
子供の扶養はどっちに入れる?共働き夫婦が損しないために知っておきたい制度を徹底解説
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「共働きだけど、子供の扶養って夫(妻)のどっちに入れたら税金が安くなる?」「扶養控除でいくら節税できる?」そんな疑問を抱えている夫婦も少なくありません。
子供を扶養に入れることで受けられる税制メリットや社会保険上の扱いは、家計に大きな影響を与えます。
本記事では、子供を扶養に入れる条件から、「損しない」ための判断ポイントまで、専門家がわかりやすく解説します。
(税金関連 監修:中川 美佐子|税理士)
※本記事の社会保険関連の内容は令和7年の改正内容を反映しており、税関連の内容は令和6年以前の取り扱いになります
※令和7年分以後は、所得税の基礎控除の見直しが行われます
(参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁)
(参考:社会保険の加入対象の拡大について|厚生労働省)
- 社会保険上の扶養は共働き夫婦の場合、原則「年収が多い方」になる
- 税法上の扶養は選択可能だが、「所得税率が高い方」が有利
- 扶養に入れるかどうかは、世帯収入・控除額・手当など、トータルで判断することが大切
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子供の扶養とは?共働き夫婦が知っておきたい仕組み
共働き夫婦にとって、子供をどちらの親の扶養に入れるかは、家計の税金や社会保険料に影響を与える大切な選択です。
扶養には、「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があります。
税法上の扶養とは|扶養控除の対象と金額
税法上の扶養とは、所得税や住民税の計算において、扶養親族がいる場合に受けられる所得控除(扶養控除など)を指します。
これにより、納税者(親)の課税所得が減るため、税額が減少します。
【扶養控除の対象となる子供の要件】
・納税者と「生計を一にしている」こと
・年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与収入のみなら103万円以下)
・青色申告者の事業専従者として給与を受け取っていない、または白色申告者の事業専従者ではないこと
【扶養控除の金額】
・特定扶養親族・特定親族(19歳以上23歳未満):最大63万円(大学等に通う親族)
・同居老親等以外の者(70歳以上):48万円
・同居老親等(70歳以上で同居):58万円
※本記事の税関連の内容は令和6年以前の取り扱いになります
※令和7年分以後は、所得税の基礎控除の見直しが行われます
(参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁)
社会保険上の扶養とは|保険料負担や認定の基準
社会保険(健康保険・年金)上の扶養とは、子どもなどが収入要件を満たす場合に保険料の支払いを免除される制度です。
例えば、健康保険の被扶養者として認定されれば、本人(子ども)は保険料の負担なしで医療を受けることができます。
被扶養者として認められる収入要件は、「年収130万円未満(※)」かつ「扶養者の収入の1/2未満であること」が原則です(条件は自治体や保険組合により異なる場合があります)。
※2025年10月より「19歳以上23歳未満の学生等」は年収150万円未満となります
※今後年収106万円未満の短時間労働者は企業規模に関係なく社会保険の加入対象となります。改正法は、公布から3年以内(2027年頃まで)に施行される予定です
(参考:社会保険の加入対象の拡大について|厚生労働省)
社会保険上の扶養は共働き夫婦で原則「年収が多い方」
共働き夫婦の場合、子供を社会保険上の扶養に入れる際、原則として「年収が多い方」の親の扶養に入れることになります。
これは、夫婦の収入状況によってどちらが「主として生計を維持している」を判断するためです。
2021年の被扶養者認定ルールの明確化
2021年の社会保険の改正により、共働き夫婦の子供の被扶養者認定基準がより明確化されました。
夫婦双方に収入がある場合、原則として「年間収入が多い方」の被扶養者とすることが明記されています。
これは、健康保険組合などが被扶養者の認定を行う際の統一的な基準となっています。
収入差が少ない場合の判断基準とは
2021年7月までは、夫婦の収入が同程度の場合「主に生計を維持する方」が子どもの扶養者とされていました。
しかし、2021年8月以降は、夫婦の年収差に応じて以下のように判断されます。
片方が国民健康保険でも「年収多い方」が扶養する理由
夫婦の一方が国民健康保険に加入している場合でも、原則年収が多い方が扶養します。
社会保険の被扶養者の認定では、「生計を維持している」という判断基準があり 、夫婦双方に収入がある場合は、原則として「年間収入が多い方」が、主として生計を維持していると判断されるためです 。
この原則は、両親が社会保険と国民健康保険(国保)に別々に加入している場合でも変わりません。
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子供が扶養から外れるのはどんな時?|社会保険上の場合
①年齢による扶養控除の可否
健康保険の扶養は、原則として75歳未満の親族が対象
②収入がある場合、対象外となる基準
年間の収入が130万円(60歳以上または障害者の場合は180万円)を超える※
※2025年10月より「19歳以上23歳未満の学生等」は年収150万円未満となります
※今後年収106万円未満の短時間労働者は企業規模に関係なく社会保険の加入対象となります。改正法は、公布から3年以内(2027年頃まで)に施行される予定です
税法上の扶養は選択可能
税法上の扶養は、社会保険上の扶養と同様で収入の多い方が子供を扶養控除の対象とします。夫婦の収入差が少ない場合は、選択で決めることも可能です。
「所得税率が高い方」が有利
通常、所得税率が高い方(所得が高い方)の親が子供を扶養に入れるのが、世帯全体の税負担を軽減する上で有利です。
累進課税制度により、所得税率が高い方が扶養控除を適用することで、より大きな節税効果が得られるためです。
社会保険上の扶養とは別の扶養者を選択できる
社会保険上の扶養は原則年収基準で決まりますが、税法上の扶養は夫婦で選択できるため、社会保険上の扶養者と税法上の扶養者が異なる場合も考えられます。
例えば、社会保険上は夫の扶養に入っていても、税法上は妻が扶養控除を適用するといった柔軟な対応が可能です。
扶養の判断で損しないためのポイント
子供をどちらの親の扶養に入れるかという判断で「損をしない」ためには、以下のポイントを総合的に比較検討しましょう。
①世帯収入・控除額・手当をトータルで判断する
扶養控除額のみを見るのではなく、世帯全体の手取りにどう影響するかを計算することが大切です。
・他の所得控除:住宅ローン控除やiDeCoなど、他の大きな所得控除はどちらの親が多く利用しているか
・会社からの手当:勤務先の扶養手当の支給条件はどうか
②配偶者控除との関係に注意
配偶者控除や配偶者特別控除は、配偶者の年収に応じて控除額が決まります。これらの控除は子供の扶養とは別の控除ですが、世帯全体の税金に影響するため、年末調整時に忘れずに申告しましょう。
子供が扶養から外れるのはどんな時?|税法上の場合(所得税)
①年齢による扶養控除の可否
・16歳以上の子が扶養控除の対象
・19歳以上23歳未満の特定扶養親族は、扶養控除額が大きくなる
②収入がある場合、対象外となる基準
年間の合計所得金額が48万円を超える(給与収入のみなら103万円を超える)
※本記事の税関連の内容は令和6年以前の取り扱いになります
※令和7年分以後は、所得税の基礎控除の見直しが行われます
(参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁)
子供の扶養に関するよくあるQ&A
子供の扶養に関するよくある質問について回答します(所得税)。
Q.扶養控除はいつから受けられる?
A. 扶養控除は、扶養親族がその年の12月31日時点で16歳以上である場合に適用されます。
例えば、その年に16歳になった子供がいれば、その年から扶養控除の対象となります。
Q.年の途中で子供が生まれた場合、扶養はどうなる?
A. 年の途中で子供が生まれた場合でも、子が生まれた年から扶養親族としてカウントされます。
扶養控除の対象となるかは、その年の12月31日の現状で判断されます。地方税においては、出生した日が同じ年の1月1日でも12月31日でも、扶養控除の対象となります。
Q.共働き夫婦で複数子どもがいる場合、扶養を分けた方が良い?
A. 夫婦の収入バランスによりますが、所得税率が高い方の親の扶養に入れた方が、節税効果が大きくなるケースが多いです。
ただし、会社からの扶養手当の支給条件によっては、夫婦で扶養を分けた方が世帯全体の手取りが増える可能性もあります。勤務先の規程を確認することをおすすめします。
まとめ
子供の扶養は、税法上の扶養と社会保険上の扶養の2種類があり、それぞれ要件や基準、メリット・デメリットが存在します。
共働き夫婦の場合、どちらの親が扶養に入れるかで、世帯全体の税負担や社会保険料に影響が出ます。
税法上・社会保険上の扶養は、原則として年収が多い方の親に入れることになります。
子供が扶養から外れるのは、主に年齢や所得や収入の基準を満たさなくなった時であり、税法上と社会保険上で異なる基準が適用されるため注意が必要です。
損をしないためには、税金や社会保険料の負担、そして会社の扶養手当などを総合的に比較検討し、自分の家庭に合った最適な扶養の選択をすることが大切です。
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監修
西岡 秀泰
- 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー
同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。