
遺族年金を今もらってる人はどうなる?2028年改正の影響は?専門家がわかりやすく解説
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遺族年金について制度改正や見直しの話を聞くと、「すでに遺族年金をもらっている人は減らされるのでは」「支給が止まることはあるのか」と不安に感じる人も多いでしょう。
遺族年金は生活を支える重要な制度であり、受給中の人への影響は特に気になるポイントです。
本記事では、遺族年金を現在受給している人が今後どう扱われるのかを中心に、制度変更時の基本的な考え方や注意点を専門家監修のもと、わかりやすく解説します。
(参考:遺族厚生年金の見直しについて|厚生労働省)
- 結論:現在遺族年金をもらっている人は影響を受けない
- 2028年遺族年金改正の具体的な内容
- 改正の影響を受ける人・受けない人のケース分け
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結論:今もらってる人は影響を受けない
2028年4月に施行予定の遺族年金制度の改正について、一番の結論からお伝えします。現在、すでに遺族年金を受給している人は、改正による影響を一切受けません。
これまで通り、現在のルールに基づいて年金が支給され続けます。したがって、受給額が減ったり、突然支給が打ち切られたりすることはありません。
改正は2028年4月以降の新規受給者が対象
今回の制度改正は、2028年4月1日以降に新たに遺族年金の受給権が発生する人が対象となります。法律の改正では、すでにある権利を遡って不利に変更することは原則として行われません。
したがって、2028年3月31日までに遺族年金の受給を開始している人は、改正前の制度がそのまま適用されます。
これは、すでに遺族厚生年金を無期給付で受け取っている人は、今後も生涯にわたって受け取り続けられること(支給停止・失権することもある)を意味します。
受給額が減ることも打ち切られることもない
「遺族年金が5年で打ち切りになる」という情報は、あくまで2028年4月以降に新たに受給する一部の人に適用されるルールです。現在受給中の人の給付期間が5年に短縮されたり、年金額が減額されたりすることはありません。
また、40歳から65歳未満の妻に支給される「中高齢寡婦加算」についても同様です。加算は改正後に段階的に縮小されますが、すでに受け取っている人は65歳になるまで現在の金額が維持されます。
なぜ「今もらってる人はどうなる」と不安になるのか
法改正が現在受給中の人に影響しないにもかかわらず、多くの人が不安を感じるのはなぜでしょうか。その背景には、情報の伝わり方や過去の経験が関係していると考えられます。
報道では「改正」の影響範囲が分かりにくい
今回の改正について、「遺族年金が5年で打ち切り」「制度改悪」といった見出しがメディアで取り上げられました。これらの情報はインパクトが強い一方で、「誰が」「いつから」影響を受けるのかという詳細な条件が省略されることもあります。
そのため、情報を断片的に受け取った人は「自分も対象になるのではないか」と不安を感じやすくなります。
制度改正のニュースに触れる際は、見出しだけでなく、その対象者や施行時期といった具体的な内容まで確認することが欠かせません。
過去の年金制度改正での経験
日本の公的年金制度は、これまでも社会情勢の変化に対応するため、幾度となく改正が行われてきました。その中には、保険料の引き上げや支給開始年齢の引き上げなど、国民にとって負担増となる内容も含まれていました。
こうした過去の経験から、「年金制度の改正=自分たちにとって不利な変更」というイメージを持つ人も多く、新たな改正のニュースに接すると、将来の生活への不安が喚起されやすい傾向があります。
今回の遺族年金改正も、その延長線上で捉えられ、不安の声が広がったと考えられます。
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2028年遺族年金改正の内容を正しく理解する
今回の遺族年金改正は、主に「遺族厚生年金」の仕組みが変わります。ここでは、改正のポイントを正確に理解しておきましょう。
遺族厚生年金が「5年間の有期給付」に変わる
改正の一番の変更点は、厚生年金保険の被保険者が60歳未満で亡くなった場合に、一定の条件を満たす配偶者に支給される遺族厚生年金が、原則として「5年間の有期給付」になることです。
有期給付とは、支給期間が定められている給付のことを指します。
現行制度では、例えば夫を亡くした30歳以上の妻は、再婚などをしない限り生涯にわたって遺族厚生年金を受け取れます。しかし、改正後は終身給付が5年間の有期給付に見直されます。
ただし、これはあくまで原則であり、収入が一定基準に満たない人や障害状態にある人には、5年経過後も給付が継続される「継続給付」という配慮措置が設けられています。
男女差の是正が改正の目的
改正の主な目的は、遺族厚生年金制度における男女間の不平等を解消することです。
現行制度は「夫が働き、妻が家庭を守る」という昭和の家族モデルを前提に設計されました。そのため、夫を亡くした妻への保障は手厚い一方で、妻を亡くした夫への保障は限定的でした。
例えば、子のいない妻は30歳以上であれば終身で遺族厚生年金を受け取れますが、子のいない夫は60歳未満だと全く受け取れませんでした。
共働き世帯が主流となった現代社会の実態に合わせて、性別にかかわらず公平な保障が受けられるように制度を見直すことが、今回の改正の大きな狙いです。
子どもの遺族基礎年金の要件緩和
遺族厚生年金だけでなく、遺族基礎年金についても重要な改正が行われます。子どもの生活保障を強化するため、受給要件が緩和されます。
現行制度では、遺族基礎年金を受け取っている親が再婚すると、親の受給権は失権しその親と同居する子どもの遺族基礎年金は支給停止されます。しかし、改正後はそのようなケースでも、子どもは新たに遺族基礎年金を受け取れるようになります。
また、同居する親の収入が年収850万円以上で子どもが受給できない場合や、死亡者の元配偶者(子どもの親)に引き取られた場合など、これまで子どもが遺族基礎年金を受け取れなかった状況でも、改正後は受給が可能になります。
これは、親の状況にかかわらず、子どもの生活を守ることを重視した変更点です。
(参考:年金制度の仕組みと考え方_第13_遺族年金)
影響を受けるのはどんな人?ケース別に解説
2028年の遺族年金改正は、すべての人に同じ影響を与えるわけではありません。
ここでは、どのような人が影響を受けるのか、あるいは受けないのかを具体的に解説します。
影響を受けない人
まず、今回の改正で影響を受けないのは、主に以下のような人たちです。
- 2028年3月31日までに遺族厚生年金の受給を開始した人
- すでに受給している人は、改正前のルールが適用され続けるため、給付が5年で打ち切られることはありません。
- 60歳以降に配偶者が亡くなり、受給権が発生する人
- 5年の有期給付となるのは60歳未満で受給権が発生した場合です。60歳以上で受給権が発生した場合は、これまで通り無期給付となります。
- 2028年度末時点で40歳以上の女性
- 新しい有期給付は若い世代に適用されます。具体的には、1989年4月2日以降に生まれた人が対象となり、それ以前に生まれた女性(2028年度末に40歳以上になっている人)は影響を受けません。
影響を受ける人
一方で、改正によって影響を受けるのは、主に以下のような人たちです。
- 2028年4月1日以降に、60歳未満で配偶者を亡くした人
- そのケースでは、性別を問わず、遺族厚生年金が原則5年の有期給付となります。
- 影響が大きいのは、2028年度末に40歳未満の女性
- 現行制度では30歳以上であれば無期給付でしたが、改正後は5年の有期給付になります。厚生労働省の推計によると、有期給付になる30代の女性は年間約250人とされています。
- 子のいない60歳未満の男性
- 現行制度では配偶者が死亡当時55歳未満の男性には、受給資格がありませんが、改正後は5年間の有期給付の対象となります。これは男性にとっては改善点といえます。推計では年間約1万6000人が新たに対象になるとされています。
子どもがいる場合の扱い
18歳年度末まで(または障害等級1級・2級の場合は20歳未満)の子どもがいる場合は、扱いが異なります。
子どもがその年齢に達するまでは、現行制度と同様に遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取ることができます。その期間は、5年の有期給付の対象にはなりません。
そして、末子が18歳年度末を過ぎて遺族基礎年金の支給が終了した後、そこから遺族厚生年金が5年間の有期給付となります。
つまり、子育て期間中の保障は維持しつつ、その後の生活再建期間として5年間の給付を行うという考え方です。
現在受給中の人が知っておくべきこと
2028年の改正は直接影響しませんが、現在遺族年金を受給している人が知っておくべき既存のルールはいくつかあります。
これらのルールは将来のライフプランにも関わるため、正しく理解しておくことが必須です。
65歳になると年金の組み合わせが変わる
遺族年金を受け取っている人が65歳になり、自身の老齢年金を受け取る権利が発生すると、年金の受け取り方が変わる場合があります。これを「併給調整」といいます。
具体的には、以下のようになります。
- 自身の老齢基礎年金は全額受給できます。
- 自身の老齢厚生年金も全額受給できます。
- 遺族厚生年金は、自身の老齢厚生年金の額を差し引いた差額分が支給されます。
つまり、自身の老齢厚生年金の額が遺族厚生年金の額を上回る場合、遺族厚生年金の支給は停止されます。
65歳を境に年金の組み合わせと金額が変わる可能性があることを覚えておきましょう。
再婚すると受給権が消滅する
遺族年金の受給権は、再婚すると消滅します。これは、法律上の婚姻届を提出した場合だけでなく、事実婚(内縁関係)の状態になった場合も同様です。
生計を共にするパートナーができた場合、遺族年金を受け取り続けることはできません。受給権がなくなったにもかかわらず、届け出をせずに年金を受け取り続けると、後で返還を求められることになります。
そのため、ライフスタイルに変化があった場合は速やかに年金事務所に届け出る必要があります。
改正後の遺族年金制度で備えるべきこと
今回の改正は、将来遺族年金を受け取る可能性がある若い世代にとって、万一の際の保障が変化することを意味します。
公的年金だけに頼るのではなく、自助努力による備えの重要性が増しているといえるでしょう。
自分の年金を増やす
老後生活における遺族年金への依存度を下げるためには、まず自分自身の老齢年金を増やすことが有効な対策です。iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などを活用し、税制上の優遇を受けながら計画的に老後資金を準備することが推奨されます。
iDeCoは、掛金が全額所得控除の対象となるため、現役時代の所得税・住民税を軽減しながら将来の年金を上乗せできるメリットがあります。
長期的な視点で資産形成に取り組みましょう。
生命保険で不足分をカバーする
遺族厚生年金が5年間の有期給付になることで、長期的な生活費や子どもの教育資金(大学の学費など)が不足するリスクが考えられます。この不足分を補うために、民間の生命保険の活用が有効です。
一定期間の収入を保障する収入保障保険は、遺族年金の有期化によるリスクを合理的にカバーできる保険商品です。保険料も比較的安価なため、家計への負担を抑えながら、万一の際の経済的な支えを確保できます。
必要な保障額をシミュレーションし、自身の家庭に合った保険を検討してみましょう。
共働きでリスク分散する
今回の改正の背景には、共働き世帯の増加があります。夫婦それぞれが収入を得ることは、世帯収入を増やすだけでなく、片働き世帯に比べて死亡による経済的リスクを分散する効果があります。
万が一、夫婦のどちらかが亡くなった場合でも、残された配偶者に安定した収入があれば、経済的な打撃を和らげることができます。
遺族年金制度が「生活再建のための短期的な支援」という側面にシフトしていく中で、夫婦が共に経済的に自立し、支え合うライフスタイルを築くことが、これからの時代のリスク管理として一層重要になります。
遺族年金に関するよくある質問
遺族年金の制度や改正について、多くの人が抱く疑問にお答えします。
今もらってる遺族年金は減額される?
いいえ、減額されません。2028年4月の制度改正は、それ以降に新たに遺族年金を受け取る人が対象です。
すでに遺族年金を受給している人の年金額や給付期間が、この改正によって変更されることはありません。
遺族年金と自分の年金(老齢年金)は両方もらえる?
65歳未満の場合、遺族年金と老齢年金のどちらか一方を選択して受給することになるため、両方はもらえません。
65歳以上であれば、条件付きで両方受け取れる場合があります。
厚生年金に加入したことのない人は、自身の「老齢基礎年金」と「遺族厚生年金」を同時に全額受け取れます。
ただし、自身の「老齢厚生年金」も受け取る場合は、その金額分が遺族厚生年金から差し引かれます(併給調整)。
遺族年金はいつまでもらえる?
現在受給中の人は、再婚などの失権事由に該当しない限り、原則として生涯受け取れます。
2028年4月以降に60歳未満で新たに受給する人は、原則として5年間の有期給付となります。
ただし、子どもがいる期間や60歳以上で受給を開始した場合は、この限りではありません。
まとめ
2028年の遺族年金制度改正について解説しました。重要な点は、現在遺族年金を受給している人は、この改正による影響を一切受けないということです。受給額が減ったり、支給が打ち切られたりすることはありません。
今回の改正は、2028年4月以降に新たに受給権が発生する人が対象で、主な目的は制度における男女差の是正です。
これにより、これまで保障が手薄だった男性も遺族厚生年金を受け取れるようになる一方、若い世代の女性は終身給付から5年間の有期給付へと変更になります。
制度改正があったとしても、すでに受給している人の扱いは経過措置が取られるケースが一般的です。
ただし重要なのは、遺族年金が今後も続くかどうかより、その金額で生活が成り立つかどうかです。
遺族年金だけで足りるのか、貯蓄をどの程度取り崩す必要があるのか、将来の医療費や介護費用に耐えられるのか、これらは制度説明だけでは見えてきません。
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監修
西岡 秀泰
- 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー
同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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