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資産形成と資産運用の違いとは?両者の関係性・使い分け&始め方を解説

資産形成と資産運用の違いとは?両者の関係性・使い分け&始め方を解説

資産運用2025/12/23
  • #初心者向け

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「資産形成」と「資産運用」、言葉が似ていて違いが分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、資産形成と資産運用の明確な違いや両者の関係性、さらに自分の状況に合わせた具体的な始め方までを詳しく解説します。将来のお金の不安を解消し、着実に資産を築くための第一歩を、本記事を参考に踏み出してみましょう。

この記事を読んでわかること
  • 資産形成と資産運用の根本的な違い
  • あなたが今どちらを優先すべきかの判断基準
  • ゼロから始める資産形成の具体的なステップ


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資産形成と資産運用、何が違うのか?

資産形成と資産運用は、どちらもお金を増やすことに関連する言葉ですが、その目的と段階が異なります。

結論からいうと、資産形成は「資産をつくる活動」資産運用は「資産をさらに増やす活動」を指します。

 一般的に、初期段階では「小さな資産形成」を行うことで資産運用に回す元手(種銭)を作り、その資金を使い、「大きな資産形成」に向けて運用で効率的にお金を増やしていく、という流れになります。それぞれの言葉の定義を詳しく見ていきましょう。

資産形成とは「資産をつくるプロセス」

資産形成とは、将来の目標に向けて、計画的に資産を蓄え、築き上げていくプロセス全体を指します。目的は、老後資金や教育資金、住宅購入資金といった、将来必要となる大きなお金を備えることにあります。

資産運用とは「手元にある資産を増やすこと」

資産運用とは、手元にある資産(お金)を元手にして、株式や投資信託などの金融商品に投資し、効率的にお金を増やしていく活動のことです。これは、お金自身に働いてもらうイメージに近く、「預貯金」よりも「投資」の側面が強い活動といえます。

主な目的は、資産形成で作った元手を、預貯金の金利以上に「効率的に成長させること」です。インフレ(物価上昇)によってお金の価値が実質的に目減りするのを防ぐ意味合いもあります。

両者の関係性:資産運用は資産形成の手段

資産形成と資産運用は、切り離されたものではなく、密接な関係にあります。「資産形成」という大きな目標(ゴール)を達成するための、有効な「手段」の1つが「資産運用」と考えると分かりやすいでしょう。

例えば、「老後資金3000万円」という資産形成の目標を立てたとします。
目標達成のために、まずは節約や先取り貯蓄で元手となる300万円を作ります(初期の「小さな資産形成」)。次に、その300万円を元手に、投資信託などで年利5%の資産運用を行えば、預貯金だけで目指すよりも早く目標に到達できる可能性が高まります。

このように、多くの場合、まず「預貯金で資産の土台を築き、次に「投資資産運用)」を組み合わせて資産形成のスピードを加速させていく、という順序で進めるのが一般的です。

最初の資産形成から始めるべき人・資産運用から始められる人

まずは「自分は資産運用を始めてもいいのか」「初期の小さな資産形成から始めるべきか」を判断することが大切です。自分の状況がどちらに当てはまるか、以下の特徴を参考にチェックしてみましょう。

最初の資産形成から始めるべき人の特徴

以下に1つでも当てはまる場合、まず「初期の資産形成」、つまり預貯金を最優先に考えたほうがよいでしょう。

  • 緊急時に使える貯金(生活防衛資金)が、生活費の6ヶ月分未満である
  • 毎月の収入と支出がほぼ同じで、貯金に回す余裕がない
  • ボーナスや臨時収入がないと家計が赤字になることがある
  • クレジットカードの分割払いやリボ払いを頻繁に利用している
  • 投資や金融に関する知識がほとんどない

その段階で無理に資産運用を始めると、急な出費に対応できず、損失が出ているタイミングで金融商品を売却せざるを得ない状況に陥る可能性があります。

まずは家計を見直し、着実に貯蓄できる体制を整えることが先決です。

資産運用を始めてもよい人の特徴

以下の条件を満たしている場合は、資産形成(貯蓄)と並行して、少額からの「資産運用」を始めることを検討できる段階です。

  • 生活防衛資金(生活費の6ヶ月分以上)が預貯金で確保できている
  • 毎月の家計に余裕があり、一定額(例:1万円以上)を貯蓄や投資に回せる
  • 今後数年以内に使う予定のない「余裕資金」がある
  • 価格変動のリスクを理解し、長期的な視点で物事を考えられる

この段階の方は、貯蓄を継続しつつ、その一部を資産運用に振り分けることで、資産形成のスピードを加速させることが期待できます。ただし、最初から大きな金額を投じるのではなく、まずは少額から始めて経験を積んでいくのがおすすめです。

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資産形成の具体的な始め方

資産形成は、2つに分けて「1. 運用のための資産を作る貯蓄)」と「2. 資産運用を始める投資)」の2つのステップで進めます。資産形成の初期段階にいる方は、まずステップ1から着実に取り組むことが必須です。

1.運用のための資産を作る

資産運用の元手となる資金、いわゆる「種銭」がなければ、お金を増やすことはできません。ここでは、着実に元手を作るための具体的な3つの方法をご紹介します。

先取り貯蓄で「貯まる仕組み」をつくる

一番効果的で基本的な方法が「先取り貯蓄」です。これは、「収入 − 支出 = 貯蓄」ではなく、「収入 − 貯蓄 = 支出」という考え方に基づきます。給料が振り込まれたら、まず貯蓄分を別の口座に移し、残ったお金で生活する習慣をつけることです。意志の力に頼るのではなく、自動的に貯まる「仕組み」を作ることが成功のポイントです。

  • 自動積立定期預金:毎月決まった日に、指定した金額を普通預金から定期預金に自動で振り替えるサービスです。
  • 財形貯蓄制度:勤務先が導入していれば利用できる制度で、給与から天引きで貯蓄ができます。

これらの仕組みを活用すれば、半ば自動的にお金が貯まっていく状態を作り出せます。

固定費を見直して貯蓄ペースを上げる

先取り貯蓄と並行して行いたいのが「固定費の見直し」です。固定費は一度見直せば、その効果が継続するため、効率的に支出を削減できます。見直しの対象となる主な固定費は以下の通りです。

項目

見直しのポイント

見直しのポイント

通信費

見直しのポイント

スマートフォンを大手キャリアから格安SIMに変更する

保険料

見直しのポイント

必要以上の保障がついていないか、保障内容を見直す

住居費

見直しのポイント

より家賃の安い物件への引っ越しを検討する

サブスクリプション

見直しのポイント

利用頻度の低いサービスを解約する

これらの見直しによって月々数千円〜数万円の支出を削減できれば、その分を貯蓄に回すことができ、資産形成のペースを加速させることができます。

収入を増やす選択肢も検討する

支出の削減には限界がありますが、収入を増やすことには上限がありません。貯蓄ペースをさらに上げるために、収入増を目指すことも有効な手段です。

  • 副業を始める:スキルや空き時間を活用して、本業以外の収入源を確保します。
  • スキルアップ・資格取得:専門性を高めて、本業での昇進や昇給を目指します。
  • 転職する:より待遇の良い企業へ移ることで、根本的な収入アップを図ります。

重要なのは、増やした収入をそのまま生活費の増加に充てるのではなく、計画的に貯蓄や後の資産運用に回すことです。これにより、資産形成のサイクルをより強力に回すことができます。

2.資産運用を始める

生活防衛資金などの土台となる資産ができてきたら、次のステップとして資産運用を始めていきましょう。ここでは、初心者におすすめの制度と、運用を成功させるための基本的な考え方を紹介します。

まずはNISAで少額積立投資から

初心者が資産運用を始める際に、活用したいのがNISA(少額投資非課税制度)です。通常、投資で得た利益(売却益や配当金など)には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座内での取引で得た利益には税金がかかりません。この非課税メリットは、資産形成において有利に働きます。

2024年から始まった現制度のNISAには、以下の2つの投資枠があります。

  • つみたて投資枠: 年間120万円まで。長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象。
  • 成長投資枠: 年間240万円まで。上場株式や投資信託など、比較的幅広い商品が対象。

まずは「つみたて投資枠」を利用して、月々1000円や1万円といった少額から投資信託の積立を始めるのがおすすめです。全世界株式や全米株式に連動するインデックスファンドは、分散効果が高く、運用の手間も少ないため、最初の投資対象として検討しやすいでしょう。

iDeCoで老後資金を効率的に準備

老後資金の準備を目的とするなら、iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用も有効です。iDeCoは自分で掛金を拠出し、運用商品を選んで資産を育てる私的年金制度です。iDeCoの最大のメリットは、強力な税制優遇にあります。

  1. 掛金が全額所得控除の対象になり、所得税・住民税が軽減される。
  2. 運用中に得た利益(運用益)が非課税になる。
  3. 受け取る際にも公的年金等控除や退職所得控除が適用される。

ただし、iDeCoで運用している資産は原則として60歳まで引き出すことができないという制約があります。そのため、老後資金以外の目的(教育資金や住宅資金など)には不向きです。NISAとiDeCoの特性を理解し、目的に応じて使い分けることが大切です。

資産運用のリスクを抑えるための基本ルール

資産運用には価格変動リスクが伴いますが、適切な方法を取ることでリスクを管理し、安定的な資産形成を目指すことが可能です。そのための基本原則が「長期・積立・分散」です。

  • 長期投資:短期的な価格の上下に一喜一憂せず、10年、20年といった長い期間で資産の成長を目指します。期間が長くなるほど、一時的な下落を乗り越えてリターンが安定する傾向があります。
  • 積立投資:毎月一定額を継続して購入する方法です。価格が高い時には少なく、安い時には多く購入することになり、平均購入単価を抑える効果(ドルコスト平均法)が期待できます。
  • 分散投資:一つの資産に集中投資するのではなく、値動きの異なる複数の資産(国・地域、資産の種類など)に分けて投資します。これにより、ある資産が値下がりしても、他の資産でカバーできる可能性が高まります。

これらの原則は、投資経験の少ない初心者にとって、感情的な判断を避け、リスクを抑えながら資産運用を続けるための羅針盤となります。


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よくある失敗パターンと注意点

資産形成や資産運用を成功させるためには、先人たちの失敗から学ぶことが有効です。ここでは、初心者が陥りがちな典型的な失敗パターンを3つ紹介します。これらの注意点を事前に知っておくことで、同じ過ちを避けることができるでしょう。

初期資産形成期の失敗:生活防衛資金なしで運用を始めてしまう

よくある失敗の1つが、十分な貯蓄がないまま資産運用を始めてしまうことです。投資は「当面使う予定のない余裕資金」で行うのが大原則です。生活防衛資金(生活費の6ヶ月分程度)が確保できていない状態で投資を始めると、病気や失業、冠婚葬祭といった急な出費が発生した際に、対応できなくなります。

その結果、タイミング悪く投資商品が値下がりしている局面でも、損失を確定させて売却せざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。これでは、長期的な資産成長を目指すどころか、資産を減らしてしまうことになりかねません。

焦る気持ちが出てくるのは自然なことですが、まずは足元を固めること、つまり現金での備えを最優先することが鉄則です。

資産運用期の失敗:暴落時に怖くなって止めてしまう

資産運用を始めると、日々の価格変動が気になってしまうものです。しかし、市場は常に上下を繰り返しており、短期的な下落は避けられません。初心者にありがちな失敗は、この短期的な下落に動揺し、「これ以上損をしたくない」という恐怖心から慌てて売却してしまう「狼狽ろうばい売り」です。多くの場合、市場が回復した後に「売らなければよかった」と後悔することになります。

資産運用、インデックスファンドなどへの積立投資は、長期的な視点で市場の成長の恩恵を受けることを目指すものです。日々の値動きに一喜一憂せず、当初立てた計画通りに淡々と積立を続ける胆力が求められます。そのためにも、まずは少額から始めて値動きに慣れることが欠かせません。

両方に共通する失敗:目的なく始めてしまう

「周りがやっているから」「なんとなく将来が不安だから」といった漠然とした理由で資産形成や資産運用を始めてしまうと、長続きしない傾向があります。

「何のために、いつまでに、いくら必要なのか」という具体的な目的(ゴール)がなければ、適切な手段を選ぶことも、モチベーションを維持することが難しいからです。

例えば、「40歳までに住宅購入の頭金500万円を貯める」「65歳までに老後資金として2000万円を準備する」といった具体的な目標を設定することが大切です。

目標が明確になれば、そこから逆算して「毎月いくら貯蓄・投資に回すべきか」「どのくらいの利回りを目指すべきか」といった具体的な計画を立てることができます。ライフプランを考え、目標を定めることが、資産形成・資産運用の羅針盤となります。

注意点

ただし、あまりに大きすぎる目標や遠すぎる目標は逆効果になる可能性があります。仮に老後資金の準備が資産形成の目的だとしても、マイルストーン(中間目標)として「50歳までに1500万円」など区切りの目標を設定しておくとモチベーションを保ちやすくなります。

資産形成・資産運用に関するQ&A

ここでは、資産形成や資産運用を始めるにあたって、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式でお答えします。

Q. 資産形成と資産運用、どちらを優先すべきですか?

基本的には、運用の元手となる「初期の資産形成」が済んでいない場合は、それを済ませてから資産運用に移るのがよいでしょう。具体的には、生活防衛資金(生活費の6ヶ月分程度)を確保することを最優先にしましょう。資産の土台を固めておけば、急な出費があった際にも運用中の資産を取り崩さなくてもよくなります。

ただし、NISAなどを活用した積立投資は月々100円や1000円といった少額からでも可能です。月々数百円~数千円程度の少額であれば、資産運用に慣れる目的で初期の資産形成と並行して始めることも有効です。この時の金額については、現在の家計の余裕度に応じて判断するとよいでしょう。

Q. 資産運用は怖いイメージがありますが大丈夫ですか?

資産運用には価格変動リスクが伴うため「100%大丈夫とはいえません。しかし、適切な知識と方法である程度リスクをコントロールすることが可能です。例えば、「長期・積立・分散」という投資の基本原則を守ることで、リスクを抑えながら安定的なリターンを目指せます。

一方、預貯金だけを続けることにも、インフレでお金の価値が実質的に減ってしまう「インフレリスク」があります。まずは非課税制度のNISAなどを活用し、分散投資が可能な投資信託に少額から投資してみることで経験を積み、少しずつ不安を解消していくとよいでしょう。

まとめ

本記事では、資産形成と資産運用の違いについて、目的や手段、始めるべきタイミングの観点から解説しました。

資産形成は「目標資産を築くこと」であり、資産運用はそのための手段(手元の資産をもとにさらに増やすこと)であることをまずは理解しておきましょう。多くの方にとっては、まずは家計を見直し、先取り貯蓄などで生活防衛資金を確保することと、資産運用のための元手をつくる「初期の資産形成」が優先事項となります。

その上で、NISAやiDeCoといった制度を活用し、少額からでも「長期・積立・分散」を意識した資産運用を始めることで、将来の資産形成を加速させることができます。

まずは現在の家計状況を把握し、この記事で紹介した具体的なステップの中から、今日から始められる小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。それが、将来の経済的な自由につながる確実な道筋となるでしょう。

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監修
高橋 明香
  • 高橋 明香
  • ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者

みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。

記事一覧

執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

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