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中退共の退職金が早く欲しい時の対処法とは?振込までの期間と手続きの流れ

中退共の退職金が早く欲しい時の対処法とは?振込までの期間と手続きの流れ

お金2025/12/17
  • #老後資金
  • #会社員

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中退共の退職金、できるだけ早く欲しいけど、どうすればいい?」
「手続きを進めているけれど、なかなか振り込まれないのはなぜ?」

中小企業退職金共済(中退共)の退職金について、そのような疑問をお持ちではないでしょうか。退職後の生活を支える大切な資金だからこそ、いつ、どのように受け取れるのかは正確に把握しておきたいものです。

本記事では、「早く確実に受け取るための手順」や「振込が遅れる原因」について解説します。退職金の受け取り手続きをスムーズに進め、安心して次のステップに進むための準備を始めましょう。

この記事を読んでわかること
  • 中退共の退職金が振り込まれるまでの標準的な期間
  • 退職金を早く受け取るための具体的な手続きと要点
  • 振込が遅れる原因と、その場合の対処法


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中退共制度(中小企業退職金共済制度)とは?

中退共制度は、単独で退職金制度を設けることが難しい中小企業のために国が設けた、公的な退職金制度です。

制度の仕組みは、事業主が毎月掛金を金融機関に納付し、その掛金を中退共が管理・運用します。そして、従業員が退職した際には、会社を経由せず、中退共から直接退職者本人に退職金が支払われるのが特徴です。

事業主には掛金の一部を国が助成する制度(新規加入時や増額時など)があり負担が軽減される一方、従業員にとっては、会社の経営状況に左右されずに退職金を受け取れるという安心感があります。また、ポータビリティ持ち運び)も可能で、転職先の企業も中退共に加入していれば、所定の手続きにより掛金の納付月数を通算できる点もメリットです。

中退共の退職金はいつ振り込まれる?標準的な期間

中退共の退職金は、請求手続きが完了してから実際に振り込まれるまで、一定の期間を要します。一般的には請求を受け付けてから1ヶ月から2ヶ月半程度が目安とされていますが、会社の掛金納付状況や選択する支払方法によっても変動します。一番早く受け取るためには、手続きを迅速に進めることが欠かせません。

請求から振込までの標準的な流れと日数

中退共の退職金は、請求書類を中退共本部が受け付けてから、通常4週間から2ヶ月半程度で指定の口座に振り込まれます。

このように幅があるのは、、退職月分の掛金が正しく納付されたことを中退共が確認できてから審査が始まるためです。多くの企業は掛金を「口座振替」で納付しています。口座振替の場合、引き落としから中退共が入金を確認するまでにタイムラグ(約1~2ヶ月)が発生するため、支払いまでが長くなることがあります。

支払いの準備が整うと、振込予定日の約2週間前に「退職金等振込通知書」がハガキで送付され、具体的な支払額や振込日が通知されます。

退職金の支払方法による違い

中退共の退職金の受け取り方には、一括で受け取る「一時払い」と、分割で受け取る「分割払い」があります。

退職金を早く受け取りたい場合は、「一時払い」を選択し、書類不備をなくすことが重要です。

一方、「分割払い」は、退職日が60歳以上であることなど、一定の要件を満たした場合に選択できます。分割払いは5年間または10年間にわたって定期的に受け取る方法で、一度選択すると途中で一時払いに変更することは原則としてできないため注意が必要です。

中退共の退職金を早く受け取るための3ステップ

中退共の退職金をスムーズに受け取るには、退職後に行うべき手続きを正確に理解しておくことが不可欠です。手続きは分けて、会社から必要書類を受け取る段階、自分で請求書類を準備・記入する段階、そして中退共へ提出する段階の3つに分かれます。

STEP 1:会社から「退職金共済手帳」を受け取る

退職後、まず行うべきことは、勤務していた会社から「退職金共済手帳」を受け取ることです。中退共の退職金受け取り請求は退職者本人が行うもので、この手帳はその請求に使う非常に重要な書類です。退職したら、速やかに会社に連絡し、手帳を受け取りましょう。

STEP 2:必要書類を揃え、請求書に記入する

退職金の請求に必要な書類は、主に「退職金共済手帳」の3枚目に綴じられている「退職金解約手当金請求書」です。
手続きにおける最重要ポイントは、マイナンバー(個人番号)の記入と書類添付です。請求書にはマイナンバーを記入し、以下の確認書類を台紙に貼付する必要があります。

  1. マイナンバー確認書類(マイナンバーカードの裏面コピー、住民票など)
  2. 身元確認書類(マイナンバーカードの表面コピー、運転免許証など)

※マイナンバーカードがあれば、両面のコピーで1と2を兼ねられます。

注意点

退職金が300万円以上の場合、原則として「個人の印鑑登録証明書」の添付が必要です。これが漏れていると書類が返送され、退職金の受け取りが遅れてしまうことがあります。

STEP 3:中退共本部へ郵送する

記入済みの「退職金(解約手当金)請求書」と必要な添付書類(本人確認書類のコピーなど)は、中退共本部へ送付します。提出先は勤務していた会社ではない点に注意が必要です。

普通郵便でも届きますが、万が一の紛失を防ぐため、「特定記録郵便」や「簡易書留」「レターパック」など、追跡できる方法で送るのがよいでしょう。


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退職金の振込が遅れるケースと原因

退職金の振込が想定よりも遅れる場合、いくつかの原因が考えられます。一般的な原因は請求者側の書類不備ですが、会社側の手続きの遅れや、退職者が集中する時期の処理遅延なども影響します。これらの原因を事前に把握しておくことで、対策を講じることが可能です。

書類の不備・記入ミス

退職金の支払いが遅れる一般的な原因は、請求書類の不備や記入ミスです。

具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

  • 氏名や住所、マイナンバーなどの記入漏れや誤字
  • 振込先口座情報の誤り
  • 金融機関の口座確認印の押し忘れ
  • 添付が必要な本人確認書類の不備(コピーが不鮮明、有効期限切れなど)
  • 300万円以上の場合の印鑑証明書忘れ

これらの不備があると、中退共から書類が返送されたり、電話での確認が必要になったりするため、その分だけ手続きが中断し、支払いが遅れてしまいます。提出前には、記入内容や添付書類に漏れがないか、複数回にわたって慎重に確認することが必須です。

会社側の手続き遅延

退職者自身の手続きに問題がなくても、会社側の手続きが遅れることで振込が遅延する場合があります。

主な原因は2つです。

  1. 掛金の納付遅延:中退共の退職金は、退職月までの掛金が会社から全額納付されたことを確認した後に支払われます。会社の経理上の都合などで掛金の納付が遅れると、その分だけ退職金の支払い開始も遅れます。
  2. 「被共済者退職届」の提出遅延:会社は従業員の退職後、速やかに「被共済者退職届」を中退共に提出する義務があります。しかし、人事担当者の多忙や失念により、その届出が遅れると、退職者本人が請求書を提出しても手続きが進まない原因となります。

退職前に、最終掛金の納付予定日や退職届の提出スケジュールについて、会社の人事・総務担当者に確認しておくと安心です。

繁忙期による処理の遅れ

退職者側の書類や会社側の手続きに問題がなくても、中退共側の事務処理が集中する時期には、通常より振込までに時間がかかる可能性があります。

3月末退職者が多いことから、4~6月頃は請求が集中するため、通常よりも審査に時間がかかる傾向があります。

こうした時期に退職する場合は、振込が多少遅れる可能性も念頭に置き、資金計画に余裕を持たせておくとよいでしょう。

振込が遅い場合の確認方法と対処法

請求手続きから2ヶ月以上経過しても退職金が振り込まれない場合は、何らかの問題が発生している可能性があります。まずは状況を確認するために、しかるべき窓口へ問い合わせることが欠かせません。

問い合わせ先は状況によって異なり、中退共へ直接確認する場合と、元の勤務先へ確認する場合があります。それでも解決しない場合は、第三者の専門機関に相談することも視野に入れましょう。

中退共への問い合わせ方法

請求書類を提出してから相当期間が経過しても振込がない場合、まずは手続きの進捗状況を中退共本部に直接問い合わせるのが基本です。問い合わせは、中退共の公式サイトに記載されている電話番号や問い合わせフォームから行えます。

ただし、注意点として、中退共は個人情報保護の観点から電話やメールで個別の振込予定日や金額を回答することはありません。そのため、問い合わせが可能な内容は、書類が受理されているか、不備はなかったかなど、手続きのステータスが中心となります。もし書類不備で手続きが止まっていれば、その場で原因と再提出の方法などを確認できるでしょう。

会社への確認が必要なケース

中退共に問い合わせても「会社からの手続きが完了していない」といった理由で進捗がない場合は、元の勤務先の人事・総務担当者への確認が必要です。

会社に確認すべき主な内容は以下の通りです。

  • 最終月までの掛金が納付済みか:掛金の納付が遅れていると、退職金の支払手続きが開始されません。
  • 「被共済者退職届」が提出済みか:会社がその書類を中退共に提出していなければ、退職者本人が請求しても手続きは進みません。

退職後は連絡を取りにくい場合もありますが、退職金の支払いが遅れている旨を伝え、上記2点について手続き状況を確認してもらうよう依頼しましょう。やり取りの記録を残すため、電話だけでなくメールでも連絡を入れておくと確実です。

それでも解決しない場合の相談先

会社に問い合わせても誠実な対応が得られない、あるいは意図的に手続きを遅延させている疑いがあるなど、当事者間での解決が困難な場合は、第三者の専門機関に相談することを検討しましょう。

主な相談先としては、以下が挙げられます。

  • 労働基準監督署:全国の労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーでは、退職金を含む労働条件に関するあらゆる相談を無料で行うことができます。会社への助言や指導を依頼することも可能です。
  • 弁護士:会社側の対応が不当である場合、法的な観点からアドバイスを受け、代理人として会社と交渉してもらうことができます。最終的に労働審判や訴訟といった法的手続きに進む場合にも、心強い味方となります。

問題がこじれる前に、早めに専門家の助言を求めることが、早期解決につながります。

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退職金を受け取る前に知っておきたい注意点

退職金はまとまった金額になるため、受け取る際にはいくつかの重要な注意点があります。税金の扱いや、失業保険(雇用保険)、退職後の社会保険料への影響については、事前に正しく理解しておくことが大切です。これらの知識は、手取り額を最大化し、退職後の資金計画を適切に立てる上で不可欠です。

退職金にかかる税金

退職金には所得税および住民税が課税されますが、長年の勤労に対する報奨的な意味合いから、税負担が軽減される「退職所得控除」という大きな優遇措置が設けられています。

退職所得控除額は勤続年数に応じて計算され、勤続年数が長いほど控除額も増加します。受け取った退職金からその控除額を差し引き、さらにその残額の2分の1にした金額が課税対象となります。

この優遇措置を確実に受けるためには、退職金を受け取るまでに「退職所得の受給に関する申告書」を中退共に提出することが不可欠です。もし提出しない場合、退職金の総額に対して一律20.42%の税率で源泉徴収されてしまい、後で確定申告をして還付を受ける手間が発生します。忘れずに提出しましょう。

失業保険との関係

退職後に受け取る中退共の退職金と、ハローワークから支給される失業保険(雇用保険の基本手当)は、まったく別の制度です。そのため、中退共から退職金を受け取ることが、失業保険の受給資格や受給額に直接影響することはありません。

ただし、失業保険の給付開始時期や給付日数は、退職理由(自己都合か会社都合か)によって異なります。例えば、自己都合で退職した場合、待期期間満了後、さらに2ヶ月または3ヶ月の給付制限期間がありますが、会社都合退職の場合は給付制限期間がありません。

退職金の手続きと並行して、失業保険の受給を希望する場合は、退職後速やかにハローワークで求職の申し込み手続きを行う必要があります。

国民健康保険料・国民年金への影響

会社を退職すると、それまで加入していた健康保険や厚生年金の資格を喪失します。そのため、速やかに国民健康保険と国民年金への切り替え手続きを行う必要があります。

国民健康保険料は、前年の所得などに基づいて市区町村が決定します。ここでいう「所得」には、退職金(退職所得)は通常含まれません。しかし、退職後も他の所得(不動産所得や事業所得など)がある場合は、それらが保険料の算定に影響します。

また、国民年金については、第2号被保険者(会社員など)から第1号被保険者への種別変更手続きが必要です。収入が減少し、保険料の支払いが困難になった場合には、所得に応じて保険料の免除や納付猶予を申請できる制度もありますので、お住まいの市区町村の窓口で相談しましょう。

中退共の退職金に関するQ&A

ここでは、中退共の退職金に関してよく寄せられる質問にお答えします。請求期限の有無、会社の倒産時の扱い、そして転職先でも中退共に加入している場合の掛金の通算など、事前に知っておくと安心なポイントをまとめました。

Q. 退職金の請求に期限はありますか?

はい、あります。退職金を受け取る権利は、中小企業退職金共済法に基づき、退職日から5年間行使しないと時効により消滅します(同法第34条)。5年を過ぎてしまうと、原則として受け取れなくなってしまうため、退職後は速やかに請求手続きを行ってください。

Q. 会社が倒産した場合でも退職金は受け取れますか?

はい、受け取れます。中退共制度は国の制度であり、掛金は会社ではなく中退共が管理・運用しています。そのため、万が一勤務先の会社が倒産した場合でも、それまでに納付された掛金に応じた退職金は、中退共から直接支払われます。会社の財政状況に左右されずに退職金が保全されるのが、中退共の大きな利点です。

Q. 転職先でも中退共に加入している場合、退職金はどうなりますか?

一定の要件を満たせば、前の会社で積み立てた掛金納付月数を、転職先の会社での納付月数に合算(通算)できます。これにより、退職時にまとめて受け取るのではなく、将来の退職金額を増やすことが可能です。通算手続きを行えば、長期間にわたって掛金を積み立てたことになるため、より有利な条件で退職金を受け取れる可能性があります。

まとめ

中退共の退職金を早く受け取るためには、退職後の迅速な行動が何よりも欠かせません。

この記事の要点を以下にまとめます。

  • 振込までの期間:請求後、約4週間から2ヶ月半が目安ですが、会社の掛金納付状況によります。
  • 早く受け取る手順:退職後すぐに会社から「退職金共済手帳」を受け取り、不備なく「退職金請求書」を作成し、追跡可能な方法で中退共本部へ提出します。
  • 遅延の原因:書類不備、会社の掛金納付遅延、繁忙期などが主な原因です。
  • 対処法:振込が遅い場合は、まず中退共に進捗を確認し、必要であれば会社に掛金納付や届出の状況を問い合わせましょう。

退職金の受け取りは、退職者本人、会社、中退共の三者が連携して進める手続きです。会社側の協力は不可欠なため、退職前から担当者と良好なコミュニケーションを保ち、手続きの流れを確認しておくことが、スムーズな受給への近道となります。

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監修
高橋 明香
  • 高橋 明香
  • ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者

みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。

記事一覧

執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

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