
退職金定期預金とは?メリット・デメリット&選び方を解説
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「退職金定期預金」とは、退職金を受け取った方を対象に、金融機関が高金利などの優遇条件を期間限定で提供する特別な定期預金サービスです。通常の定期預金よりも高い金利が設定されることが多く、老後資金を堅実に守り育てるための手段として注目を集めています。
本記事では、退職金定期預金の概要、利用する上でのメリット・デメリット、そして失敗しない選び方を詳しく解説します。この記事を読んで、退職金というまとまった資金の運用方法をしっかり理解しましょう。
- 退職金定期預金の基本的な仕組みと、利用できる条件
- 退職金を安全に運用する上でのメリットと、知っておくべきデメリット
- 失敗しないための退職金定期預金の選び方の具体的なチェックポイント
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退職金定期預金とは?
退職金定期預金とは、退職金として受け取った資金を預け入れることを前提に、通常の定期預金にはない特別優遇金利を適用する金融商品のことです。このサービスが適用されるのは、原則として退職金を受け取ってから一定期間内の顧客に限定されます。
主な利用条件としては、退職金の入金を確認できる書類(源泉徴収票や退職所得の受給に関する申告書など)の提出が求められることや、まとまった金額の預け入れ(最低預入金額)が必要となることなどが挙げられます。
これは、金融機関が新規資金や、まとまった資金を自社の運用につなげることを目的としているためです。
退職金定期預金のメリット
具体的に退職金定期預金にはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。
高金利が設定されやすい
退職金定期預金の最大の魅力は、通常の定期預金と比較して優遇された高い金利が適用される点です。
金融機関は、まとまった退職金を受け取った顧客を新規に獲得し、将来的に投資信託や保険といった他の金融取引へつなげることを期待して、広告宣伝費の意味合いも込めて高い金利を設定する傾向があります。
この優遇金利を活用することで、特に低金利が続く状況下において、短期間で効率よく利息を得ることが期待できます。
元本が保証されている
退職金定期預金は、定期預金の一種であるため、基本的に預け入れた元本が保証されています。株式や投資信託のように市場の変動によって価値が変動するリスク資産とは異なり、預けた資金が減る心配がなく、万が一金融機関が破綻した場合でも、預金保険制度(ペイオフ)により元本1000万円とその利息までが保護されます。
老後の生活資金として大切な退職金を、安全かつ確実に運用したいと考える方にとって、元本保証は非常に重要なメリットとなります。
期間を柔軟に設定できる
多くの退職金定期預金では、数ヶ月から数年間といったように、利用者の資金計画に合わせて預入期間を柔軟に設定することが可能です。
例えば、すぐに使う予定はないが、数年後に住宅のリフォーム資金に充てる予定があるなど、ライフイベントに合わせた期間設定が可能です。
金利優遇が適用される期間は商品によって異なるため、確認が必要です。
特に高い優遇金利が適用されるのは、3ヶ月や6ヶ月といった短期のプランに集中する傾向がある点も知っておきましょう。
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まとまった資金を安全に一括運用できる
退職金として一度に受け取った大金を、運用方針が定まるまでの間や、一時的な保管場所として、安全な定期預金で一括運用できる点もメリットです。
優遇金利期間を利用して、預金を維持しながら、その後の本格的な運用計画を立てるための時間的猶予を得ることができます。普通預金よりも利回りが高いため、資産の目減りを防ぐ効果も期待できます。
退職金定期預金のデメリット
一方で退職金定期預金にはデメリットもあります。利用を検討する前に、しっかり理解しておきましょう。
一度預けると中途解約しにくい
定期預金の特性として、原則として満期前の途中解約は推奨されません。
退職金定期預金も例外ではなく、もし中途解約が必要になった場合、特別に適用されていた高金利優遇措置は適用されず、通常の普通預金金利や中途解約利率といった非常に低い金利が適用されてしまいます。
そのため、当面使用する予定のない資金を預け入れることが前提となります。
金利優遇は期間限定
退職金定期預金で適用される高金利は、永続的なものではなく、多くの場合、数ヶ月から1年程度の短い期間に限定されています。優遇期間が終了すると、その後の金利は通常の店頭金利(一般的に低金利)へと戻ってしまいます。
昨今のように物価上昇(インフレ)が続く状況では、低い預金金利がインフレ率を下回り、預金の価値が実質的に目減りしてしまう「インフレリスク」も考慮しなくてはなりません。そのため、優遇期間終了後の資金の運用先もあらかじめ計画しておく必要があります。
最低預入金額が設定されている
退職金定期預金を利用するには、金融機関によって最低預入金額が定められています。
この最低金額は、数十万円から数百万円と、通常の定期預金よりも高めに設定されている場合があり、少額での分散運用を考えている方や、退職金の一部のみを預けたい方にとっては制約となる可能性があります。
手続きに手間がかかる場合がある
退職金定期預金は、退職金の確認書類の提出が必要となるため、通常の定期預金よりも手続きが煩雑になる場合があります。
窓口での対面手続きが求められる場合もあり、時間と手間がかかる可能性があります。事前に必要書類を確認し、手続きに余裕をもって臨むことが大切です。
退職金定期預金を選ぶ際のチェックポイント
実際に退職金定期預金の活用を検討する場合は、どのような点に注意すればよいのでしょうか。以下でチェックポイントを確認しておきましょう。
ポイント1.金利は実質的な利回りで比較する
金融機関が提示する金利は、預入期間やボーナス金利の有無によって、見かけの数字が大きく異なります。そのため、複数の商品――特に優遇期間が異なる定期預金を比較する際は、実質的な利回り(年換算ベース)で検討することが重要です。
例えば、「年2.0%(3ヶ月もの)」の退職金定期預金に1,000万円を預けた場合、一見すると2.0%=20万円の利息がつくように感じます。しかし、実際にこの金利が適用されるのは3ヶ月(=1年の1/4)だけなので、得られる利息は 約5万円(税引前) にとどまります。
これが、同じく「年2.0%」でも「6ヶ月もの」であれば、6か月(=1年の1/2)分が適用され、利息は 約10万円(税引前) となります。
このように、「年利2%」という数字をそのまま信じるのではなく、実際に得られる金額を年単位に換算して比較することが、退職金定期預金を選ぶうえで非常に大切です。
ポイント2.預入条件(金額・期間・対象者)
商品の詳細な預入条件を確認しましょう。特に、最低預入金額、優遇金利が適用される期間、そして退職金を受け取ってからの経過期間といった対象者条件は、金融機関や商品ごとに異なります。
退職金の額や資金の利用計画に照らして、条件に合致しているか確認しておきましょう。
ポイント3.セット商品の有無や手数料
一部の金融機関では、優遇金利を得るための条件として、投資信託や保険商品などのリスク資産とのセット購入が求められる「セット商品」として提供される場合があります。投資商品は元本割れのリスクを伴う上、手数料が発生します。
セット商品を検討する際は、定期預金の数ヶ月分の高い利息(メリット)と、投資信託の購入手数料や、将来に渡って払い続ける信託報酬などの手数料、元本割れのリスク(デメリット)を天秤にかけ、冷静に判断することが重要です。
ポイント4.満期後の金利と扱い
優遇期間が終わり満期を迎えた後、預けた資金が自動的にどのような金利で継続されるのか、あるいは普通預金へ振り替えられるのかを確認することは非常に重要なポイントです。
満期後の金利が、低水準の通常の店頭金利に戻る場合が多いため、資金が低利で放置されないよう、他の金融機関のキャンペーンを探す、あるいはNISA(少額投資非課税制度)などを活用した長期的な資産形成に切り替えるなど、次の運用先を事前に決めておくとよいでしょう。
ポイント5.中途解約時のペナルティ
万一の急な資金ニーズに備え、中途解約を余儀なくされた場合に適用されるペナルティ(具体的には適用金利や手数料)について、契約前に詳細に確認しておくべきです。
中途解約時のペナルティが大きい場合、優遇金利のメリットを享受できなくなるため、緊急予備資金とは別に、使用予定のない資金のみを預け入れるようにしましょう。
退職金と定期預金に関するQ&A
ここでは、退職金と定期預金に関するよくある質問と回答をまとめています。
Q. 退職金定期預金の金利はどれくらい?
退職金定期預金の金利水準は、金融機関が実施するキャンペーン内容や、その時々の市場金利、そして預入期間によって大きく変動します。
具体的な金利を一律に示すことは困難ですが、通常の定期預金金利(例:年率0.25%)と比較すると、キャンペーン期間中は遥かに高い優遇金利が設定されることが一般的です。
例えば、金融機関によっては期間限定で年率1.0~2.0%(税引前、3ヶ月ものなど)といったプランが提供されることがあります。
Q. 退職金専用定期預金のキャンペーンはいつ頃が多い?
退職金専用定期預金のキャンペーンは、企業が退職金を支給する時期に集中する傾向があります。具体的には、年度末の3月や、夏季および年末のボーナス時期に合わせて、金融機関が積極的にキャンペーンを実施することが多く見られます。
ただし、年間を通じて随時キャンペーンを行っている金融機関もあるため、公式サイトの情報を継続的にチェックしておくのがよいでしょう。
Q. 大金を1つの銀行に預けるのが不安です。
日本の金融機関には、万が一の破綻に備えて預金保険制度(ペイオフ)が設けられています。この制度により、定期預金は、決済用預金等を除き、預金者一人あたり元本1000万円とその利息までが保証されます。
退職金がこの保証限度額である1000万円を超える大金である場合は、リスク分散のために、預金保険制度の範囲内に収まるよう資金をいくつかの異なる銀行に分けて預け入れることが、有効な対策となります。
リスク分散の目的であっても、家族名義の口座に資金を移動させる場合、税務上「贈与」とみなされる可能性があるため、自分名義の別口座に預け入れるのが安全です。
まとめ
退職金定期預金は、高金利の優遇と元本保証という二つの大きなメリットを享受できる、老後資金を安全に運用するための優れたツールです。
しかし、優遇金利が期間限定であること、中途解約には制約があること、そして満期後の金利が通常金利に戻ってしまうことなど、デメリットも理解しておく必要があります。
また、退職金定期預金を選ぶ際は、金利を年換算ベースで比較すること、預入条件を厳密に確認すること、そして投資信託などがセットになった商品を選ぶ際はリスクと手数料を総合的に判断することが重要です。
これらのチェックポイントを押さえて自分のライフプランに合った運用方法を選択し、大切な退職金を賢く守り育てましょう。
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監修
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。