

年金は60歳からもらった方が賢い?判断基準と損益分岐点を専門家がわかりやすく解説
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「年金は60歳から繰上げ受給したほうが得する」という話を聞き、本当に自分に合った選択なのか悩んでいませんか。
年金の受給開始時期は、老後の生活設計を左右する選択です。
本記事では、60歳から年金を受け取る繰上げ受給のメリット・デメリット、損益分岐点、そして自身の状況に合わせた判断基準まで、専門家がわかりやすく解説します。
後悔のない選択をするための知識を身につけましょう。
- 年金を60歳から受け取る「繰上げ受給」は、受給開始時期を1ヶ月早めるごとに0.4%ずつ、最大24%生涯にわたり減額される
- 65歳受給と比較した受給総額の「損益分岐点」は80歳10ヶ月。それより長生きした場合、65歳から受給を開始した方が生涯の受給総額は多くなる
- 最適な受給開始時期は、健康状態、貯蓄額、働き方など個人の状況によって異なり、総合的な判断が必要
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「60歳からの年金受給」が話題になっている理由
近年、SNSやインターネット上で「年金は60歳からもらったほうがよい」という意見が注目を集めています。背景には、公的年金制度の将来に対する漠然とした不安や、年金制度に対する不信感の広がりがあります。
こうした情報に触れ、本来65歳から受け取る年金を前倒しで受給すべきか、多くの人が関心を寄せています。


SNSで広がる「早くもらったほうが得」論

YouTubeやブログなどのSNSでは、「年金は60歳から受け取るのが最強」といった主張が見られます。
主な根拠は、「早く受け取れば、万が一早く亡くなっても損をしない」「元気なうちにお金を使って人生を楽しめる」「受け取った年金を投資に回せば、減額分を取り戻せる」といったものです。
これらの意見は、年金制度の不確実性に対する不安感や、現在の生活を重視する価値観に合致しやすく、多くの人にとって魅力的に映るため、広く拡散されています。
「もらえないリスク」への不安
繰上げ受給を選択する理由として代表的なものの1つが、「もらえないリスク」への不安です。リスクを感じる主な理由は次の3つです。
- 早く亡くなると年金を受け取れない(または、少ししか受け取れない)
- 年金制度が破綻すると年金が受け取れなくなる
- 少子高齢化による今後の制度改正により、受給額が減ってしまう。
「もらえないリスク」を少しでも軽減するために、可能な限り早く年金を受け取りたいと考える人が増えています。繰上げ受給で年金額が減少すると、長生きして老後資金が足りなくなる「長生きリスク」は高まりますが、「もらえないリスク」を避ける方が賢明であると考えるからです。
60歳から年金をもらう仕組みと減額率
公的年金は原則65歳から支給されますが、希望すれば60歳から前倒しで受け取ることが可能です。この制度を「繰上げ受給」といいます。
ただし、早く受け取り始める代わりに、年金額が一定の割合で減額される点に注意が必要です。ここでは、繰上げ受給の仕組みと具体的な減額率について解説します。
(参考:年金の繰上げ受給|日本年金機構)

1ヶ月早めるごとに0.4%減額
年金の繰上げ受給を選択すると、受給開始を1ヶ月早めるごとに年金額が0.4%ずつ減額されます。この減額率は、昭和37年4月2日以降に生まれた人に適用されます。
例えば、64歳から受け取る場合は12ヶ月早めることになるため、減額率は4.8%(0.4% × 12ヶ月)です。最も早く受け取れる60歳0ヶ月から受給を開始した場合、65歳までの60ヶ月分を繰り上げることになり、減額率は最大の24%(0.4% × 60ヶ月)となります。
なお、昭和37年4月1日以前生まれの人の減額率は1ヶ月あたり0.5%で、60歳から受給すると30%の減額となります。
減額された金額が一生涯続く

繰上げ受給を選択する上での注意点は、一度適用された減額率が生涯にわたって変わらないことです。
60歳から24%減額された年金を受け取り始めた場合、65歳になったからといって減額が解消され、満額の年金がもらえるようになるわけではありません。
この「生涯続く減額」は、長生きした場合に受け取る年金の総額に影響を与えます。早期に現金を得られるメリットと、長期的な収入が減るデメリットを慎重に比較検討する必要があります。
具体例で見る減額後の年金額
繰上げ受給による減額の影響を具体的に見てみましょう。65歳から受け取れる老齢基礎年金が満額の年間約84万円(令和8年度の例)のケースでシミュレーションします。
【65歳で受給開始(減額なし)】
- 年額:約84万円
【60歳で受給開始(24%減額)】
- 年額:約84万円 × (1 - 0.24) = 約64万円
このケースでは、60歳から受け取ることで、年間の受給額が約20万円少なくなります。厚生年金も同様に減額されるため、実際の差額はさらに大きくなる可能性があります。
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、自分の見込み額を確認した上でシミュレーションすることが重要です。
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損益分岐点は80歳10ヶ月
年金の繰上げ受給を検討する際、多くの人が気にするのが「損益分岐点」です。
これは、60歳から減額された年金を受け取り始めた場合と、65歳から満額の年金を受け取り始めた場合で、生涯の受給総額がどちらが多くなるかの境目となる年齢を指します。
この分岐点を知ることは、受給開始時期を判断する上で1つの目安となります。

損益分岐点の計算方法
損益分岐点は、60歳から65歳までの5年間に先に受け取った年金額に、65歳以降に受け取る満額の年金との差額で何年かかって追いつくか、という計算で求められます。
具体的には、60歳から受給すると年金額は24%減額されます。65歳からの受給額との差は24%です。60歳から65歳までの5年間(60ヶ月)で受け取った年金額は、本来の年金額の76% × 60ヶ月分です。
この先行して受け取った分を、65歳以降の毎月の差額(24%分)で割り戻すと、損益が逆転するまでの期間が算出できます。
計算すると、65歳から約15年10ヶ月後、つまり80歳10ヶ月が損益分岐点となります。

平均寿命から見た現実

損益分岐点である80歳10ヶ月という年齢を、日本人の平均寿命と比較してみましょう。厚生労働省の「1主な年齢の平均余命/令和6(2024)年簡易生命表の概況」によると、60歳の人の平均余命は男性が23.63年(83.63歳)、女性が28.92歳(88.92歳)です。
平均余命で見ると、男女ともに損益分岐点を超えて長生きする可能性が高く、65歳から年金を受け取り始めたほうが生涯の受給総額は多くなる計算になります。
もちろん、寿命は誰にも予測できませんが、平均寿命は受給開始時期を判断する上で無視できない客観的なデータといえるでしょう。
60歳から年金をもらうメリット
年金を60歳から繰り上げて受け取ることには、長生きしたとき生涯の受給総額が減るというデメリットがある一方で、見逃せないメリットも存在します。
60歳で定年退職を迎える人にとっては、その後の生活設計を支える選択肢となります。ここでは、早期受給がもたらす主な3つのメリットについて詳しく解説します。

65歳まで待たずに生活費を確保できる
60歳から年金を受け取る最大のメリットは、退職後すぐに安定した収入源を確保できることです。
60歳で定年退職し、再就職の予定がない場合、65歳の年金支給開始までの5年間は収入が途絶えてしまいます。この期間を貯蓄や退職金の取り崩しだけで生活するのは、精神的な負担が大きいものです。
繰上げ受給を選択すれば、この「収入の空白期間」を埋めることができます。たとえ減額されたとしても、毎月決まった額が振り込まれるため、安心してセカンドライフをスタートできます。
定年後に生活を支える収入が期待できない人や、貯蓄にあまり余裕がない人にとっては、生活の支えとなるでしょう。

健康なうちに旅行や趣味に使える
60代前半は、多くの場合、体力があり活動的で、旅行や趣味を存分に楽しめる時期です。年金を早く受け取ることで、この「元気なうち」に資金を有効活用できるというメリットがあります。
「年金は老後の生活費」と考えるだけでなく、「人生を豊かにするための資金」と捉えることもできます。
65歳や70歳になってからでは、健康上の理由で行きたかった場所に行けなくなったり、やりたかったことができなくなったりする可能性もあります。繰上げ受給は、今しかできないことに資金を充当し、後悔の少ない人生を送るための1つの選択肢となり得るのです。
もらえないリスクに備えられる
「自分は長生きしないかもしれない」という不安がある人にとって、繰上げ受給は「もらえないリスク」を軽減するための選択肢となります。
公的年金は終身で受け取れますが、本人が亡くなれば支給は終了します。65歳を待っている間に万が一のことがあれば、1円も受け取れない可能性があります(遺族に対して遺族年金や死亡一時金などが支給されることもあります)。
60歳から受け取りを始めれば、少なくとも当該時点から年金を受け取ることができます。健康状態に不安がある人や、家系的に長寿でないと感じる人にとっては、将来の不確実性に備え、年金を受け取れる安心感がメリットと感じられるでしょう。
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60歳から年金をもらうデメリットと注意点

年金の繰上げ受給は、早期に収入を得られるメリットがある一方で、慎重に検討すべきデメリットや注意点も少なくありません。安易に選択すると、将来の生活設計に影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、60歳から年金を受け取る際に必ず知っておくべき4つのポイントを解説します。
(参考:年金の繰上げ受給|日本年金機構)

生涯にわたり24%減額された年金を受け取る
最大のデメリットは、年金額が生涯にわたって減額されることです。60歳から受給を開始すると、年金額は本来の額から24%減額されます。
この減額率は一生涯変わることがなく、損益分岐点以降は長生きすればするほど、65歳から満額で受け取る場合との総受給額の差は開いていきます。
目先の生活費確保は大事ですが、80代、90代と長生きした場合に、減額された年金額で生活を維持できるかを長期的な視点でシミュレーションする必要があります。
事後重症による障害年金が請求できなくなる
繰上げ受給を選択すると、事後重症による障害年金を請求できなくなります。障害認定日に障害状態にあった場合の「認定日請求」は可能ですが、その後に症状が悪化した場合の「事後重症請求」はできなくなるのです。
障害年金は、病気や怪我によって生活や仕事に支障が出た場合に支給される、万が一の際のセーフティネットです。本来、事後重症請求は65歳まで可能ですが、繰上げ受給を開始すると請求可能期間が短縮されます。

在職老齢年金で年金が停止される可能性
60歳以降も厚生年金に加入しながら働き、給与と年金を受け取る場合、「在職老齢年金制度」に注意が必要です。
この制度は、給与(総報酬月額相当額)と老齢厚生年金の月額の合計が一定額(2026年度は65万円)を超えると、老齢厚生年金のうち超えた額の2分の1が支給停止される仕組みです。
高い給与を得ながら働いている場合、せっかく繰上げ受給をしても、老齢厚生年金の一部または全額がカットされてしまう可能性があります。
これでは繰上げ受給のメリットが薄れてしまうため、60歳以降の働き方と収入の見込みを考慮した上で判断することが必須です。

一度手続きしたら取り消しできない
繰上げ受給の申請は、一度手続きを完了すると、後から取り消したり、受給開始時期を変更したりすることは一切できません。
例えば、「60歳から受け取り始めたけれど、やはり年金額が少なくて生活が苦しいので、65歳からの満額受給に戻したい」と思っても、それは不可能です。
この決定は生涯にわたって覆すことができないため、申請前にはメリットとデメリットを十分に比較し、長期的な視点で慎重に判断することが極めて重要です。
60歳受給が向いている人・向いていない人

年金の繰上げ受給が「賢い選択」となるかどうかは、一概には言えません。個々の経済状況、健康状態、そしてライフプランによって最適な答えは異なります。
ここでは、これまでのメリット・デメリットを踏まえ、どのような人が60歳からの受給に向いているのか、また逆に向いていないのかを具体的に整理します。
60歳受給が向いている人
繰上げ受給の生涯にわたる減額というデメリットを理解した上で、早期に現金収入を得る必要性が高い人は、60歳からの受給が合理的な選択となる場合があります。
- 早期リタイアなどで60代前半の収入がなくなる人:定年退職後、再就職の予定がなく、収入が途絶えてしまう場合、年金は貴重な生活費の柱となります。
- 貯蓄や資産が少なく、生活資金に不安がある人:十分な貯蓄がない場合、年金がないと生活が成り立たない可能性があります。減額されても、当面の生活を安定させることが優先されます。
- 健康面に不安があり、長生きに自信がない人:持病があるなど、自身の健康寿命を考慮した結果、早く年金を受け取りたいと考える人にとっては、繰上げ受給が有力な選択肢です。
60歳受給が向いていない人
一方で、以下のような状況にある人は、繰上げ受給を選択せず、65歳からの満額受給や、さらに年金額を増やせる繰下げ受給を検討するほうが賢明といえるでしょう。
- 60歳以降も働き続け、安定した収入が見込める人:給与収入で生活が成り立つのであれば、あえて年金を減額してまで早く受け取る必要性は低いです。在職老齢年金制度により年金がカットされる可能性がある場合は、繰上げ受給のメリットが低下します。
- 十分な貯蓄や資産があり、当面の生活に困らない人:経済的に余裕がある場合は、年金を急いで受け取る必要はありません。65歳まで待つ、あるいは繰り下げて将来の受給額を増やすほうが、長期的な資産計画上有利になることもあります。
- 健康で、長生きする可能性が高いと考えている人:損益分岐点である80歳10か月を超えて長生きする自信がある人は、65歳以降に受給を開始するほうが生涯の受給総額は多くなる可能性があります。
繰上げ・繰下げ・65歳受給の比較
年金の受給開始時期は、60歳から64歳までの「繰上げ受給」、原則通りの「65歳受給」、そして66歳以降の「繰下げ受給」の3つが基本となります。
それぞれの選択が、将来の年金額にどのように影響するのかを比較し、全体像を把握することが重要です。
繰上げ受給とは逆の選択肢である繰下げ受給の仕組みを理解することで、より多角的な視点から自身の最適なタイミングを検討できます。


繰下げ受給の増額率と損益分岐点
繰下げ受給は、66歳以降75歳までの間に受給開始を遅らせることで、年金額を増やすことができる制度です。1ヶ月遅らせるごとに0.7%ずつ年金額が増額され、この増額率は生涯続きます。
- 最大増額率:75歳まで繰り下げた場合、増額率は最大の84%(0.7% × 120ヶ月)に達します。
- 損益分岐点:70歳から受給を開始した場合、65歳受給との損益分岐点は81歳11ヶ月です。また、75歳から受給を開始した場合は、86歳11ヶ月となります。この年齢より長生きすれば、繰り下げたほうが受給総額は多くなります。
繰下げ受給は、長生きリスクに備えるための有効な手段ですが、受給を待つ間の生活費をどう賄うかという課題も伴います。
(参考:年金の繰下げ受給|日本年金機構)

受給開始年齢別の比較表
65歳時点で月額15万円(年額180万円)の年金を受け取れる人を例に、受給開始年齢ごとの月額と、各年齢時点での累計受給額を比較してみましょう。
この表から、80歳時点(正確には80歳10か月)では60歳受給と65歳受給の累計額がほぼ同じになり、85歳時点では70歳受給が多くなるなど、年齢によって有利な選択が変わることが一目でわかります。
自身のライフプランと照らし合わせながら、どの選択が合っているかを検討する材料にしてください。
上記の累計額は、税金や社会保険料の影響を考慮していない簡易的な試算であり、将来の受給額を保証するものではありません。
年金受給開始時期を決める前に確認すべきこと
年金の受給開始時期は、一度決めると変更できません。後悔しない選択をするためには、感情や不確かな情報に流されず、自身の状況を客観的に把握し、冷静に判断することが不可欠です。
ここでは、受給開始時期を決める前に必ず確認しておくべき4つのポイントを解説します。
自分の年金見込額を確認する
最初に行うべきことは、自身が将来いくら年金を受け取れるのか、具体的な金額を把握することです。毎年誕生月に日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」を確認しましょう。
より詳細な情報や、繰り上げ・繰り下げを行った場合のシミュレーションをしたい場合は、「ねんきんネット」の活用がおすすめです。
ねんきんネットに登録すれば、いつでも自身の年金記録を確認でき、さまざまな条件で年金見込額を試算することが可能です。この具体的な数字が、今後の計画を立てる上での土台となります。
60〜65歳の生活費と収入を整理する

繰上げ受給を検討している場合、60歳から65歳までの5年間の家計収支を具体的にシミュレーションすることが重要です。
- 支出:現在の生活費を基に、退職後の生活で変動する項目(食費、交際費、交通費など)を考慮して、月々いくら必要かを算出します。
- 収入:再就職やパートによる給与、退職金、貯蓄の取り崩しなど、年金以外にどれくらいの収入が見込めるかを整理します。
収支を比較し、資金が不足するようであれば、不足額を補うために繰上げ受給が必要かどうかを判断します。逆に、他の収入で生活が成り立つのであれば、あえて年金を減額する必要はないかもしれません。
健康状態と家族の長寿傾向を考慮する
年金の損益分岐点は、あくまで計算上の平均的な目安です。
最終的な受給総額は「何歳まで生きるか」によって決まるため、自身の健康状態や、両親・親族が亡くなった年齢などを考慮に入れることも判断材料の1つとなります。
持病がある、あるいは家系的に長寿ではないといった不安がある場合は、損益分岐点を下回る可能性を考慮し、繰上げ受給を選択することも1つの考え方です。
逆に、健康に自信があり、長寿の家系であれば、繰下げ受給で将来の年金額を増やす選択が有利に働く可能性が高まります。
専門家に相談する
年金制度は複雑であり、税金や社会保険料、他の公的制度との関連も考慮する必要があるため、一人で最適な判断を下すのは難しい場合があります。そのような時は、お金の専門家に相談することをおすすめします。
ファイナンシャルプランナー(FP)やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などの専門家は、中立的な立場から、あなたの家計状況やライフプランに合わせた具体的なシミュレーションを行い、最適な年金受給プランを提案してくれます。
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年金受給に関するよくある質問
年金の受給開始時期については、多くの人がさまざまな疑問を抱えています。ここでは、多く寄せられる質問について、Q&A形式でわかりやすくお答えします。
Q. 何歳から年金をもらう人が多い?
現在、年金を受け取り始める年齢で多いのは、本来の受給開始年齢である65歳です。
しかし、年金受給者の働き方やライフプランによっては、60歳から64歳までに受け取りを始める「繰上げ受給」を選択する人もいます。
また、66歳以降に受け取りを遅らせる「繰下げ受給」を選択する人はまだ少数派ですが、制度の認知度向上とともに少しずつ増えています。最終的には、個々の状況に合わせて判断することが大切です。
Q. 60歳と65歳どちらが得?
どちらの受給総額が多くなるかは、「何歳まで生きるか」によって変わります。
受給総額だけで見ると、損益分岐点である80歳10ヶ月より長く生きる場合は、65歳から受け取るほうが総額は多くなります。逆に、それより早く亡くなる場合は、60歳から受け取ったほうが総額は多くなったという結果になります。
ただし、これはあくまで金額上の損得です。60代前半の生活資金が必要な人にとっては、たとえ総額で損をしたとしても60歳から受け取る価値はあります。
自身の健康状態や経済状況を総合的に考えて判断することが大事です。
まとめ

年金を60歳から受け取る「繰上げ受給」は、退職直後の生活を支える有効な手段となりますが、生涯にわたる年金額の減額というデメリットを伴います。
損益分岐点が約81歳であることや、平均寿命を考慮すると、多くの人にとっては65歳からの受給が総額で有利になる可能性が高いといえます。
しかし、最終的な判断は金額の損得だけでは決められません。自身の健康状態、貯蓄額、60歳以降の働き方といった個別の状況を総合的に考慮し、自身のライフプランに合った選択をすることが大切です。
まずは「ねんきんネット」などで自身の年金見込額を正確に把握し、具体的なシミュレーションを行うことから始めましょう。その上で、本記事で解説したメリット・デメリット、判断基準を参考に、後悔のない選択をしてください。
自身の状況に合わせた年金の受け取り方を考える第一歩として、まずは将来必要になるお金を把握してみてはいかがでしょうか。
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監修

西岡 秀泰
- 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー
同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。




