
iDeCoの掛金上限が引き上げに!メリットと運用のポイントを専門家が徹底解説
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iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除となる節税効果の高い制度です。しかし現在は職業や加入状況によって拠出上限額が決められており、「もっと積み立てたいのに上限額が低い」と感じる人も少なくありません。
政府や金融審議会で議論されていた「掛金上限の引き上げ」は既に決定しており、これにより節税効果や老後資金形成の可能性がさらに広がります。
本記事では、現行の掛金上限を職業別に整理するとともに、引き上げの背景や最新の動向を解説します。さらに、上限が引き上げられた場合のシミュレーションや、NISAなど他の制度との組み合わせ方についても専門家視点でわかりやすく紹介します。
- 職業別の新しい掛金上限額
- 上限引き上げによるメリットと注意点
- 改正後のiDeCo活用戦略
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iDeCoの掛金上限額が大幅引き上げ
2027年1月からiDeCoの掛金上限額が大幅に引き上げられる予定です。これにより、特に会社員や公務員の拠出枠が拡大し、老後資金形成の選択肢が広がります。
この改正は、働き方によって異なっていた上限額の差を是正し、より多くの方が税制優遇を活用しながら資産形成できるよう後押しするものです。これまで上限額が低めに設定されていた会社員や公務員にとって、大きなメリットがあります。
また、自営業者の上限額も引き上げられ、iDeCoの魅力が一層高まります。さらに、加入可能年齢も原則として70歳未満まで延長される予定で、より長く資産形成に取り組めるようになります。
自営業者・専業主婦(夫)の掛金上限額
掛金上限額(月)
自営業者やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者の方は、上限額が現在の月額6.8万円から月額7.5万円へと引き上げられる予定です。
ただし、国民年金基金や国民年金の付加保険料を納付している場合は、その掛金額と合算して上限額を計算する必要がある点に注意が必要です。
一方で、専業主婦(夫)などの国民年金第3号被保険者の方の上限額は、現行の月額2.3万円のまま据え置きとなる見込みです。
会社員・公務員の掛金上限額
会社員や公務員など、厚生年金に加入している第2号被保険者の場合、上限額は勤務先の企業年金制度によって異なります。今回の制度改正は、この区分をより公平なものにする「穴埋め型」の引き上げが特徴です。
自身の状況がどのケースに当てはまるかを確認し、新しい上限額を把握しましょう。
ケース1:企業型DCに加入していない
【改正後】月額6.2万円
勤務先に企業型DC(企業型確定拠出年金)やDB(確定給付企業年金)といった企業年金制度がない会社員の場合、iDeCoの掛金上限額は現行の月額2.3万円から月額6.2万円へと大幅に引き上げられる予定です。
これにより、拠出可能額が約2.7倍に増え、所得控除による節税メリットを最大限に活用しながら、老後資金の準備を加速させることが可能になります。
ケース2:企業型DC(確定拠出年金)に加入している
【改正後】月額6.2万円
勤務先で企業型DCに加入している会社員の場合、iDeCoと企業型DCの掛金合計の上限が月額6.2万円になります。
例えば、企業型DCの掛金が3万円なら、iDeCoの掛金上限は3.2万円です。
企業型DCに加えて、DBなどの他の企業年金制度に加入している場合、他の企業年金の掛金を加えてiDeCoの掛け金上限が決まります。
iDeCo上限引き上げで変わる!増額で得られるメリット
掛金上限の引き上げによるメリットは、所得控除額の増加による節税効果の拡大などです。拠出額が増えることで、将来受け取る年金資産を効率的に増やせることが期待できます。
iDeCoの掛金上限が引き上げられることで、得られるメリットは大きく3つあります。
- 節税効果の拡大:掛金の全額が所得控除の対象となります。拠出額を増やせるということは、課税対象となる所得をそれだけ圧縮できるため、毎年の所得税・住民税の負担をより大きく軽減できます
- 将来の資産額の増加:毎月の積立額が増えることで、複利効果も大きくなり、60歳以降に受け取れる資産額の増加が期待できます
- 運用益非課税メリットの最大化:iDeCoでは運用によって得られた利益が非課税になります。元本が大きくなるほど、非課税メリットの恩恵も大きくなります
上限引き上げが実現しても気をつけたいこと
掛金上限の引き上げは魅力的ですが、iDeCoに拠出する前に理解しておくべき注意点もあります。メリットだけでなく、これらの注意点も踏まえた上で、ご自身の計画を立てることが大切です。
原則60歳まで引き出せない
iDeCoは老後資金形成を目的とした制度であるため、原則として60歳になるまで資産を引き出すことができません。
住宅購入資金や子どもの教育資金など、近い将来に必要となる可能性のある資金をiDeCoに充てるのは避けるべきです。
あくまでも、長期的に使う予定のない余裕資金で取り組むことが基本となります。
運用商品の選び方による成果の違い
iDeCoは加入者自身が運用商品を選び、その運用成果によって将来の受取額が変動します。
定期預金のような元本確保型の商品もあれば、投資信託のような元本割れのリスクがある商品もあります。どのような商品で運用するかによって、将来の資産額は大きく変わります。
自身のリスク許容度を理解し、適切な商品を選択することが重要です。
拠出額を増やす前に確認したいライフプラン
上限額が引き上げられるからといって、安易に満額を拠出するのは賢明ではありません。
まずは自身のライフプランを立てて、今後10年、20年でどのようなライフイベントが想定されるか、それにいくら費用がかかるかを見積もることが大切です。
ライフイベントのための資金準備と老後の資産形成を区分して、それぞれの拠出額を設定しましょう。
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iDeCo上限引き上げを最大限に活用する戦略
iDeCoを最大限に活用するためには、いくつかの戦略が考えられます。自身の状況に合わせて、最適な方法を検討してみましょう。
①NISAとの併用
iDeCoは「老後資金形成」、NISAは「幅広い資産形成」と役割が異なります。iDeCoは掛金が全額所得控除になり、節税効果が大きい一方で60歳まで引き出せません。
NISAの場合はいつでも換金可能で、教育費や住宅資金など中長期の目的にも柔軟に対応できます。
そのため、老後資金はiDeCoで着実に積み立てつつ、NISAで自由度の高い資産形成を行うのが効率的です。両制度を併用することで、節税メリットと資金の流動性をバランスよく確保できます。
②iDeCoの商品選びを再考
掛金上限の引き上げを機に、現在選択している運用商品を見直すのも良いでしょう。
安定重視で運用してきた人でも、拠出期間が長く残っている場合は見直しが有効です。例えば、一部を成長性のある投資信託に振り分ける方法があります。
自分のリスク許容度や目標リターンに合わせて、資産配分を考えてみましょう。
③上限引き上げ後の見直しポイント
上限引き上げと同時に、受け取り時のルール変更も予定されている点に注意が必要です。
これまでiDeCoの一時金と会社の退職金を5年ずらして受け取ることで、それぞれに退職所得控除を適用できましたが、この期間が10年に延長される見込みです。
この変更により、出口戦略の重要性が増しています。
iDeCoを一時金で受け取るか、年金形式で受け取るか、あるいは併用するかなど、退職金の受け取り時期も考慮しながら、最適な方法を検討する必要があります。
まとめ
2027年1月から、iDeCoの掛金上限額が大幅に引き上げられる見込みです。
特に、これまで上限額が低かった会社員や公務員の場合は、拠出枠が大きく拡大します。この改正を最大限に活用することで、所得控除による節税効果を高めながら、効率的に老後資金を準備できます。
ただし、iDeCoには60歳まで引き出せないという制約や、運用リスクも伴います。ご自身のライフプランやリスク許容度をしっかりと見極め、NISAとの併用も視野に入れながら、無理のない範囲で拠出額を見直しましょう。
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監修
西岡 秀泰
- 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー
同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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