

60歳からもらえる年金は?早見表でわかる金額・繰上げの損得・平均受給額【2026年版】
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「60歳から年金をもらうことはできる?」「65歳前に受け取れる年金にはどんな種類がある?」と疑問に思う人もいるでしょう。
公的年金の受給開始は、原則として65歳からです。ただし、一定の条件を満たせば、60歳または65歳前から年金を受け取れるケースがあります。
60歳から年金をもらう主な方法は、本来65歳から受け取る年金を前倒しする「繰上げ受給」と、特定の生年月日の人が対象となる「特別支給の老齢厚生年金」の2つがあります。
本記事では、60歳からもらえる年金の種類や受給条件、受け取る前に知っておきたい注意点をわかりやすく解説します。
※本記事の内容は2026年8月4日に更新
- 65歳前に年金を受け取れるのは「繰上げ受給」と「特別支給の老齢厚生年金」の2種類
- 繰上げ受給すると年金額が減額され、損益分岐点は80歳前後が目安
- 特別支給の老齢厚生年金は対象者の生年月日や性別によって支給開始年齢が異なる
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60歳からもらえる年金とは【一覧】

公的年金の受給は原則65歳からですが、条件を満たすことで60歳(または65歳前から)から受け取れるケースがあります。主な方法は、本来の年金を前倒しで受け取る「繰上げ受給」と、特定の生年月日の人が対象となる「特別支給の老齢厚生年金」の2種類です。
それぞれ仕組みや対象者が異なるため、自身がどちらに該当する可能性があるのかを理解することが重要です。

①繰上げ受給(国民年金・厚生年金)
繰上げ受給は、本来65歳から受け取る老齢基礎年金と老齢厚生年金を、本人の希望によって60歳から64歳までの間に前倒しで受け取る制度です。
早くから年金を受け取れるメリットがありますが、請求した年齢に応じて年金額が減額され、減額率は生涯変わらないという点に注意が必要です。
この制度は、退職後の収入がない期間の生活費を補うなどの目的で利用を検討できますが、長期的な視点での判断が求められます。
(参考:年金の繰上げ受給)
②特別支給の老齢厚生年金
特別支給の老齢厚生年金は、かつて厚生年金の受給開始年齢が60歳だったものが65歳に引き上げられた際、スムーズな移行を図るために設けられた経過措置です。そのため、特定の生年月日以前に生まれた人のみが対象となります。
対象者は60代前半から、報酬額に応じて計算される「報酬比例部分」や、加入期間に応じて計算される「定額部分」を受け取ることができます。これは繰上げ受給とは異なり、制度として定められた年齢から減額なしで支給される年金です。
(参考:特別支給の老齢厚生年金)
特別支給の老齢厚生年金とは【生年月日別・支給開始年齢 早見表】
特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金の受給開始年齢引き上げに伴う経過措置です。
受給するには、生年月日や厚生年金への加入期間などの要件を満たす必要があります。
支給が始まる年齢は、生年月日と性別によって段階的に定められています。

受給の3要件(1年以上の厚生年金加入等)

特別支給の老齢厚生年金を受け取るためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
- 男性は昭和36年4月1日以前、女性は昭和41年4月1日以前(共済加入者は昭和36年4月1日以前)に生まれていること
- 老齢基礎年金の受給資格期間(原則10年)があること
- 厚生年金保険などに1年以上加入していたこと
これらの条件を満たしたうえで、生年月日に応じて定められた受給開始年齢に到達すると、年金を受け取ることができます。

生年月日・性別で異なる開始年齢(男女別 早見表)
特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は、法改正によって60歳から65歳へと段階的に引き上げられています。そのため、いつから受け取れるかは生年月日と性別によって細かく定められています。
年金は、厚生年金加入期間に応じた「定額部分」と、現役時代の報酬額と加入期間に応じた「報酬比例部分」で構成されます。ただし、現時点では長期加入者特例・障害者特例の該当者以外に定額部分の支給対象者はいません。
また、現時点で昭和36年4月1日以前に生まれた男性は65歳以上となっているため、特別支給の老齢年金の支給対象者はいません。
あなたは何歳から?生年月日別受給開始年齢早見表
自身の生年月日と照らし合わせて、何歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取れるかを確認してみましょう。

昭和28年4月1日以前生まれの男性、昭和33年4月1日以前生まれの女性は60歳から報酬比例部分・定額部分ともに受給開始となります(一部例外あり)。
画像参照:特別支給の老齢厚生年金|日本年金機構
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年金を60歳から「繰上げ受給」するといくら?【減額率と計算】
本来65歳から受け取る年金を60歳から繰上げて受給する場合、年金額は一定の割合で減額されます。減額率は1ヶ月早めるごとに原則0.4%で、一度手続きをすると減額率が生涯適用されます。
ここでは具体的な減額率と、それに基づいた受給額の目安を解説します。


減額率(月0.4%・最大24%減)と早見表

繰上げ受給を選択すると、1ヶ月あたり0.4%の割合で年金額が減額されます(※)。早く受け取れる60歳0ヶ月から受給を開始した場合、60ヶ月(5年)繰上げることになるため、減額率は最大で24%(0.4% × 60ヶ月)となります。
この減額率は生涯にわたって適用され、65歳になっても元の年金額には戻りません。繰上げを請求する年齢ごとの減額率は以下の通りです。
昭和37年4月1日以前生まれの人は減額率が1ヶ月あたり0.5%となります。
国民年金・厚生年金それぞれ60歳でもらうといくら?
60歳から繰上げ受給した場合、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)のそれぞれが24%減額されます。
国民年金(老齢基礎年金)の場合
2026年度(令和8年度)の満額(年額84万7300円)を基準にすると、60歳から受け取る場合の年金額(年額)は以下のようになります。
- 84万7300円 × (1 - 0.24) = 64万3900円(月額約5万3658円)
厚生年金(老齢厚生年金)の場合
厚生年金の受給額は現役時代の収入や加入期間によって個人差が大きいため、一概には言えません。例えば、65歳から月額10万円を受け取れるケース(年額120万円)で試算すると、以下のようになります。
- 120万円 × (1 - 0.24) =91万2000円(月額7万6000円)
自身の正確な見込み額は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認することが必須です。
将来の年金額は改定される可能性があります。本計算はあくまで現行制度に基づく目安です。

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「年金は60歳からもらった方が賢い」は本当?損益分岐点で判断
「60歳から年金をもらった方が得」という話を聞くことがありますが、一概にそうとは言えません。判断の基準の1つが「損益分岐点」です。
これは、60歳から減額された年金を受け取り始めた場合と、65歳から満額を受け取り始めた場合の生涯受給総額が逆転する年齢を指します。

何歳まで生きると65歳受給が得か(損益分岐点の目安)

60歳から繰上げ受給した場合と65歳から通常通り受給した場合の生涯受給総額を比較すると、一般的に80歳から81歳あたりで総額が逆転します。
つまり、80歳10ヶ月より長生きするのであれば、65歳から受け取り始めたほうが生涯の受給総額は多くなります。逆に、80歳10ヶ月より前に亡くなった場合は、60歳から受け取り始めたほうが結果的に多くの年金を受け取れたことになります。
【損益分岐点の目安】
- 60歳から受け取る場合:生涯受給総額は80歳10ヶ月頃までは多くなりやすい
- 65歳から受け取る場合:生涯受給総額は80歳10ヶ月を超えると多くなりやすい
これはあくまで計算上の目安であり、自身の健康状態やライフプランを考慮して判断することが大切です。
60歳繰上げが向いている人/避けた方がいい人
繰上げ受給の選択は、個人の状況によって向き不向きがあります。
【繰上げ受給が向いている可能性がある人】
- 60歳で定年退職し、65歳までの収入に不安がある人
- 健康上の理由で、早くから年金を受け取りたいと考えている人
- 貯蓄を取り崩さずに生活費を確保したい人
【繰上げ受給を避けたほうがよい可能性がある人】
- 60歳以降も働く予定があり、十分な収入が見込める人
- 健康に自信があり、長生きする可能性が高いと考えている人
- 生涯にわたる受給総額を少しでも多くしたい人
参考)60歳時点の平均受給額の目安
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、60歳で厚生年金の受給権者の平均年金月額は約9万9664円です。
この金額には「特別支給の老齢厚生年金」の受給権者が含まれていないため、繰上げ受給のみの平均額と考えていいでしょう。繰上げ受給の場合は、本来65歳で受け取るはずだった金額から減額されるため、65歳以上の平均額約15万円と比較して大幅に少なくなります。
60歳から年金をもらうべきか?判断基準

60歳から年金をもらうべきかは、個人のライフプランや経済状況によって異なります。繰上げ受給を検討してよいケースと、慎重になるべきケースを整理し、自身の状況と照らし合わせてみましょう。
繰上げ受給を検討してよいケース
繰上げ受給は、以下のような場合に有効な選択肢となり得ます。
- 60代前半の収入が途絶える場合:60歳で退職し、再就職の予定がないなど、年金受給開始までの生活費に不安があるケースです。貯蓄の取り崩しを抑えながら、安定した収入源を確保できます。
- 健康に不安がある場合:自身の健康状態を考慮し、元気なうちにお金を使いたい、あるいは余命宣告を受けていて少しでも多く年金を受け取りたいと考える場合も、早期受給が選択肢になります。
- 老後資金に余裕のある場合:65歳以降も安定した収入が見込める人や十分な貯蓄がある人など、年金が少なくなっても老後の生活資金に困らない人にとっては選択肢の1つです。
繰上げ受給を避けたほうがよいケース
一方で、以下のような場合は繰上げ受給を慎重に検討する必要があります。
- 年金額の少ない人:繰上げ受給によって年金額は減少するため、元々年金額の少ない人はさらに減ってしまいます。早く年金を受け取れるのはメリットですが、65歳以降の生活費に困る可能性があります。
- 給与収入の高い場合:収入が高いと「在職老齢年金制度」により老齢厚生年金がカットされる可能性もあるため、繰上げ受給を避けたほうがいいケースもあります。急いで年金を受け取る必要性も低いでしょう。
- 長生きに備えたい場合:健康で長生きする可能性が高いと考えるなら、生涯の受給総額が多くなる65歳以降に受給を開始するという選択肢が考えられます。
- 失業保険を受ける場合:65歳までに失業保険(雇用保険の基本手当)を受給する場合、老齢厚生年金は支給停止(老齢基礎年金は支給)されます。
- 障害年金の可能性のある場合:繰上げ請求すると65歳まで請求可能な「事後重症による障害年金請求」ができなくなります。悪化する可能性のある症状を抱える人は注意が必要です。
損益分岐点は何歳?
繰上げ受給の損益分岐点は、65歳から受給を開始した場合と比較して、受給総額がどちらが多くなるかの境目となる年齢です。現在の減額率(月0.4%)で計算すると、損益分岐点は80歳10ヶ月となります。
つまり、80歳10ヶ月より長く生きる場合は65歳から受給したほうが総額は多くなり、それより前に亡くなった場合は60歳から受給したほうが総額は多くなります。
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60歳から年金を受け取る手続き

60歳から年金を受け取るには、自身での手続きが必要です。「繰上げ受給」と「特別支給の老齢厚生年金」では手続きが異なります。事前に自身の年金記録を確認し、計画的に進めることが大切です。
繰上げ受給の請求手続き
繰上げ受給を希望する場合、「老齢年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」と「老齢基礎年金 ・ 老齢厚生年金支給繰上げ請求書」をお近くの年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。請求書は日本年金機構のWebサイトからダウンロードすることも可能です。
一度繰上げ請求の手続きをすると、後から取り消したり変更したりすることはできないため、慎重に判断した上で手続きを行いましょう。
(参考:65歳前に老齢年金の受給を繰上げたいとき)
特別支給の老齢厚生年金の請求手続き
特別支給の老齢厚生年金の対象者には、受給開始年齢に到達する3ヶ月前に、日本年金機構から緑色の封筒で「年金請求書」が郵送されます。
請求書に必要事項を記入し、必要書類を添付して、年金事務所に提出することで手続きが完了します。自動的に支給が始まるわけではないため、忘れずに手続きを行いましょう。
(参考:特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き)
ねんきんネットで受給額を確認
自身の年金記録や将来受け取れる年金の見込み額は、日本年金機構の「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。
ねんきんネットでは、繰上げ受給や繰下げ受給を選択した場合の年金額もシミュレーションできるため、受給開始時期を検討する上で役立ちます。手続きを始める前に、まずはねんきんネットなどで自身の正確な情報を把握することをおすすめします。

60歳からもらえる年金に関するよくある質問
60歳からの年金受給に関して、多くの人が抱く疑問について解説します。手続きや税金など、事前に知っておきたいポイントを確認しましょう。
Q. 特別支給の老齢厚生年金は自動的にもらえる?
いいえ、自動的にはもらえません。対象者には受給開始年齢が近づくと日本年金機構から「年金請求書」が送付されますので、自身で必要事項を記入し、必要書類を添えて年金事務所に提出する必要があります。
請求手続きをしないと年金は支給されないため注意が必要です。
Q. 繰上げ受給は後から取り消せる?
いいえ、一度繰上げ受給を請求し、決定されると、後から取り消したり、受給開始時期を変更したりすることはできません。減額された年金額が生涯にわたって適用されます。
そのため、請求前によく検討することが必須です。
Q. 60歳から年金をもらうと税金はかかる?
はい、原則かかります。公的年金は「雑所得」として扱われ、所得税および住民税の課税対象となります。
ただし、年金収入から「公的年金等控除」を差し引いた後の金額が課税対象となるため、一定額までは税金がかからない場合があります。他の所得との合計額や各種所得控除額によって税額は変わります。
また、65歳未満の公的年金等控除は最低60万円(65歳以上は110万円)であるため、課税所得が65歳上と比べて高くなることに注意しましょう。

まとめ

60歳から年金を受け取る方法は、「繰上げ受給」と「特別支給の老齢厚生年金」の2つがあります。
特別支給の老齢厚生年金は、対象となる生年月日の人が受けられる制度で、減額なしで支給されます。一方、繰上げ受給は誰でも選択できますが、月0.4%の減額が生涯続くというデメリットがあります。
繰上げ受給の損益分岐点は80歳10ヶ月とされ、長生きするほど65歳からの受給が有利になります。自身の健康状態、働き方、貯蓄額などを総合的に考慮し、最適な受給開始時期を判断することが肝となります。
まずは「ねんきんネット」で自身の年金見込額を確認することから始めましょう。
自身の状況に合わせて最適な選択をするためには、専門家のアドバイスも有効です。まずは自身の年金見込額や老後の不足額を把握することから始めてみましょう。
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ご留意事項
- 本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の取引を勧誘するものではありません。
- 本記事の内容は記事公開時または更新時点の情報に基づいています。制度・法令・税制等の変更により、現在の情報と異なる場合があります。
- 本記事の内容の正確性、完全性、最新性を保証するものではなく、予告なく変更または更新する場合があります。
- 投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任とご判断のもとで行っていただきますようお願いいたします。
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監修

西岡 秀泰
- 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー
同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。







