iDeCoの手数料一覧と手数料負けを防ぐ方法|5種類の金額・損益ライン・金融機関比較

iDeCoの手数料一覧と手数料負けを防ぐ方法|5種類の金額・損益ライン・金融機関比較

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「iDeCoは手数料負けするからやめたほうがいい?」と不安に感じる人もいるでしょう。

iDeCoでは、加入時や運用中、給付時などに手数料がかかります。特に掛金が少ない場合は、掛金に対する手数料の負担割合が大きくなるため注意が必要です。

一方、掛金が多いほど手数料の負担割合は小さくなり、運用期間が長いほど手数料負けを避けるために必要な利回りは低くなる傾向があります。

本記事では、iDeCoで手数料負けするケースや必要な利回りの目安、手数料負担を抑えるポイントをわかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • iDeCoでかかる5種類の手数料とその金額
  • 積立額や運用期間で変わる手数料負けの損益分岐点
  • 手数料負けを回避するための3つの具体的な方法

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iDeCoの手数料一覧【5種類の金額早見表】

iDeCoを利用する際には、複数の手数料が発生します。これらの手数料は、加入時から資産の受け取り時まで、さまざまなタイミングで必要です。手数料の全体像を把握することが、手数料負けを防ぐための第一歩です。

主に発生する手数料は、以下の5種類に分けられます。

iDeCoにかかる5種類の手数料

手数料の種類
手数料が発生するタイミング
①加入時・移換時手数料
初回・移換時
②口座管理手数料
毎月
③給付時手数料
受取時
④還付時手数料
掛金の過不足があった時
⑤信託報酬
運用時

iDeCoにかかる5種類の手数料:金融機関別の例

手数料の種類
例:三菱UFJ銀行
例:大和証券
例:SBI証券
①加入時・移換時手数料
2829円
2829円
2829円
②口座管理手数料
1.事務手数料:105円(27年1月以降は月120円) 2.資産管理手数料 : 66円 3.運営管理手数料 標準コース385円 ライトコース260円
事務手数料 105円(27年1月以降は月120円) 資産管理手数料 66円 運営管理手数料 0円
事務手数料 105円(27年1月以降は月120円) 資産管理手数料 66円 運営管理手数料 0円
③給付時手数料
440円/1回
440円/1回
440円/1回
④還付時手数料
1488円/1回
1488円/1回
1488円/1回
⑤信託報酬
商品によって異なる
商品によって異なる
商品によって異なる

上記は2026年9月時点の各金融機関の公式サイト等の情報をもとに作成しています。手数料や条件は変更される可能性があるため、最新の情報は必ず各社の公式サイトでご確認ください。

(参考:加入者にかかる手数料見直しについて|iDeCo公式サイト)

①加入時・移換時手数料(初回・移換時)

iDeCoに新規で加入する際や、企業型確定拠出年金(企業型DC)などから資産を移す(移換する)際に、初回のみ発生する手数料です。

この手数料は、国民年金基金連合会に支払うもので、金額は2829円です。どの金融機関でiDeCoを始めても、一律でこの金額がかかります。毎月発生する費用ではなく、手続きの際に1度だけ支払うものです。

②口座管理手数料(毎月)

iDeCoの口座で資産を管理・運用していくために、毎月継続的にかかる手数料です。主に以下の3つの手数料で構成されています。

  • 国民年金基金連合会への手数料:月額105円(2027年1月以降は月額120円) 
  • 事務委託先金融機関(信託銀行)への手数料:月額66円
  • 運営管理機関(口座を開設した金融機関)への手数料:月額0円〜数百円

上記のうち、国民年金基金連合会と信託銀行に支払う合計171円(2027年1月以降は合計186円) は、どの金融機関を選んでも必ずかかります。

ポイントの解説

一方、運営管理機関への手数料は金融機関によって異なり、ネット証券などを中心に無料としているところも多くあります。この手数料の有無が、長期的な運用コストに影響するため、金融機関選びの重要なポイントです。

③給付時手数料(受取時)

iDeCoで60歳以降に積み立てた資産を受け取る際に、給付1回ごとにかかる手数料です。1回あたり440円が、事務委託先金融機関である信託銀行に支払われます。

受け取り方には、年金形式で分割して受け取る方法と、一時金として一括で受け取る方法があります。年金形式の場合、受け取るたびに手数料が発生するため、受け取り回数を少なくすることで手数料を抑えることが可能です。一時金の場合は、原則として1回分の手数料で済みます。

④還付時手数料(掛金の過不足があった場合)

拠出限度額を超えて掛金を拠出してしまった場合や、国民年金保険料の未納などにより加入資格がない月に掛金を拠出してしまった場合など、納付した掛金が本人に返還(還付)される際に発生する手数料です。

注意点

還付が発生するたびに、合計1488円(国民年金基金連合会へ1048円、事務委託先金融機関へ440円)が還付金から差し引かれます。意図せず発生することの多い手数料のため、拠出限度額や加入資格には注意が必要です。

⑤信託報酬(運用時)

信託報酬は、iDeCoで選んだ投資信託などの運用商品そのものにかかる手数料です。投資信託の運用・管理の対価として、信託財産(純資産総額)から年率で毎日差し引かれます。

料率は商品によって異なり、一般的に年率0.1%〜2.0%程度です。日経平均株価などの指数に連動することを目指すインデックスファンドは信託報酬が低い傾向にあり、指数を上回る成果を目指すアクティブファンドは高い傾向にあります。

信託報酬は運用期間中ずっとかかり続けるコストであり、長期的なリターンに影響するため、商品選びの際には必ず確認すべき重要な項目です。

そもそも「手数料負け」とは?起こる原因

iDeCoにおける「手数料負け」とは、運用によって得られた利益(運用益)が、iDeCoの利用にかかる各種手数料の合計額を下回ってしまう状態を指します。

iDeCoの手数料は、運用益に対して「〇%」といった変動率でかかるのではなく、毎月定額で発生するものが中心です。そのため、運用益が少ない状況では、手数料が利益を上回ってしまうことがあります。

手数料負けが起こりやすい主な原因は、以下の通りです。

掛金が少額である

掛金が少ないと運用資産の元本がなかなか増えず、得られる利益も小さくなりがちです。一方で手数料は定額でかかるため、利益に占める手数料の割合が高くなります。

運用期間が短い

運用益が継続して得られた場合でも、運用期間が短いと複利効果を十分に活かしにくくなります。また、短期的な市場の変動によって運用成績がマイナスになる可能性もあり、手数料をカバーするほどの利益を確保するのが難しくなります。

利回りの低い商品で運用している

定期預金などの元本確保型商品は、安全性が高い一方で利回りが低いです。期待できるリターンが年間手数料を下回る場合、運用を続けるほど資産が目減りする可能性があります。

手数料の高い金融機関を選んでいる

運営管理手数料が有料の金融機関を選ぶと、毎月の固定コストが増加し、その分手数料負けのリスクが高まります。


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手数料負けライン【積立額別・損益分岐点|2027年1月~適用】

iDeCoで手数料負けをしないためには、どのくらいの運用利回りが必要になるのでしょうか。

ここでは、2027年1月以降の新手数料体系(毎月の口座管理手数料:186円)を前提に、積立額別に損益分岐点となる【手数料負けしない利回り】をシミュレーションします。

【シミュレーションの前提条件】
・新手数料体系(月額186円 / 年額2232円)を想定
国民年金基金連合会の事務手数料120円+信託銀行の資産管理手数料66円+運営管理機関の事務委託先手数料0円などを想定した新体系標準額です(有料の金融機関では負担がさらに増えます)。
・加入時手数料や給付時手数料などは含んでいません。

【拠出額 5000円/月】

積立期間
掛金総額
総手数料
手数料負けしない利回り※1
利回り0%の評価額(損益)※2
年3.0%運用の評価額(損益)※3
10年
60万円
約2.2万円
約0.78%
57.8万円(−2.2万円)
67.4万円(+7.4万円)
20年
120万円
約4.5万円
約0.39%
115.5万円(−4.5万円)
158.4万円(+38.4万円)
30年
180万円
約6.7万円
約0.26%
173.3万円(−6.7万円)
281.2万円(+101.2万円)

【拠出額 1万円/月】

積立期間
掛金総額
総手数料
手数料負けしない利回り※1
利回り0%の評価額(損益)※2
年3.0%運用の評価額(損益)※3
10年
120万円
約2.2万円
約0.38%
117.8万円(−2.2万円)
137.5万円(+17.5万円)
20年
240万円
約4.5万円
約0.19%
235.5万円(−4.5万円)
323.0万円(+83.0万円)
30年
360万円
約6.7万円
約0.13%
353.3万円(−6.7万円)
573.3万円(+213.3万円)

【拠出額 2万円/月】

積立期間
掛金総額
総手数料
手数料負けしない利回り※1
利回り0%の評価額(損益)※2
年3.0%運用の評価額(損益)※3
10年
240万円
約2.2万円
約0.19%
237.8万円(−2.2万円)
277.6万円(+37.6万円)
20年
480万円
約4.5万円
約0.10%
475.5万円(−4.5万円)
652.1万円(+172.1万円)
30年
720万円
約6.7万円
約0.06%
713.3万円(−6.7万円)
1,157.5万円(+437.5万円)

【本シミュレーションの算出および注釈について】
各試算結果は、高精度計算サイト(https://keisan.site/ ※旧カシオ計算機運営)の計算ツールを参考に、当編集部にて算出しています。

※1 手数料負けしない利回り: 毎月の掛金から手数料を差し引いた額を積み立て、運用資産額が「掛金総額(自己負担の総額)」に達するのに必要な年利回りの目安です。
※2 利回り0%の評価額(損益): 定期預金など元本確保型で運用したケースの目安です。運用益がゼロのため、総手数料分がそのままマイナスとなります。
※3 年3.0%運用の評価額(損益): 月利0.25%(年3.0%÷12)で毎月積立の複利計算をした一例です。将来の実際の運用成果を約束・保証するものではありません。

上記の表から、手数料負けの損益分岐点について以下の2つの傾向が読み取れます。

  • 積立額が多いほど、手数料負けしない利回りは低くなる
  • 運用期間が長いほど、手数料負けしない利回りは低くなる

定期預金など運用益がまったく増えない(利回り0%)商品を選ぶと、どの積立額でも総手数料の分だけ必ず「手数料負け」をしてしまいます。

しかし、手数料負けを抜け出すために必要な利回りは決して高くありません。いちばん条件の厳しい「月5000円・10年」のケースでも年0.78%、月1万円なら年0.38%の運用利回りがあればマイナスは解消されます。仮に投資信託などで年3.0%の運用ができれば、すべてのケースで手数料を上回るプラスの利益が出ることがわかります。

また、条件によって必要な利回りが下がるのには、以下の明確な理由があります。

  • 掛金が多いほど有利な理由: 毎月の掛金に対して、定額の手数料(月186円)が占める割合が相対的に小さくなるため、より低い利回りで手数料をカバーできるようになります。
  • 期間が長いほど有利な理由: 運用で得られた利益がさらに利益を生む「複利効果」は、運用期間が長くなるほど雪だるま式に大きくなります。そのため、長期運用になるほどより効率的に手数料分を吸収でき、結果として必要な年利回りが低くなります。

税制優遇で手数料は相殺できる?【節税額シミュレーション】

iDeCoの手数料について解説してきましたが、iDeCoにはそれを上回る可能性のあるメリットがあります。それが「税制優遇」です。掛金が全額所得控除になる点は、手数料負担を実質的に軽減する効果を持ちます。

掛金が全額所得控除になる仕組み

iDeCoの最大の税制メリットは、毎月の掛金が全額「所得控除」の対象になることです。

ポイントの解説

所得控除とは、所得税や住民税を計算する際に、もととなる所得金額から一定の金額を差し引くことができる仕組みです。iDeCoの掛金分だけ課税対象となる所得が減るため、結果として所得税と住民税の負担が軽減されます。

例えば、課税所得300万円の人がiDeCoに月1万円(年間12万円)を拠出した場合、課税所得が288万円として税金が計算されます。所得税率が10%、住民税率が10%とすると、年間の節税額は以下のようになります。

  • 所得税の軽減額:12万円 × 10% = 1万2000円
  • 住民税の軽減額:12万円 × 10% = 1万2000円
  • 合計の節税額:2万4000円

このケースでは、年間2万4000円の税金が安くなります。iDeCoの年間手数料が約2000円〜数千円程度であることを考えると、節税効果によって実質的な手数料負担を軽減できる効果が期待できます。

年収別・掛金額別シミュレーション

iDeCoによる節税額は、年収と掛金の額によって変わります。年収が高いほど所得税率も高くなるため、節税効果は増加する傾向があります。

以下は、年収と毎月の掛金額に応じた年間の節税額の目安です。

【年収・掛金額別 節税額シミュレーション(年間)】

年収の目安
所得税・住民税率
月1万円拠出(年12万円)
月2万円拠出(年24万円)
月2万3000円拠出(年27万6000円)
300万円
15%
約1万8000円
約3万6000円
約4万1400円
500万円
20%
約2万4000円
約4万8000円
約5万5200円
700万円
30%
約3万6000円
約7万2000円
約8万2800円
1000万円
30%
約3万6000円
約7万2000円
約8万2800円

(参考:iDeCo・NISAシミュレーション: 三井住友銀行)

上記はあくまで目安です。実際の税率は個人の所得控除の状況によって異なります。

表からもわかるように、年収が高く、掛金が多いほど節税効果は増加します。

 課税所得がある多くのケースで、実質的な年間手数料(数千円程度)の負担を節税額によって抑えやすくなることが期待できます。

税制メリットと手数料のバランスを考えることが大切

iDeCoは、運用益と節税効果を合わせて考えることで、手数料を上回るメリットを享受しやすい制度です。多くの所得がある会社員や公務員、自営業者にとっては、所得控除の恩恵が大きいため、手数料負けを過度に心配する必要は少ないでしょう。

ただし、所得のない専業主婦(夫)の人や、パート収入が少なく所得税を納めていない人は、所得控除のメリットを受けられません。

所得控除の恩恵が少ないケースでは、運用益非課税のメリットはありますが、節税による手数料の相殺効果が期待できないため、手数料の負担が相対的に重くなります。

そのため、自身の所得状況を考慮し、税制メリットと手数料のバランスを理解することが重要です。所得控除の恩恵が少ない場合は、手数料が無料でいつでも引き出し可能なNISAの活用を優先するなど、総合的な判断が求められます。

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手数料負けを防ぐ3つの方法

iDeCoの手数料負けは、いくつかのポイントをおさえることで十分に防ぐことが可能です。ここでは、手数料負けを回避するための具体的な3つの方法を解説します。

1.掛金は月1万円以上を目安にする

掛金をある程度の金額に設定することで、手数料の負担割合を相対的に小さくすることができます。月5000円の最低掛金でも節税メリットはありますが、手数料負けのリスクを回避しやすくするためには、月1万円以上を1つの目安とするとよいでしょう。

家計に無理のない範囲で、できるだけ多くの金額を拠出することが効率的な資産形成につながります。

2.手数料の安い金融機関と商品を選ぶ

iDeCoのコストを抑える上で重要なのが、金融機関と商品の選び方です。運営管理手数料が無料の金融機関(主にネット証券)を選ぶだけで、年間のコストを数千円単位で削減できます。

さらに、運用商品を選ぶ際には、信託報酬の低いインデックスファンドを中心に検討することで、長期的なリターンの向上が期待できます。

3.長期で続ける(20年以上が目安)

iDeCoは長期運用を前提とした制度です。運用益が継続して得られた場合、運用期間が長くなるほど複利効果によって資産が成長しやすくなり、手数料の影響が相対的に小さくなります。

短期的な市場の変動に一喜一憂せず、20年以上の長期的な視点でコツコツと積立を続けることが、手数料負けを防ぎ、資産を育てていくうえで大切です。

職種別の対策(会社員/公務員/専業主婦)

iDeCoの掛金上限額や効果的な活用法は、加入者の職業によって異なります。ここでは、会社員、公務員、専業主婦(夫)のそれぞれについて、手数料負けを防ぐための対策と工夫を解説します。

(参考:iDeCo(イデコ)をはじめるまでの4つのステップ|加入希望者の方へ)

会社員の場合

会社員の場合、勤務先の企業年金制度の有無によってiDeCoの掛金上限額が変わります。企業年金がない場合は月2万3000円、企業型DC(企業型確定拠出年金)のみに加入している場合は月2万円が上限です。

【対策と工夫】

  • 上限額に近い掛金を設定する:自身の掛金上限額を確認し、可能な範囲で上限に近づけることで、手数料の負担割合を下げ、所得控除のメリットを最大化できます。
  • 企業型DCとの併用を検討する:勤務先に企業型DCがある場合、iDeCoとの併用が可能です。企業型DCは会社が口座管理手数料を負担してくれる場合が多く、iDeCoよりも低コストで運用できる可能性があります。ただし、企業型DCで従業員が掛金を上乗せする「マッチング拠出」を利用している場合は、iDeCoと併用できないため注意が必要です。
  • NISAも活用する:iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、住宅購入や教育資金など、途中で資金が必要になる可能性も考慮し、いつでも引き出し可能なNISAと組み合わせて資産形成を行うことも選択肢の1つです。

公務員の場合

公務員の場合、iDeCoの掛金上限額は月2万円です。

【対策と工夫】

  • 所得控除を最大限活用する:公務員は比較的収入が安定しており、所得税率も高い傾向にあるため、iDeCoの所得控除による節税メリットを受けられます。これにより、実質的な手数料負担を抑えやすいといえます 。
  • 老後資金全体の設計を意識する:公務員は退職金制度が比較的充実していることが多いです。まずは勤務先の退職金規定を確認し、将来受け取れる金額の目安を把握した上で、不足する分をiDeCoで補うという視点で掛金を設定するのがよいでしょう。

専業主婦(夫)の場合

専業主婦(夫)は、第3号被保険者としてiDeCoに加入でき、掛金上限は月2万3000円です。

【対策と工夫】

  • 手数料の低さを最優先に金融機関を選ぶ:専業主婦(夫)は所得がないため、iDeCoの最大のメリットである「所得控除」の恩恵を受けられません。そのため、節税による手数料の相殺効果が期待できず、手数料負けのリスクが他の職種より高くなります。対策として、運営管理手数料が無料の金融機関を選ぶことが重要といえます。
  • NISAの活用を優先的に検討する:所得控除のメリットがない場合、運用益非課税という点ではNISAも同様のメリットがあります。NISAは手数料が無料で、いつでも引き出しが可能という柔軟性があるため、iDeCoよりも優先的に検討する価値があります。将来的に働く予定がある場合は、iDeCoを始めておくのも1つの選択肢です。

金融機関の選び方・手数料比較

iDeCoで手数料負けを避けるためには、どの金融機関で口座を開設するかが重要です。長期的な運用コストを左右するため、以下の3つのポイントから総合的に判断しましょう。

①手数料

重要な比較ポイントは手数料の安さです。金融機関ごとに設定されている「運営管理手数料」に注目しましょう。ネット証券を中心にこの手数料を無料にしている金融機関が多くあります。

ただし、金融機関によっては月額数百円かかる場合もあり、年間で数千円の差になります。長期運用が前提のiDeCoでは、運営管理手数料が無料の金融機関を選ぶことが基本となります。

また、当該金融機関が取り扱っている投資信託の「信託報酬」も確認しましょう。低コストのインデックスファンドが充実しているかどうかも、運用成績に直結する大切な要素です。

②取り扱い商品の充実度

金融機関によって、iDeCoで運用できる商品のラインナップは異なります。自分の投資方針やリスク許容度に合った商品が用意されているかを確認することが大切です。

元本変動型である投資信託は、品揃えが金融機関の個性が出るところです。信託報酬の低いインデックスファンドが国内外の株式や債券など、幅広い資産クラスで揃っているかをチェックしましょう。選択肢が豊富であれば、自分に合ったポートフォリオを組みやすくなります。

③サポート体制

iDeCoは60歳以降まで続く長期の付き合いになります。そのため、困った時に相談できるサポート体制が整っているかも確認しておきたいポイントです。

ポイントの解説

電話やチャットでの問い合わせ対応の質や時間、Webサイトやアプリの使いやすさ、投資に関する情報提供の充実度などを比較検討しましょう。投資初心者の人は、わかりやすい情報提供があり、気軽に質問できる環境が整っている金融機関を選ぶと、自身の許容できるリスクの範囲内で運用を続けやすくなります。

主要金融機関の口座管理手数料比較表

iDeCoの金融機関を選ぶ上で、差が出るのが「運営管理手数料」です。以下に主要な金融機関の手数料を比較しました。

金融機関
運営管理手数料(月額)
口座管理手数料合計(月額)
SBI証券
0円
171円
楽天証券
0円
171円
マネックス証券
0円
171円
松井証券
0円
171円
三菱UFJ銀行
0円
171円
三井住友銀行
260円
431円
みずほ銀行
260円(条件を満たせば0円)
431円(運営管理手数料が0円であれば171円)

※口座管理手数料合計 = 国民年金基金連合会(105円)+ 事務委託先金融機関(66円)+ 運営管理手数料
※上記は2026年9月時点の各金融機関の公式サイト等の情報をもとに作成しています。手数料や条件は変更される可能性があるため、最新の情報は必ず各社の公式サイトでご確認ください。

上記のように、ネット証券では運営管理手数料が0円のところが主流です。一方、大手銀行などでは月額260円程度かかる場合があり、30年間では9万3600円ものコスト差になります。

特別な理由がない限り、運営管理手数料が無料の金融機関を選ぶのが選択肢の1つと考えられます。

iDeCoの手数料に関するQ&A

ここでは、iDeCoの手数料に関してよくある質問にお答えします。

Q. iDeCoの手数料はいくらかかる?

A. iDeCoの手数料は、加入時に2829円、運用中は最低でも月額171円(年間2052円)がかかります。これに加えて、金融機関によっては運営管理手数料が月額数百円、投資信託の信託報酬が年率0.1%〜2.0%程度かかります。

Q. iDeCoで手数料負けしない金額はいくら?

A. 一概に「いくら以上なら大丈夫」という明確な金額はありません。しかし、掛金が月1万円を超えると手数料の負担割合が下がり、手数料負けのリスクを軽減する効果が期待できます。

また、所得控除による節税額が年間手数料を上回れば、実質的な負担はなくなります。

Q. iDeCoの手数料は会社負担?

A. いいえ、iDeCo(個人型確定拠出年金)の手数料は、加入者本人が負担します。会社が手数料を負担するのは、企業型DC(企業型確定拠出年金)の場合が一般的です。iDeCoと企業型DCは異なる制度なので注意しましょう。

Q. 公務員はiDeCoの手数料負けで損する?

A. 公務員は比較的収入が安定しており、課税所得がある場合はiDeCoの所得控除による節税メリットを受けられます。そのため、節税額が手数料を上回るケースが多く、実質的な手数料負担を抑えやすいといえます。 

Q. iDeCoで失敗した例は?

A. よくある失敗例は、手数料負けです。

具体的には、掛金が少額(月5000円など)で運用期間も短い、手数料の高い金融機関を選んでしまった、利回りの低い元本確保型商品のみで運用した、といったケースが挙げられます。

まとめ

iDeCoは、老後資金を準備するための有効な制度の1つですが、手数料が定額でかかるため、掛金が少なかったり運用期間が短かったりすると「手数料負け」のリスクがあります。

しかし、本記事で解説したように、手数料負けのリスクは、いくつかのポイントを実践することで軽減が期待できます。

  • 掛金を無理のない範囲で月1万円以上に設定する
  • 運営管理手数料が無料の金融機関と信託報酬の低い商品を選ぶ
  • 20年以上の長期的な視点で運用を続ける

また、iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となるため、課税所得がある場合は、節税効果によって実質的な手数料負担を軽減できる効果が期待できます 。自身の所得や掛金でどのくらいの節税メリットがあるかを確認し、運用益と合わせて総合的に判断することが大切です。

手数料の仕組みを正しく理解し、自身の状況に合った活用法を見つけることで、iDeCoを老後に向けた計画的な資産形成として役立てていきましょう。

iDeCoの手数料負けを避けるには、自身の状況に合わせた運用方針と積立額を把握することが重要です。自分のケースで「どれだけ積み立てるべきか」を可視化しておくと、より納得してiDeCoを始められます。

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ご留意事項

  • 本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の取引を勧誘するものではありません。
  • 本記事の内容は記事公開時または更新時点の情報に基づいています。制度・法令・税制等の変更により、現在の情報と異なる場合があります。
  • 本記事の内容の正確性、完全性、最新性を保証するものではなく、予告なく変更または更新する場合があります。
  • 投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任とご判断のもとで行っていただきますようお願いいたします。

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執筆・監修
高橋 明香
  • 高橋 明香
  • ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者

みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。