や資産で、将来どれくらいの貯金が貯まるのか、また老後生活にはどれくらい足りないのかを早めに把握して準備を始めましょう。マネイロでは、将来資金の準備を便利に進められる無料ツールを利用できます。

将来資金の無料診断:将来必要になる金額が3分でわかる

賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる

NISAで始める資産運用~基本編~:NISAの基本と資産運用の始め方入門

デメリット2.「見えない手数料」が高い

外貨定期預金の主なコストは、預入時と払戻時の為替レートに含まれる「為替スプレッド」です。これは、円を外貨に交換する際のレート(TTS:顧客が外貨を買うレート)と、外貨を円に戻す際のレート(TTB:顧客が外貨を売るレート)の差額で、実質的な手数料にあたります。

例えば、銀行間の取引レートなどを基準とする仲値(TTM)が1米ドル=150円のとき、銀行は顧客が円を外貨に替えるレート(TTS)を150円50銭、外貨を円に戻すレート(TTB)を149円50銭、というように仲値に手数料を上乗せ・差し引いて設定します。この場合、片道50銭、往復で1円の為替スプレッドが実質的な手数料となります。

主要なネット銀行では米ドルで片道数銭~数十銭程度、メガバンクでは片道50銭~1円程度が一般的です。仮に為替スプレッドが往復で2円の場合、1万ドル(約150万円)を運用すると、取引の往復だけで2万円(1万ドル × 2円)のコストが発生します。

このコストは、外貨預金の金利収入を相殺してしまうこともあるため、金利の高さだけでなく、為替スプレッドがどれだけ狭いかにも注意して金融機関を選ぶことが大切です。

デメリット3.為替差益にかかる税金と確定申告

為替差益は「雑所得」として総合課税の対象となります。総合課税とは、給与所得など他の所得と合算した総所得金額に対して税率が決まる仕組みで、所得が多い人ほど高い税率(累進課税)が適用されます。

会社員(給与所得者)の場合、給与以外の所得、つまり為替差益を含む雑所得の合計額が年間で20万円を超えると、原則として確定申告が必要になります。年末調整では処理できないため、自分で申告と納税を行う必要があります。

なお、以下は例外となり、為替差益を含むすべての所得に対して確定申告が必要です。
・給与を2ヶ所以上の会社から受け取っている場合
・給与収入が2000万円を超える場合

一方、国内の金融機関で得た利息部分は「利子所得」として、20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の源泉分離課税が適用されます。これは、利息が支払われる際に金融機関が税金を天引きしてくれるため、原則として確定申告は不要です。

デメリット4.預金保険制度(ペイオフ)の対象外

日本の金融機関が破綻した場合、預金者を保護するための制度として預金保険制度(ペイオフ)があります。この制度は、日本円の普通預金や定期預金については、元本1000万円とその利息までを保護するものです。

しかし、外貨預金(外貨の普通預金、外貨の定期預金を含む)は、この預金保険制度の対象外です。

したがって、万が一、預け入れ先の金融機関が破綻した場合(信用リスク)、預け入れた外貨が全額戻ってこない可能性があります。さらに、外貨預金を始める際は、その通貨を発行している国の政治・経済情勢が不安定になるカントリーリスクも考慮に入れる必要があります。

デメリット5.必要な時にすぐに引き出せない

外貨定期預金は、定期預金特有の「流動性リスク」を伴います。一般的な普通預金とは異なり、設定した預入期間(例えば1年、3年など)が満期を迎えるまで、原則として預金を引き出すことができません。

もし満期日前にやむを得ず解約する場合、中途解約利率が適用され、当初予定していた高い金利を得られなくなるだけでなく、銀行によっては手数料が発生したり、元本割れのリスクが高まったりする場合があります。必要な時に資金をすぐに利用できない可能性がある点も、デメリットとして認識しておくべきです。

外貨定期預金にはメリットもある?

デメリットも多い外貨定期預金ですが、特定の目的や状況においては、国内の円預金にはないメリットも存在します。

メリット1.非常に高金利

外貨定期預金の最大のメリットは、日本円の定期預金と比較して非常に高金利であることです。特に新興国通貨や、日本よりも金融政策上の金利が高い主要先進国の通貨(米ドルなど)に預け入れる場合、国内では考えられない利息収入を得られる可能性があります。

このインカムゲインを継続的に享受できる点が、長期的な資産形成において魅力的です。

メリット2.円安進行で為替差益が狙える

預け入れ時よりも円安方向に為替が変動した場合、大きなキャピタルゲイン為替差益)を得ることができます。

高金利と為替差益の両方が実現すれば、短期間で高いリターンを期待できます。特に、将来的に日本円の価値が下がり続ける(円安になる)と予想している投資家にとっては、外貨定期預金は有効な手段となります。

メリット3.資産防衛としての通貨分散に使える

資産をすべて日本円だけで保有していると、日本経済や日本円の信用力が低下した際に、資産価値全体が目減りするリスクがあります。

外貨定期預金を利用することで、資産を複数の通貨に分散し、リスクを軽減する「資産防衛」の手段として活用できます。1つの国や通貨に依存しないポートフォリオ構築の一環として有効です。

外貨定期預金を始める前のチェックポイント

外貨定期預金のリスクを理解した上で、そのリスクを最小限に抑えるための具体的な戦略を紹介します。

「時間分散」で高値掴みリスクを軽減

為替変動リスク(元本割れリスク)を軽減するための最も有効な手段の一つが「時間分散」です。これは、一度に大きな金額をまとめて預け入れるのではなく、投資する時期を複数回に分けて定期的に少額ずつ外貨を購入していく方法です。

これを「ドルコスト平均法」といい、時間分散を行うことで、特定の高い為替レートで全額を預け入れてしまう「高値掴み」のリスクを避けられます。円で一定金額を購入することで平均購入単価を平準化できるため、結果的に為替変動に左右されにくい安定した運用が可能になります。

金利の他、手数料と為替のトータルコストで判断する

外貨定期預金を選ぶ際、金利の高さだけを見て判断するのは危険です。

前述の通り、「見えない手数料」である為替手数料は、利益を大きく削る要因となるため、金利と手数料を合わせた「トータルコスト」で判断することが不可欠です。

特に、頻繁に取引を行う可能性がある場合は、為替手数料が低いネット銀行などを利用することで、コストを抑えることができます。

購入レートと売却レート、そして金利のバランスを見て、最終的なリターンが最大化されるかを確認しましょう。

事前に「出口戦略」を決めておく

外貨預金は為替変動に大きく左右されるため、運用を始める前に、いつ、どのような条件で円に戻すのかという「出口戦略」を明確に決めておくことが重要です。

出口戦略の例としては、「目標の為替レート(例:1米ドル=160円)に達したら利益確定する」「満期時の為替レートが元本割れ水準(例:1米ドル=140円)よりも円高であれば、次の満期まで運用を継続する」といったルールを定めておくことです。

ルールがないと、為替変動に一喜一憂し、感情的な判断で不利なタイミングで損切りや利食いをしてしまうリスクが高まります。

外貨定期預金のデメリットに関するQ&A

外貨定期預金に関するよくある質問と回答を紹介します。

Q. 初心者が外貨定期預金を始めるのにおすすめの通貨は?

外貨定期預金の初心者は、流動性が高く、カントリーリスクが比較的低い先進国の主要通貨から始めるのがよいでしょう。具体的には、世界でもっとも取引量が多く、情報も得やすい米ドル(USD)が一般的です。

高金利を狙って新興国通貨を選ぶのは一見魅力的ですが、新興国通貨は金利が高い分、政治・経済情勢の急変による価値の暴落(カントリーリスク)の危険性も高くなります。まずは米ドルなどで為替変動の仕組みを理解し、徐々に通貨分散を進めるのが賢明な方法といえるでしょう。

Q. 円安の時には始めないほうがいい?

現在が円安(外貨が高い状態)の時、外貨定期預金を始めるのは、短期的なキャピタルゲインを狙う上では不利になる可能性があります。

なぜなら、今後円高(外貨が安い状態)に反転した場合、為替差損によって元本割れのリスクが高まるからです。これは「高値掴み」の状態と言えます。

為替レートは常に変動しており、特定の一時点のレートが高いか低いか、また将来高くなるか安くなるかを判断するのは非常に困難です。

前述の通り、円安・円高にかかわらず、時間を分散して購入する戦略(ドルコスト平均法)を取ることで、一方向へのリスクを軽減できます。

Q. 為替差損が出た場合、確定申告で節税できるって本当?

はい、可能です。外貨預金の為替差損は「雑所得総合課税)」に分類されるため、他の雑所得の黒字と相殺(損益通算)することで課税対象額を減らせます。この手続きには確定申告が必要です。

例えば、副業の原稿料や公的年金など、同じ雑所得に分類される所得があれば、外貨預金の為替差損と相殺できます。ただし、以下の所得とは損益通算できません。

  • 給与所得・事業所得
  • 株式や投資信託の譲渡益・譲渡損
  • FX(外国為替証拠金取引)の利益

特に、FXは税制上「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象となるため、外貨預金の為替差損(総合課税)とは合算できません。同じ為替関連の利益でも、課税方式が異なる点には注意が必要です。

まとめ

外貨定期預金は、高金利や円安による為替差益という大きなメリットを持つ一方で、為替変動による元本割れ、高い為替手数料、流動性の欠如、そして預金保険の対象外であるという重大なデメリットを抱えています。

特に、為替差益が雑所得として総合課税されるため、運用によっては確定申告の手間が発生したり、税率が高くなったりする点には注意が必要です。

これらのリスクを管理するためには、「時間分散」による高値掴みリスクの軽減、金利と手数料を含めた「トータルコスト」での判断、そして感情に流されないための「出口戦略」の事前設定が鍵となります。

外貨定期預金は、資産防衛のための通貨分散として有効活用できますが、その特性とリスクを完全に理解し、計画的な運用を行うことが、初心者にとって失敗しないための鉄則といえます。

>>あなたに最適な資産運用は?3分で診断


将来の蓄えが気になるあなたへ

現在の収入や資産で、将来どれくらいの貯金が貯まるのか、また老後生活にはどれくらい足りないのかを早めに把握して準備を始めましょう。マネイロでは、将来資金の準備を便利に進められる無料ツールを利用できます。

将来資金の無料診断:将来必要になる金額が3分でわかる

賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる

NISAで始める資産運用~基本編~:NISAの基本と資産運用の始め方入門

※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます

※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください

オススメ記事

監修
高橋 明香
  • 高橋 明香
  • ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者

みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。

記事一覧

執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。

一覧へもどる