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マッチング拠出はやるべき?仕組みやiDeCoとの違い、メリット・デメリットを解説

マッチング拠出はやるべき?仕組みやiDeCoとの違い、メリット・デメリットを解説

年金2025/09/12
  • #会社員

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マッチング拠出はやるべき?
会社員として将来の資産形成を考える際、企業型DCのマッチング拠出という制度に興味を持つ方もいるでしょう。

本記事では、マッチング拠出の仕組みを、iDeCoや企業型DCとの違いを交えながら初心者にも分かりやすく解説します。ぜひマッチング拠出を活用すべきかどうかの判断材料として活用してみてください。

この記事を読んでわかること
  • マッチング拠出の基本的な仕組み、および企業型DCやiDeCoとの違い
  • マッチング拠出のメリットとデメリット
  • マッチング拠出を活用すべき人・すべきでない人


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マッチング拠出とは?制度の基本をおさらい

まずはマッチング拠出の基本からおさらいしておきましょう。

マッチング拠出の仕組み

マッチング拠出」は、企業型確定拠出年金(企業型DC)において、企業が拠出する掛金に、従業員自身が掛金を上乗せして拠出できる制度です。この制度は2012年1月の法改正によって導入され、労使双方が確定拠出年金を活用して退職後の経済的な不安に備える新たな仕組みとして誕生しました。

確定拠出年金は、あらかじめ拠出された掛金とその運用益の合計額に基づいて、将来受け取る給付額が決まる年金制度です。企業型DCでは、企業が毎月従業員の年金口座に掛金を積み立ててくれますが、その年金資産の運用は従業員自身が行います。

運用成績によって将来受け取れる退職金や年金の額が変動するため、「掛金は企業が負担してくれるが、運用の結果はあくまで従業員の自己責任である」という点が重要です。

企業型DC・iDeCoとの違い

マッチング拠出を理解するには、企業型DCとiDeCo(個人型確定拠出年金)との関係性を把握することが重要です。

  • 企業型DC(企業型確定拠出年金):企業が実施主体となり、企業が従業員の年金口座に掛金を拠出し、従業員が自ら運用を行う制度です。従業員は自動的に加入する場合と、加入を選択できる場合があります。
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):国民年金基金連合会が実施主体となり、加入者自身が掛金を拠出し運用する制度です。
  • マッチング拠出:企業型DCの制度内で、企業が拠出する掛金に、従業員が追加で掛金を上乗せするものです。

つまり、マッチング拠出は、企業型DCという制度に付随する仕組みです。一方のiDeCoは、同じ確定拠出年金ですが、個人で拠出する別の制度です。

マッチング拠出のメリット

マッチング拠出には、資産形成を強力に後押しする複数のメリットがあります。

掛金が全額所得控除される

マッチング拠出の最大の魅力の一つは、加入者が拠出した掛金が全額所得控除の対象となる点です。これにより、所得税と住民税が軽減されます。拠出した掛金は給与から天引きされるため、意識せずとも節税と将来への積立を同時に進めることが可能です。

拠出額を増やし、資産形成を加速できる

「企業が拠出する掛金だけでは物足りない」と感じる従業員にとって、マッチング拠出は非常に有効な手段です。この制度を利用することで、企業型DCの拠出限度額を最大限活用し、自身の資産形成を加速させることができます。

将来の老後資金をより手厚く準備したいと考える人にとっては、掛金を上乗せして運用できるため、退職後の経済的な基盤を強化する大きな機会となります。

iDeCoに比べて手続きが簡単

マッチング拠出は、iDeCoと比較して拠出しやすいという側面があります。iDeCoは自分で金融機関を選び、開設手続きや掛金の振替手続きを行う必要がありますが、マッチング拠出は企業の制度の一部として提供されるため、手続きが比較的簡素なのが一般的です。

また、多くの会社では、毎年特定の期間を掛金申込・変更期間として定めており、財形貯蓄や共済の募集と同様に「○月○日~○月○日に加入の申出・掛金額変更を行ってください」といった形で従業員に案内されます。

そのため、従業員は会社のサポートを受けながら制度を利用しやすいというメリットがあります。

運用益が非課税

マッチング拠出で積み立てた年金資産の運用によって得られた利益は、全額非課税となります。具体的には、売却益利息配当収益分配金など、運用によって発生する利益に対して一切税金がかかりません。これは現役時代の資産形成において非常に大きな税制優遇措置であり、効率的な資産形成が可能になります。

一般的な金融商品で運用すると運用益に対して約20%の税金がかかることを考えると、この非課税メリットは長期的な資産増加に大きく貢献するといえるでしょう。

【参考】企業側にも多くのメリットあり

さらに、マッチング拠出の導入は、従業員だけでなく企業側にも複数のメリットをもたらします。

従業員の福利厚生が充実

マッチング拠出は、会社が拠出する掛金に加えて従業員が自身の意思で掛金を上乗せする制度であるため、上乗せ分は加入者が掛金を負担する仕組みです。したがって、給料アップや諸手当の拡充とは異なり、会社側の人件費が膨らむことはありません。

つまり、会社は軽微な負担で従業員の退職後の資産形成を支援できるため、低コストで福利厚生の拡充を図ることが可能です。

採用力の強化につながる可能性

福利厚生が充実している企業は、求職者にとって魅力的に映るため、採用競争力の強化にもつながります。マッチング拠出のような制度を設けることで、従業員の将来に対する安心感を高め、企業へのエンゲージメント向上にも寄与する可能性が高まります。結果として、優秀な人材の獲得や定着にもよい影響が期待できます。

税制優遇

マッチング拠出に限った話ではありませんが、企業型DCを導入するメリットとして、税制優遇も挙げられます。企業側が企業型DCに拠出する掛金は、全額が損金算入の対象となり、法人税の負担軽減につながります。


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マッチング拠出のデメリットも押さえておこう

多くのメリットがある一方で、マッチング拠出には注意すべきデメリットも存在します。

原則60歳まで引き出せない

マッチング拠出を含む企業型DCで積み立てた資産は、原則として60歳まで引き出すことができません。これは確定拠出年金全般に共通する特性であり、老後資金の形成を目的とした制度であるためです。

そのため、住宅ローンの返済や教育資金など、近い将来にまとまったお金が必要になる可能性がある場合は、手元に十分な余裕資金を確保した上で企業型DC・マッチング拠出を活用することが重要です。

iDeCoとの併用ができない

マッチング拠出とiDeCoは、どちらか一方しか利用できません。企業型DCに加入している会社員の場合、勤務先の企業型DCにマッチング拠出制度が導入されていれば、マッチング拠出とiDeCoのどちらかを選択することになります。

そのため、自身にとってどちらの制度がよりメリットが大きいかを慎重に比較検討する必要があります。

例えば、企業型DCの掛金上限が低い場合や、運用商品の選択肢が少ないと感じる場合はiDeCoのほうが有利な場合もあります。

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会社の掛金額以上に拠出できない

マッチング拠出には掛金の上限が設けられています。具体的には、加入者自身が拠出する掛金は、会社の掛金額と同額までという制限があります。

さらに、会社が拠出する掛金と加入者が拠出する掛金の合計額は、拠出限度額(他の企業年金がない場合で月額5万5000円、ある場合で月額2万7500円)を超えることはできません。

この制限は、「企業年金は主たる拠出者が会社である」という考え方に基づいています。したがって、自身が希望する金額を無制限に拠出できるわけではない点に留意が必要です。

ポイントの解説

2026年4月1日から施行される年金制度改正法により、「企業型DCのマッチング拠出について、加入者掛金の額が事業主掛金の額を超えることができない」という要件は撤廃される予定です。以降は、企業型DCの拠出限度額5万5000円まで、会社が拠出する金額を超えて加入者個人で拠出することができるようになります。

会社の制度なので商品ラインナップが限られる

企業型DCの運用商品は、運営管理機関(金融機関等)が選定・提示する中から加入者自身が選ぶことになります。運営管理機関は、必ず3以上35以下の商品を選択肢として提示することとされていますが、そのラインナップは企業が選択した運営管理機関によって異なります

そのため、iDeCoのように自分で運営管理機関を選び、多様な金融商品の中から自由に選択できる場合と比べると、企業型DCのマッチング拠出では運用商品の選択肢が限られる可能性があります。

マッチング拠出をやるべき人・やるべきでない人

マッチング拠出は万人に合う制度ではありません。自身の状況を踏まえて、利用すべきか否かを判断することが大切です。以下でマッチング拠出を活用すべき人・すべきでない人の例を紹介しますので、チェックしてみましょう。

マッチング拠出をやるべき人


余裕資金で拠出できる人

マッチング拠出で積み立てたお金は、原則60歳まで引き出すことができません。そのため、当面の生活費や、住宅ローンの返済、子どもの教育資金など、近い将来に使う予定のない「余裕資金」がある人が向いています。長期間にわたって資金を拘束されても問題ない場合に、その恩恵を最大限に享受できるでしょう。

所得税・住民税を多く払っている人

マッチング拠出の掛金は全額所得控除の対象となるため、所得税・住民税の軽減効果に優れています。所得が多い人ほど節税効果が高くなるため、現状で所得税や住民税を多く支払っている人にとっては、大きなメリットを享受できる制度といえます。

将来の資産形成に関心が高い人

マッチング拠出は、従業員自身が運用商品を選び、その運用成績によって将来受け取る額が変わる制度です。そのため、将来の老後資金形成に強い関心があり、自ら積極的に運用に関わっていきたいと考える人に適しています。

マッチング拠出をやるべきでない人


余裕資金がない人

住宅購入資金や子どもの教育費、病気や失業に備えるための緊急予備資金など、近い将来にまとまったお金が必要になる可能性がある人や、手元に十分な余裕資金がない人は、マッチング拠出を控えたほうがよいでしょう。原則60歳まで引き出せないため、必要な時に資金が拘束されてしまうリスクがあります。

投資のリスクを避けたい人

企業型DCは、従業員が自ら運用商品を選び、その運用成績が将来受け取る給付額に影響する「自己責任」の制度です。元本保証のない投資信託などを選択すれば、元本割れのリスクも当然存在します。そのため、投資によるリスクを極力避けたい、元本保証型の貯蓄を優先したいと考える人には、マッチング拠出は不向きといえます。

近い将来、まとまったお金が必要な人

原則60歳まで資産を引き出せないという特性は、近い将来に住宅購入や独立、留学などの目的でまとまった資金が必要になる予定がある人にとっては大きな制約となります。いくら節税メリットが大きいといっても、必要な時に資金が手元にないという事態は避けなければなりません。

当面の資金計画を優先し、それらが安定した後に改めて検討することが賢明です。

マッチング拠出をやるべきか迷っている人は専門家に相談を

マッチング拠出の活用は、個々人のライフプランや資産状況、将来設計によって最適な選択が異なります。もし「自分はマッチング拠出をやるべきか」と迷っている場合は、ファイナンシャルアドバイザーなどお金の専門家への相談を検討しましょう。

マネイロなら相談から運用サポートまでOK

マネイロは、はたらく世代向けのお金の診断・相談サービスです。銀行・証券会社・保険会社などで実績を挙げたファイナンシャルアドバイザーが一人ひとりに担当としてつき、サポートを行います。

銀行や証券会社など、特定の金融機関に所属していないため、個人のライフプランや家計状況を総合的に判断し、最適な掛金額や運用ポートフォリオについて客観的なアドバイスの提供が可能です。

また、運用は一度始めたら終わりではなく、定期的な見直しが大切です。マネイロなら運用後の相談も何度でも無料で対応。長期的なサポートを受けながら資産形成を進めることができます。

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マッチング拠出に関するよくある質問

企業型DCのマッチング拠出に関するよくある質問と回答をまとめました。

Q. マッチング拠出の上限額は?

マッチング拠出の掛金額には2つの上限ルールがあります。

  1. 会社の拠出額を超えないこと:従業員が拠出できる掛金は、企業が拠出する掛金の金額を超えてはなりません。
  2. 合計拠出限度額を超えないこと:企業が拠出する掛金と従業員が拠出する掛金の合計額が、各月の拠出限度額を超えてはなりません。この拠出限度額は、他の企業年金がない場合は月額5万5000円、他の企業年金がある場合は月額2万7500円です。

これらのルールにより、加入者が無制限に掛金を拠出することはできません。具体的な上限額は勤務先の企業型DC制度によって異なりますので、会社の担当部署に確認することが確実です。

Q. マッチング拠出は途中でやめられる?

マッチング拠出の掛金額の変更は、年に1回に限り行うことができます。また、やむを得ない理由がある場合には、掛金拠出を停止して0円にすることや、0円から再び拠出を再開することはいつでも認められています。

企業側の対応としては、毎年特定の月を申込期間として設定し、従業員に掛金変更の機会を提供するのが一般的です。したがって、途中で拠出を停止したり、掛金額を変更したりすることは可能ですが、手続きのタイミングや会社のルールについては事前に確認しておくことが重要です。

まとめ

マッチング拠出は、企業型DCに加入している従業員が、会社の掛金に上乗せして自身で掛金を拠出できる制度です。任意で利用でき、加入者の掛金は会社の掛金と同額まで、かつ企業掛金と合わせた合計額が拠出限度額(月額5万5000円または月額2万7500円)までと定められています。

この制度の大きなメリットは、拠出した掛金が全額所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減される点です。また、運用益が非課税であるため、効率的な資産形成を加速できます。企業側にとっても、従業員の福利厚生を低コストで拡充できるというメリットがあります。

一方で、原則60歳まで資産を引き出せないため、余裕資金での活用が必須です。iDeCoとの併用はできず、運用商品のラインナップが勤務先の企業型DC制度に限定される点もデメリットとして挙げられます。

実際にやるべきかどうかは、個人の状況や資産形成に対する考え方によって異なります。例えば、所得税・住民税の負担が大きい人や、将来の資産形成に強い関心があり、余裕資金で長期的な運用ができる人には特にメリットが大きい制度です。一方で、近い将来にまとまったお金が必要な人や、投資リスクを避けたい人には不向きだといえるでしょう。

自身の状況に合っているか判断に迷う場合は、専門家への相談を検討し、最適な選択をすることが重要です。


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監修
西岡 秀泰
  • 西岡 秀泰
  • 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー

同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。

記事一覧

執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

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