

iDeCoはいつ・どうやって引き出せる?受け取り方3種と手続き・注意点を解説
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「iDeCoのお金はいつ引き出せる?」「60歳になったらすぐ受け取れる?」と気になる人もいるでしょう。
iDeCoは老後資金を準備するための制度のため、原則として60歳まで途中で引き出すことはできません。受給開始時期は原則60〜75歳の間で選択でき、受け取り方も「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」から選べます。
ただし、60歳時点で通算加入者等期間が10年未満の場合は、受給開始年齢が61〜65歳に繰り下がるため注意が必要です。
本記事では、iDeCoを引き出せる年齢や条件、受け取り方、途中で資金が必要になった場合の対応についてわかりやすく解説します。
- iDeCoが原則60歳まで引き出せない理由と、例外的に受け取れる3つのケース
- 通算加入者等期間によって受け取り開始可能年齢が60歳〜65歳の間で変動する仕組み
- 税負担を抑えるための最適な受け取り方法(一時金・年金・併用)の選び方
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iDeCoはいつ引き出せる?【早見表】
iDeCo(イデコ)で積み立てた資産は、原則として60歳以降に「老齢給付金」として受け取ることができます。ただし、60歳から受け取るためには、「通算加入者等期間」が10年以上必要です。
「通算加入者等期間」とは、iDeCoの加入者や運用指図者であった期間、および企業型DCに加入していた期間などを合計したものです。
この期間が10年に満たない場合は、下の表のように受け取りを開始できる年齢が段階的に繰り下げられます。
なお、60歳以上で初めてiDeCoに加入した場合は、通算加入者等期間を有していなくても、加入日から5年が経過した日以降に受け取りが可能となります。
(参考:iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等)


60歳で受け取れる人/61~65歳になる人

iDeCoの資産を60歳から受け取るためには、通算加入者等期間が10年以上あることが条件です。20代や30代など、早い時期からiDeCoや企業型DCに加入していた人の多くは、この条件を満たします。
一方で、50歳以降など比較的遅い年齢で初めてiDeCoに加入した場合、60歳になった時点で通算加入者等期間が10年に満たないことがあります。その場合、受け取りを開始できる年齢は61歳から最大65歳まで段階的に繰り下げられます。
例えば、過去に企業型DCの加入歴がなく、55歳で初めてiDeCoに加入した人は、60歳時点での通算加入者等期間は5年です。この場合、60歳から受け取ることはできず、受給開始は63歳からとなります。自身の加入履歴を確認し、いつから受け取れるのかを把握しておきましょう。

原則60歳まで引き出せない理由
iDeCoの資産が原則60歳まで引き出せないのは、iDeCoが公的年金を補完し、老後の生活資金を確保することを目的とした「私的年金制度」だからです。
もし途中で自由に引き出しができてしまうと、住宅購入資金や教育資金など、老後以外の目的で資産が使われてしまい、本来の目的である老後資金の準備が不十分になる可能性があります。
国が掛金の全額所得控除や運用益の非課税といった手厚い税制優遇を設けているのは、この「60歳まで引き出せない」という制約とセットで、国民に老後資金を準備してもらうためです。
この仕組みは、途中で資産を使い込んでしまうことを防ぎ、長期的な視点で資産形成を続けるための「強制的な貯蓄の仕組み」として機能しています。
例外的に受け取れる3ケース(脱退・障害・死亡)
iDeCoは原則60歳まで資産を引き出せませんが、例外として以下の3つのケースでは60歳未満でも給付金を受け取ることが可能です。
- 脱退一時金: iDeCoを中途解約して資産を受け取る制度ですが、受給条件が厳しく、該当するケースは限定的です。
- 障害給付金: 加入者が75歳になる前に、法令で定められた一定以上の障害状態になった場合に受け取れます。
- 死亡一時金: 加入者が亡くなった場合に、遺族が積み立てられた資産を一時金として受け取れます。


3ケースの条件比較表
「脱退一時金」「障害給付金」「死亡一時金」は、それぞれ受け取れる人や条件が異なります。概要を以下の表にまとめました。
(参考:iDeCo加入者・運用指図者の方へ|iDeCo手続き関連|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】)
脱退一時金の条件チェックリスト

iDeCoを途中で解約して受け取る「脱退一時金」は、以下の条件をすべて満たす必要があります。1つでも当てはまらない項目があれば、脱退一時金を受け取ることはできません。
- 60歳未満である
- 企業型DC(企業型確定拠出年金)の加入者ではない
- iDeCoに加入できない者である(国民年金保険料の免除者、海外居住の外国籍者など)
- 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でない
- 確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではない
- iDeCoや企業型DCの掛金を拠出した期間が通算5年以内、または個人別管理資産の額が25万円以下である
- iDeCoまたは企業型DCの加入者資格を最後に喪失してから2年以内である
これらの条件からわかるように、脱退一時金を受給できるのは、iDeCoに加入して間もない上に国民年金保険料の納付が免除されている人など、ごく一部のケースに限られます。
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iDeCoの受け取り方法3種(一時金/年金/併用)【比較表】
iDeCoで積み立てた資産は、受給開始年齢に達した後、3つの方法から受け取り方を選択できます。どの方法を選ぶかによって税金の計算方法が異なるため、それぞれの特徴を理解することが大切です。


一時金で受け取る場合(退職所得控除)
一時金は、iDeCoで運用してきた資産を一度にまとめて受け取る方法です。この場合、受け取る資産は税法上「退職所得」として扱われ、「退職所得控除」という税制優遇が適用されます。
退職所得控除額はiDeCoの加入期間(掛金拠出期間)が長いほど増加し、以下の式で計算されます。
- 加入期間20年以下: 40万円 × 加入年数 (80万円に満たない場合は80万円)
- 加入期間20年超: 800万円 + 70万円 × (加入年数 - 20年)
例えば、30年間iDeCoに加入した場合の控除額は1500万円(800万円 + 70万円 × 10年)です。受取額がこの範囲内であれば、税金はかかりません。
控除額を超えた部分についても、超過額の2分の1のみが課税対象となるため、他の所得に比べて税負担が軽減される仕組みになっています。

年金形式で受け取る場合(公的年金等控除)
年金形式は、iDeCoの資産を5年以上20年以下の有期年金として、分割で定期的に受け取る方法です。金融機関によって年1回、年2回、年4回、年6回など受け取りのサイクルを選択できます。
この方法で受け取る給付金は、税法上「雑所得」に分類され、「公的年金等控除」が適用されます。控除額は年齢や年金収入の合計額によって決まります。所得が年金のみ、または年金以外の所得が1000万円以下の場合には次のようになります。
- 65歳未満: 公的年金等の収入合計額が130万円以下なら60万円
- 65歳以上: 公的年金等の収入合計額が330万円以下なら110万円
注意点として、この控除はiDeCoの給付金だけでなく、国民年金や厚生年金といった公的年金の収入も合算した上で適用されます。そのため、公的年金の受給額が多い場合は、控除枠を超えて税負担が増える可能性があります。
また、年金として受け取る期間中も資産の運用は継続されます。そのため、運用成果によっては受取総額が増える可能性がある一方、運用が不調だった場合には資産が減少するリスクもあります。加えて、給付の都度、手数料がかかる点も考慮が必要です。
一時金+年金の併用で受け取る場合

iDeCoの受け取り方法として、一部を一時金として受け取り、残りを年金形式で分割して受け取る「併用」も選択できます。
この方法のメリットは、退職所得控除と公的年金等控除の両方の税制優遇を活用できる点です。
例えば、会社の退職金が少なく退職所得控除の枠に余裕がある場合に、退職所得控除の適用状況を考慮してiDeCoの一部を一時金で受け取り、残りを年金で受け取ることで、全体の税負担を抑えられる場合があります。
自身の退職金や公的年金の受給額、ライフプランに合わせて柔軟に受け取り方を設計できるのが特徴です。ただし、金融機関によっては併用に対応していない場合もあるため、自身が加入しているiDeCoの運営管理機関に事前に確認が必要です。
どの受け取り方が有利?ケース別
iDeCoの3つの受け取り方のうち、どれが税制上有利になるかは、個人の状況によって異なります。「勤務先の退職金の有無や金額」や「公的年金以外の収入状況」が重要な判断材料となります。自身の状況を整理し、最適な選択をすることが大切です。
退職金がある人は控除枠を確認
会社員や公務員の人で、勤務先から退職金を受け取る予定がある場合、iDeCoを一時金で受け取る際には注意が必要です。なぜなら、会社の退職金とiDeCoの一時金は、どちらも「退職所得」として扱われ、受け取る時期によっては退職所得控除の調整が行われるためです。
会社の退職金とiDeCoの一時金を一定期間内に受け取る場合、勤続期間とiDeCoの加入期間等の重複に応じて退職所得控除額が調整され、税負担が増える可能性があります。受け取る順番によっても取り扱いが異なるため、受取時期を検討する際には注意が必要です。
ただし、税制は複雑なため、専門家への相談が望ましいでしょう。退職金の金額によっては、iDeCoを年金形式や併用で受け取ることも有力な選択肢となります。

公的年金以外の収入がある人は年金形式に注意
iDeCoを年金形式で受け取る場合、公的年金(国民年金・厚生年金)以外の収入がある人は注意が必要です。年金形式で受け取るiDeCoの給付金は「雑所得」として扱われ、他の所得と合算して税額を計算する「総合課税」の対象となります。
不動産収入や個人事業による収入など、公的年金以外の所得が多い人がiDeCoを年金形式で受け取ると、全体の所得額が増加します。日本の所得税は、所得が多いほど高い税率が適用される累進課税制度を採用しているため、結果として税負担が増加する可能性があります。
さらに、所得金額は住民税だけでなく、国民健康保険料や介護保険料の算定基準にもなります。総所得金額が増えることで、これらの社会保険料の負担も増える可能性があることを念頭に置いておく必要があります。
専業主婦や退職金が少ない人は一時金が有利なケースも

専業主婦(主夫)の人や、自営業者、あるいは勤務先に退職金制度がないなど、会社の退職金を受け取る予定がない、または金額が少ない人にとっては、iDeCoを一時金で受け取る方法が税制上有利になる可能性が高いです。
その理由は、税負担を軽減する効果がある「退職所得控除」の枠を、他の退職所得と競合することなく、iDeCoの受け取りのために有効活用できるためです。iDeCoの加入期間が長ければ控除額も増加し、受取額の全額が非課税になるケースも少なくありません。
また、退職所得は他の所得と分離して税額が計算される「分離課税」のため、他の所得に影響されにくいのも利点です。そのため、退職所得控除の枠を他に利用する予定がない場合は、一時金での受け取りが選択肢の1つとして考えられます。


iDeCo引き出しの手続きと流れ
iDeCoの資産は、受給開始年齢に達しても自動的に振り込まれるわけではなく、自身で給付請求の手続きを行う必要があります。手続きには一定の時間がかかるため、受け取りたい時期から逆算して、余裕を持って準備を始めることが大切です。

申請〜振込までの手順(1〜2ヶ月)
iDeCoの受け取り手続きは、一般的に以下の流れで進みます。書類の提出から実際の振込までには、1ヶ月から2ヶ月程度かかるのが一般的です。
手続きの注意点とよくある失敗例

iDeCoの受け取り手続きをスムーズに進めるためには、いくつかの注意点があります。よくある失敗例としては、登録情報の不備が挙げられます。
長期間にわたって加入していると、引越しなどで住所が変わっているにもかかわらず、登録住所の変更手続きを忘れているケースが少なくありません。この場合、金融機関からの重要な案内書類が届かず、手続きの開始が大幅に遅れてしまう原因となります。
受け取りが近づいたら、まずはiDeCoに登録している住所や氏名が最新の状態になっているかを確認しましょう。
また、提出書類の記入漏れや押印ミス、本人確認書類などの添付漏れも、手続きが滞る一般的な原因です。書類を提出する前には、記載内容に誤りがないか、すべての必要書類が揃っているかを複数回確認することが大切です。
些細なミスが原因で給付金の受け取りが遅れることのないよう、慎重に手続きを進めましょう。
iDeCoの引き出しに関するQ&A
ここでは、iDeCoの引き出しに関してよくある質問にお答えします。
Q. iDeCoはいつから引き出せる?
原則として60歳から引き出せます。ただし、iDeCoや企業型DCへの通算加入者等期間が10年未満の場合は、受給開始年齢が61歳〜65歳に繰り下げられます。
Q. iDeCoは60歳になったらどうなる?
60歳になっても自動的に給付が始まるわけではありません。自身で給付請求の手続きを行う必要があります。また、すぐに受け取らずに、75歳になるまでの好きなタイミングで受け取りを開始することも可能です。

Q. iDeCoは途中で引き出せる?
原則として途中で引き出すことはできません。ただし、加入者が死亡した場合、一定以上の障害状態になった場合、または厳しい条件を満たした場合の「脱退一時金」として、例外的に60歳未満でも受け取れるケースがあります。
Q. iDeCoの引き出し手続きはどれくらいかかる?
一般的に、不備のない書類を提出してから実際に給付金が振り込まれるまで、1ヶ月から2ヶ月程度の期間がかかります。
書類に不備があるとさらに時間がかかるため、余裕を持った手続きが推奨されます。
Q. iDeCoの満期はいつ?
iDeCoには、保険商品のような「満期」という概念はありません。原則60歳以降、自身で決めたタイミングで受け取りを開始します。受け取りを開始せず、75歳まで運用を継続することも可能です。
まとめ

iDeCoは老後の資産形成を目的とした制度のため、原則として60歳まで資産を引き出すことはできません。ただし、加入者の死亡や高度障害、あるいは厳しい条件を満たした場合の脱退一時金といった例外的なケースは存在します。
60歳以降の受け取り方には「一時金」「年金」「併用」の3種類があり、それぞれ税金の扱いが異なります。一時金は「退職所得控除」、年金は「公的年金等控除」が適用されます。自身の会社の退職金の有無や公的年金の受給額などを考慮し、全体の税負担が軽くなる方法を選択することが重要です。
受け取りは自動では始まらないため、自身で手続きが必要です。本記事を参考に、自身のライフプランに合った最適な受け取り方を検討してみてください。
自身の状況に合わせた老後資金の準備について、より詳しく知りたい人は、専門家に相談してみるのも1つの方法です。
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ご留意事項
- 本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の取引を勧誘するものではありません。
- 本記事の内容は記事公開時または更新時点の情報に基づいています。制度・法令・税制等の変更により、現在の情報と異なる場合があります。
- 本記事の内容の正確性、完全性、最新性を保証するものではなく、予告なく変更または更新する場合があります。
- 投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任とご判断のもとで行っていただきますようお願いいたします。
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監修

森本 由紀
- ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士
行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。









