
2000万円を親子間で贈与すると贈与税はいくら?非課税になる?知っておきたい仕組み
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親から子へ2000万円を贈与する場合、「贈与税はいくらかかるのか」「非課税で渡す方法はあるのか」と不安に感じる人は多いでしょう。
贈与税は原則として年間110万円を超える部分に課税されるため、2000万円を一度に贈与すると高額な税負担が生じます。ただし、教育資金贈与や住宅取得資金贈与など、条件を満たせば非課税・軽減措置を活用できる制度もあります。
本記事では、親子間で2000万円を贈与する場合の贈与税の考え方と、税負担を抑えるために知っておきたい制度や注意点を税理士監修のもと、わかりやすく解説します。
- 親子間で2000万円を贈与した場合の贈与税額
- 税負担を抑えながら贈与するための具体的な方法
- 活用できる非課税制度や注意点
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親子間で2000万円を贈与した時の贈与税はいくら?
贈与額2000万円に対して約30%が税金として課されることになり、決して少なくない負担であることがわかります。
その高額な税負担を軽減するためには、贈与の方法を工夫する必要があります。
特例贈与財産の税率とは
特例贈与財産の税率とは、直系尊属である父母や祖父母から、その年の1月1日時点で18歳以上の子や孫へ贈与する場合に適用される、通常よりも優遇された税率のことです。これに対し、夫婦間や兄弟間、他人からの贈与などに適用される税率を「一般贈与財産」の税率と呼びます。
親子間の贈与では、子が成人している場合、基本的に特例贈与財産の税率が適用されます。
表からもわかるように、課税価格が400万円以上になると、特例税率の方が税負担は軽くなります。
2000万円を一括贈与した場合の計算例
実際に2000万円を親から成人した子へ一括で贈与した場合の贈与税を計算してみましょう。
- 課税価格の計算
- 贈与額から基礎控除額110万円を差し引きます。
- 2000万円 - 110万円 = 1890万円
- 贈与税額の計算
- 課税価格1890万円は、特例税率の速算表で「3000万円以下」の区分に該当します。税率は45%、控除額は265万円です。
- 1890万円 × 45% - 265万円 = 585.5万円
その結果、贈与税額は585.5万円となります。
つまり、子が実際に手にする金額は 2000万円 - 585.5万円 = 1414.5万円 となり、贈与額の約3割が税金として納める必要があることがわかります。
2000万円を非課税で贈与する方法はある?
2000万円という高額な財産を一度に、完全に非課税で贈与することは特定の条件を満たさない限り困難です。しかし、税負担をゼロに近づけたり、大幅に軽減したりする方法は複数存在します。
主な戦略は、以下の3つのカテゴリーに大別できます。
- 時間をかけて分割贈与する方法(暦年贈与の活用):毎年110万円の基礎控除を使い、長期間かけて少しずつ贈与する方法です。
- 使途限定の特例制度を活用する方法:住宅購入や教育、結婚・子育てといった特定の目的に資金を充てる場合に、高額な非課税枠を利用する方法です。
- 相続時精算課税制度を利用する方法:贈与時の税負担をなくし、将来の相続時に精算する方法です。
これらの方法を組み合わせることで、より効果的に税負担を抑えることが可能です。次の章から、それぞれの方法について詳しく解説します。
時間をかけて贈与税を抑える方法
一度に大きな金額を贈与するのではなく、贈与税の基礎控除を毎年活用する「暦年贈与」という方法があります。これは、時間をかけて計画的に財産を移転することで、贈与税の負担を最小限に抑える一番の基本的な戦略です。
具体的に2000万円を贈与する場合、どのくらいの期間と税負担になるのか、いくつかのパターンを見ていきましょう。
暦年贈与で毎年110万円ずつ贈与する
贈与税の基礎控除額である年間110万円の範囲内で毎年贈与を繰り返す方法です。この方法を使えば、贈与税は一切かかりません。
2000万円をその方法で贈与する場合、2000万円 ÷ 110万円 ≒ 18.2年 となり、完了するまでに約19年かかります。
メリット
- 贈与税が完全に非課税になる
- 手続きが比較的簡単(贈与税の申告が不要)
デメリット
- 贈与が完了するまでに長期間を要する
- 贈与の途中で贈与者(親)が亡くなった場合、相続開始前7年以内(2024年1月1日以降の贈与)に行われた贈与は相続財産に加算され、相続税の対象となるリスクがある
この方法は、時間に余裕があり、着実に非課税で財産を移転したい場合に適しています。
年間200万円ずつ贈与して税負担を抑える
贈与のペースを早めたい場合、毎年少しだけ基礎控除を超える金額を贈与する方法も有効です。例えば、年間200万円ずつ贈与するケースを考えてみましょう。
- 年間の贈与税額:(200万円 - 110万円) × 10% = 9万円
- 贈与期間:2000万円 ÷ 200万円 = 10年
- 総税額:9万円 × 10年 = 90万円
この方法では、10年間で贈与が完了し、支払う贈与税の合計は90万円です。一括で贈与した場合の585.5万円と比較すると、約495万円も税金を節約できます。実質的な税率は4.5%(90万円 ÷ 2000万円)となり、低い負担で贈与を進めることが可能です。
贈与にかかる期間と、許容できる税負担のバランスを考えながら、年間の贈与額を調整することが賢い戦略と言えるでしょう。
定期贈与とみなされないための注意点
暦年贈与を複数年にわたって行う際に注意すべきなのが「定期贈与」とみなされるリスクです。これは、毎年同じ日に同じ金額を贈与し続けることで、「初めから総額2000万円を贈与する約束があった」と税務署に判断され、贈与の初年度に総額に対して課税されてしまうケースです。
そのリスクを避けるためには、毎年が独立した贈与であることを客観的に示す必要があります。具体的な対策は以下の通りです。
- 毎年、贈与契約書を作成する:その都度、贈与の意思があったことを証明する一番の証拠となります。
- 贈与の時期や金額を変える:毎年きっかり110万円ではなく、ある年は100万円、次の年は120万円(申告が必要)など、金額や時期を少しずつ変えることで、計画性を否定しやすくなります。
- 受贈者名義の口座に振り込み、本人が管理する:現金手渡しは避け、証拠が残る銀行振込を利用します。通帳や印鑑は受贈者自身が管理し、自由に使える状態にしておくことで、「名義預金」と判断されるのを防ぎます。
特例制度を使って非課税で贈与する方法
まとまった資金を一度に贈与したい場合、資金の使い道が限定される代わりに、高額な非課税枠を利用できる特例制度があります。親子間の2000万円の贈与で活用できる可能性があるのは、主に以下の3つです。
これらの制度は、特定のライフイベントに合わせて大きな資金を非課税で移転できるため、条件に合致する場合は有効な選択肢となります。
住宅取得資金の贈与の特例
父母や祖父母から、子や孫がマイホームを新築、取得、または増改築するための資金援助を受けた場合に利用できる制度です。
- 非課税限度額
- 省エネ等住宅:1000万円
- 上記以外の住宅:500万円
- 主な適用要件
- 贈与を受ける人が18歳以上であること
- 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること
- 住宅の床面積が40㎡以上240㎡以下であること など
- 適用期限
- 2026年12月31日まで
この特例は暦年贈与の基礎控除110万円と併用が可能です。そのため、省エネ住宅を取得する場合、最大で1110万円まで非課税で贈与できます。2000万円の贈与のうち、半分以上を非課税にできる可能性がある強力な制度です。
教育資金の一括贈与の特例
父母や祖父母が30歳未満の子や孫に対して、教育資金をまとめて贈与する場合に利用できる制度です。
- 非課税限度額
- 1500万円(ただし、学校等以外の塾や習い事に支払う金銭は500万円まで)
- 主な適用要件
- 贈与を受ける人が30歳未満であること
- 信託銀行などの金融機関に専用の「教育資金口座」を開設し、そこを通じて資金を管理すること
- 適用期限
- 2026年3月31日まで
対象となる教育費は、学校の入学金や授業料のほか、学習塾や習い事の月謝なども含まれます。
ただし、受贈者が30歳に達した時点で口座に残額がある場合、その残額に対して贈与税が課税される点に注意が必要です。
結婚・子育て資金の一括贈与の特例
父母や祖父母が18歳以上50歳未満の子や孫に対して、結婚や子育てに使う資金をまとめて贈与する場合に利用できる制度です。
- 非課税限度額:1000万円(ただし、結婚に関する費用は300万円まで)
- 主な適用要件
- 贈与を受ける人が18歳以上50歳未満であること
- 金融機関に専用の口座を開設すること
- 適用期限:2027年3月31日まで
結婚式や新居の費用、出産費用、不妊治療、子の医療費や保育料などが対象となります。教育資金の特例と同様に、受贈者が50歳に達した時点での残額には贈与税が課税されます。
特例制度を使う際の注意点
これらの特例制度は大きな節税効果が期待できますが、利用にあたってはいくつかの共通の注意点があります。
- 資金の使途が厳密に定められている :それぞれの制度で定められた目的以外に資金を使うことはできません。使途を証明するために、金融機関へ領収書などの提出が必要です。
- 専用口座の開設と管理が必要:贈与された資金は、信託銀行などの金融機関で開設した専用口座で管理する必要があります。
- 残額への課税リスク:受贈者が適用年齢に達した時点や、贈与者が亡くなった時点で口座に残額がある場合、その残額に対して贈与税や相続税が課税される可能性があります。
- 贈与税の申告が必要な場合がある 住宅取得資金の贈与の特例を利用する場合は、贈与税がゼロであっても贈与税の申告が必要です。
これらの条件を理解し、計画的に利用することが欠かせません。
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相続時精算課税制度を使って2000万円を贈与する
「時間をかけるのは難しいが、特例制度の使い道にも合わない」という場合に検討したいのが相続時精算課税制度です。
この制度は、贈与時の税負担をなくし、将来の相続発生時にまとめて精算するという考え方に基づいています。
2024年の税制改正で年間110万円の基礎控除が新設されたことで、より使いやすく、有利な制度となりました。2000万円というまとまった金額を一度に贈与する際に、有効な選択肢となります。
相続時精算課税制度の仕組み
相続時精算課税制度は、原則として60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫への贈与において選択できる制度です。
この制度の仕組みは、以下の2つの非課税枠で構成されています。
- 特別控除枠(累計2500万円):贈与者ごとに生涯にわたって利用できる非課税枠です。この枠を超えるまでは贈与税がかかりません。超えた部分には一律20%の贈与税が課されます。
- 基礎控除枠(年間110万円):2024年1月1日以降の贈与から新設された非課税枠です。年間の贈与額が110万円以下であれば、贈与税の申告は不要で、この枠で贈与された財産は将来の相続財産に加算されることもありません。
重要な点は、特別控除枠を使って贈与した財産は、贈与者が亡くなった際に相続財産に加算され、相続税として精算されることです。つまり、税金の支払いを先送りする制度と言えます。
一度この制度を選択すると、同じ贈与者からの贈与については暦年課税に戻すことはできないため、慎重な判断が求められます。
2000万円を贈与した場合のシミュレーション
相続時精算課税制度を利用して2000万円を贈与した場合の税金の流れを見てみましょう。
- 贈与時
- まず、年間の基礎控除110万円が適用されます。この110万円は贈与税がかからず、申告も不要で、相続財産にも加算されません。
- 残りの 2000万円 - 110万円 = 1890万円 が特別控除の対象となります。
- 1890万円は特別控除枠2500万円の範囲内なので、贈与税は0円です。
- 相続時
- 贈与者が亡くなった際、特別控除枠を使った1890万円が相続財産に加算されます。
- 加算された後の相続財産総額が、相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば、結果的に相続税もかかりません。
- 相続財産総額が基礎控除額を超える場合は、1890万円を含めた金額に対して相続税が計算されます。
このように、贈与時点での税負担なくまとまった資産を移転できるのが、この制度の大きな特徴です。
相続時精算課税制度のメリット・デメリット
この制度を選択する前に、メリットとデメリットをしっかり比較検討することが欠かせません。
メリット
- まとまった金額を一度に非課税で贈与できる
- 2024年以降は年110万円の基礎控除が利用でき、この分は相続財産に加算されない
- 将来値上がりが見込まれる資産を、贈与時の評価額で固定できる
- 収益物件を贈与すれば、その後の収益を受贈者のものにできる
デメリット
- 一度選択すると暦年課税に戻れない
- 贈与財産は相続時に相続財産に加算される(税金の先送りに近い仕組み)
- 贈与した土地は「小規模宅地等の特例」の対象外になる
- 相続税の申告が必要になる可能性がある
大きなデメリットは、相続税の節税効果が高い「小規模宅地等の特例」が適用できなくなる点です。
自宅の土地などを贈与する場合には、この特例を使わないことによる不利益が、相続時精算課税のメリットを上回らないか、慎重なシミュレーションが必要です。
相続時精算課税制度が向いているケース
メリット・デメリットを踏まえると、相続時精算課税制度は以下のようなケースで有効活用できます。
将来の相続財産が相続税の基礎控除内に収まる見込みの場合
相続税がかからないのであれば、相続財産に加算されるデメリットが実質的になくなり、贈与税非課税のメリットだけを享受できます。
将来的に値上がりが確実に見込まれる資産を贈与したい場合
例えば、再開発が予定されている地域の土地や、成長が期待できる非上場株式などを贈与する場合、贈与時の低い評価額で相続財産に加算されるため、将来の相続税を抑える効果が期待できます。
アパートなどの収益物件を贈与したい場合
早期に贈与することで、その後の家賃収入を受贈者(子)の財産として蓄積させることができます。これにより、贈与者(親)の財産増加を抑え、結果的に相続税対策につながります。
事業承継などで、早期にまとまった財産を確実に後継者に移したい場合
時間をかけずに、一度に大きな財産を税負担なく移転できるため、事業の安定的な承継に役立ちます。
暦年贈与と相続時精算課税制度、どちらを選ぶべき?
2000万円の贈与を考える際、時間をかけてコツコツ贈与する「暦年贈与」と、一度にまとめて贈与し将来精算する「相続時精算課税制度」、どちらを選ぶべきか迷う人も多いでしょう。
この選択は、贈与者(親)の相続財産の規模や、どれくらいのスピードで贈与を完了させたいかによって最適な答えが変わります。以下で、判断基準となるポイントを解説します。
相続財産の規模別の選択基準
贈与者(親)が持つ財産の総額は、どちらの制度を選ぶかを決める上で一番の要素です。
相続財産が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)以下の場合
将来的に相続税がかからない可能性が高いため、相続時精算課税制度が有利です。贈与時に2000万円を非課税で渡し、相続時にも税金がかからないという、一番メリットの大きい結果が期待できます。
相続財産が基礎控除額を少し超える程度の場合
暦年贈与を計画的に行い、相続財産そのものを基礎控除額以下に減らしていく戦略が有効です。相続時精算課税制度を選ぶと、贈与した財産が相続財産に加算されてしまい、相続税が発生する可能性があります。
相続財産が明らかに大きい場合
どちらの制度にもメリットがあります。暦年贈与で長期間かけて相続財産を圧縮する方法も有効ですし、値上がりが期待できる資産を相続時精算課税制度で早期に移転し、評価額を固定する戦略も考えられます。
この場合は、税理士などの専門家と相談し、詳細なシミュレーションを行うことが推奨されます。
贈与のスピード別の選択基準
いつまでに贈与を完了させたいかという時間的な制約も、制度選択の重要な判断材料です。
すぐにまとまった資金が必要な場合
子の住宅購入や事業の開業資金など、急いで2000万円を移転したい場合は相続時精算課税制度が唯一の選択肢となります。贈与税の負担なく、一度の手続きで目的を達成できます。
時間的な余裕がある場合
急ぐ理由がなく、10年以上の時間をかけても問題ない場合は、暦年贈与が適しています。税負担を最小限に抑えながら、計画的に財産を移転できます。例えば、年間200万円ずつ10年かけて贈与すれば、総税額は90万円で済みます。
バランスを取りたい場合
相続時精算課税制度を選択しつつ、新設された年間110万円の基礎控除を毎年活用する方法も考えられます。これにより、暦年贈与のように毎年非課税で贈与を進めながら、いざという時には2500万円の特別控除枠を使ってまとまった贈与を行う、という柔軟な対応が可能になります。
親子間の贈与で注意すべきポイント
どの贈与方法を選択するにしても、後々税務署から指摘を受けたり、家族間のトラブルになったりしないよう、手続きを正しく行うことが欠かせません。
親子間の贈与では、その実態が曖昧になりがちです。以下のポイントを必ず押さえておきましょう。
贈与契約書を必ず作成する
口約束での贈与も法律上は有効ですが、税務調査などで贈与の事実を証明するためには贈与契約書が不可欠です。贈与契約書は、贈与があったことを示す客観的な証拠となります。
暦年贈与を複数年にわたって行う場合は、毎年契約書を作成することで、「定期贈与」ではなく毎年独立した贈与であることを主張する有力な材料になります。
契約書には、以下の項目を明記しましょう。
- 贈与者と受贈者の氏名・住所
- 贈与した日付
- 贈与した財産の内容(現金の場合は金額)
- 贈与の方法(例:受贈者名義の〇〇銀行口座に振り込む)
- 両者の署名・押印
受贈者が自由に使える状態にする
贈与が成立したと認められるためには、財産が受贈者の管理下にあり、自由に使える状態になっていることが欠かせません。
よくある失敗例が「名義預金」です。これは、親が子や孫の名義で口座を作り、そこに送金しているものの、通帳や印鑑は親が管理しているケースです。この場合、実質的な管理者は親であると判断され、贈与は成立しておらず、親の相続財産として扱われてしまいます。
贈与を成立させるためには、
- 受贈者自身が口座の通帳、印鑑、キャッシュカードを管理する
- 受贈者がその口座の存在を認識し、いつでも引き出せる状態にしておく
ことが不可欠です。
贈与税の申告が必要なケース
贈与税の申告は、必ずしも税金を納める場合だけに必要なわけではありません。以下のケースに該当する場合は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、受贈者の住所地を管轄する税務署へ申告が必要です。
- 暦年課税で年間の贈与額が110万円を超えた場合:納税額が発生するため申告が必要です。
- 相続時精算課税制度を初めて選択する場合:贈与額にかかわらず、選択届出書と申告書の提出が必須です。2年目以降は、年110万円を超えた場合に申告します。
- 住宅取得資金の贈与などの非課税特例を利用する場合:贈与税が0円になる場合でも、特例の適用を受けるために申告手続きが必要です。
申告を怠ると、特例が適用されなくなったり、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課されたりする可能性があるため、忘れずに行いましょう。
税務調査で指摘されやすいポイント
税務署は、相続が発生した際に、被相続人(亡くなった方)の過去の預金移動を詳細に調査します。その過程で、生前の贈与が適切に行われていたかがチェックされます。指摘されやすいのは、主に以下の点です。
- 定期贈与の疑い:毎年同額・同時期の贈与は「計画的な一括贈与」とみなされるリスクがあります。
- 名義預金の存在:受贈者ではなく贈与者が口座を管理している場合、その預金は贈与者の相続財産と認定されます。
- 贈与の事実が不明確:贈与契約書がなく、受贈者も贈与の事実を認識していない場合、贈与そのものが否認されることがあります。
- 相続開始直前の駆け込み贈与:亡くなる直前の高額な贈与は、相続税逃れとみなされ、厳しくチェックされる傾向にあります。
これらのポイントを回避するためにも、贈与の証拠をしっかりと残し、手続きを正しく行うことが欠かせません。
2000万円の贈与に関するQ&A
親子間の2000万円の贈与に関してよく寄せられる質問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。
Q1. 親から子への贈与と子から親への贈与で税率は違う?
はい、税率が異なります。
- 親から成人した子への贈与:直系尊属からの贈与として、優遇された「特例税率」が適用されます。2000万円を贈与した場合の税額は585.5万円です。
- 子から親への贈与:上記以外の贈与として「一般税率」が適用されます。同じく2000万円を贈与した場合、税額は695万円となり、特例税率よりも高くなります。
親子間の贈与は通常「親から子」へ行われるため、特例税率が適用されるケースがほとんどです。
Q2. 贈与税を払わずに済む方法はどれが一番お得?
一概に「これが一番お得」とは言えず、家庭の状況によって最適解は異なります。
判断の目安としては、以下のようになります。
- 特例制度の条件に合うなら最優先で検討 住宅購入や教育資金など、目的が合致すれば一度に大きな金額を非課税にできるため、一番効果が高いです。
- 将来の相続税がかからない見込みなら「相続時精算課税制度」 贈与税も相続税もかからずに、まとまった資産を移転できます。
- 時間に余裕があり、相続税対策もしたいなら「暦年贈与」 長期間かけて相続財産を着実に減らすことができます。
最終的には、贈与税だけでなく将来の相続税まで含めたトータルの税負担で判断することが欠かせません。迷った場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
Q3. 贈与したことを税務署に知られることはある?
はい、知られる可能性は十分にあります。「現金手渡しならバレない」と考えるのは危険です。
税務署が贈与を把握する主なきっかけは、相続が発生した際の税務調査です。調査では、亡くなった方の過去数年間の預金口座の動きが詳細に確認されます。不自然な多額の出金があれば、その使途について厳しく問われ、結果として過去の贈与が発覚するケースが多いです。
その他、不動産の名義変更(登記)を行えば法務局から税務署へ通知が行きますし、高額な金銭の動きは金融機関が把握しています。
申告漏れが発覚すると、本来の税金に加えて重いペナルティ(無申告加算税や延滞税)が課されます。正しく申告し、納税することが、結果的に一番安心で確実な方法です。
まとめ
親子間で2000万円を一括贈与すると、原則として585.5万円という高額な贈与税が発生します。しかし、計画的に対策を講じることで、この税負担を大幅に軽減することが可能です。
主な方法は以下の3つです。
- 暦年贈与の活用:時間をかけて毎年110万円の基礎控除を使い、非課税で贈与する。
- 特例制度の活用:住宅取得、教育、結婚・子育てといった特定の目的があれば、高額な非課税枠を利用する。
- 相続時精算課税制度の活用:贈与時の税負担をなくし、将来の相続時に精算する。
どの方法が最適かは、贈与者(親)の相続財産の規模、贈与を完了させたいスピード、資金の使い道など、ご家庭の状況によって異なります。
また、どの方法を選択するにしても、贈与契約書を作成し、贈与の事実を明確に記録しておくことが、後のトラブルを避けるために不可欠です。
贈与税や相続税の制度は複雑であり、税制改正も頻繁に行われます。ご自身のケースで最適な方法がわからない、手続きに不安があるという場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
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監修
内山 智絵
- 公認会計士/税理士/AFP
大学在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人の地方事務所にて約10年間勤務し、上場企業を中心とした法定監査などの業務に携わる。出産・育児を機に監査法人を退職した後、2021年春に個人会計事務所を開業。地域の中小企業や個人事業主の身近な相談役として、法人・個人問わず税務・会計サポートを提供している。2025年夏に株式会社SheBlissを設立。自身の経験や女性起業特有の課題を踏まえ、女性が「やりたい」を形にして続けていけるように、専門性の高いサポートとコミュニティを提供している。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。
