
発達障害で障害年金はもらえる?受給条件や申請のポイントを解説
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「発達障害の特性で仕事が続かない」「日常生活に支障があり、将来の生活費が不安」といったお悩みはありませんか?発達障害は障害年金の対象であり、受給できれば経済的な基盤を安定させることができます。
本記事では、発達障害の方が障害年金を受給するための条件や認定基準、申請を成功させるためのポイントまで、分かりやすく解説します。
- 発達障害は障害年金の対象となり、ASDやADHDなども含まれる
- 受給には「初診日要件」「保険料納付要件」「障害程度要件」の3つを満たす必要がある
- 申請成功の鍵は、日常生活の困難さを医師の診断書や申し立ての書類で具体的に伝えること
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発達障害は障害年金の対象になる
発達障害は、この症状によって日常生活や就労に支障が生じている場合、障害年金の支給対象となります。障害年金は、病気やけがによって生活や仕事が制限されるようになった場合に受け取れる公的な年金制度です。
発達障害は、障害年金の制度上「精神の障害」に分類され、定められた要件を満たすことで経済的な支援を受けることが可能です。
対象となる発達障害の種類
障害年金の対象となる発達障害には、さまざまな種類があります。具体的には、以下のような診断名が挙げられます。
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)
- アスペルガー症候群
- 注意欠如・多動性障害(ADHD)
- 学習障害(LD)
これらは「脳機能の障害であってこの症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。複数の特性を併せ持っていたり、うつ病などの他の精神疾患を併発していたりするケースも対象に含まれます。
診断だけでは受給できない理由
発達障害の診断を受けたという事実だけで、自動的に障害年金が受給できるわけではありません。障害年金の審査で一番重視されるのは、診断名ではなく、この障害によって日常生活や就労にどの程度の支障が生じているかという点です。
例えば、コミュニケーションの困難さから対人関係を築けない、注意力の問題で仕事のミスが頻発し就労が困難である、といった具体的な支障の程度が審査の対象となります。
したがって、申請の際には、診断書や「病歴・就労状況等申立書」といった書類を通じて、自身の生活上の困難さを具体的に示すことが不可欠です。
発達障害で障害年金を受給するための3つの条件
発達障害で障害年金を受給するためには、すべての方が満たす必要のある3つの基本的な条件があります。これらの条件は、障害の種類にかかわらず共通のルールとして定められています。
具体的には、「初診日要件」「保険料納付要件」「障害程度要件」の3つです。1つずつ確認していきましょう。
(参考:障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構)
初診日要件
初診日要件とは、障害の原因となった病気やけがで初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、原則として公的年金(国民年金または厚生年金)に加入していることを指します。
会社員や公務員であれば厚生年金、自営業者や学生、無職の人は国民年金の被保険者となります。発達障害の場合、どの医療機関を最初に受診した日が初診日になるか、特定が難しいケースもありますが、この要件を満たすことが申請の第一歩です。
ただし、初診日が20歳より前にある場合は、年金制度への加入義務がないため、この要件は問われません。
保険料納付要件
保険料納付要件は、初診日までに一定期間、年金保険料を納めていることを求める条件です。具体的には、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 原則:初診日の前日時点で、初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間のうち、3分の2以上の期間で保険料が納付または免除されていること。
- 特例:初診日において65歳未満であり、初診日の前日時点で、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。
初診日が20歳より前にある場合は、保険料の納付義務がないため、この要件は問われません。自身の納付状況がわからない場合は、年金事務所で確認することができます。
障害程度要件
障害程度要件とは、障害の状態が、国が定める障害等級(1級、2級、3級)のいずれかに該当することを指します。
この判定は、原則として初診日から1年6ヶ月が経過した「障害認定日」時点の障害の状態に基づいて行われます。ただし、症状が固定している場合など、特例的に1年6ヶ月を待たずに認定されることもあります。
発達障害の場合、日常生活や社会生活にどれほどの制約があるかが、医師が作成する診断書などをもとに総合的に審査され、等級が決定されます。
発達障害の障害年金における等級と認定基準
発達障害で障害年金を申請する際、どの等級に認定されるかは、この人の障害の状態によって決まります。障害の程度が重い順に1級、2級、3級と定められており、それぞれに認定基準が設けられています。
3級は初診日に厚生年金に加入していた人のみが対象です。初診日に国民年金に加入していた人や、20歳前に初診日がある人は、1級または2級に該当しないと障害年金は支給されません。
ここでは、各等級の具体的な基準と、審査で重視される点について解説します。
(参考:発達障害と障害年金|NPO法人 障害年金支援ネットワーク)
1級の認定基準
障害等級1級は、一番障害の程度が重い状態を示します。発達障害における1級の認定基準は、「発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの」とされています。
具体的には、食事や身の回りのことなど、日常生活の多くの場面で他者からの常時的な援助がなければ生活が成り立たない状態が想定されます。
例えば、一人で外出することが極めて困難であったり、身辺の安全を保つことができなかったりする場合が該当します。
2級の認定基準
障害等級2級は、日常生活に大きな支障がある状態を示します。発達障害における2級の認定基準は、「発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの」とされています。
1級のように常時の援助は必要ないものの、食事の準備や金銭管理、対人関係の構築など、日常生活のさまざまな場面で他者からの助言や指導といった援助がなければ、適切に行うことが難しい状態です。
家庭内でのごく簡単な活動はできても、社会生活を送るには多くの困難が伴う場合が該当します。
3級の認定基準
障害等級3級は、労働に大きな制限がある状態を示し、初診日に厚生年金に加入していた人のみが対象となります。発達障害における3級の認定基準は、「発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの」とされています。
日常生活はおおむね自立して行えるものの、職場での対人関係や臨機応変な対応が困難であるなど、社会行動の問題によって働くことに大きな制約が生じている状態です。例えば、単純作業にしか従事できない、あるいは常に上司や同僚からの指示や管理が必要な場合などが該当します。
審査で重視される日常生活能力
発達障害の等級審査では、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が用いられ、日常生活能力がどの程度あるかが重視されます。
このガイドラインでは、診断書に記載される2つの評価項目を組み合わせて、等級のおおよその目安を判断します。
- 日常生活能力の程度:日常生活全般の支障度を5段階で評価します。
- 日常生活能力の判定:以下の7つの場面における支障度を4段階で評価します。
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び対人関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
これらの評価は、あくまで目安です。最終的な等級は、診断書に書かれた他の情報(就労状況、家族からの援助の状況など)も総合的に考慮されて決定されます。
たとえ知能指数が高くても、対人関係の困難さなどから日常生活に大きな支障があれば、それが評価に加味されます。
発達障害における初診日の考え方と特定方法
障害年金の申請において、「初診日」の特定は極めて重要な手続きです。初診日によって加入していた年金制度(国民年金か厚生年金か)が決まり、受給できる年金の種類や等級の範囲が変わるためです。
発達障害は生まれつきの特性とされますが、障害年金制度上の初診日の考え方は少し特殊です。
発達障害における初診日の定義や、よくあるケースごとの考え方、そして初診日を証明する方法について解説します。
発達障害の初診日とは
発達障害における障害年金制度上の初診日は、原則として「発達障害の症状により、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」とされています。
生まれつきの障害ではあるものの、必ずしも出生日が初診日になるわけではありません。多くの場合、学校生活や社会人になってから困難に直面し、医療機関を受診して初めて発達障害の可能性を指摘されます。この「最初の受診日」が初診日となります。
知的障害を伴わない発達障害で、20歳以降に初めて受診した場合、この受診日が初診日として扱われます。
他の診断名から発達障害と診断されたケース
発達障害の方は、生きづらさから不眠や抑うつ状態になり、精神科や心療内科を最初に受診するケースが少なくありません。その際、当初は「うつ病」や「適応障害」と診断され、治療を続ける中で、根本的な原因として発達障害が判明することがあります。
このような場合、障害年金制度上は、発達障害と診断された日ではなく、原因となった症状(うつ症状など)で最初に医療機関を受診した日が初診日として扱われるのが一般的です。これは、うつ病などの二次障害と発達障害が、一連の傷病と見なされるためです。
20歳前に初診がある場合の取り扱い
初診日が20歳より前にある場合、障害年金の取り扱いは特別になります。主に以下の2つのケースが該当します。
知的障害を伴う発達障害の場合
先天性の知的障害の場合は、出生日が初診日として扱われます。この場合、20歳に達した日(20歳の誕生日の前日)が障害認定日となり、障害基礎年金の対象となります。
先天性でない知的障害の場合は、原則として初めて医療機関を受診した日を初診日として取り扱います。
20歳前に発達障害で受診した場合
幼少期や学生時代に発達障害の症状で医療機関を受診した場合、この最初の受診日が初診日となります。この場合も、20歳に達した日が障害認定日となり、障害基礎年金の申請が可能です。
いずれのケースでも、20歳前初診の場合は保険料納付要件が問われないというメリットがあります。
初診日を証明する方法
初診日を証明するためには、「受診状況等証明書」という書類を初診の医療機関に作成してもらうのが基本です。これは、いつ、どのような症状で、どの診療科を初めて受診したかを証明する公的な書類です。
しかし、初診から長期間が経過していると、カルテが破棄されていたり、病院が廃院していたりして、この書類が取得できないことがあります。
この場合は、以下のような参考資料を複数集めることで、初診日を証明できる可能性があります。
- 2番目以降に受診した医療機関のカルテや紹介状
- 身体障害者手帳や療育手帳の申請時の診断書
- 生命保険の給付申請時の診断書
- 当時の診察券やお薬手帳
- 第三者からの申立書(第三者証明)
初診日の証明は申請の根幹に関わるため、慎重に進める必要があります。
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発達障害の障害年金申請に必要な書類
発達障害で障害年金を申請するには、いくつかの書類を準備して年金事務所や市区町村役場に提出する必要があります。書類に不備があると審査が遅れたり、返送されたりすることがあるため、正確に準備することが欠かせません。
ここでは、申請に必要となる主な書類について、それぞれの役割と概要を解説します。
診断書(精神障害用)
診断書は、障害年金の審査において一番重要な書類です。発達障害の場合は、「精神の障害用」の様式の診断書を主治医に作成してもらいます。
この診断書には、病名や治療の経過だけでなく、日常生活能力の程度や就労状況など、障害の状態を客観的に示すための詳細な項目が含まれています。審査機関は、この診断書の内容を基に障害等級を判断するため、自身の状態が正確に反映されていることが不可欠です。
障害認定日時点での障害状態を証明する「障害認定日請求」を行う場合は、障害認定日から3ヶ月以内の症状が記載された診断書が必要になります。
病歴・就労状況等申立書
「病歴・就労状況等申立書」は、申請者自身が作成する書類で、発病から現在までの日常生活や就労の状況について、自身の言葉で具体的に記述します。
診断書が医師の客観的な視点で書かれるのに対し、この申立書は自身の主観的な困難さを伝える唯一の書類であり、診断書の内容を補完する重要な役割を果たします。
発達障害の場合、出生時から現在までの発育歴、学歴、職歴、生活状況などを時系列で詳細に記載する必要があります。
どのような場面で困難を感じてきたか、周囲からどのような援助を受けてきたかを具体的に書くことがポイントです。
受診状況等証明書
「受診状況等証明書」は、初診日を証明するための書類です。診断書を作成してもらう医療機関と、初診の医療機関が異なる場合に必要となります。
この書類は、初診の医療機関に作成を依頼します。これにより、障害の原因となった傷病でいつ、どの医療機関に初めてかかったのかを公的に証明します。
もし、診断書を作成する医療機関が初診の病院である場合は、診断書自体に初診日の情報が記載されるため、この「受診状況等証明書」は不要です。
障害年金裁定請求書
「障害年金裁定請求書」は、障害年金の支給を申請するための基本となる書類です。この書類には、申請者の氏名、住所、基礎年金番号などの個人情報や、配偶者や子の有無、振込先の金融機関口座などを記入します。
この請求書に、これまで説明した診断書や病歴・就労状況等申立書、受診状況等証明書などを添付して提出することで、正式な申請となります。
様式は年金事務所の窓口で受け取るか、日本年金機構のWebサイトからダウンロードすることも可能です。
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発達障害の障害年金申請を成功させるポイント
発達障害で障害年金を申請する際、書類をただ提出するだけでは、自身の障害の状態が審査員に正しく伝わらず、不支給や本来より低い等級での認定につながる可能性があります。
申請を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが不可欠です。ここでは、重要となる3つのポイントについて具体的に解説します。
病歴・就労状況等申立書の書き方
「病歴・就労状況等申立書」は、自身の言葉で困難さを伝えられる重要な書類です。発達障害の場合、出生時から現在までの状況を時系列で、切れ目なく具体的に記載することが求められます。
以下の点を意識して作成しましょう。
- 具体的なエピソードを盛り込む:「コミュニケーションが苦手」と書くだけでなく、「雑談に入れず孤立してしまう」「指示が曖昧だと混乱して動けなくなる」など、具体的な場面を記述します。
- 日常生活の支障を詳細に:片付けができず部屋が散らかってしまう、金銭管理ができず家族に任せているなど、生活上の困難さを具体的に書きます。
- 診断書との整合性を保つ:診断書に書かれている内容と矛盾がないように注意し、診断書の内容を補足する形で作成します。
幼少期からの発育歴、学校生活での友人関係や学業の状況、就労してからの職歴や仕事内容、退職理由などを詳しく書くことで、障害が一貫して生活に影響を与えてきたことを示すことができます。
医師に正確に症状を伝える
障害年金の審査で一番重視される診断書に、自身の障害の状態を正確に反映してもらうためには、主治医とのコミュニケーションが不可欠です。
診察時間は限られているため、医師が日常生活のすべてを把握することは困難です。医師の前では問題ないように振る舞ってしまい、実態よりも軽い状態で診断書が作成されてしまうことも少なくありません。
診断書を依頼する際には、以下のような工夫が有効です。
- 日常生活の困難さをまとめたメモを渡す:食事、着替え、金銭管理、対人関係など、具体的にどのような場面で、誰のどのような援助が必要かを書き出して医師に渡します。
- 家族や支援者に同席してもらう:自身では上手く伝えられない場合、普段の様子をよく知る家族や支援者から客観的な状況を説明してもらうことも有効です。
正確な診断書を作成してもらうことが、適正な等級認定への近道です。
就労状況の正確な記載
働いている場合、この事実だけで「障害が軽い」と判断され、不支給になるのではないかと心配する人も少なくありません。しかし、就労していること自体が直ちに不支給につながるわけではありません。
重要なのは、どのような環境で、どのような援助や配慮を受けながら働いているかを具体的に伝えることです。障害認定基準でも、援助や配慮のもとで労働に従事している場合は、この状況を十分に確認したうえで日常生活能力を判断する、とされています。
診断書や病歴・就労状況等申立書には、以下の点を具体的に記載しましょう。
- 雇用形態(一般雇用か障害者雇用か)
- 仕事の内容(単純作業か、複雑な判断を要するか)
- 職場での配慮(指示の出し方、休憩時間の取得、業務量の調整など)
- 同僚とのコミュニケーションの状況
- 欠勤や遅刻、早退の頻度
これらの情報を正確に伝えることで、就労していても日常生活や社会生活に大きな制約があることを示すことができます。
発達障害の障害年金でよくある誤解
発達障害の障害年金申請に関しては、さまざまな情報が飛び交っており、中には誤解に基づいたものも少なくありません。
誤った情報によって申請をためらったり、不利益を被ったりすることのないよう、正しい知識を持つことが大切です。
ここでは、多くの人が疑問に思う点や、誤解しやすいポイントについて解説します。
障害者手帳がないと申請できない?
「障害者手帳を持っていないと障害年金は申請できない」というのはよくある誤解です。障害者手帳と障害年金は、根拠となる法律や認定基準が異なる全く別の制度です。
したがって、精神障害者保健福祉手帳などを持っていなくても、障害年金の受給要件を満たしていれば申請は可能です。もちろん、手帳を持っていることが不利になることはありませんが、手帳の等級と障害年金の等級が必ずしも一致するわけでもありません。
手帳の有無にかかわらず、まずは障害年金の受給要件を満たしているかを確認することが欠かせません。
働いていると受給できない?
「働いて収入があると障害年金はもらえない」というのも、よくある誤解の1つです。働いているという事実だけで、直ちに不支給となるわけではありません。
審査で重視されるのは、収入の有無だけでなく、この働き方が障害の特性に合わせた配慮や援助を必要とするものかどうかです。例えば、以下のような場合は、就労していても受給できる可能性があります。
- 障害者雇用枠で働いている
- 就労継続支援A型・B型事業所に通っている
- 職場で業務内容の軽減や、頻繁な指示・監督などの特別な配慮を受けている
- 欠勤や遅刻が多く、安定した就労ができていない
自身の就労状況を正確に伝えることで、労働能力に制約があることを示せれば、受給につながるケースは多くあります。
子どもは障害年金をもらえない?
障害年金は、原則として20歳から64歳までの人が請求できる制度ですが、20歳未満の子どもが対象外というわけではありません。
発達障害のように、生まれつき、または20歳になる前に初診日がある障害の場合、20歳に達した時点(障害認定日)で障害等級に該当すれば、障害基礎年金を受給できます。
この「20歳前傷病による障害基礎年金」は、本人が保険料を納付していないため、受給できる制度です。ただし、本人の所得が一定額以上ある場合は、年金額の一部または全部が支給停止になる所得制限が設けられています。
したがって、幼少期に発達障害と診断された子どもも、20歳になったら障害年金を申請できる可能性があります。
発達障害の障害年金受給後の注意点
無事に障害年金の受給が決定した後も、いくつかの手続きや注意点があります。制度を正しく理解し、適切に対応しないと、年金の支給が止まってしまう可能性もあります。
ここでは、障害年金を受給し続けるために知っておくべき3つの重要なポイントについて解説します。
定期的な更新手続き
障害年金は、一度受給が決定すれば永久に支給され続ける「永久認定」と、定期的に障害の状態を確認する必要がある「有期認定」があります。精神の障害である発達障害は、多くの場合「有期認定」となります。
有期認定の場合、1〜5年ごとに「障害状態確認届(現況診断書)」を提出し、更新手続きを行う必要があります。この診断書の内容に基づき、引き続き障害等級に該当するかどうかが再審査されます。
更新の時期が近づくと日本年金機構から書類が送られてくるので、忘れずに主治医に診断書の作成を依頼し、期限内に提出しましょう。
等級が変更される可能性
更新手続きで提出した障害状態確認届(現況診断書)の内容によっては、障害等級が変更される可能性があります。
症状が改善したと判断されれば、等級が下がる(減額)か、障害等級に該当しないとして支給停止になることがあります。逆に、症状が悪化したと判断されれば、等級が上がる(増額)可能性もあります。
就労状況の変化は審査に影響を与えやすい要素です。例えば、更新時に一般雇用でフルタイム勤務をしていると、症状が軽快したと見なされ、支給停止につながるケースもあります。更新時の診断書も、初回の申請時と同様に、自身の状態を正確に医師に伝えることが重要です。
収入との関係
障害年金は、原則として非課税所得であり、収入とは見なされません。そのため、障害年金を受給していること自体が理由で、家族の扶養から外れたり、税金が増えたりすることはありません。
ただし、20歳前に傷病による障害基礎年金を受給している場合は、本人の所得による支給制限があります。前年の所得額が一定の基準を超えると、この年の8月から翌年7月まで、年金額の半分または全額が支給停止となります。
アルバイトや就労によって収入を得る場合は、この所得制限に注意が必要です。自身の受給している年金の種類を確認しておきましょう。
発達障害の障害年金に関するよくある質問
ここでは、発達障害の障害年金申請に関して、多くの人が抱く疑問についてQ&A形式でお答えします。
Q. ADHDで障害年金は何級になる?
ADHD(注意欠如・多動性障害)だから何級になる、という決まりはありません。障害年金の等級は、診断名ではなく、この症状によって日常生活や就労にどの程度の支障が出ているかによって総合的に判断されます。
例えば、不注意や多動・衝動性の特性により、仕事でのミスが頻発して就労が困難な場合や、家事や金銭管理が一人ではできず常に援助が必要な場合など、支障の程度に応じて2級や3級に認定される可能性があります。
審査は「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に基づいて行われます。
Q. 発達障害の診断を受けたばかりでも申請できる?
はい、診断を受けたばかりでも申請は可能です。ただし、障害年金を受給するためには、初診日から原則として1年6ヶ月が経過している必要があります(障害認定日)。
診断された時期にかかわらず、「初診日要件」「保険料納付要件」「障害程度要件」の3つの条件をすべて満たしていれば、申請手続きを進めることができます。まずは自身の初診日がいつか、そして保険料の納付状況がどうなっているかを確認することから始めましょう。
Q. 不支給になった場合はどうすればよい?
残念ながら申請が不支給となった場合でも、諦める必要はありません。対応策として、主に2つの方法があります。
- 不服申立て(審査請求・再審査請求):決定に不服がある場合、決定を知った日の翌日から3ヶ月以内に「審査請求」を行うことができます。ここでも決定が覆らなければ、さらに「再審査請求」に進むことができます。
- 再請求(裁定請求):障害の状態が悪化した場合など、あらためて申請書類一式を揃えて再度申請(裁定請求)をすることができます。
不支給の理由は通知書に記載されています。まずはこの理由を分析し、診断書の内容を見直したり、申立書をより具体的に書き直したりするなど、次の対策を検討することが必須です。専門家である社会保険労務士に相談するのも有効な手段です。
まとめ
本記事では、発達障害の人が障害年金を受給するための条件や認定基準、申請のポイントについて詳しく解説しました。発達障害は障害年金の対象であり、日常生活や就労に支障がある場合、経済的な支えとなる可能性があります。
受給のためには「初診日要件」「保険料納付要件」「障害程度要件」の3つを満たす必要があります。自身の障害の状態を医師に正確に伝え、診断書や病歴・就労状況等申立書に適切に反映させることが欠かせません。
申請手続きは複雑で専門的な知識も求められるため、不安な場合は一人で抱え込まず、年金事務所や障害年金を専門とする社会保険労務士に相談することをおすすめします。
障害年金は万一の際の生活を支える重要な制度ですが、それだけで将来のすべてをカバーできるわけではありません。自身の状況で将来の生活にどのくらいのお金が必要か、まずは無料の診断ツールでシミュレーションしてみましょう。
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監修
山本 務
- 特定社会保険労務士/AFP/第一種衛生管理者
東京都練馬区で、やまもと社会保険労務士事務所を開業。企業の情報システム、人事部門において通算28年の会社員経験があるのが強みであり、情報システム部門と人事部門の苦労がわかる社会保険労務士。労務相談、人事労務管理、就業規則、給与計算、電子申請が得意であり、労働相談は労働局での総合労働相談員の経験を生かした対応ができる。各種手続きは電子申請で全国対応が可能。また、各種サイトで人事労務関係の記事執筆や監修も行っている。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。
